俺はムロタウンで今日から果樹園を営むことになった
じーさんがぽっくり逝ってしまって今日から後を継ぐための研修をすることになったのだが‥‥
正直自信がない、どちらかと言うとデスクワーク派だし、肉体労働には向いていないと思うんだが‥‥
まぁ後を継ぐやつがいないし、仕方がないか‥‥
「オオタチ、そろそろ行くか」
俺はジョウトからの相棒のオオタチを頭にのせて、畑に向かった
畑ではすでに父さんとそのポケモンたちが畑仕事をしていた
父さんは俺を見つけた瞬間こっちに呼び寄せた
「今日から初仕事だな、じーさんが死んだ分お前がしっかり働いてくれよ」
そういうと父さんはかごを渡してきた
「今日は収穫だから、とりあえず豆を集めちゃって」
父さんはそう言うと忙しそうにほかの木のところに向かった
取り残された俺はとりあえず豆を集めることにした
木の枝をゆすり豆をかごの中に落としていく
しかしかごは大きくてそこそこ重い、ゆすって豆を落としてもかごの中にはなかなか入らない
これどうするんだ?と思って父さんに聞きに行こうとすると、父さんは木を自分のポケモン、ザングースに揺らさせて自分は籠を持っていた
「なるほど、ああやってやるのか」
そうわかった途端俺は再びさっきの木のところに戻ってきた
かごをもち、オオタチに木を揺らすように頼む
オオタチは可愛く敬礼したあと素早く木に登りガッサガッサと枝を揺らし始めた
ボトボトと落ちてくる豆を俺は籠に入れる
豆が落ちてくる感触が何だか少し楽しい
枝を揺らして豆を入れる、豆がなくなったら別の枝を揺らす
全部の枝から豆がなくなったら次の木に移る
それを繰り返しやっていると、かごいっぱいにコーヒー豆が溜まった
オオタチにもういいぞというとオオタチはこれまた素早くこっちに戻ってきた
俺の頭にのり尻尾で汗を拭いてくれる、良い奴だ、帰ったら洗ってやろう
休憩所に行くとそこには父さんがバクフーン、フローゼル、そして先ほどのザングースと一緒に休憩していた
俺はほかに置かれた二つの籠の隣に自分の籠を置くと父さんの隣に座り込んだ
休憩所には扇風機が置いてあり、そこから放たれてる心地いい風がじっとり湿った肌を乾かしていく
「初めてにしちゃ結構集めたな、オオタチに手伝ってもらったのか?」
父さんはそういうと隣にあった氷水に入ってたおいしい水を首筋に当ててきた
一気に体が冷めた気がする、俺はおいしい水を受け取り一気に飲み干した
キンキンに冷えた水が体の熱を冷ましていくのがここちいい
プハァ と息をつき隣を見るとオオタチも同じことをしていた
父さんとバクフーン達はそれを見て笑っていた
それから数十分休憩したあと再び豆の収穫を始めた
再び豆を籠いっぱいに集め終わるころには辺りはヤミカラスが鳴き始める頃だった
これだけ集めてもまだ半分ぐらいしか集め終わってないのから末恐ろしい
籠を持って再び休憩所に戻ると、一服してる父さんとコーヒー豆を食べてる三匹のポケモンたちが居た
「え、ちょ、父さん豆食べさせていいの?」
少し焦り気味に父さんにそう尋ねた
「イタチポケモンが食った後に出てきた豆は最高級品になるんだ、だからいっぱい食わしてるのさ
これも仕事のうちさ」
「え、消化されないの?っていうかうんこ触るの?」
「そういうことになるなぁ」
父さんはそう言って笑った後オオタチに目をやった
「そういえばオオタチもイタチポケモンだったよな‥‥
豆食ってみるか?」
父さんは籠に入ってた豆を一握りして手のひらの上に乗せ、それをオオタチのところに差し出してやる
オオタチは近寄りクンクンと匂ったがどうやらこの匂いは苦手だったようだ、さっさと俺の頭の上に逃げてきた
「どうやら飼い主と似てコーヒーはまだ苦手なようだな」
父さんとポケモンたちは豪快に笑った
その後籠の中の豆をまんべんなく広げたあと俺と父さんとポケモン達は帰路についた
果樹園に忍びよる魔の手に気づかずに‥‥
翌日、起きてオオタチと一緒に果樹園に向かうとそこには食い散らかされた豆の後があった
俺はそれを見渡した後父さんに近寄り話しかける
「父さん、どうしたのこれ?」
「どうやらポケモンにやられたみたいでな‥‥ひどい有様だ」
父さんとポケモンたちはひどく落ち込んでるようにみえた
それもそうだ、自分たちが育てた豆が横取りされたとなれば落ち込みもするだろう
呆然と立ち尽くしているとオオタチが突然肩から降りて走り出した
俺はワンテンポ遅れた後オオタチに続いて走っていく
オオタチはキュッキュッと鳴きある一本の木を指した
その木の下の方にはピンクの毛が樹皮に挟まっていた
そして少しいったところにはハート形の足跡が残っていた
ピンクの毛‥‥ハートの足跡‥‥
「父さん、盗んだポケモンの正体がわかったよ」
俺は急いでこっちに来た父さんに静かにそう言った
「豆を盗み食いした犯人はタブンネっていうポケモンだ」
俺は休憩に入った後急いで家に帰りポケモン図鑑を持ってきた
実は過去にバックパッカーとして色々なところを歩きまわってた経験があって、その時にその地方の博士に全国図鑑をもらったのだ
俺はタブンネの図鑑ページを開く
「これがタブンネ、ハートの足跡にピンクの体毛、一致するだろ?
素早さは遅くて攻撃力も弱い、そのくせ繁殖力だけはあるポケモンだ」
俺はそう言って図鑑を閉じた
父さんは深刻そうな顔をしてる
「この近くにイッシュ地方から引っ越してきたっていうイヤミなおばさんが居ただろ?そのおばさんがタブンネを数匹飼ってるんだ
そのタブンネの被害が結構酷いらしいって近くのおばちゃんと立ち話してたときに聞いたよ
でもこのタブンネってポケモンは弱いんだ、だから盗み食いされたら撃退すればいいと思う」
「ん~、できれば平和的に解決したいんだがなぁ‥‥」
そうこうしてるうちに休憩時間が終わり、俺たちは再び収穫作業を始めた
本来ならすぐに天日干しした方がいいのだが今日は大事をとってやめておくことにした
さらに翌日、というよりその日の深夜
ガンガンガンと玄関のドアをせわしなく叩く音で目が覚めた
俺は目をこすりながら玄関のドアを開けた、そこには父さんのポケモン、フローゼルがいた
フローゼルはただ事じゃない様子で俺の手をひっぱり果樹園へ連れていった
そして果樹園につくとそこには頭から血を流し倒れている父さんの姿があった
俺は父さんに駆けよる
急いで救急車を呼び病院へ向かった
火が昇り始める頃に手術は終わった
医者に聞くところ頭を強く打ち、足の骨にひびが入っているが命に別条はないとのことだ
俺はほっと胸を撫で下ろす
目が覚めた父さんの話から聞くと、夜中に畑を見に言ったらタブンネが居て捕まえようとしたら突進された とのことだ
3匹が捕まえようとするもタブンネ達は木を盾にするように隠れながら逃げていったらしい
父さんは心配かけてすまないと言うと寝息を立てて眠り始めた
タブンネ達め、豆を盗み食いするだけでなく父さんまで傷つけやがって
俺は絶対にあの糞豚達を始末してやろうと、そう決意した
そしてその日の夜、俺は実行に移った
まず休憩所にあえて豆を並べて干しておく
そして休憩所の影にバクフーンを配置させておいた
後はじっとやつらが現れるのを待つだけ‥‥
そして深夜2時、その時は来た
糞豚達は悪びれる様子もなく現れ豆に手をつけようとした
その瞬間バクフーンからもくもくと煙が放たれた
煙は辺り一面を包みこむ
そしてタブンネ達が煙で困惑してるすきにザングースに金縛りをさせた
タブンネ達はものの見事にそれにかかり煙がはれる頃にはタブンネ達はものの見事にひとつの場所に固まり身動きが取れずになっていた
数は大人が2匹、そして子供が3匹と言ったところだ、どうやらこのタブンネ達は家族のようだ
「タブゥー!!」と歯茎を見せて威嚇するタブンネ、正直怖くもなんともない
ぼてっとした腹に間抜けそうな面、こんなのにやられたのかと思うと苛立ちがこみあげてくる
俺は親タブンネの触覚を掴み持ち上げる
そしてあらかじめ用意してあったナイフでその醜い腹を突き刺した
「ダボァッ!」と苦しそうな鳴き声をあげるタブンネ、それを見て残りのタブンネは心底怯えたようだ
どうやらこのタブンネは父親らしい、父親が何の抵抗をするわけでもなくやられたのだったらそりゃ怯えもするだろう
ナイフを引き抜くと傷口から血がドバっとあふれ出てきた
しかしまだ息はある、俺は再びナイフを突き刺した
苛立ちを解消するかのように俺はナイフを刺したり抜いたりを繰り返している
父タブンネが虫の息になってきたところで足元に違和感を感じた
そこには俺の足元にすがりついて許しをこう子タブンネが居た
「タブゥ、タブゥ」と媚びたように鳴くその様に俺は再び苛立ちを感じた
虫の息だった父タブンネを地面に叩きつけて、子タブンネの首根っこを掴み持ち上げた
苦しそうにもがく子タブンネ、涙を流し弱々しく鳴く様は媚豚と言う名前にぴったりだと思った
ずるずるとこちらに這ってくる父タブンネの目の前に子タブンネを落とす
ゲホッゲホッとせき込んでいる子タブンネを抱きかかえようとした父タブンネの目の前で俺は子タブンネの胴体を踏みつけた
「タブゥ!タブネ!」と焦ったようにこちらに向かってくる父タブンネ、俺はその子タブンネに体重を乗せた
そしてバキリという音がし、子タブンネは血を吐き息絶えた
「タブゥー!タブネェー!」と涙を流し我が子の死体を抱える父タブンネ
俺はそんな子タブンネの死体を取り上げた後ポケットからマッチを取り出した
マッチに火をつけて子タブンネに引火させる
燃え盛るそのゴミを俺は父タブンネに投げ捨てた
父タブンネはそれをよけようとするが傷があるので動けず、もろにあたった
「タブァー!」と子タブンネの死体を放り投げるタブンネ、ずいぶんとまぁひどい親子もあったものだ
俺は子タブンネの死体を踏みつけて消火したあとその燃え盛った死体を再び父タブンネのところに蹴りやった
父タブンネは涙を流して悲しんでいた、ざまぁみろ
俺は次の子タブンネを手に掛けようとするが今度は母タブンネが邪魔をしだした
我が子を後ろにやり俺の前に立ちはだかる母タブンネ、こちらを睨みつけている
俺は再びナイフを取り出して、触覚を引っ張りゆっくりとナイフで切り始めた
暴れる母タブンネはザングース達に取り押さえてもらう
ゆっくりゆっくり押しては引いてを繰り返す、母タブンネは近所迷惑になるほど泣き叫んだ
このままだと気づかれても面倒なので俺はオオタチに母タブンネの喉仏を押さえるように言った
苦しそうなうめき声をあげてもがいている
触覚が半分まで切れたので、こんどはこれを引きちぎってみようと思う
俺はナイフを地面におとし、触覚の両端を掴んだ
そして勢いよく引きちぎる
「タ‥‥ブァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」とうめき声をあげ、母タブンネは気絶した
母タブンネはまたあとでいいだろ、俺は母タブンネをどかし、残りの子タブンネに手をかけた
まずは二匹掴み持ち上げる
一匹はがくがくと震えあがりもう一匹は威嚇しながら暴れている
俺は威嚇してきた方をバケツの中に放り込んだ
ガコンとバケツが大きく揺れる俺は水道にホースをつけて蛇口をひねった
キュッキュッと二回ひねると水がホースの先端から流れ出てくる
「タァブッ!タブッ!」と鳴きながらバケツから出ようとする子タブンネ
その糞生意気な面を今すぐにでもぶっ潰したい気分だけど
できるなら苦しめてから殺したいからな
俺はホースの先端を軽く指でつぶし勢いよく噴射させた水を子タブンネの顔面に当てる
苦しそうにもがいて逃げ惑ってる子タブンネにぶつけるのはなかなか爽快だ
後ろ向きにこけたタブンネの顔に俺はこれでもかと言うほど水を浴びせる
それを見て笑ってるとガクガクと怯えていた子タブンネが俺の指に噛みついてきた
痛くはないのだがこれ以上ないほどの不快感を感じる
このまま兄弟が死んでいく姿を見せてやろうと思ったがどうにもそれでは苛立ちが済みそうにない
俺は水を当てるのをやめ、苦しそうに肩で息をする子タブンネにそれを投げつけた
再び大きく揺れるバケツ、しかし中の水が重石になって倒れることはなかった
俺は再び蛇口を3回ほどひねり水の量を増やす
ドバドバと流れてくる水をバケツの中に入れていく
きょとんとしている子タブンネ達だが水が胸辺りまで来てようやっと自体を理解できたようだ
手をあげて登ろうとするが何の取っ掛かりもないうえに身長のおおよそ1,5倍程度あるバケツだ
その短い手では掴みようもない
水が背丈を越えたあたりで俺は料理に使う落とし蓋を用意する
それをバケツに入れて、その上から水を落とし始めた
落とし蓋はタブンネを水の中へ追いやっていくそして落とし蓋をはさみバケツが水でいっぱいになったところで俺は水道をとめた
ガタガタとバケツが揺れる音がする、そのバケツをもちあげ、そしてずっと見させられていた父タブンネの目の前より少し遠くに持っていった
父タブンネは子タブンネ達を助けるために這って移動しているが、バケツはいよいよ動かなくなった
父タブンネは渾身の力を振り絞りバケツを横に倒した
中からビショビショの子タブンネ達がでてくる
すでに事切れてるから無駄‥‥と思った瞬間子タブンネ達は水を吐き息を吹き返した
どういう生命力してんだこいつら
父タブンネはボロボロの体で涙を流しなら子タブンネ達に抱きついた、その姿もまたいちだんと腹が立つ
俺はザングースに耳打ちするとザングースはすぐさま行動してくれた
ザングースは感動に打ちひしがれてる父タブンネの後ろに回りその鋭い爪で両手を掻っ切った
ドパッと勢いよく血が流れ出てくる、それに気づいたタブンネ親子の絶叫が耳に心地いい
俺は再び子タブンネ共の首根っこを掴む
先ほどの恐怖が
フラッシュバックしてきたのか今度は二匹とも大人しい
俺は落ち葉を集めてそしてその上に子タブンネ達を放り投げた
その上にもさらに落ち葉をかぶせる
「水浸しで寒いだろう、どれいっちょ温めてやろう」
俺はそう言うとバクフーンに火の粉を吹かせた
火の粉は草に燃え移りパチパチと燃え広がっていく
「タビャアアアアアアアアアア!!」という二匹の鳴き声が聞こえる、火が直に当たったようだ
逃げ出そうとするが先ほどまで死にかけていた子タブンネだ、動き回れるはずもない
先ほどまでビショビショだったタブンネの毛は乾燥していき、チリチリと焼き焦げていく
二匹はもう虫の息だ、憔悴しきっている
「バクフーン、火炎放射」
子タブンネ達はバクフーンが吹き出した炎に包まれる
「タブネェェェェェェェェェェ!!」と一際大きく叫んだあと焦げになった
ほんとはもうちょっと暴れてほしかったけどまぁ仕方ないだろうな
一仕事終えて後は親の方を処理するだけと思ったその時だった
目を覚ました母タブンネは落ちてたナイフを手に取りこちらに向かって突進してきた
そしてタブンネは俺の脚に突撃する、しかし痛みは何も感じない
ふと見るとオオタチが鬼気迫る表情でナイフを持っていた、オオタチはすんでのところでトリックを使ったのだ
オオタチは母タブンネを後ろからナイフで一突きする
心臓を貫かれたタブンネは血を吐いてその場に倒れ込んだ
これで残りは父親一匹のみだが‥‥唇をくいしばりこちらを睨んでいる
自業自得というか‥‥まぁ
因果応報ってやつだよな
俺は果樹園の木があまり生えてない場所にスコップで穴をあけてゴミを埋めていく
焼け焦げたゴミに生ごみ、それと生きてるゴミにとさまざまだ
本場イッシュでは肥やしタブンネなるものがあるみたいだしまぁ埋めても大丈夫だろ
俺はその上に土をかぶせ、そこに木の苗を植えた
俺が一人前になる頃にはきっと立派な木が育ってるはずだ
俺は朝日を背に清々しい気持ちでポケモンたちと帰路についた
それからしばらくたって親父は退院して今も一緒に果樹園を続けている
この時期はオボンの実がよくなるので一緒に栽培しているところだ
何事もなくてよかったよかった、やっぱり平和が一番だよな
最終更新:2014年09月22日 20:22