310 :
狂依存 243 2011/08/24(水) 02:37:38 ID:CiU9G9+w
「……」
受話器を置いた後、しばらく考え込む。さっきの麻由の態度……どうもおかしい。
胸騒ぎが止まらなかった。
時差を考えれば、大輝は確かに今お風呂に入っている時間ではあるけど……。
途中で妙な声を上げていたのが、一番気がかりだった。
あれって、もしかして……。
「(麻由が男を連れ込んでいる?)」
まさか電話してる最中に……私も主人とやった事あるけど、ちょうどあんな感じの声上げた事あるし……。
いや、そんな事はどうでも良いか……。
それに今は平日で大輝もいるし、そんな事出来るわけがない。
じゃあ、もしかしてやっぱり……。
今までの麻由の態度を思い返してみる。
主人のタイへの長期赴任が決まった時――元々、私は日本に残るつもりだった。
でも、それを告げると麻由は……
「お母さん、お父さん独りで向こうに置いていくの不安でしょ。向こうに行ってきなよ」
「馬鹿言ってんじゃないわよ。大輝は今年受験だし、あんただって、来年は色々忙しくなるでしょ。私がいないでどうするのよ」
「大丈夫だって。私があの子の面倒見てあげるから。もう子供じゃないんだし、自分の事と弟の世話ぐらい出来るって。大学生なら独り暮らししてる子はみんなそうしてるんだから」
「でも……」
「お父さんの生活力の無さ、知ってるでしょ。この前東京で飲み会した時だって、気前良く奢ったら手持ちのお金全部使っちゃって、帰れなくなってお母さんに泣きついてきたじゃない」
「うっ……そうだけど……」
他にも色々、幼稚な所があるのよねあいつ……。
「だから、海外で危ない目に遭わない様にお母さんがついて行ってあげた方が良いって。変な女に騙されたら、大変でしょ」
「いくらなんでも、そこまで馬鹿じゃ……」
無いと思う。多分……。
でも、ただでさえ生活力の無い主人を異国の地に一人放り込むのが不安なのも事実だ。あの人、私がついてないと何も出来やしないんだから……。
「心配しなくても家事とかは全部私がやるから。今、やってるバイトももうすぐ辞めるし、後期になれば大分授業も無くなるから。だから……」
「……ねえ、そんなに母さんに居なくなって欲しいの?」
あまりにしつこく薦めるので流石に不審に思い、尋ねてみる。
「いやだなあ、そういう事じゃないよ。お父さんとお母さんの為でもあるし、私と大輝の為でもあるんだよ。こうやって、親がいなくてもちゃんと生活できるようにしといた方が将来の為にもなるじゃない。それに……」
「それに?」
「二人で協力して生活していけば、姉弟仲も深まるじゃん」
「……そうかもね……」
麻由と大輝の仲。
今はとても仲が良い。だが、何年か前までは大輝が一方的に好意を寄せていて、それに麻由がずっと悩んでいた。
私も何度も注意したけど、一向に大輝は聞く様子も無く、むしろ年を追うごとに麻由にどんどんまとわりついて言動も過激になって行って、次第に麻由の方も大輝に対しては嫌悪感しか抱かなくなっていった。
誰の目にも大輝の麻由への好意は一方通行状態で、お世辞にも仲が良いとは言えない関係だった。
でも……麻由が中学を卒業する前あたりから、二人の様子が一変した。
大輝が麻由にまとわりつかなくなって、普通に接するようになったし、麻由の方も大輝に対して好意的に接するようになった。
どうして、そうなったのか?もちろん二人に理由を聞いたが、結局はっきりと答えてはくれなかった。
ただ、大輝はこう言ってた。
「もう麻由お姉ちゃんに迷惑かけないって決めたんだ」っと。
随分と大人になったもんだなあと感心したものだけど……。
それからは、むしろ麻由の様子が気に掛かった。
「ねえ、大輝。この前見たいって言ってた映画のDVD借りてきたよ。一緒に見ようか」
「うん、良いよ」
「へへへ……やった」
「ま、麻由お姉ちゃん……その……」
「うーん、なあに?」
大輝の体に擦り寄って、胸を腕に押し当てている麻由。
「ちょっと、麻由。あんまりくっつかないの」
「そ、そうだよ。いいから、離れて」
「……」
見かねて注意すると、威嚇するように私の方をギロリと睨んで再び大輝の腕を組んできた。
「えへへ……早く見よう」
「う、うん……」
困惑した表情を見せてる大輝を尻目にDVDをセットして、視聴を始める。
311 : 狂依存 244 2011/08/24(水) 02:38:14 ID:CiU9G9+w
まるで私に見せ付けるかのように、がっちりと腕を組んで体を密着させていた。
麻由が中学を卒業する前から、大輝に対してはそれまでの態度が嘘の用にこういう過剰とも言えるスキンシップをずっと取り続けていた。
大輝もそれを拒否したりはしなかったが、少し迷惑そうな顔をしていた。
「ねえ、これからは大輝のお弁当は私が作るよ」
「ええ?どうしたの急に?」
「だって、お母さん達が海外にいったら、私が作る様だし、それに……」
「あの子の喜ぶ顔が見たいから……へへへ……」
頬を赤らめながら、はにかんだ笑顔をして俯く麻由。
「……まあ、良いけど」
大輝が高校に入ってから、麻由が大輝のお弁当を作るようになった。
私も作る手間が省けるから、助かってはいたけど、でも……。
大輝のお弁当を作っているときの麻由の嬉しそうな表情……
「ふーん、ふふん♪あっ、今日は大輝の好きなカツでも入れよっか。お母さん、パン粉ある?」
どう見ても恋人にお弁当を作っているような顔にしか見えなかった。
「(まさかね……)」
だが、そういう疑惑を抱かざるを得ないような光景ではあった。
「ねえ、今日のお弁当どうだった?」
「え?何で?」
「いいから、美味しかった?」
「うん。すごく美味しかったけど……」
「良かった!今日は私が作ったんだよ。また作ってあげようか?」
「うん。……って、ちょっと……」
麻由は大輝に抱きついて、頬ずりしながら喜んでいる。
仲の良い姉弟がじゃれ合ってるだけに、見えないこともないけど……。
なんだろう、麻由から出ているこの薄気味悪さは?最近は特にそう感じる。
麻由ももう二十歳だってのに、あんなに弟にベタベタくっついたりして。
少なくとも普通ではないだろう。
私は姉が一人居るだけで男兄弟はいないけど、あんなに姉妹でくっついたりはしなかった。
「ねえ、何か食べたいものはある?何でも作ってあげるよ」
「え?じゃ、じゃあ……」
なんとう言うか……最近の麻由は大輝に必死にすがり付いているような感じがする。
大輝がいないと生きていけない。すがりつかないと生きていけない。
そんな雰囲気を醸し出していた。
「へへへ……わかった。頑張って作るからね」
「ねえ、あなた。やっぱり、私家に残ったほうが良いわよね」
「え?うーん、そうかもしれないけど……でも、麻由がいれば大丈夫じゃないか?」
「あの子達だけ、置いとくのは不安に決まってるでしょ。麻由だって大学生なんだし」
「おいおい、僕だって、学生時代一人暮らししてたんだし、二十歳なら独立して所帯持ってるのも珍しくは無いだろ。麻由なら何とかするさ」
あんたは学生時代何とか出来なかっただろ……。
料理も掃除も碌に出来ずに、金遣いも滅茶苦茶で親や私がわざわざ下宿先まで来て身の回りの面倒見てやってたんじゃない。
「それはそうだけど……」
不安なのはあの二人がちゃんと生活できるかとか、そういうレベルの話じゃない。
大輝と麻由を二人きりにしたら、麻由は……。
「ねえ、あの二人の事どう思う?」
「は?どう思うって?」
「その……最近、ちょっと変じゃない?何ていうか、仲が良すぎるというか……」
「仲が良い事の何が問題なんだ?」
「だって……麻由ももう二十歳過ぎてるってのに、弟にあんなにベタベタして……今日だって、大輝に抱きついて頬ずりしたりしてたのよ」
「う、うーん……別に良いんじゃない?ちょっと、じゃれ合ってるだけだろ」
「ちょっと何てレベルじゃないわよ!おかしいでしょ、どう見ても。恋人同士じゃないんだから」
「恋人同士って……大げさな……大輝をからかってるだけかもしれないだろ。僕だって、あのぐらいの年まで和輝にふざけて抱きついたりしてたぞ」
「だから、和輝も迷惑そうな顔してたでしょ……」
駄目だ、この人……そういやこの人も結婚する前まで和輝……自分の弟にベタベタしたりしてたんだっけ……。
「とにかく、良い年した女があれじゃ心配よ。何とか止めさせないと。彼氏も作らず弟に恋人みたいに抱きついたりして……」
「何とかって、別に良いだろ。姉弟の仲の良い事は良いことだ。親がどうこう言う問題じゃないだろ」
ああ、もう!このアンポンタン亭主が!いい加減察しなさいよ!
312 : 狂依存 245 2011/08/24(水) 02:38:48 ID:CiU9G9+w
「とにかく、僕としてはだ。お前が一緒に来てくれると助かる……かなあ……なんて……い、いや無理にとは言わないけどさ」
「でも、あの二人が恋人同士かあ。確かに僕達の若い頃もあんな感じだったよねえ。僕もあんな風に『亜矢お姉ちゃん』なんて言って母さんに甘えてさ。へへへ……」
「……」
思わず頭を抱えて俯く。何が『へへへ』よ。40半ばのおっさんが気持ち悪い。
はあ……こんなんじゃ、やっぱりついて行った方が良いかも……。
「ねえ、大輝。あんた母さんが家に居たほうが良い?そうよね?」
「え?うーん……どうでも良いけど……」
今度は大輝本人に聞いてみる。この子が麻由の事をどう思ってるのか……。
「どうでも良いじゃないわよ。麻由と二人きりよ。ちゃんと二人でやってけると思ってるの?」
「わからないけど……麻由お姉ちゃんがいるし、何とかなるんじゃないかな?お父さん向こうで一人にするのも心配でしょ」
「あんた達をここに置いておく方が心配よ。それに……最近、あんた麻由と仲良すぎじゃない?」
「は?どういう事?」
「だから……最近、二人ともくっつき過ぎだっての。昨日だって、恋人同士みたいに抱き合ったりしちゃって……もしかしてそういう関係なの?子供じゃないんだから、止めなさい」
「ええ?別に抱き合ったりなんかしてないよ。麻由お姉ちゃんが勝手に抱きついてきただけだって」
「ふーん……そうは見えなかったけど」
もちろん、恋人同士みたいに抱き合ってる様に見えたというのは嘘。ただ、敢えてそう言う事で大輝の反応を試したかった。
この子は嘘のヘタな子なので、もし二人がそういう関係なら、そう指摘する事で必ず動揺を見せるはずだ。
「何だよ、その目は?別にあれぐらい普通でしょ。良いじゃないか」
「全然普通とは思えないんだけどね……」
この反応を見る限りでは、まだそういう関係では無いみたいだし、大輝も麻由に対して変な感情を抱いてはいないみたいね。
とりあえず、ホッとした。
「あんたも麻由が今度ああいう事やってきたら、ちゃんと拒否しなさい。他の人に見られたら恥ずかしいじゃないの」
「わかったよ。うわっ……」
「たーいき♪何話してるの?」
「ちょっと、麻由お姉ちゃん……!」
突然、麻由が部屋に入ってきて、大輝に抱きついてきた。
「へへへ……大輝が欲しがってたゲーム買ってきたよ。ね、お姉ちゃんと一緒にやろうか?」
「え?でも……」
「麻由!いい加減にしなさい!あんたももう……」
「……」
「う……」
麻由に注意したら、すかさず私を睨みつけ、思わずその視線にたじろぐ。
その目は恐ろしく、まるで悪魔の様な冷たい目線をしていた。
「な、何よ……」
「さ、私の部屋に行こうか」
「う、うん……」
そのまま、私の言う事を無視して、大輝を自分の部屋に連れて行った。
「……あの目……」
思い出しただけで、吐き気がしてきた。
何と言うか……見ているだけで生きた心地がしなくなるというか、底なしの闇に引き込まれそうになるというか……。
どうすれば、あんな目が出来るんだろう?
昔の大輝も麻由にあんな感じに、いやそれ以上に麻由にくっついていて、どんなに注意しても聞かなかったけど、あれは半分ふざけてやってたような感じがしていたので、今の麻由とは全く違う。
「どうしよう……?」
私がいなくなったら、麻由は大輝と二人きりでどうする気なのか?
恐ろしい事になりそうな気がする。
「お母さん」
「うえ!?な、何?」
悶々と考え事をしている内に突然、麻由に声を掛けられ、思わず奇声を上げて振り返った。
「……大丈夫だよ」
「え?」
「私の心配ならしなくても良いよ。料理も掃除も洗濯もそれ以外の事も全部……全部私が何とかするから。全部……ちゃんと出来るように練習もしている。だから、大丈夫だよ」
「麻由……」
生気の無い声で淡々と喋る麻由。
「行っておいでよ……お母さんだって、本当はお父さんと二人きりになりたいとか、思ってるんでしょ?でも良い年してるから、素直にそう言えない。でも、遠慮なんかしなくて良いよ。私も大輝も二人で何とか出来るから」
「なっ……」
何を言ってるんだ、この子は?
私がお父さんと二人きりになりたい?いつ、そんな事……。
「思ってるんでしょ?別に恥ずかしい事じゃないじゃん。夫婦なんだし。私も大輝と二人で過ごしたい。姉弟なんだから、当然でしょ」
313 : 狂依存 246 2011/08/24(水) 02:39:38 ID:CiU9G9+w
「い、いや……何言ってるの?」
「だから、大輝の事も家の事も心配要らないよ。二人で楽しんでいって……」
「母さん、ちょっと良いか?ん、取り込み中か?」
主人が
「あ、お父さん。お母さんやっぱり、お父さんについていくって」
「え?本当に良いのか?」
「ええ!?ちょっと、勝手に何言って……」
「お父さん良かったね。これでお母さんと二人で夫婦愛を深められるよ」
「そういうつもりで行くわけじゃないんだが……でも、来てくれるってなら本当にたすかるよ」
「ちょっと、麻由!馬鹿な事を言わないで!いい加減にしないと本気で怒るわよ!」
「じゃあ、私はお風呂に入るから。明日も朝からバイトあるし」
「待ちなさい!ねえ……」
麻由は私の制止も聞かず、そそくさと部屋を出て、お風呂場に行ってしまった。
あの子、そんなに私を家から追い出したいの?
というか、大輝と二人で過ごしたいって、まさか……。
「母さん……?」
「とにかく、私はまだ決めた訳じゃないからね。麻由がああ言ったからって、勘違いしないでよ」
「え?うん……」
もし、そういう気なら何が何でも止めないといけない。でも、どうやって?
大輝に今の所、そういう気は無いっぽいから、あの子がしっかりしてくれれば問題ないんだけど……。
数日後――
あの二人の事をどうするべきか結論を出す間も無く、その出来事は起きた。
「どうしたの、今日は?やけに顔色が悪いけど」
「うん……ちょっと、気分が悪くて……」
大輝がいつもよりやけに早く帰ってきたので、どうしたのか聞いてみると、気分が悪いので部活を休んだのだという。
「とにかく、早く横になりなさい。大会も近いんでしょ?」
「うん……」
最初はちょっと、風邪を引いたぐらいかと思ったが、次の日には早くもそうではない事が判明した。
「まさか、高校生にもなっておたふく風邪になんかになるなんて……」
翌日には39度以上の高熱が出て、顔も文字通りおたふくの様に膨らんでいった。
医者に診てもらって点滴した後、すぐに薬を飲ませて部屋で安静にさせた。
幸か不幸か今日からGWの連休に入ったので、麻由が大輝につきっきりで看病していた。
「あれって、子供の病気じゃなかったの?」
「大人になってから、かかることもあるんだよ。成人のおたふくは子供がかかる奴より、症状が重い事が多いんだ」
「ふーん……あの子、まだ成人じゃないけどね」
ちょうど医者をやっている、主人の弟に電話してこの事を相談して見る。
「俺も診に行ければ良いんだけど、この時期は忙しくてねえ……」
「わざわざおたふくぐらいで群馬からこっちまで行くの大変でしょ。本当にやばくなったら、また相談するから」
「ああ、すまんね。でも、おたふくかあ。ちょっとこの後が心配だなあ」
「心配って、別に死ぬような病気じゃないでしょ」
「いや、死ぬことは無いと思うんだけどさ。その……色々後遺症とかが残る可能性もあるんだよ」
「ええ?ちょっと、詳しく話しなさいよ」
今日、診に連れてった医者はそんな事まで言ってなかった。
「ううん……ちょっと、言いにくい事なんだけど……。いや、義姉さんには言っといた方が良いか。大きくなってからのおたふくはさ……生殖機能に障害が出ちゃう可能性があるんだよ」
「は?生殖機能って……?」
「詳しい説明は省くけど、おたふく風邪のウィルスが精子を作る器官にダメージを与えて、精子の数が少なくなるケースがあるんだよ」
「ちょっと、何よそれ……」
「いや、必ずそうなる訳じゃないぞ。ただそうなる可能性もあるって事だけは頭に入れて置いては欲しいんだ。うん」
「そう……」
そう言えばこの和輝も、そして私の
姉さんもう結婚して10数年経つというのに、未だに子供が居ない。
私も主人も兄弟は一人しかいないので、大輝と麻由にはいとこが一人もいないのだ。
他にも私達の親戚には子供がいない夫婦が少なからずいる。
私達ははとこ同士で曽祖父母が一緒なので、もしかしたら、二人も遺伝的に子供が出来にくい体質なのかもしれない。
「そういや、兄さんはもうすぐタイへ赴任するんだっけ?」
「え?ああ、うん。来月からね」
「そっかあ……。2、3年は向こうにいるんだって?大変だよなあ。義姉さんも一緒についてくって聞いたけど、本当?」
「え?いや、まだはっきりとは……」
あの馬鹿、まだ行くとは言ってないのに……。
314 : 狂依存 247 2011/08/24(水) 02:40:50 ID:CiU9G9+w
「でも、大丈夫か?麻由と大輝二人を残していくの?大輝は今年受験だろ」
「うーん、それもそうなんだけど、あの人を一人で何年も海外にいかせるのも不安だし……」
これは正直本当に不安に思ってるのだが、だからと言って、あの人も良い年したおっさんだ。
変な人に騙されるほど馬鹿ではないだろう。多分……。
「ははは……わが兄の事ながら、ちょっと、否定できないなあ。義姉さんがいないとてんで駄目だもんな、兄さんは」
「まあね……その……もし、私も一緒について行く事になったら、麻由と大輝の事、頼めるかしら?姉さんは札幌だし、実家は父さんが最近、体調崩しがちであまり当てにならないし、あんた達が一番近くにいる身寄りだからさ」
「そりゃあ、もちろん構わないよ。でも、俺も家内も仕事であまりそっちまで行ける時間は取れないしなあ……」
一番近くにいる親戚とは言え、義弟夫婦はここからは車で2時間近くかかる所に住んでいるし、勤務時間が不定期な救急病院に勤めているので、そう家まで来る時間が取れる訳ではない。
やっぱり、あまり当てには出来ないか。
「でも、麻由なら大丈夫じゃないか?あの子はしっかりしてるしなあ。でも、彼氏とか家に連れ込みやすくなるから、心配か。ははは」
彼氏だったら、別に構わないんだけどね……。もし、私達がいなくなったら、大輝と麻由は……。
「(でも……)」
「あのさ……さっき、おたふくの後遺症で生殖機能がどうとか言う奴……あれって、本当なの?」
「え?ああ、うん。そうなる可能性もあるって事。もし睾丸が腫れてる様だったら、注意しといてくれるかな?最悪、精子が完全に作れない体になって、子供が出来なくなっちゃうから」
「わかったわ」
「じゃあ、これで。また何かあったら、いつでも連絡してくれよ。近いうちにそっちに顔出すから」
「ええ。今日はありがとう。じゃあね」
ブツ
受話器を置き、大輝の部屋へと向かう。
おたふくが不妊の原因に……。もし、そうなったら、あの子は……。
それでは、あまりにも悲しすぎる。そんな事になったら、家の血筋も完全に絶えてしまうではないか。
いや、今はそんな事はどうでも良いか。
大輝の具合はっと……。
大輝の部屋へ様子を見に行くと、麻由が看病で疲れたのか、大輝のベッドでぐったりと居眠りしていた。
朝からずっと看病しっぱなしだなんて……。
「麻由、起きなさい。そんな所で寝たら、あんたも風邪引くわよ」
「う、ううん……」
私が起こすと、麻由は体をゆっくりと起こし、大輝をじっと見つめた。
「そんなに心配しなくても死にやしないわよ。後は私がやるから、あんたは休んでなさい。麻由まで体壊したら、余計面倒な事になるじゃない」
「私は小さい頃おたふくにかかったから、大丈夫だもん。だから、治るまでここにいる」
「馬鹿言わないの。あんたがずっと張り付いていたら、大輝だってゆっくり休めないじゃない。そんな我侭言うような子に大輝の面倒は任せられないわよ」
「じゃあ、私が素直にここから出たら大輝との関係を認めてくれる?」
「は?関係を認めるって?」
「私は大輝の面倒をずっと見ていくの。これからも、死ぬまでずっと……」
「麻由……」
ずっと、面倒を見ていくって……まさか……。
疲れた顔をしているとはいえ、ふざけて言ってる様子は無い。
麻由は明らかに大輝に対して弟以上の感情を抱いている。もう、それを私に隠そうともしなかった。
「ねえ、良いでしょう。私ならこの子の面倒を一番見てあげられる。一番幸せにしてあげられる。一番愛し……」
「麻由!良いから、とにかくここから出なさい。その事は後で話し合うから」
慌てて言葉を途中で遮り、麻由の腕を掴んで、強引に部屋から出す。
この子、今何て言おうとした?まさか……いや、今は大輝の体の事を優先させないと。
「うっ……お母さん……?」
「起きた?気分はどう?お腹空いてない?」
「お腹は……さっき、麻由お姉ちゃんがお粥作ってくれたから、大丈夫」
「そう……さっきまで付きっ切りで看病してたのよ。治ったらちゃんとお礼しなさいよ」
「うん」
「じゃあ、水と薬置いておくから。それ飲んでゆっくり休んでなさい」
「わかった……」
水と薬を載せてあるお盆を置き、部屋を出る。
そして、すぐに麻由の部屋へと向かった。
315 : 狂依存 248 2011/08/24(水) 02:41:18 ID:CiU9G9+w
「麻由、いる?」
「お母さん、大輝は?」
「今、薬を飲んで眠ったところよ。あんたももう遅いから、さっさと寝なさい」
「大輝が良くなるまで、眠れないよ。だから、治るまで起きてる」
床に座って枕を抱えながら、無茶な事を言う麻由。
「馬鹿な事言って、母さんを困らせないで。それより、さっきの事だけど……」
「……さっきの事って?」
「えっと……」
正直、私の口からは言いにくい。
けど……これがもし本当だとしたら、親として見過ごすわけにはいかない。
「さっきは、ごめん」
「え?」
私が言いよどんでいると、突然麻由が謝ってきた。
「大輝があんな風に苦しんでるのを見て、取り乱しちゃって……変な事言って本当にごめんね」
「え?いや、別に謝る事は……」
どうしたんだろう?そのぐらいの事で取り乱すような子ではないはず。
昔、私が高熱を出して寝込んだ時もいつも通りの態度で冷静に看病していたのに……。
「私、やっぱりもう寝るよ。疲れちゃった。お母さんももう寝たら?」
「え?うん……」
そう言うと、麻由はベッドに潜り込んで床に就く。
私の考えすぎだったのか……。
「じゃあ、お休み」
「お母さん」
「ん?」
部屋から出ようとドアに手を掛けた瞬間、麻由に呼び止められた。
「私、本気だから」
「っ!?」
振り返ってみたら、麻由はベッドに私に背を向ける形で横向けに寝ていた。
「……」
ドアを閉め、背もたれる形でその場で凍りつく。
あの子やっぱり大輝の事……でも、どうして?
昔は普通に接していたし、大輝の好意を迷惑がっていたのに……。
止めるにしても、どうすれば?主人に相談を……いや、あの人に変な心労を煩わせたくはない。
私が何とかしないといけない。だけど……あの子が説得に応じなかったら、どうする?
もし、あの子達が周囲と絶縁する覚悟であるなら、どうする事も出来ない。
無理に他の男とくっつけるのも可哀想だし……。
再び大輝の部屋に入り、額に当てていたタオルを水でゆすいで冷やす。ぐっすりと寝てるみたいね。
少なくとも大輝はまだ麻由に対しては特別な感情は抱いていない。
そうだ、難しく考えることはない。この子がしっかりと拒否してくれれば、良い話じゃないか。
「うっ……お母さん?」
「あら、起きてたの?気分はどう?悪いところがあったら、素直に言いなさい」
「うっ……顔が痛いし、体も熱い……」
「他には?」
「……その……別に、無いよ」
「そう。じゃあ、母さん寝るけど、何かあったら、近くにいる麻由の所にでも行きなさい。良いわね」
「うん……」
それに……もし、大輝と麻由がそういう関係になっても……。
「(今回のおたふくで、大輝の体が……)」
元々、不妊体質の傾向が強い家系だから、この子達もそうかもしれない。
更に大輝は今回のおたふくが追い討ちをかけている。
現に私も結婚前学生時代の主人に中で出させまくったが、中々子供が出来なかった。
私の方が2つ年上だったので、焦って既成事実を早く作って追い込みたかってのとあの人を困らせていじわるさせたかったのだけど……。
結局、出来たのは結婚式の直前だったので意味の無い試みだった。
「(そんな、話はどうでも良いっての!)」
親としてとんでもない事を考えているというのはわかっている。
でも、そうなっても既成事実さえ作られなければ後戻りは出来るはずだ。多分……。
「……親として最低かな……」
そう思いながら、寝室へと向かって床に就いた。
316 :
狂依存 249 2011/08/24(水) 02:42:46 ID:CiU9G9+w
「本当にもう大丈夫なの?」
「うん、熱も下がったしね」
連休明けが空けると、ちょうど熱も下がったので、大輝も学校に行くと言い出した。
本当はまだ1日、2日は様子を見て学校を休ませたいんだけど……。
「気分が悪くなったら、すぐに保健室行くのよ。後、部活と体育は当分休みなさい。良いわね?」
「流石にそこまで無茶はしないよ」
「大輝、本当にもう良いの?」
「麻由お姉ちゃん。うん」
麻由が心配そうに、玄関にいる大輝に声をかけた。
「大輝、麻由はずっとあんたの事、看病してたのよ。ちゃんとお礼言いなさい」
「うん。ありがとう、麻由お姉ちゃん」
「お礼はちゃんと完治させてからで良いから……とにかく無理しちゃ駄目だよ」
「うん……あっ、そろそろ行かないと。じゃあ、行って来ます」
「ふう……本当に大丈夫かしら……あっ、あんたもそろそろ行かないと遅刻するでしょ。早く朝御飯食べちゃいなさい」
「……うん」
そう言うと、麻由も心配そうな顔をしながら台所へと向かった。ずっと大輝の看病していたもんね……。
でも……やっぱり、気になる。あの『本気だから』という言葉。
本当に麻由は大輝の事を……。
そして、私をお父さんと一緒に行けと薦めているのは大輝と二人っきりになりたい為。
「……」
もちろん、今その事を麻由に問い質しても、正直には言わないだろう。
でも……結局、最後は本人次第だ。大輝が断ってくれれば良いんだけど……。
数日後――
「ねえ、大輝。もう具合は良くなった?」
「うん。もうすっかり大丈夫だよ。部活も明日から復帰するつもり」
「そっか。良かった!」
洗濯した大輝の服を部屋に持って行こうとしたら、二人が麻由の部屋で話をしていた。
しばらく体育と部活を休ませてはいたものの、すっかり体調も良くなった。
「看病してくれて、ありがとう。麻由お姉ちゃんのおかげですっかり良くなったよ」
「もう、そんな訳無いでしょ。へへへ……でも、本当に良かった。大輝の元気な姿がまた見れて」
「おたふくぐらいで大げさだよ……でも、麻由お姉ちゃんが看病してくれて本当に嬉しかったよ」
二人の会話を物陰から、じっと聞く。何だか、本当に恋人同士みたいなやりとりだ。
「そっか……じゃあ、お姉ちゃん、何かお礼が欲しいなあ……」
「ん、お礼って?もちろん、良いよ。何でも言って」
「そう……じゃあ……」
麻由は顔を赤らめながら上目遣いで大輝をじっと見つめる。その仕草は妙に色っぽく感じた。
しかも良く見えてみると、まだ春だというのに、キャミソールとミニスカといった、露出の高い服を着ている。
まさか……?
「お姉ちゃんとその……今度の日曜日、デートしてくれるかな?」
「っ!?」
その言葉で一瞬凍りつく。デ、デートって……。
「ええ!?う、うーん……今度の日曜か……」
「何でも、言う事聞いてくれるんでしょ?だったら、しようよ。お姉ちゃんとさ……」
「う、うーん……でも、今度の日曜はちょっと……朝から練習試合が入ってるから……無理かな……」
「私、大輝とデートしたい。その、出来ればこれからもずっとデートしたりして、一緒に今まで以上に仲良くしたい……なあ……何て思ったりして」
「……」
麻由がもじもじしながら、大輝にそう迫っていく。これって、もしかして……愛の告白?
「うーん……気持ちは嬉しいけど、大会も近いし、中間テストもあるからしばらくは予定が空かないかな……」
だが、大輝はそんな麻由の仕草を全く気にかける事も無く、淡々と麻由の誘いを断った。
あの子も随分と変わったものだと、思わず感心してしまった。
「……そう。じゃあ、良いよ。気が向いたらいつでも言ってね」
「うん、ごめんね。あっ、誰だ……?」
そう断った後、誰かから電話が来たのか、ポケットの携帯を取り出して、麻由の部屋を出た。
「はい……何の用?うん……」
ドアの横にいた私にも気づかず、そのまま部屋に入り、何事も無かったかの様に携帯でしばらく話を続けた。
麻由の様子を伺うと、その場で立ち尽くしながら、じっと俯いていた。
317 : 狂依存 250 2011/08/24(水) 02:43:41 ID:CiU9G9+w
「(麻由……)」
こんなに落ち込んだ様子の麻由は初めて見たかもしれない。
はっきりと好きとは言わなかったとは言え、全く動揺する仕草も見せず、断られたのだからショックなのは当然だろう。
だが、これで安心した。大輝が麻由の事をもうその様な目で見ていない事はこれではっきりしたのだから。
「……」
麻由は何も言わず、ベッドに崩れ落ち、枕を抱いてそのまま寝込んでしまった。
このまま、そっとしといてやろう。そう思い、階段を降りた。
「おはよう、お母さん」
「あ、おはよう」
翌朝――いつも通り、麻由は私に挨拶をして、朝食を食べに台所に来た。
「ふあっ……おはよう……」
すぐ後に大輝も降りてきて、いつも通り麻由の隣に座る。
「おはよう。寝癖まだ治ってないわよ。ほら……」
「ほえ……うん。ありがとう、麻由お姉ちゃん」
昨日の事など何も無かったかの様に、普段どおりに大輝に接する麻由。
その顔には、もう落ち込んでいる様子など微塵も感じさせなかった。
良かった……もう吹っ切れたのだろう。
「あーあ、今日はバイトが遅くまであるんだよなあ……参っちゃうわよ」
「そっか……僕もここの所、部活ずっと休んでいたから、今日から大変そうだよ。最後の大会も近いし……」
普段通りの会話をする大輝と麻由。その光景はごく普通の姉弟の会話そのものだった。
「(これなら、安心か)」
心の中にあったモヤモヤが晴れた様な気分がした。別に私が何かしなくても当人達で解決したのだから。
「本当に行くの?」
「うん。やっぱりお父さん一人にするの不安だしね。変な女に騙されたりしたら、それこそ大事だし」
「そっか」
色々考えて結局、主人について行くことにした。
あれから、麻由も大輝には普通に接しているし、二人に親がいない生活を体験させるのも良いだろうと思ったからだ。
「あんたが一番しっかりするのよ。お姉ちゃんなんだし、大輝の面倒もちゃんと見るって言ったんだからね」
主人は仕事の関係上、一足先に空港に行っており、私も荷物をまとめてから、後を追う。
大輝はまだ学校なので、麻由が玄関先まで私を見送った。
「じゃあ、もう行くけど、何かあったらすぐ私達に連絡するのよ」
「わかてるって、大丈夫。大輝の面倒は私が見るから」
「そう……じゃあ、お願いね」
ちょうど、タクシーが家の前まで来たのですぐに乗る。
この家ともしばらくお別れか……。
「うん、気をつけてね」
タクシーのドアが閉まったら、互いに手を振り、しばしの別れを惜しむ。
いざ、離れるとなるとやっぱり、不安になるな……。
「ふう……」
大丈夫。麻由ならきっと何とかする、あの子はもう子供じゃない。結婚して子供がいたっておかしくはない年齢ではないか。
「(大丈夫よね……っ!?)」
そう思い、家の方を振り向くと麻由が私を見て手を振りながら、不気味に微笑んでいたのが視界に入った。
な、何……?あの気味の悪い笑みは……?
また振り向いて見たが、既に我が家は見えなくなっていた。
「(……何、考えてるの?麻由……まさか?)」
いや、気のせいだろう。大丈夫だ。もし、麻由が変な気を起こしても大輝にその気は無いのは確かじゃないか。
間違いなんか起こる筈は無い。
万が一、間違いが起きてもこの前のおたふくで……なっていれば、面倒な事にはならないだろう。
「(大丈夫……大丈夫だ……)」
そう言い聞かせながら、空港に向かっていった。
318 : 狂依存 251 2011/08/24(水) 02:44:24 ID:CiU9G9+w
受話器を置いた後、ソファーに座り込んでしばし考え込む。あの時、あの子達を残してここに来た判断は本当に正しかったのか。
考えれば、考えるほどに悩まされる。
さっきの電話した時の麻由の様子……明らかに変だった。途中で妙な声を上げたりして……。
そう言えば、以前、電話した時にもあった気がする。あの時は確か大輝も電話に出たけど、何か妙な感じがした。
「(もう一度してみるか……)」
時計を見たら、あれから1時間以上経っている。もし、お風呂に入ってただけならもう出ているだろう。
受話器を手に取り、再び家に電話をかけた。
「ちゅっ、んん……ん、ちゅっ……やああんっっ……指入れないでえ……はっ、はあああぁぁんっ……」
トゥルルルルルっっ……トゥルルルルルっっ……
大輝と自室で交わりあっている最中にまた電話がかかってきた。
「ん、んん……麻由お姉ちゃん……」
「別に出なくても良いわ。そんな事より、お姉ちゃんと楽しみましょう。ん、んふっ……」
大輝を再びベッドに押し倒し、口付けをして体を擦り合わせる。
それに応じて、大輝も私の乳房に手を掛けて、揉みしだき始めた。
「はああんっっ……!!やんっ、はぐうっ……もっと、強くしても良いわよ……あっ、はあああんっっ!!」
乳首を指で摘んで軽く引っ張ったり、指でクリクリさせたりして、思うがままに弄ぶ。
本当に私のおっぱい、大好きなのね……。
「はんっ……!ああんっ……ねえ、お姉ちゃんのおっぱい吸ってえ……ん、んああああぁぁぁっっ……」
トゥルルルルルルっっ……
「もう、しつこいわねえ……」
大輝の口に乳首を含ませて吸わせている最中だったが、あまりにも電話がしつこいので、起き上がり、出る事にした。
「待っててね、あなた。すぐに戻ってくるから。ちゅ……やん……」
頬にキスしてから、出ようとしたら腕を引っ張られ、引き止められてしまった。
「ふふふ……嬉しいわあ……そんなに私の事、求めてくれて。じゃあ、一緒に行きましょうか」
そう言って、大輝の手を引き、一緒に部屋を出て階段を降りる。
こんな時間に電話をかけてきて、私達の邪魔をしやがって……一体、何処のどいつだ?
電話をしている最中にも大輝に私を襲わせて、妨害してやる。
トゥルルルルルル……
「はい」
「……麻由?お母さんだけど」
「ああ……どうしたの?あん……」
私が電話に出るとすぐに大輝を後ろから、私の乳房を揉み始めたので、思わず声を上げてしまった。
「ちょっと、大輝に話しがあって。もう、お風呂から出たんでしょ?」
「……今、出れないわ。ん、いやん……」
今度は私の股間に手をかけ、おまんこに指を突っ込んで掻き回してきた。
本当にいつでも、何処でも私の体を求めてくるようになってしまった大輝。ここまで愛されるなんて、本当に幸せだわ。
「どうしたの、さっきから変な声を出して?何処か体調でも悪いの?
「別に何でも無いわよ。ん、あん……」
わざと喘ぎ声を我慢せず、お母さんに聞こえるように出す。
おそらく、私と大輝の関係に薄々気づいたのだろう。ならば、隠す必要も無い。
もう何があっても、後戻りなどする気など無いのだから。
「まあ、良いわ。早く大輝を出しなさい。居るんでしょ?」
「今、出れないって言ってるでしょ。聞こえなかったの?」
「何で出れないのよ?もう、お風呂からは出たんでしょ?今、何してるの?」
「あの子は今、受験生で部屋に篭って、勉強している最中なの。一秒だって邪魔しちゃ駄目よ」
「時間は取らせないわ。とにかく大輝をすぐに出しなさい。直接話し合いたいの」
「用件があるなら、私の方から伝えるわ。だから、早く言って」
「何言ってるの?直接話し合いたいって言ってるでしょ。さっさと出して。家にはいるのよね?」
一体、何の話があるのか、しつこく大輝を出せと迫ってくるお母さん。
これで確信した。お母さんは私達の関係に気づき始めている。親としては反対するのは当然だろう。
何せ、私達はまだ学生なんだから。
「大輝の今の保護者は私よ。その私にも話せない用件って何なの?」
「別に何でも良いでしょ。とにかく出しなさい。麻由の方こそ、何で大輝を電話に出したがらないのよ?おかしいじゃない」
「……麻由お姉ちゃん……ん、んん……」
「ふふ……なあに?ちゅっ、んふっ……ちゅっ、ん、んあっ!」
大輝が私の顔を掴んで、キスをせがんできたので、それに応えてキスする。
「ん、んふっ……ちゅっ、れろっ……ん、はあんっ……駄目よ……おっぱい、抓っちゃ、いやんっ」
319 : 狂依存 252 2011/08/24(水) 02:44:58 ID:CiU9G9+w
「ちょっ……!何やってるの?今の声は大輝?そこにいるの?だったら、早く……」
「今、取り込み中なの。用が無いなら切るわよ。大輝の声が聞こえたのなら、それで家に居る事が確認出来たわよね?じゃあ……」
「ま、待ちなさい!」
ブツ
「さあ、さっさと続きをしましょう……ん、んふっ……ん、あああんっっ……」
受話器を置いて、電話線を抜き、再び夫婦の営みを再開する。
大輝はその場で私を押し倒して、私の股を開き、熱くたぎったち○ぽを私に差し出す。
「やん……もう、入れるの?はんっ……やっ、やあああああぁぁぁぁっっ!!」
私のマンコの中にすぐにぶち込み、腰を揺り動かしてピストンを開始した。
「はあんっっ!!良いわよ……はっ、はああんっっ!!もっと、もっと……!
ああ……また繋がってる。愛する人とこうして、直に触れ合って愛し合っている……。
こうして、私の中で大輝の肉棒が擦れあっる瞬間が一番の幸せ。
だって、これが愛し合ってる事の証なのだから。
「あふっ!はっ、やんっ、はっ……はんっ!!やんっ……あっ、そんな早くう……はっ、ああああぁぁぁぁっっっ!!」
「麻由お姉ちゃん……麻由お姉ちゃん……」
「ん、はんっ!!ふふ……大好きよ、あなた……さっ、手を握って……はんっ!!やんっ、はあああんんっっ!!!」
潤んだ瞳で私を見つめながら、私の手を握り、更にピストンを速めて、子宮を突いてくる。
その仕草がとても可愛らしくて、胸が爆発しそうになるぐらいドキドキして、体が異常な興奮に支配されていった。
「はあんっっ!!!やああんっっ!!イクっ……いあっ!!はんっ!!やああんっっ!!」
ああ、最高……最高よ……!今の大輝は私を見てくれてる。私を求めてくれている。
「はふっ!!もう、駄目……はんっ、ああんっっ!!いあっ、はっ、はあああぁぁぁぁっっっ!!」
「うっ……」
私の中で思いっきりぶちまけ、子種を子宮に流し込む。
あああ……また、こんなに出しちゃって……。本当に凄いわ……。
「ああああんっっ……はっ、ああん……ん、ちゅっ、んふうっ……ん、んん……」
出し終わった後、体を倒し、私に口付けをしてくる大輝。
もう、この子に完全に迷いは無くなった。私と愛し合う事に、こうしてセックスする事に。
両親がいる前は私がどれだけ大輝に尽くしても、この子は私を求めようとはしなかった。
どれだけ楽しく会話させても、甘えても、甘やかしても、たまに拗ねたりして困らせても……この子の瞳に私は映っていなかった。
優しくはしてくれた。私が遊びに誘っても嫌な顔せずに付き合ってくれた。
でも、それだけだった。
本当に虚しい日々だった。自分の好意に気づきもしない、見ようともされなかった事がどれだけ、空虚な思いをさせた事か……。
でも、今の大輝は違う。
私を求めてくれる。愛してくれる。甘えてくれる。私の思うがままに……私がそうさせたんだけどね、ふふふ……。
余計な虫が一匹まとわりついているのは、大誤算だったけど……。
「ん、んんっ……はぁっ……良かったわよ。って、何処に行くの?」
キスをし終わったら、すぐに私から離れて階段へと歩き始めた。
「勉強……しないと……」
「あら、そう。残念ね」
自我を大分失った状態であるにも関わらず、受験勉強の事は頭から離れられないのか、これだけはちゃんとやろうとしている。
昨日、少し見てあげたら、ちゃんと出来ていたので、あんな精神状態でもまだ頭が回転するものなのかと関心した。
まあ、あまり壊れさせてもつまらないか。
「ふふふ……頑張ってね」
「うん……麻由お姉ちゃんと一緒の所に行きたい……」
「そう……」
敢えて言わないが、今の成績では厳しいだろう。でも、その一心で頑張る大輝の私への愛は本物という事か。
まあ、正直落ちても構わないわ。その時は完全に私のヒモにして永遠に手元に置いてあげるからね。
320 : 狂依存 253 2011/08/24(水) 02:45:57 ID:CiU9G9+w
「さっきの電話……やっぱり、あの二人……」
あれから、何度か電話をかけてみたが一向に繋がらなかった。
後ろから聞こえた、大輝の虚ろな声……あれは明らかに普通ではない。
それに、妙な喘ぎ声といい……麻由の頑なな言動といい……。一体何が?
「やっぱり、すぐに家に戻る必要があるわね」
ピンポーン。
そう呟いた後、すぐに呼び鈴が鳴ったので玄関から出ると、主人が帰ってきた。
「ふうう……今日は外回りばかりだから、きつかったあ……」
部屋で着替えてから、台所に行き、一緒に夕食を取る。
「何だ、まだ食べてなかったのか。遅くなったら、先に食べて良いっていつも言ってるのに」
「一緒に片付けた方が、早いから待ってるだけよ。勘違いしないで」
「ははは…そっか」
「もう、起きなさい」
食べ終わって片付けた後、主人がリビングのソファーで寝転がっているのを見て、体を揺すって起こした。
「うーん……ちょっと、飲みすぎたかも」
「ほら、さっさと起きて風呂に入りなさい。きゃんっ」
「へへ……」
主人の横に座って、体を揺すったら、突然頭を膝に乗せて来た。また、こんな年甲斐も無いことを……。
「ううん……亜矢お姉ちゃん……ゲホッ!!」
「その呼び名は止めろって言ってるでしょ。何百回言えば理解できるのよ」
この人は、昔からずっと私の事を『亜矢お姉ちゃん』と呼んでいた。
付き合ってからもずっとそう呼んでたし、結婚してからも何年かは平然と使っていた。
流石に今はほとんど言わなくなったけど、酔っている時なんかはたまにそう呼んでくる。名前で呼び捨てにしたことなど、ほとんど無い。
大輝が麻由の事を『麻由お姉ちゃん』って、呼び続けているのは間違いなくこの人の影響だろう。
血は争えないというか、何というか……。
「ふう……」
麻由達の様子を見に一度帰りたいけど、この人を一人にするのもなあ……。
私がいないと本当に駄目なんだ。ましてや慣れない海外で一人で残したりしたら、変な奴に騙されてしまうかもしれないし、泥棒にも入られるかもしれない。
家事だって碌に出来やしないんだ。
「(そうだ、私がいないと大変な事になっちゃうじゃない)」
例え、何日かでも一人にしたら、大変な事になる。
私がついてないと……私がついてないと……。
「か、母さん?」
「え?な、何?」
ふいに声を掛けられ、ハッと我に返った。
「いや、何か怖い目をしていたから、どうしたのかなと思って……」
「な、何でも無いわよ。ちょっと、疲れただけ」
「そう……じゃあ、そろそろ風呂に入るけど……」
「ええ。早く入って。明日も早いんだから」
「わかった……」
「はぁ……」
主人が浴室へと向かったのを見送って、ソファーに倒れこむ。
まただ……。
ここへ来てから、何度か主人を一人置いて、一旦日本へ帰ろうと思ったり、何処かへ旅行行こうと考えると、その度にとてつもない不安に襲われ吐き気がしそうになる。
家に居た頃はこんな事はなかったはずなのに……。何故?
いや、でも実際あの人を一人に置いていくのは、危険じゃないか。まだ家のローンも残ってるんだし、大輝は受験で大学への進学も控えている。
何かあったら、大変なのは事実じゃないか。
「そうよ……当たり前の事を考えてるだけじゃない」
でも、あの子達の事は?
麻由がきっと、私の事をからかってるだけかもしれないじゃないか。
そうだ、きっとそうだ。
麻由は大輝の面倒をちゃんと見てやってるんだから、私は主人の面倒を見てやる事に専念しよう。それが一番だ。
「……」
大丈夫……よね。
最終更新:2011年09月20日 00:25