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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/11スレ目短編/636 - (2011/07/03 (日) 13:16:39) の1つ前との変更点
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*ラプラスの神様 7
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御坂美琴は夕焼けの砂浜を一人で歩いていた。ここに来るまでの10分足らずの間、大学生と思しき2人組みから声をかけられたが、まとめて電撃でなぎ払った。美琴はいま機嫌が悪かった。
「…あのバカ…………」
砂浜の端までたどりついた美琴はようやく足を止めて呟いた。独り言だったが、こんな外れには誰もいないので関係ない。
上条は自分以外の女の子も遊びに誘っていた。それも自分より年上の娘も沢山。舞夏の名前も中には上がっていた。上条から告げられたその事実は美琴の心を激しく揺さぶった。
上条はそれを告げたとき、特に悪びれた様子も慌てた様子もなかった。つまり、自分は上条から女として見られてなどいなかったのだ。ただの友達。いや、一番最後に自分に声が掛かったことを考えると、自分を友人として見てくれていたかどうかさえ怪しく思えてきた。
結局ただの空回りだったわけだ。なにも知らずにはしゃいでいた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
もう帰ろうか、と思ったとき自分の荷物が一つもないことに美琴は気付いた。その場から逃げ出すようにここまで来たため、荷物は全部元の場所に置きっぱなしだ。持っているのは携帯電話だけだった。
思えば、上条とここに来たのはコイツのせいだった。
「なによ…こんなもの………!!」
美琴は握り締めていた携帯を力いっぱい投げ捨てた。
「…ちっとも………当たんないじゃない…………」
急に力が抜けた美琴はがくりとその場にヘたり込んだ。
そのまま膝を抱え、しばらく夕日を眺めていると、砂地用に特殊改良を施されたドラム缶型の清掃ロボットが近づいてきた。昼間に散らかされた浜の掃除に動き回っているらしい。大学生以下の客の退園時間が迫っているということだ。しかし、美琴はその場から動く気にはなれなかった。荷物を取りに戻るのも億劫だ。
(うるさいな…)
せわしなく動き回る清掃ロボットのモーター音がやかましかったせいだろう。美琴は背後から近づく少年の気配に気付かなかった。
「御坂…!!」
不意に声をかけられた美琴は少しだけ驚いたが、息を切らした少年に振り返ることはなかった。意外ではなかった。なんとなく、彼なら自分を追いかけてきてくるような気がしていたのだ。
心のどこかで自分がそんな期待をしていたことに気づいた美琴は心底嫌になった。
「……なによ?」美琴は振り向かずに応えた。
「はあっ…はあ………何って…お前、急に電撃かまして行っちまうもんだから追いかけてきたんだよ…ほら荷物」
ようやく美琴は少年の方を見ると、彼は一人で二人分の荷物を抱えていた。放っておけばいいのに、レンタルパラソルまで抱え込んでいる。
彼の手を見ると先程美琴が投げ捨てた携帯電話が握られていた。肩で息をしながら。後生大事にといった風に。
「いいわよそんなもの…さっき自分で捨てたんだから」
「…何で急にそんなこと言うんだよ」
「………」美琴は答えられなかった。
「この携帯さ、一応二人で契約するときに買ったもんだろ…中身のチップだけだけど…」
「…………」
「何度かコイツには助けられたんだ。そんなに粗末にしてくれるなよ」
そう言った上条は、美琴に携帯電話を差し出してきた。美琴が黙って受け取ると、上条は少しだけほっとしたような表情を作った。
「なあ、御坂」
「…なによ」
「お前さ、もしかして俺が誰からも相手にされなかったから、仕方なくお前を誘ったと思って怒ってるの…?」
上条の言葉に美琴は呆れた。
「…………アンタはこの期に及んで、まだそんなことを私に訊くのね…」
少し考えればわかるような事をこの男はちっともわかってくれない。そんな上条を見ていると、美琴はなんだか馬鹿らしくなってきた。
「……そうよ。アンタが一番に私を誘ってくれなかったから私は機嫌が悪いのよ。単なる……ヤキモチよ」
「すまん御坂…」
「謝んないでよ」
謝罪の言葉を述べられた美琴は、逆に惨めな気持ちにさせられた。勝手に期待していただけというのは自身も自覚するところだったのだ。ただ、やり場の無い憤りと恐怖に似た感情が美琴をあの場に留まらせることを許さなかった。
美琴の言葉を聞かずに上条は続けた。
「……確かにさ、お前を誘ったのは最後だし、一緒に行くことになるなんて最初は考えてもなかった」
「………」
「でもさ、俺、今日すげえ楽しかったぜ。それは本当だ。嘘じゃない」
上条の言葉に嘘がないのは、声を聞けば明らかだった。
「…………………………………………はあ」美琴は一つ深い溜息をついた。
「えっと…御坂さん?」
「ねえ、アンタ。さっき何か一つ願い事を叶えてくれるって言ったわよね」
なんか少し飛躍してない?と上条は思ったのだが、珍しく空気を読み、彼は黙って頷いた。
「私はね、今日のデ…デートを…楽しみにしてたわけ。でも、アンタのせいで台無し。わかる?」
「……はい」上条は素直に頷いた。
「だから私はいまとーっても機嫌が悪いし、不満一杯なわけ」
「………はい」上条はもう一度頷いた。
「だから………デートのやり直しを要求します。一週間以内にね。もちろん全額アンタの奢り」
それぐらいで美琴の機嫌が直るなら、こんなに安いものはないと上条は思った。
「わかった。どっか行きたいところあるか?」
「どこでもいいわよ。つまんなかったらぶっとばすけどね」
美琴は続けた。
「……アンタの行きたいところでいい。アンタの口から誘って。お願い…」
上条の方に断る理由はなかった。
「わかった。まかせとけ」
屋内のプール施設から出ると、外には綺麗な夕焼け空が広がっていた。
「なんだ。ちっとも当たらないじゃない」
「ん?なんの話?」携帯を片手に上条が訊いてきた。
「何でもないわよ。こっちの話」
ふうん。とだけ返すと、上条は再び携帯に目を向けた。どうやら早速やり直し用のデートコースを探しているらしい。良い心がけだと美琴は思った。
結局、占いは当たらなかった。今日一日まったく最低最悪だった。
思えばこの占いのおかげで一週間舞い上がりっぱなしだったな、と美琴は思った。寮に帰る頃には、結果を確認するメールが届くはずである。全然的中しなかったことをたっぷり書いてさっさと解約しなければならない。もうひと仕事である。
「なあ、御坂」
「何よ?」
これから帰ってやるべき事を考えていると、上条が話しかけてきた。
「これからメシでも食いに行かないか?家に帰って料理するのが面倒になってきた。今日はもう疲れたし」
それはこっちのセリフだと美琴は思ったが、口に出すのは止めておいた。きっと上条なりに気を使ってくれたのだろう。
「まさか、それでデートをチャラにしようってんじゃないでしょうね?」
「え?ダメ…?」
上条はあっけらかんとした口調でそう答えた。
「………いいわけ無いだろ!!このクソボケ!!」
「ぎゃああああ!!あっぶねえ!!嘘です嘘です!!ちゃんと考えます!!!」
美琴が飛ばした電撃を上条はまた軽々と防ぎそう言った。
それを見た美琴はなんだか笑えてきた。よかった。いつもの私達だ。
「で、これからどこに連れてってくれるの?」
「あ、うーん…ラーメンとかでいいか?すまん。今月実はピンチなんだ」
デートの軍資金を考えると、上条にはこのあたりがいっぱいいっぱいなのだ。美琴は苦笑したが、どうせまともに化粧もしていなければ、服装もいつもの制服だ。ラーメンくらいがかしこまらなくて丁度いい。
「いいわよー。まずいとこ連れてったら承知しないから」
美琴が笑いながらそう答えると、上条はほっとしたような顔を作った。
「了解。味にうるさい上条さん推薦の名店に連れてってやる」
美琴は笑顔を崩さず言った。
「うん。期待してるから」
おしまい。
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御坂美琴は夕焼けの砂浜を一人で歩いていた。ここに来るまでの10分足らずの間、大学生と思しき2人組みから声をかけられたが、まとめて電撃でなぎ払った。美琴はいま機嫌が悪かった。
「…あのバカ…………」
砂浜の端までたどりついた美琴はようやく足を止めて呟いた。独り言だったが、こんな外れには誰もいないので関係ない。
上条は自分以外の女の子も遊びに誘っていた。それも自分より年上の娘も沢山。舞夏の名前も中には上がっていた。上条から告げられたその事実は美琴の心を激しく揺さぶった。
上条はそれを告げたとき、特に悪びれた様子も慌てた様子もなかった。つまり、自分は上条から女として見られてなどいなかったのだ。ただの友達。いや、一番最後に自分に声が掛かったことを考えると、自分を友人として見てくれていたかどうかさえ怪しく思えてきた。
結局ただの空回りだったわけだ。なにも知らずにはしゃいでいた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
もう帰ろうか、と思ったとき自分の荷物が一つもないことに美琴は気付いた。その場から逃げ出すようにここまで来たため、荷物は全部元の場所に置きっぱなしだ。持っているのは携帯電話だけだった。
思えば、上条とここに来たのはコイツのせいだった。
「なによ…こんなもの………!!」
美琴は握り締めていた携帯を力いっぱい投げ捨てた。
「…ちっとも………当たんないじゃない…………」
急に力が抜けた美琴はがくりとその場にヘたり込んだ。
そのまま膝を抱え、しばらく夕日を眺めていると、砂地用に特殊改良を施されたドラム缶型の清掃ロボットが近づいてきた。昼間に散らかされた浜の掃除に動き回っているらしい。大学生以下の客の退園時間が迫っているということだ。しかし、美琴はその場から動く気にはなれなかった。荷物を取りに戻るのも億劫だ。
(うるさいな…)
せわしなく動き回る清掃ロボットのモーター音がやかましかったせいだろう。美琴は背後から近づく少年の気配に気付かなかった。
「御坂…!!」
不意に声をかけられた美琴は少しだけ驚いたが、息を切らした少年に振り返ることはなかった。意外ではなかった。なんとなく、彼なら自分を追いかけてきてくるような気がしていたのだ。
心のどこかで自分がそんな期待をしていたことに気づいた美琴は心底嫌になった。
「……なによ?」美琴は振り向かずに応えた。
「はあっ…はあ………何って…お前、急に電撃かまして行っちまうもんだから追いかけてきたんだよ…ほら荷物」
ようやく美琴は少年の方を見ると、彼は一人で二人分の荷物を抱えていた。放っておけばいいのに、レンタルパラソルまで抱え込んでいる。
彼の手を見ると先程美琴が投げ捨てた携帯電話が握られていた。肩で息をしながら。後生大事にといった風に。
「いいわよそんなもの…さっき自分で捨てたんだから」
「…何で急にそんなこと言うんだよ」
「………」美琴は答えられなかった。
「この携帯さ、一応二人で契約するときに買ったもんだろ…中身のチップだけだけど…」
「…………」
「何度かコイツには助けられたんだ。そんなに粗末にしてくれるなよ」
そう言った上条は、美琴に携帯電話を差し出してきた。美琴が黙って受け取ると、上条は少しだけほっとしたような表情を作った。
「なあ、御坂」
「…なによ」
「お前さ、もしかして俺が誰からも相手にされなかったから、仕方なくお前を誘ったと思って怒ってるの…?」
上条の言葉に美琴は呆れた。
「…………アンタはこの期に及んで、まだそんなことを私に訊くのね…」
少し考えればわかるような事をこの男はちっともわかってくれない。そんな上条を見ていると、美琴はなんだか馬鹿らしくなってきた。
「……そうよ。アンタが一番に私を誘ってくれなかったから私は機嫌が悪いのよ。単なる……ヤキモチよ」
「すまん御坂…」
「謝んないでよ」
謝罪の言葉を述べられた美琴は、逆に惨めな気持ちにさせられた。勝手に期待していただけというのは自身も自覚するところだったのだ。ただ、やり場の無い憤りと恐怖に似た感情が美琴をあの場に留まらせることを許さなかった。
美琴の言葉を聞かずに上条は続けた。
「……確かにさ、お前を誘ったのは最後だし、一緒に行くことになるなんて最初は考えてもなかった」
「………」
「でもさ、俺、今日すげえ楽しかったぜ。それは本当だ。嘘じゃない」
上条の言葉に嘘がないのは、声を聞けば明らかだった。
「…………………………………………はあ」美琴は一つ深い溜息をついた。
「えっと…御坂さん?」
「ねえ、アンタ。さっき何か一つ願い事を叶えてくれるって言ったわよね」
なんか少し飛躍してない?と上条は思ったのだが、珍しく空気を読み、彼は黙って頷いた。
「私はね、今日のデ…デートを…楽しみにしてたわけ。でも、アンタのせいで台無し。わかる?」
「……はい」上条は素直に頷いた。
「だから私はいまとーっても機嫌が悪いし、不満一杯なわけ」
「………はい」上条はもう一度頷いた。
「だから………デートのやり直しを要求します。一週間以内にね。もちろん全額アンタの奢り」
それぐらいで美琴の機嫌が直るなら、こんなに安いものはないと上条は思った。
「わかった。どっか行きたいところあるか?」
「どこでもいいわよ。つまんなかったらぶっとばすけどね」
美琴は続けた。
「……アンタの行きたいところでいい。アンタの口から誘って。お願い…」
上条の方に断る理由はなかった。
「わかった。まかせとけ」
屋内のプール施設から出ると、外には綺麗な夕焼け空が広がっていた。
「なんだ。ちっとも当たらないじゃない」
「ん?なんの話?」携帯を片手に上条が訊いてきた。
「何でもないわよ。こっちの話」
ふうん。とだけ返すと、上条は再び携帯に目を向けた。どうやら早速やり直し用のデートコースを探しているらしい。良い心がけだと美琴は思った。
結局、占いは当たらなかった。今日一日まったく最低最悪だった。
思えばこの占いのおかげで一週間舞い上がりっぱなしだったな、と美琴は思った。寮に帰る頃には、結果を確認するメールが届くはずである。全然的中しなかったことをたっぷり書いてさっさと解約しなければならない。もうひと仕事である。
「なあ、御坂」
「何よ?」
これから帰ってやるべき事を考えていると、上条が話しかけてきた。
「これからメシでも食いに行かないか?家に帰って料理するのが面倒になってきた。今日はもう疲れたし」
それはこっちのセリフだと美琴は思ったが、口に出すのは止めておいた。きっと上条なりに気を使ってくれたのだろう。
「まさか、それでデートをチャラにしようってんじゃないでしょうね?」
「え?ダメ…?」
上条はあっけらかんとした口調でそう答えた。
「………いいわけ無いだろ!!このクソボケ!!」
「ぎゃああああ!!あっぶねえ!!嘘です嘘です!!ちゃんと考えます!!!」
美琴が飛ばした電撃を上条はまた軽々と防ぎそう言った。
それを見た美琴はなんだか笑えてきた。よかった。いつもの私達だ。
「で、これからどこに連れてってくれるの?」
「あ、うーん…ラーメンとかでいいか?すまん。今月実はピンチなんだ」
デートの軍資金を考えると、上条にはこのあたりがいっぱいいっぱいなのだ。美琴は苦笑したが、どうせまともに化粧もしていなければ、服装もいつもの制服だ。ラーメンくらいがかしこまらなくて丁度いい。
「いいわよー。まずいとこ連れてったら承知しないから」
美琴が笑いながらそう答えると、上条はほっとしたような顔を作った。
「了解。味にうるさい上条さん推薦の名店に連れてってやる」
美琴は笑顔を崩さず言った。
「うん。期待してるから」
おしまい。
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