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「…で、本当に高校生なのか?」 「高校生です!  ほら、ちゃんと学生証にも書いてあるでしょ。」  翔太が財布から出した学生証をじっと見ているショチトル。  すると、納得したような顔で今度は結標を見た。 「次の質問だが、本当にこいつはお前の彼氏なのか?」 「失礼ね、翔太は私の紛れも無い彼氏よ。」 「まあ、ショタコンな結標にはお似合いな相手だにゃー」  土御門が茶々を入れた瞬間、土御門のみが発火した。 「淡希を悪く言うなら…容赦しないよ、土御門君」 「にゃーぁぁぁあ!!!」 「うわ~、人ってこんな風に燃えるんだーってミサカはミサカは感心してみたり!」 「今のは元春が悪いから…反省しなさい!」 「つーかよォ、翔太、能力コントロールしてねェか?  燃えてンの土御門だけだしな」 「それは愛の力だよ!ってミサカはミサカは主張してみたり!」 「そういやエツァリもショチトルも練習のほうはどうなってるんだにゃー?」 「偵察のつもりですか?自分たちの現状を敵に伝えるわけ無いでしょう?」 「やっぱだめかにゃー。あ、そうだそっちはどんな制限があるんだにゃー?」 「「制限?」」 「(そんなものありましたか、ショチトル?)」 「(あるわけ無いだろう。………そういえばクラスの奴が言ってたな。高レベル者には特別ルールを設けるとか)」 「(本当ですか!?そんな制限があるなら一方通行もそこまで厄介でなくなる!)」 「(そもそも私たちは魔術だから制限を受けなくてすむ!)」 二人は思ったこの勝負もらったと しかし二人の思惑どおりにことは運ばない。なぜなら…… 「…………もしかしてお前ら……制限ねェな?」 「「(!!!!!!!!!!??)」」 「まじかにゃー!?魔術使い放題なんて!勝てるわけないぜよ!!」 「それってちょっとずるくない?ね、元春?」 「「月夜(コイツ)の言うとおりだにゃー(なァ)」」 「(ちょっとまずいんじゃないんですか?これって)」 「(いやしかし。魔術に対して学園都市の競技で制限をかけるなど…)」 「土御門…一体何をしているんですか?」 「小萌せんせーに電話だにゃー。あ、つながった」 『土御門ちゃんですかぁ~?一体なんのようでしょう?』 「いやーじつはだにゃー………」 土御門は留学生の二人がものを分解する能力を持っているので球技大会で制限をかけてほしい。というむねを伝えた。 『そういうことですか。わかりました、ほかの先生とも相談してできるだけ早めに決めるのですよ~練習にも影響しますからね~。』 「頼んだぜい。小萌せんせい!」 「「「「…………………………………………………………………………」」」」 「「チクショォォォォおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」 「「ざま(ァ)みやがれ(ェ)ええええええええええええええ!!!!」」 とにかくみんな、勝負は公平に正々堂々やろうね! ………実は制限がかかっていないものがいる。みなさま上条を思うメイド(より正確には見習い)を忘れていないだろうか? 上条当麻にためにも何も起きなければいいがたぶん無理だろう。結局不幸が待っているハズだ……… 「土御門さん、あなたって人はまったく……」 「ありゃりゃ? さっきの反応から堪えてるかと思ったがそうでもなさそうだにゃー」 「それはそうですよ。自分たちは元からトラウィ(以下略)はバッティングの時しか使うつもりはありませんでしたから」  その言葉に土御門はちょっと驚いていた、何せエツァリのことだからトラウィ(以下略)を当麻に平然と向けると思って小萌に電話をしたのだから。  エツァリの心変わり(?)をカミやん効果の一つと思った土御門、安心したのか月夜を伴って席を立つ。 「じゃあオレらは今から冥土帰しの所へ行ってくるぜい。パパっと診てもらって明日の練習に備えたいからにゃー」 「じゃあお先に~」  月夜が操作している雪に冷やされながら、土白は自分たちの食事代を置いて冥土帰しの病院へと向かった。  一方通行が土白の置いていったお金が足りるかどうか確認していると、彼の携帯が鳴ったので面倒臭そうにしながらも出た。 「アァ? いったいどこのどちら様で」 『こっの馬鹿アクセラーーーーーーーーっ!! 美咲華連れてどこほっつき歩いてるじゃんよーーーっ!』 「~~~~~~~~~っ! よ、黄泉川かァ? 何バカでけェ声張り上げてンだァ!」 『でかい声にもなるじゃんよ! 今日は桔梗の食事当番だから早く帰って来いって言っといただろ! 桔梗、そろそろマジで美咲華の捜索願い出しそうなんだぞ!』  電話越しの黄泉川の大声に耳を押さえながら一方通行はしまったという表情をした、芳川が食事当番の日は絶対に寄り道してはいけないのだ。  打ち止めを養子にした芳川、母親としての今の生活が大層気に入っており、打ち止めこと美咲華とのふれ合いが楽しくてしょうがない現状である。  自分のキャラじゃないと思いつつも、一方通行も打ち止めと芳川の親子の雰囲気はとても気に入っていたりする。 「……悪ィ、今からすぐ帰っからよォ、芳川にあと少しだけ待つように伝えとけ」 『さっさとしろよ! ったくこの不良息子が』 「だ、誰か不良息子だコラァ! ……クソッ、切りやがった。つーわけだ、俺らも帰らせてもらうぜ」 「じゃーねーってミサカはミサカは後でどうお母さんに謝ろうか真剣に考えてみたり」  一打も自分たちの食事代をテーブルの上に置くと、家族団欒の為に大急ぎで自分たちの家へと帰るのだった。  そして翔太も淡希との別れを名残惜しそうにしながらも自分の寮へと帰って行った。 「みんな行ってしまいましたね。ところで結標さん、貴女には制限はかかっていないんですか?」 「かかってるに決まってるでしょ。相手への【座標移動】使用禁止、【座標移動】による得点は12点まで、マッチポイントでの【座標移動】使用禁止。以上よ」 「まあ淡希の場合は能力が能力なだけに当然の措置だろうな。だが他の高レベル能力者も条件は同じ、何とかなるだろう」  ショチトルは知らない、厳しく制限をされているのはごく一部の生徒でそれ以外の高レベル能力者は相手に対する直接使用を禁止されてる程度だということに。  前者に当てはまるのは一方通行、結標、月夜、心理掌握、真夜、赤音、数名の一年生程度、残りは後者である(翔太も)。  現状把握出来た結標、エツァリ、ショチトルは10分ほどゆっくりした後で帰ろうとしていたのだが、 「よかった~探してたんですよエツァリさん!」  エツァリが野球の助っ人に要請した五和がファミレスに入ってきた、メイド服で。 「ちょ、ちょっとエツァリ、あんた人の許可無く助っ人なんで頼んでたの! どう言い訳するつもりよ! しかもこの女、確か魔術師よね?」 「ああ、貴女はヴィリアン様が教会にお越しになられた時に居た方ですね。心配無用です。繚乱家政女学校の実地研修の下見ってことで話ついてますから」 「結標さん、天草式は身体能力は非常に高く魔術使う必要も無い、制限も無いということです。これ以上無い助っ人ですよ。ところで五和さん、何か用ですか?」 「(当麻さんと愛のベースボール……うふふっ♪)……はっ、そ、そうでした! お願いです、誰かキャッチャー出来る人を用意して下さい!」  目の前のメイドが図々しいことを言ってるなぁと思った3人だが、ピッチャーを進んで買って出てくれたので文句は無かったりする。  エツァリが五和に頼みごとの理由を尋ねる前に五和自らここに至るまでの経緯を語り出した。 「実はエツァリさんから要請があった後、私は相棒となるキャッチャーを天草式学園都市支部のメンバーに頼みに行ったんです」 「必要悪の教会の皆さんには要請しようと思わなかったんですか?」 「インデックスさんは暴食しか取り柄無さそうですし、ステイルさんは体躯は素晴らしいですけど肺は真っ黒、シェリーさんは初春さん派、闇咲さんは教師で当日は忙しいでしょうから……」  闇咲以外の理由に色々と突っ込みたい結標、エツァリ、ショチトルだったが話が長そうだったので黙認することに。 「それでまずは頼みやすい対馬さんと浦上さんの所へ行ったんですけど……私が何か言う前に二人揃って『断る、帰って』ですよ! あんまりです!」 「(おそらく普段の行動、それとそのメイド服から嫌な予感がしたんだろうな)それで? お前はすごすごと帰ったのか?」 「いえ、ちゃんと聞いてくれましたよ。気のせいか物凄く嫌そうな顔をしながら、ですけど。そうしたらちゃんとした理由を言ってくれたから諦めましたよ」  対馬と浦上が断った理由、それは自分たちを見て元・常盤台の一年女子が怯えて球技大会に専念出来ないだろうという配慮ゆえである。  エツァリとショチトルは二人の天草式魔術師を脅威と思うことにした、理由はかなりしょうもない気はするが。 「となると残るは教皇代理の建宮斎字と女教皇の神裂火織ですね。お二人は“ダンッ!”ど、どうしたんですか?」 「あの二人は……あの二人は……あー! 思い出しても納得行きません! ウエイトレスさん、カツ丼とオムライスとチャーシューメンとペペロンチーノとドリア!」  怒りに震えながらも注文してる五和に引きながらもエツァリは神裂と建宮が断った理由を尋ねたがそれは五和に少なからず同情する内容でこのような感じである。 ―五和、それは無理です。当日私はその球技大会を飾利と一緒に見学するのですから♪ 当然でしょう、飾利のお姉ちゃんたる私にとって貴女の頼みごとは優先すべき事項ではありませんから。 ―悪いな五和、当日の俺は飾利姫のお弁当を作り、姫をお守りするという重要任務があるのよ。まあ約束はしてないが貴重な飾利姫との一時とお前さんの頼み、秤にかけるまでもなく姫を選ぶがな。  とまあ、同じ天草式十字凄教の仲間より初春を選んだ神裂と建宮だった。  もっとも、初春のことを無しにしたとしても当麻絡みでの五和は信用を置けないのも事実であり、おそらく何かしらの理由をつけて断っていただろうが。 「あーもうっ! 初春さんが羨ましいっ! 天草式のアイドルポジションを奪ったあの人に取って代わりたいっ! それより料理とキャッチャーはまだですか!」 (厄介なのを引き込んじゃってくれたわね、エツァリの奴。……そういえば土御門が言ってわね、五和って女は腕が立つって。となるとキャッチャーもそれなりの奴を用意しないと) 「どうするんだ? 淡希。私もエツァリもあのメイドの要望に応えられる人物に心当たりが無いぞ」  ショチトルに急かされる結標、どうしようか本気で悩み始めた時にふと外を見やると都合のいい人物が視界に入る。  結標はエツァリ、ショチトル、五和に少し待ってもらうように言った後で【座標移動】で店外に居た白い学ラン姿の少年の前へと躍り出るのだった。 「ん、誰だ?」 「久しぶりね、削板軍覇。  サバイバルの時以来かしら?」  白い学ランの姿の少年こと、削板軍覇はいきなり現れた結標の顔をじっと覗き込んだ。  そして何かに気付いた様にこう言った。 「お前は………誰だ!」  その瞬間、結標は盛大にずっこけた。 「…覚えてなかったのね…」  結標はそう呟くとすぐに削板に軽く自己紹介をし、頼みごとを言った。  ちなみに、途中で削板が聞いてなかったりしたため、説明は何度もしていたのであった。 「……はぁ…はぁ……わかったかしら……」 「なるほど、要約すれば野球のキャッチャーとしてでてほしいというわけだな。  頼まれたら仕方ねえ、やってやるぜぇぇぇ!!!!!」  ようやく、交渉が成功したと思い、結標はホッと胸をなでおろした。  しかし、彼女は気付かなかった。  彼女のクラスメイトたち(エツァリやショチトル、五和も含む)は今日から球技大会までずっと根性の話をさせられ、ろくに練習ができなくなることを… ―――――――――― 「はいっ、終わりましたよ火織お姉ちゃん」 「ありがとうございます飾利。ああ、貴女%E
「…で、本当に高校生なのか?」 「高校生です!  ほら、ちゃんと学生証にも書いてあるでしょ。」  翔太が財布から出した学生証をじっと見ているショチトル。  すると、納得したような顔で今度は結標を見た。 「次の質問だが、本当にこいつはお前の彼氏なのか?」 「失礼ね、翔太は私の紛れも無い彼氏よ。」 「まあ、ショタコンな結標にはお似合いな相手だにゃー」  土御門が茶々を入れた瞬間、土御門のみが発火した。 「淡希を悪く言うなら…容赦しないよ、土御門君」 「にゃーぁぁぁあ!!!」 「うわ~、人ってこんな風に燃えるんだーってミサカはミサカは感心してみたり!」 「今のは元春が悪いから…反省しなさい!」 「つーかよォ、翔太、能力コントロールしてねェか?  燃えてンの土御門だけだしな」 「それは愛の力だよ!ってミサカはミサカは主張してみたり!」 「そういやエツァリもショチトルも練習のほうはどうなってるんだにゃー?」 「偵察のつもりですか?自分たちの現状を敵に伝えるわけ無いでしょう?」 「やっぱだめかにゃー。あ、そうだそっちはどんな制限があるんだにゃー?」 「「制限?」」 「(そんなものありましたか、ショチトル?)」 「(あるわけ無いだろう。………そういえばクラスの奴が言ってたな。高レベル者には特別ルールを設けるとか)」 「(本当ですか!?そんな制限があるなら一方通行もそこまで厄介でなくなる!)」 「(そもそも私たちは魔術だから制限を受けなくてすむ!)」 二人は思ったこの勝負もらったと しかし二人の思惑どおりにことは運ばない。なぜなら…… 「…………もしかしてお前ら……制限ねェな?」 「「(!!!!!!!!!!??)」」 「まじかにゃー!?魔術使い放題なんて!勝てるわけないぜよ!!」 「それってちょっとずるくない?ね、元春?」 「「月夜(コイツ)の言うとおりだにゃー(なァ)」」 「(ちょっとまずいんじゃないんですか?これって)」 「(いやしかし。魔術に対して学園都市の競技で制限をかけるなど…)」 「土御門…一体何をしているんですか?」 「小萌せんせーに電話だにゃー。あ、つながった」 『土御門ちゃんですかぁ~?一体なんのようでしょう?』 「いやーじつはだにゃー………」 土御門は留学生の二人がものを分解する能力を持っているので球技大会で制限をかけてほしい。というむねを伝えた。 『そういうことですか。わかりました、ほかの先生とも相談してできるだけ早めに決めるのですよ~練習にも影響しますからね~。』 「頼んだぜい。小萌せんせい!」 「「「「…………………………………………………………………………」」」」 「「チクショォォォォおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」 「「ざま(ァ)みやがれ(ェ)ええええええええええええええ!!!!」」 とにかくみんな、勝負は公平に正々堂々やろうね! ………実は制限がかかっていないものがいる。みなさま上条を思うメイド(より正確には見習い)を忘れていないだろうか? 上条当麻にためにも何も起きなければいいがたぶん無理だろう。結局不幸が待っているハズだ……… 「土御門さん、あなたって人はまったく……」 「ありゃりゃ? さっきの反応から堪えてるかと思ったがそうでもなさそうだにゃー」 「それはそうですよ。自分たちは元からトラウィ(以下略)はバッティングの時しか使うつもりはありませんでしたから」  その言葉に土御門はちょっと驚いていた、何せエツァリのことだからトラウィ(以下略)を当麻に平然と向けると思って小萌に電話をしたのだから。  エツァリの心変わり(?)をカミやん効果の一つと思った土御門、安心したのか月夜を伴って席を立つ。 「じゃあオレらは今から冥土帰しの所へ行ってくるぜい。パパっと診てもらって明日の練習に備えたいからにゃー」 「じゃあお先に~」  月夜が操作している雪に冷やされながら、土白は自分たちの食事代を置いて冥土帰しの病院へと向かった。  一方通行が土白の置いていったお金が足りるかどうか確認していると、彼の携帯が鳴ったので面倒臭そうにしながらも出た。 「アァ? いったいどこのどちら様で」 『こっの馬鹿アクセラーーーーーーーーっ!! 美咲華連れてどこほっつき歩いてるじゃんよーーーっ!』 「~~~~~~~~~っ! よ、黄泉川かァ? 何バカでけェ声張り上げてンだァ!」 『でかい声にもなるじゃんよ! 今日は桔梗の食事当番だから早く帰って来いって言っといただろ! 桔梗、そろそろマジで美咲華の捜索願い出しそうなんだぞ!』  電話越しの黄泉川の大声に耳を押さえながら一方通行はしまったという表情をした、芳川が食事当番の日は絶対に寄り道してはいけないのだ。  打ち止めを養子にした芳川、母親としての今の生活が大層気に入っており、打ち止めこと美咲華とのふれ合いが楽しくてしょうがない現状である。  自分のキャラじゃないと思いつつも、一方通行も打ち止めと芳川の親子の雰囲気はとても気に入っていたりする。 「……悪ィ、今からすぐ帰っからよォ、芳川にあと少しだけ待つように伝えとけ」 『さっさとしろよ! ったくこの不良息子が』 「だ、誰か不良息子だコラァ! ……クソッ、切りやがった。つーわけだ、俺らも帰らせてもらうぜ」 「じゃーねーってミサカはミサカは後でどうお母さんに謝ろうか真剣に考えてみたり」  一打も自分たちの食事代をテーブルの上に置くと、家族団欒の為に大急ぎで自分たちの家へと帰るのだった。  そして翔太も淡希との別れを名残惜しそうにしながらも自分の寮へと帰って行った。 「みんな行ってしまいましたね。ところで結標さん、貴女には制限はかかっていないんですか?」 「かかってるに決まってるでしょ。相手への【座標移動】使用禁止、【座標移動】による得点は12点まで、マッチポイントでの【座標移動】使用禁止。以上よ」 「まあ淡希の場合は能力が能力なだけに当然の措置だろうな。だが他の高レベル能力者も条件は同じ、何とかなるだろう」  ショチトルは知らない、厳しく制限をされているのはごく一部の生徒でそれ以外の高レベル能力者は相手に対する直接使用を禁止されてる程度だということに。  前者に当てはまるのは一方通行、結標、月夜、心理掌握、真夜、赤音、数名の一年生程度、残りは後者である(翔太も)。  現状把握出来た結標、エツァリ、ショチトルは10分ほどゆっくりした後で帰ろうとしていたのだが、 「よかった~探してたんですよエツァリさん!」  エツァリが野球の助っ人に要請した五和がファミレスに入ってきた、メイド服で。 「ちょ、ちょっとエツァリ、あんた人の許可無く助っ人なんで頼んでたの! どう言い訳するつもりよ! しかもこの女、確か魔術師よね?」 「ああ、貴女はヴィリアン様が教会にお越しになられた時に居た方ですね。心配無用です。繚乱家政女学校の実地研修の下見ってことで話ついてますから」 「結標さん、天草式は身体能力は非常に高く魔術使う必要も無い、制限も無いということです。これ以上無い助っ人ですよ。ところで五和さん、何か用ですか?」 「(当麻さんと愛のベースボール……うふふっ♪)……はっ、そ、そうでした! お願いです、誰かキャッチャー出来る人を用意して下さい!」  目の前のメイドが図々しいことを言ってるなぁと思った3人だが、ピッチャーを進んで買って出てくれたので文句は無かったりする。  エツァリが五和に頼みごとの理由を尋ねる前に五和自らここに至るまでの経緯を語り出した。 「実はエツァリさんから要請があった後、私は相棒となるキャッチャーを天草式学園都市支部のメンバーに頼みに行ったんです」 「必要悪の教会の皆さんには要請しようと思わなかったんですか?」 「インデックスさんは暴食しか取り柄無さそうですし、ステイルさんは体躯は素晴らしいですけど肺は真っ黒、シェリーさんは初春さん派、闇咲さんは教師で当日は忙しいでしょうから……」  闇咲以外の理由に色々と突っ込みたい結標、エツァリ、ショチトルだったが話が長そうだったので黙認することに。 「それでまずは頼みやすい対馬さんと浦上さんの所へ行ったんですけど……私が何か言う前に二人揃って『断る、帰って』ですよ! あんまりです!」 「(おそらく普段の行動、それとそのメイド服から嫌な予感がしたんだろうな)それで? お前はすごすごと帰ったのか?」 「いえ、ちゃんと聞いてくれましたよ。気のせいか物凄く嫌そうな顔をしながら、ですけど。そうしたらちゃんとした理由を言ってくれたから諦めましたよ」  対馬と浦上が断った理由、それは自分たちを見て元・常盤台の一年女子が怯えて球技大会に専念出来ないだろうという配慮ゆえである。  エツァリとショチトルは二人の天草式魔術師を脅威と思うことにした、理由はかなりしょうもない気はするが。 「となると残るは教皇代理の建宮斎字と女教皇の神裂火織ですね。お二人は“ダンッ!”ど、どうしたんですか?」 「あの二人は……あの二人は……あー! 思い出しても納得行きません! ウエイトレスさん、カツ丼とオムライスとチャーシューメンとペペロンチーノとドリア!」  怒りに震えながらも注文してる五和に引きながらもエツァリは神裂と建宮が断った理由を尋ねたがそれは五和に少なからず同情する内容でこのような感じである。 ―五和、それは無理です。当日私はその球技大会を飾利と一緒に見学するのですから♪ 当然でしょう、飾利のお姉ちゃんたる私にとって貴女の頼みごとは優先すべき事項ではありませんから。 ―悪いな五和、当日の俺は飾利姫のお弁当を作り、姫をお守りするという重要任務があるのよ。まあ約束はしてないが貴重な飾利姫との一時とお前さんの頼み、秤にかけるまでもなく姫を選ぶがな。  とまあ、同じ天草式十字凄教の仲間より初春を選んだ神裂と建宮だった。  もっとも、初春のことを無しにしたとしても当麻絡みでの五和は信用を置けないのも事実であり、おそらく何かしらの理由をつけて断っていただろうが。 「あーもうっ! 初春さんが羨ましいっ! 天草式のアイドルポジションを奪ったあの人に取って代わりたいっ! それより料理とキャッチャーはまだですか!」 (厄介なのを引き込んじゃってくれたわね、エツァリの奴。……そういえば土御門が言ってわね、五和って女は腕が立つって。となるとキャッチャーもそれなりの奴を用意しないと) 「どうするんだ? 淡希。私もエツァリもあのメイドの要望に応えられる人物に心当たりが無いぞ」  ショチトルに急かされる結標、どうしようか本気で悩み始めた時にふと外を見やると都合のいい人物が視界に入る。  結標はエツァリ、ショチトル、五和に少し待ってもらうように言った後で【座標移動】で店外に居た白い学ラン姿の少年の前へと躍り出るのだった。 「ん、誰だ?」 「久しぶりね、削板軍覇。  サバイバルの時以来かしら?」  白い学ランの姿の少年こと、削板軍覇はいきなり現れた結標の顔をじっと覗き込んだ。  そして何かに気付いた様にこう言った。 「お前は………誰だ!」  その瞬間、結標は盛大にずっこけた。 「…覚えてなかったのね…」  結標はそう呟くとすぐに削板に軽く自己紹介をし、頼みごとを言った。  ちなみに、途中で削板が聞いてなかったりしたため、説明は何度もしていたのであった。 「……はぁ…はぁ……わかったかしら……」 「なるほど、要約すれば野球のキャッチャーとしてでてほしいというわけだな。  頼まれたら仕方ねえ、やってやるぜぇぇぇ!!!!!」  ようやく、交渉が成功したと思い、結標はホッと胸をなでおろした。  しかし、彼女は気付かなかった。  彼女のクラスメイトたち(エツァリやショチトル、五和も含む)は今日から球技大会までずっと根性の話をさせられ、ろくに練習ができなくなることを… ―――――――――― 「はいっ、終わりましたよ火織お姉ちゃん」 「ありがとうございます飾利。ああ、貴女に髪を洗ってもらうことがこんなに幸せだとは思いがけない発見です」  所変わってこちらは教会寄宿舎の大浴場の女湯、いい年した神裂が初春に髪を洗ってもらっていた。  ちなみにこれは神裂がねだったわけではなく初春が寄宿舎入りして以来、すすんでやってくれていることで既に湯船に浸かっているシェリーも洗ってもらっている。  体も洗い終わっている二人は先客がいる湯船へと身を沈めようとすると、 「飾利ー、いつもありがとな。さ、こっちにおいで♪」 「シェリー、どうやら貴女はのぼせてしまったようですね。早く上がって冷水を倒れるまで浴び続けなさい」 「……神裂テメェこの野郎、そうやって飾利を独り占めにする気だろ。魂胆が透けて見えんだよ、この老け顔エロ女教皇」 「老け……っ! 飾利が年相応に見え、世界一可愛いお姉ちゃんと褒めてくれた私の顔を……! 金髪ガングロ婆やのくせに」  初春バカの神裂とシェリーによる、初春を巡る喧嘩が勃発するが内容自体はただのガンの飛ばし合いなので至って平和的だ。  当の本人の初春はというと神裂の脳内補正に苦笑しつつ、その場を離れてもう一人の先客の隣に腰を下ろす。 「インデックスさん、すみませんけどお二人のじゃれ合いが終わるまで避難させて下さい」 「私は全然構わないんだよ。それにしてもかざりも大変だね、かおりとシェリーの喧嘩の原因にされて。少し同情するかも」 「もう慣れっこですよ、あれくらいなら。それよりインデックスさんは少し元気無さそうに見えますけど……あのこと気にしてます?」  そう、インデックスは第一七七支部でのある出来事に少し落ち込んでいた。  とはいってもステイルが張り切って作り過ぎた料理を平気で食べ切る辺りは流石だが。 「それってみいの事?」 「他に思い当たる節がありませんよ。牛乳プリンとムサシノ牛乳の件は泣く泣くですけど固法先輩が許してくれたから気にしなくても」 「うん、そのことは悪いとは思ってるけどみいも許してくれたから気にはしてないんだよ。それに私一人じゃなくてさいあいとつしまも同罪だし」  実は巡回を終えた後で訪れた第一七七支部、そこにあった固法専用冷蔵庫の牛乳プリン20個とムサシノ牛乳4パックを空にしてしまったのだ。  ただし今回はインデックスだけでなく、胸のことを気にしている絹旗と対馬もこの件に荷担している。  あまりのショックに怒りを通し越してさめざめと泣き出した固法の哀愁漂う姿を初春はしばらくは忘れられないだろう。 「え? それじゃあインデックスさんはキャッ! な、何するんですか!」 「むむ……。かざり、かざりは私より少し大きい程度の胸の大きさなのにどうしてみいの胸に理不尽を感じないの? あれは格差社会の象徴なんだよ!」 「か、格差だなんてそんな大げさな……。確かに固法先輩の胸は時々はずるいって思いますけど私もインデックスさんもこれから成長するんですから気にし」  初春が全て言い終わる前にインデックスが彼女の肩に両手をそっと置くと、首を横に振って厳しい現実を突きつける。 「そうは言ってもねかざり、成長してる人は成長してるんだよ。私たちと同じくらいの年で成長してるみこととるいことはもう一線を画す寸前かも」 「だ、大丈夫ですよ! 私達だってこれから身長も胸もおっきくなります! 何事も諦めたら全て終わりなんですよ! だからインデックスさんも元気出しましょう!」 「……かざり、ありがとうなんだよ。そうだよ、私たちだってこれからが勝負なんだよ! そしていつかはかお…………つきよくらいには成長してるかも」  初春の言葉で完全に元気になったインデックス、自分の成長の目標を神裂ではなく月夜に置く辺りは現実的かもしれない。  その後、喧嘩を終えた神裂とシェリーが合流するとインデックスと初春は二人に胸が大きくなるコツなどを聞き始めるのだった。 ――――――――――  4人のガールズトーク(?)を大浴場の外でステイルと建宮が聞いていた、顔を真っ赤にさせながら。  しかし二人は覗きをしてるわけではなくステイルはインデックス、建宮は初春を覗きの魔の手から守っている最中なのだ。  だが今、二人の想い人のインデックスと初春(ついでに神裂とシェリー)が胸のことでワイワイと話しているとあって警備どころでは無くなりつつある。 「……………」 「………」  風呂場の前で立ちすくんでいるステイルと建宮。  風呂場の中の会話を聞いてしまい、二人とも真っ赤になっていた。 「あの二人は……」 「ああ、女教皇様とシェリーの事よな…  どちらかに男ができればな……」  そう呟いた建宮につられて神裂とシェリーが男と歩いている姿を想像してみるステイル。 「………思いつかない!」  後日、この話が神裂とシェリーにばれてボコボコにされてしまうのはまた別の話。

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