「【デルタフォース】クラスの3バカの日常/14-1」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
【デルタフォース】クラスの3バカの日常/14-1 - (2010/04/24 (土) 23:50:27) の最新版との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「明日はバレンタインだけど、かみやんはどう過ごすつもりぜよ?」
昼休み、白雪にあーんされながら土御門が聞いてきた。
「いや、美琴からしかチョコもらえないと思うし、普通に美琴とデートするつもりだけど?」
「なん……だと?」
その言葉を聞いた瞬間。土御門、青髪ピアス等などの上条を中学から知ってる人間がゆらりと立ち上がった。
「「「「「「「「「「テメェは何ぬかしてるんだゴルァァァああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」」」
「うぎゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
クラスの半分の男子から殴られた。フルボッコに、そりゃもうボッコボコに。
「痛ぇじゃねぇか馬鹿野郎ども!! 何しやがる!!」
そこは上条と言うべきかすぐに起き上がる。
「かみやんは忘れたんか!?あの悲劇を、あのうらやましいを過ぎて恐ろしい悲劇を!!」
「そうだそうだ!!お前のせいでどれだけの被害を受けてると思ってんだ!!」
「お前が学校中のチョコ全部もらって、精神的にも肉体的にも死ぬところだったんだぞ!!」
「そんな中お前は『また義理チョコか……不幸だ』全部本命だっつーの!!」
「それでお前はバレンタインとホワイトデーは引きこもりになったろうが!!」
「かみやん……お前かわいい彼女がいるからって調子乗りすぎぜよ!!」
俺はどんな中学校生活送ってきたんだよ!!
上条は昔の自分に聞いてみたい。マジでそう思った。
「まっ、俺たちに被害が出なかったら何してもいいんやけど……」
「頼むから見せつけだけはやめてほしいにゃー。出ないと精神的にも肉体的にも死ぬからにゃー……」
そんな事言われても困る上条だったのだった……。
そんな当麻達の耳に入ってきたのはイチャイチャしてるわけではないが、自然にいい雰囲気を作ってる学園都市一の問題カップルである。
「じゃあ真昼さん、赤音さん。夕方までにリクエスト考えといてね」
「任せとけって♪」
「いや、あの、真昼ちゃんに真夜君。バレンタインのチョコを女性が男性にリクエストするってどうなのかな~って思うよ、私」
チョコを作る気満々な真夜、それを楽しみにしてる真昼、そんな二人に疑問を持つ赤音のトライアングルカップルである。
ちなみに赤音は現在、井ノ原家に住んでいるのだがここまで来るのに紆余曲折あったが割愛させてもらう。
上琴よりも問題が早く解決したのは『両親同居』というメリットがあったからだったりする。
「……あのな赤音。真夜の料理の腕はお前もよーく分かってるだろ? 自分の作るチョコとあいつの作るチョコ、どっちが美味いか分かるだろ?」
「確かに……。彼女のより彼氏のが美味しいって軽く凹むよね。……じゃあ仕方ないか♪」
真夜の料理の腕前は実は繚乱家政女学校の生徒レベルだったりするが、本人は全く自覚が無かったりするので、
(別に俺は真昼さんや赤音さんの作るチョコなら何でもいいんだけどなぁ……。でも二人が喜んでくれるなら何でもいっか)
こんなことを思ってるのだが、それを口にしたら二人が落ち込むと直感で感じていたので口にしない。
そんな三人の会話を聞いていたクラスメート達は耳を疑い、代表してデルタフォースが真夜に尋ねる。
「な、なぁ井ノ原弟くん。上条さんは気のせいかもしれませんが、あなたがチョコを作るように聞こえましたが?」
「ん? そうだけど? 何かおかしい所でもあったのか?」
「おかしいだろ絶対! 普通バレンタインは女子がキャッキャウフフしながらチョコ作ったり選んだりするイベントぜよ!」
「ああ、まあそう言われればそうだな。でも俺、毎年真昼さんに手作りチョコ食べさせてたからなぁ。それに海外じゃ男子が女子にって珍しくないぞ?」
「せやけど今年は茜川はんがおるやろ! 巨乳の子から手作りチョコ貰うって何と羨ましいことか! 逆に井ノ原姉のようながさつな男っぽい子なんぞにガフッ!」
余計なことを言った青ピは真夜の蹴り(能力未使用状態)を喰らってその場に倒れ込むが、誰も真夜はおろかトライアングルカップルに手を出そうとしない。
伊達にほぼ毎日青ピ率いる『嫉妬ファミリー』を返り討ちにしてるわけではないが、何とか出来る二人がいるが手を出そうとはしなかったりする。
「バカだなァ青髪のやつ。弟の奴は普段は温厚だから余計なことさえ言わなきゃ無害だってのによォ」
「ていうかアクセラ君っていつも彼らのこと、応援してる風だよね? 私は赤音ちゃんが幸せだから口も手も出さないけど」
「苦難の道を歩くカップルだぜ? 応援しねェわけにはいかねェだろうが」
学園都市最強の一方通行は自分と同じ茨の道を歩くカップルとして、実力レベル5の月夜は親友の赤音が幸せそうにしてるので応援していたりする。
そこで何を思ったのか、真夜が当麻、土御門、浜面、一方通行にこんな提案をしてきたのだ(気絶中の青ピは無視)。
「なあ上条に土御門、それに一方通行、浜面。一度くらいは自分達でチョコ作って恋人にプレゼントしたらどうだ?」
「「バカかお前はッッッ!!」」
デルタフォースの土御門と青髪ピアスが力説。
「にゃー!!バレンタインってのはなあ!!女の子が男子に勇気だして、ラヴを伝える日なんだにゃー!!」
「それをお前は外道か!?男が女の子に渡しても、なんもトキメカナイんや!!」
そう言いながらボコボコにする。内容はくだらないのだが妙に迫力があったので真昼と赤音は迂闊に手を出せない。
「はいはーい、皆さんもう昼休みはそろそろ終わってしますよー?さっさと席に着いてくださーい」
小萌先生のお陰でこの場は収まったがまだ二人は何か迫力がある。
「はまづら、また放課後」
「では半蔵様、今日の放課後またお会いしましょう!!」
と言って滝壺と郭は自分の教室に帰っていった。
だが小萌先生はまだ何か疲れている。
「ふう、全く上条ちゃん達のせい……いや、これは喜ぶべき事です?」
などとぶつぶつ言っている。
「そういや最近先生達複雑な表情してるよな」
「それは……あれだ、新入生とかじゃねえのか?」
「ンなモン毎年の事だろうが、そンなちっとやそっとであンな表情しないだろォ?」
実は最近教師達全員そわそわとしているのだ。浜面の予想はあながち間違っていないのだが、それが上条、一方通行、浜面のせいだとは知らなかった。
(まあ、学園都市最強にその学園都市最強を倒したレベル0、第四位を倒したレベル0に憧れる中学生増えたからにゃー、入学希望者ワンサカぜよ)
最近、当麻の高校の知名度は上がっていて特に当麻、一方通行、浜面の知名度はかなりのもの。
性格や素行に問題あれど、強い者に憧れるのは世の常で当麻の高校に入学を希望する学生が去年の倍にまで膨れ上がってるのが現状である。
----
そんなこんなであっという間にHRも終了、放課後になって小萌が四人の生徒を呼び出す。
「はーい、じゃあ今日はこれで終わりですー。白雪ちゃん、茜川ちゃん、真昼ちゃん、真夜ちゃんは明日のシステムスキャンの件で話があるので職員室ですよー」
小萌の呼び出しに若干面倒くさそうにしながらも四人は職員室へ向かおうとする。
ちなみに土御門と青ピにやられたダメージは全く無いどころか、効いてもいない辺りは彼もそろそろ化け物じみて来ているのかも知れない。
「なあ真夜。今日はお前らの訓練に付き合わなくていいのか?」
「うん。明日が明日だからさ、訓練も調整程度しかしないし。バレンタイン前日までつき合わせるのも悪いからさ」
「分かった。じゃあ明日頑張れよ!」
半蔵と何気に仲良しな真夜、去り際の彼の励ましが少し嬉しかったりする。
気を取り直して真昼、赤音と職員室に行こうとしたが、赤音は月夜と一緒に行くとのことで真昼と一足先に向かうことに。
「良かったの赤音ちゃん? 二人と一緒に行ってもいいんだよ?」
「それもいいけどたまには親友と一緒がいいな~って。それより土御門君に話、あるんでしょ?」
「ありがと♪ じゃあ土御門くん、ちょーっと昼休みの件で話し合おうよ♪」
土御門は月夜が怒ってる時の呼び方で自分を呼んだのにゾッとするが、恐怖で動けずにいた。
月夜の豹変っぷりにクラスメートの殆どが退散し、残ったのは土白以外では当麻、青ピ、一方通行、赤音、浜滝(滝壺は浜面を迎えに来た)のみだ。
「昼休み、井ノ原くんに言ったこと、覚えてるよね?」
「あ、ああ、覚えてるけど、そ、それが何か問題あった……のかにゃー?」
「女の子が男の子に勇気だしてラヴを伝える日、それはいいよ。でもその言い方だと土御門くんは私以外の勇気を出した女の子にラブを伝えられたいのかな?」
「な、なんでそうなるにゃー! それはあくまで一般論であって別に俺はそんなこと思っても……いないぜい?」
土御門の否定に間があったこと、最後の疑問符に怒りがさらに膨れ上がった月夜の殺気に誰も口出し出来ないどころか逃げることも出来なかった。
そんな月夜が女性陣にこんな質問をしてきたのだ、怒りを一時的に抑えて。
「ねえ赤音ちゃんに滝壺さん。私はバレンタインに彼氏からチョコ貰ったら嬉しいと思うんだよ、実際。二人はどう思う?」
「私も嬉しいかな? 真夜くんがくれるのなら何でも嬉しいってのも理由だけど気持ちが籠もってるのなら男とか女って関係無いよ」
「あかねがわの言う通り。女性から男性というのは日本人男子の固定概念。私もはまづらが手作りでチョコ作ってくれたらすっごく嬉しい。どんなに不器用で不味かったとしても」
女性陣二人の答えに満足した月夜とは対照的に、土御門は最初は納得出来なかったが恋人同士という観点から考えてみることに。
(確かに男がチョコ持って告白ってのは夢が無いけど恋人同士だったらそれも……イカンイカン!)
「土御門くん、さっきの私の言ってたこと、聞いてなかったのかなー? 私はあなたの手作りチョコ食べたいなーって思ってるんだけど♪」
「…………マジ、ですか? で、でも俺としてはお前と恋人になった初めてのバレンタインだからウギャッ!」
土御門が言い終わる前に月夜は自分の恋人を全身氷漬けにしてしまうが、即答してくれなかったというのが大きな理由だったりする。
怒りモードを解いた月夜は赤音と一緒に職員室に向かう前に、氷の中の土御門に宿題(?)を残す。
「じゃあ私は職員室に行くけど、その間に私のお願いの返事、考えておくんだよ。答えはもう、分かってるよね? 行こう赤音ちゃん」
「う、うん。じゃあねみんな」
こうして月夜と赤音が職員室へ向かった後の教室では当麻、一方通行、浜面が先ほどの会話(主に女子の)の聞いて今年のバレンタインについて考えることに。
「確かに………美琴の事は愛してるし色々世話になってるからな……」
「アイツがチョコ作れンのも問題だしなァ……」
「結局お前チョコ欲しいのかよ」
「ウッセェ、黙らないとしばくぞォ?」
「スイマセンアクセラレータサマアナタニハカナイマセンノデドウカオユルシヲ」
「浜面、すぐに土下座するのは情けなくねーか?」
上条、お前は何人の女に土下座してるんだ?浜面とてお前だけには言われたくないだろう。
「うっせぇ!!小物には小物の道があるんだよ!!」
「んー……チョコ作ってみるかな」
「スルーかよ!?」
「よし、そうと決まったら浜面、お前ん家で作ろう」
「スルーしたのに図々しいわッ!!」
「頼むよ!!実は俺バレンタイン終わるまで冷凍室入っちゃダメって美琴から言われてるんだよ!!
打ち止めとか滝壺とか白雪とか白井とか郭の作ったチョコも作るみたいだし……勝手に見たら悪いだろ?」
「冷凍『庫』じゃなくて冷凍『室』かよ!?……でもまあ、確かに仕方ないな……お前には色々かりがあるし……」
「ありがとうございます!!よし、アクセラも今日行くよな?」
「何でオレもチョコ作ることになってンだよ!?」
「打ち止め喜ぶと思うぞ?でも俺達が作ってお前だけ作らなかったらションボリするぞ?」
一方通行は考えてみる。打ち止めがどうなるか……それを考えた瞬間速攻で決めた。
「チョコだろうとナンだろうと作ってやらァ!!」
「よし!!それでこそ男だアクセラ!!いや、一方通行!!」
「明日はバレンタインだけど、かみやんはどう過ごすつもりぜよ?」
昼休み、白雪にあーんされながら土御門が聞いてきた。
「いや、美琴からしかチョコもらえないと思うし、普通に美琴とデートするつもりだけど?」
「なん……だと?」
その言葉を聞いた瞬間。土御門、青髪ピアス等などの上条を中学から知ってる人間がゆらりと立ち上がった。
「「「「「「「「「「テメェは何ぬかしてるんだゴルァァァああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」」」
「うぎゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
クラスの半分の男子から殴られた。フルボッコに、そりゃもうボッコボコに。
「痛ぇじゃねぇか馬鹿野郎ども!! 何しやがる!!」
そこは上条と言うべきかすぐに起き上がる。
「かみやんは忘れたんか!?あの悲劇を、あのうらやましいを過ぎて恐ろしい悲劇を!!」
「そうだそうだ!!お前のせいでどれだけの被害を受けてると思ってんだ!!」
「お前が学校中のチョコ全部もらって、精神的にも肉体的にも死ぬところだったんだぞ!!」
「そんな中お前は『また義理チョコか……不幸だ』全部本命だっつーの!!」
「それでお前はバレンタインとホワイトデーは引きこもりになったろうが!!」
「かみやん……お前かわいい彼女がいるからって調子乗りすぎぜよ!!」
俺はどんな中学校生活送ってきたんだよ!!
上条は昔の自分に聞いてみたい。マジでそう思った。
「まっ、俺たちに被害が出なかったら何してもいいんやけど……」
「頼むから見せつけだけはやめてほしいにゃー。出ないと精神的にも肉体的にも死ぬからにゃー……」
そんな事言われても困る上条だったのだった……。
そんな当麻達の耳に入ってきたのはイチャイチャしてるわけではないが、自然にいい雰囲気を作ってる学園都市一の問題カップルである。
「じゃあ真昼さん、赤音さん。夕方までにリクエスト考えといてね」
「任せとけって♪」
「いや、あの、真昼ちゃんに真夜君。バレンタインのチョコを女性が男性にリクエストするってどうなのかな~って思うよ、私」
チョコを作る気満々な真夜、それを楽しみにしてる真昼、そんな二人に疑問を持つ赤音のトライアングルカップルである。
ちなみに赤音は現在、井ノ原家に住んでいるのだがここまで来るのに紆余曲折あったが割愛させてもらう。
上琴よりも問題が早く解決したのは『両親同居』というメリットがあったからだったりする。
「……あのな赤音。真夜の料理の腕はお前もよーく分かってるだろ? 自分の作るチョコとあいつの作るチョコ、どっちが美味いか分かるだろ?」
「確かに……。彼女のより彼氏のが美味しいって軽く凹むよね。……じゃあ仕方ないか♪」
真夜の料理の腕前は実は繚乱家政女学校の生徒レベルだったりするが、本人は全く自覚が無かったりするので、
(別に俺は真昼さんや赤音さんの作るチョコなら何でもいいんだけどなぁ……。でも二人が喜んでくれるなら何でもいっか)
こんなことを思ってるのだが、それを口にしたら二人が落ち込むと直感で感じていたので口にしない。
そんな三人の会話を聞いていたクラスメート達は耳を疑い、代表してデルタフォースが真夜に尋ねる。
「な、なぁ井ノ原弟くん。上条さんは気のせいかもしれませんが、あなたがチョコを作るように聞こえましたが?」
「ん? そうだけど? 何かおかしい所でもあったのか?」
「おかしいだろ絶対! 普通バレンタインは女子がキャッキャウフフしながらチョコ作ったり選んだりするイベントぜよ!」
「ああ、まあそう言われればそうだな。でも俺、毎年真昼さんに手作りチョコ食べさせてたからなぁ。それに海外じゃ男子が女子にって珍しくないぞ?」
「せやけど今年は茜川はんがおるやろ! 巨乳の子から手作りチョコ貰うって何と羨ましいことか! 逆に井ノ原姉のようながさつな男っぽい子なんぞにガフッ!」
余計なことを言った青ピは真夜の蹴り(能力未使用状態)を喰らってその場に倒れ込むが、誰も真夜はおろかトライアングルカップルに手を出そうとしない。
伊達にほぼ毎日青ピ率いる『嫉妬ファミリー』を返り討ちにしてるわけではないが、何とか出来る二人がいるが手を出そうとはしなかったりする。
「バカだなァ青髪のやつ。弟の奴は普段は温厚だから余計なことさえ言わなきゃ無害だってのによォ」
「ていうかアクセラ君っていつも彼らのこと、応援してる風だよね? 私は赤音ちゃんが幸せだから口も手も出さないけど」
「苦難の道を歩くカップルだぜ? 応援しねェわけにはいかねェだろうが」
学園都市最強の一方通行は自分と同じ茨の道を歩くカップルとして、実力レベル5の月夜は親友の赤音が幸せそうにしてるので応援していたりする。
そこで何を思ったのか、真夜が当麻、土御門、浜面、一方通行にこんな提案をしてきたのだ(気絶中の青ピは無視)。
「なあ上条に土御門、それに一方通行、浜面。一度くらいは自分達でチョコ作って恋人にプレゼントしたらどうだ?」
「「バカかお前はッッッ!!」」
デルタフォースの土御門と青髪ピアスが力説。
「にゃー!!バレンタインってのはなあ!!女の子が男子に勇気だして、ラヴを伝える日なんだにゃー!!」
「それをお前は外道か!?男が女の子に渡しても、なんもトキメカナイんや!!」
そう言いながらボコボコにする。内容はくだらないのだが妙に迫力があったので真昼と赤音は迂闊に手を出せない。
「はいはーい、皆さんもう昼休みはそろそろ終わってしますよー?さっさと席に着いてくださーい」
小萌先生のお陰でこの場は収まったがまだ二人は何か迫力がある。
「はまづら、また放課後」
「では半蔵様、今日の放課後またお会いしましょう!!」
と言って滝壺と郭は自分の教室に帰っていった。
だが小萌先生はまだ何か疲れている。
「ふう、全く上条ちゃん達のせい……いや、これは喜ぶべき事です?」
などとぶつぶつ言っている。
「そういや最近先生達複雑な表情してるよな」
「それは……あれだ、新入生とかじゃねえのか?」
「ンなモン毎年の事だろうが、そンなちっとやそっとであンな表情しないだろォ?」
実は最近教師達全員そわそわとしているのだ。浜面の予想はあながち間違っていないのだが、それが上条、一方通行、浜面のせいだとは知らなかった。
(まあ、学園都市最強にその学園都市最強を倒したレベル0、第四位を倒したレベル0に憧れる中学生増えたからにゃー、入学希望者ワンサカぜよ)
最近、当麻の高校の知名度は上がっていて特に当麻、一方通行、浜面の知名度はかなりのもの。
性格や素行に問題あれど、強い者に憧れるのは世の常で当麻の高校に入学を希望する学生が去年の倍にまで膨れ上がってるのが現状である。
----
そんなこんなであっという間にHRも終了、放課後になって小萌が四人の生徒を呼び出す。
「はーい、じゃあ今日はこれで終わりですー。白雪ちゃん、茜川ちゃん、真昼ちゃん、真夜ちゃんは明日のシステムスキャンの件で話があるので職員室ですよー」
小萌の呼び出しに若干面倒くさそうにしながらも四人は職員室へ向かおうとする。
ちなみに土御門と青ピにやられたダメージは全く無いどころか、効いてもいない辺りは彼もそろそろ化け物じみて来ているのかも知れない。
「なあ真夜。今日はお前らの訓練に付き合わなくていいのか?」
「うん。明日が明日だからさ、訓練も調整程度しかしないし。バレンタイン前日までつき合わせるのも悪いからさ」
「分かった。じゃあ明日頑張れよ!」
半蔵と何気に仲良しな真夜、去り際の彼の励ましが少し嬉しかったりする。
気を取り直して真昼、赤音と職員室に行こうとしたが、赤音は月夜と一緒に行くとのことで真昼と一足先に向かうことに。
「良かったの赤音ちゃん? 二人と一緒に行ってもいいんだよ?」
「それもいいけどたまには親友と一緒がいいな~って。それより土御門君に話、あるんでしょ?」
「ありがと♪ じゃあ土御門くん、ちょーっと昼休みの件で話し合おうよ♪」
土御門は月夜が怒ってる時の呼び方で自分を呼んだのにゾッとするが、恐怖で動けずにいた。
月夜の豹変っぷりにクラスメートの殆どが退散し、残ったのは土白以外では当麻、青ピ、一方通行、赤音、浜滝(滝壺は浜面を迎えに来た)のみだ。
「昼休み、井ノ原くんに言ったこと、覚えてるよね?」
「あ、ああ、覚えてるけど、そ、それが何か問題あった……のかにゃー?」
「女の子が男の子に勇気だしてラヴを伝える日、それはいいよ。でもその言い方だと土御門くんは私以外の勇気を出した女の子にラブを伝えられたいのかな?」
「な、なんでそうなるにゃー! それはあくまで一般論であって別に俺はそんなこと思っても……いないぜい?」
土御門の否定に間があったこと、最後の疑問符に怒りがさらに膨れ上がった月夜の殺気に誰も口出し出来ないどころか逃げることも出来なかった。
そんな月夜が女性陣にこんな質問をしてきたのだ、怒りを一時的に抑えて。
「ねえ赤音ちゃんに滝壺さん。私はバレンタインに彼氏からチョコ貰ったら嬉しいと思うんだよ、実際。二人はどう思う?」
「私も嬉しいかな? 真夜くんがくれるのなら何でも嬉しいってのも理由だけど気持ちが籠もってるのなら男とか女って関係無いよ」
「あかねがわの言う通り。女性から男性というのは日本人男子の固定概念。私もはまづらが手作りでチョコ作ってくれたらすっごく嬉しい。どんなに不器用で不味かったとしても」
女性陣二人の答えに満足した月夜とは対照的に、土御門は最初は納得出来なかったが恋人同士という観点から考えてみることに。
(確かに男がチョコ持って告白ってのは夢が無いけど恋人同士だったらそれも……イカンイカン!)
「土御門くん、さっきの私の言ってたこと、聞いてなかったのかなー? 私はあなたの手作りチョコ食べたいなーって思ってるんだけど♪」
「…………マジ、ですか? で、でも俺としてはお前と恋人になった初めてのバレンタインだからウギャッ!」
土御門が言い終わる前に月夜は自分の恋人を全身氷漬けにしてしまうが、即答してくれなかったというのが大きな理由だったりする。
怒りモードを解いた月夜は赤音と一緒に職員室に向かう前に、氷の中の土御門に宿題(?)を残す。
「じゃあ私は職員室に行くけど、その間に私のお願いの返事、考えておくんだよ。答えはもう、分かってるよね? 行こう赤音ちゃん」
「う、うん。じゃあねみんな」
こうして月夜と赤音が職員室へ向かった後の教室では当麻、一方通行、浜面が先ほどの会話(主に女子の)の聞いて今年のバレンタインについて考えることに。
「確かに………美琴の事は愛してるし色々世話になってるからな……」
「アイツがチョコ作れンのも問題だしなァ……」
「結局お前チョコ欲しいのかよ」
「ウッセェ、黙らないとしばくぞォ?」
「スイマセンアクセラレータサマアナタニハカナイマセンノデドウカオユルシヲ」
「浜面、すぐに土下座するのは情けなくねーか?」
上条、お前は何人の女に土下座してるんだ?浜面とてお前だけには言われたくないだろう。
「うっせぇ!!小物には小物の道があるんだよ!!」
「んー……チョコ作ってみるかな」
「スルーかよ!?」
「よし、そうと決まったら浜面、お前ん家で作ろう」
「スルーしたのに図々しいわッ!!」
「頼むよ!!実は俺バレンタイン終わるまで冷凍室入っちゃダメって美琴から言われてるんだよ!!
打ち止めとか滝壺とか白雪とか白井とか郭の作ったチョコも作るみたいだし……勝手に見たら悪いだろ?」
「冷凍『庫』じゃなくて冷凍『室』かよ!?……でもまあ、確かに仕方ないな……お前には色々かりがあるし……」
「ありがとうございます!!よし、アクセラも今日行くよな?」
「何でオレもチョコ作ることになってンだよ!?」
「打ち止め喜ぶと思うぞ?でも俺達が作ってお前だけ作らなかったらションボリするぞ?」
一方通行は考えてみる。打ち止めがどうなるか……それを考えた瞬間速攻で決めた。
「チョコだろうとナンだろうと作ってやらァ!!」
「よし!!それでこそ男だアクセラ!!いや、一方通行!!」
「あのーうち最後までスルー?」
「悪いな青ピ、俺ん家台所も冷凍庫も小さいんだ。だからさすがに四人は無理だわ」
「そ、そんなー……そりゃないで!?うちはどこで作ればいいんや!?」
「「「それは知らん(ン)」」」
「ヒドッ!!即答ヒドッ!!」
そんなうなだれた青ピなどほっといて上条と一方通行は廊下に一足先に出ていった。
浜面は滝壺に断ってから上条と一方通行を家に連れていくつもりだ。
「つーことで滝壺、悪けど今すぐ家に来るの無理だ。本当にすまん」
「大丈夫、みさかの家に行って仕上げをするから気にしないで」
「本当にすまん!!今日の夜頃なら帰ってきても大丈夫だから!!」
「うん、また夜会おうね」
そう言ってその場を立ち去ろうとした浜面だったが……
「はまづら」
「ん?なんだ?」
「がんばってね、私もがんばるから」
「おう!!任せとけ!!俺も楽しみにしてるからな!!」
「うん、わかった。」
そう言って今度こそ、氷ってる土御門と床でうなだれてる青髪ピアスをスルーして、廊下で一足先に待ってる上条と一方通行の元へ急ぐのだった。
----
「では皆さん。明日の学校終わりで昼食後、常盤台でシステムスキャンを行いますのでよろしくですー」
「あ~、何か緊張してきたよ~」
「大丈夫だよ赤音ちゃん。常盤台だからって固くなる必要なんて無いんだから」
こちらは職員室、無事に明日のシステムスキャンについての話も終了。
月夜と赤音はやる気を見せていたが、井ノ原ツインズはそれほどでも無かったりする。
「なーんか面倒くせーなー。真夜と赤音と白雪はともかく、俺のシステムスキャンなんて意味ねーって。つーかかなりどうでもいい」
「そんなこと無いよ真昼さん。だって真昼さん、相手の感情のベクトルも見えるようになったんだよ。俺の能力だって人よりちょっと動けるようになる程度だし。意味が無いのは俺の方」
(どうしてこの二人はここまで能力のレベル評価にこだわらないんだ? 強くなろうって意思は高いのに……。もう少し自分達の能力を評価してもいいものだが)
同席していた木山が井ノ原ツインズに対して抱いてる一番の悩み、それは自分達の能力の凄さに無頓着すぎる点だ。
真昼は力のベクトル視認だけでなく、相手や周囲の人間が他者に向けてる気持ちのベクトルまで見えるようになっているのだ。
真夜も人より少し動ける程度と言っているが、強化できる上限が日に日に増加、それどころか直感などのあやふやなものまで強化出来そうになりつつある。
「二人とも最初からそんなにやる気ない風でどうするですかーっ! 真昼ちゃんも真夜ちゃんも木山先生が認めた生徒なんですよ! もっと張り切って欲しいですよー!」
「まあ月詠先生の言う通りだ、二人とも。ここら辺で自分達がどれだけ強くなったのかを知るのも悪くないぞ。結果は気にするな、楽しむつもりでやればいい」
「小萌先生と木山先生がそう言うなら頑張らねーわけにはいかねーな。いっちょ頑張るぞ真夜!」
「そうだね。日頃鍛えてもらってるみんなへの恩返しと思って頑張るよ、俺」
ようやく四人全員がやる気になったのを見て、小萌と木山は安心すると四人を帰るように促す。
職員室を出る前に真夜が、またしても他意ゼロの言葉を教師二人にぶつける。
「じゃあ明日、二人の分のチョコも作って持って行きます。二人とも俺の恩人ですから」
「あ、ありがとうです……。お、男の子からチョコ貰うのはな、何とも不思議な気分ですねー……」
「そんなに身構える必要は無いですよ、月詠先生。最近分かったんですが真夜はああゆう生徒です。本当に日頃の感謝しか考えていませんよ」
小萌はさすがに驚くが、真夜のことをかなり知っている木山は全く驚いてはいなかった。
真昼と赤音も驚いてはいなかったが、月夜だけは呆然としながら真昼と赤音に尋ねる。
「ね、ねえ二人とも? 井ノ原くんあんなこと言ってるけどいいの?」
「いーのいーの♪ 真夜君ってああゆう人だから。それに私達以外の誰かに愛情を注ぐなんてこと有り得ないもん」
「俺ん家の家訓その二にあるんだ。『受けた恩は誰だろうと必ず報いろ』ってな。それに感情のベクトルを見るまでも無く、あいつに下心は無いって分かってっから心配ねーよ」
真夜を全く疑っていない真昼と赤音に、月夜は少しだけ羨ましいと思った。
職員室を出た後で真夜が漏らした言葉に月夜は彼に対し、あるフレーズが頭をよぎる。
「後は半蔵と郭さんにもお礼のチョコ渡さないとな。何か今年は恋人に両親に恩人、チョコ作りが大変そうだなー」
(ああ、井ノ原くんってマイペースっていうかちょっと天然さんなんだ……)
トライアングルカップルが明日のシステムスキャン前の調整があるとのことで武道場に向かったので一人、教室へと戻る月夜なのだった。
----
月夜が教室に戻ってる頃、青ピは黒子にそれとなく彼氏が彼女にバレンタインにチョコを渡すことについて電話で会話していた。
『そうなんですの……ジュルリ……食べてみたいものですわ……』
「黒子はん?今うちがチョコを体に塗り捲ったビジョンがうかぶはずないわよなぁ?」
『なぜお分かりになったんですの!?……はっ!!黒子と○○様は一心同体ですのね!?』
「ホンマに考えてたんかい!!中学生なのに黒子はん過激すぎや!!」
『でもそんな過激な中学生がお好みではございませんの?』
「そ、そそそそそそそそそんなわけあるかい!!う、ううううううううちはな、い、いたって健全やで!?」
『そんな!?では○○様の落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生教師幼馴染みお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護士さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様二ーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力をお持ちではないんですの!?』
「黒子はん!!全部覚えてたん!?ってそっちじゃなくて違うで!?うちは黒子はん一筋やで!?そして健全やで!?」
『そうですわよね、中学生にスクール水着着せて喜んでますものね~?』
「うっ!?」
『その他にも――――』
こっからはあだるてぃーなお話なしなので、お見せすることができません。
そしてそれを教室のドアの外で聞いてしまった白雪は……
「青髪く~ん?」
「はっ!!」
「中学生の女の子にそんな事させてるのかな?」
「違う!!ちがうんやこれh」
「問答無用じゃこの変体スケベエロエロ魔神ぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」
氷った。ケータイごと青ピは氷った。
「やれやれ、ほいっと」
やることをやると白雪は土御門を解放した。
「にゃー……この仕打ちはないぜい……」
「お疲れ様元春、それじゃ答えを聞かせてもらうよー?」
「俺もチョコレートを作る事にしたにゃー。」
「そうなの。それと、今日は美琴ちゃんの家でチョコレート作るから一緒に帰れないから。」
「分かったぜよ。」
「とりあえず校門まで一緒に行こう?」
土白は学校の校門まで一緒に帰る事にした。(青ピの氷を溶かすのを忘れて。)
「じゃあ明日は楽しみにしているから。」
「俺も楽しみにしているからにゃー。」
というと土白は校門で別れた。
月夜と別れて少しして、土御門はとてもシンプルかつ重要なことに気付く。
「あーーっ! チョコ作るっつても俺一人で出来るわけないですたい! 月夜に頼むなんて出来ねぇし……そうだ!」
土御門は何かを思いだすと、携帯を取り出しある人物と連絡を取った。
『もしもし兄貴かー? どうしたんだーバレンタイン前日に。言っとくけど兄貴のチョコならもう作ったから心配するなー』
「おおっ! さすがは舞夏ぜよ! ……っといかんいかん。実は折り入って頼みがあるんだにゃー」
土御門が頼った人物、それは義妹の舞夏で、彼は事情を手短に話した。
それを聞いた舞夏は土御門のお願いを了承するが、今すぐというわけにはいかない事情があった。
『兄貴の頼みだからすぐ駆けつけると言いたいけど少し待っててくれるかー? 学校の課題で研修先に渡すチョコ作っててなー。今から三十分後に兄貴の部屋にお邪魔するけどいいかー?』
「三十分くらいなら全然平気ぜよ。こっちでも食材とか準備しないとマズイだろ?」
『それはこっちで準備するぞー。なんてったって月夜に贈るチョコを作るんだからなー。兄貴のセンスに任せられないぞー』
『舞夏さん、完成を待つだけだからって電話に出ないで下さい。……ところで誰と話をしてるんです?』
舞夏と会話してるのに別の誰か、しかも聞き覚えのある声を聞いた土御門は嫌な予感しかしなかった。
『じゃあ兄貴、五和にバレたから切るぞー。また後でなー』
それで舞夏との電話は終了、土御門は五和が付いて来ることだけは無いようにと祈るのだった。
----
バレンタイン前日で忙しいのは恋する乙女や恋人のいる女性ばかりではない。
「あ、あのー黄泉川先輩。今日はわしはお休みだったような気がするのよな。何でまた急に?」
「悪いな建宮。バレンタイン前日と当日は基本、ジャッジメントの女子は休みなのを忘れててな。人手が足りないから急遽お前を呼んだってわけじゃんよ」
アンチスキルとして活動してるのは黄泉川、そして建宮だった。
ちなみにアンチスキルの女性はバレンタイン前日だろうと当日だろうとジャッジメントの女子のように、休みになることは無い。
「言っとくがバレンタインが近づくとろくでもない連中が増えるからな。忙しさもいつも以上だと覚悟するじゃん。ま、お前さんなら心配無用だけどな」
「任せるのよ! 男、建宮斎字、乙女の一大イベントの邪魔する奴等など全て叩き潰してやるのよね!」
「おーっ頼もしいじゃんよ。じゃあ張り切って巡回するじゃん!」
こうして二人は巡回を始めるのだが、建宮は黄泉川にきわめてシンプルな質問をした。
「ところで黄泉川先輩は誰かにチョコをあげる予定は?」
「あー……一方通行くらいだな。でもま、あいつには打ち止めのチョコもあるしコンビニで適当にチロルチョコでも買って渡せばいいじゃん♪」
(この場合、黄泉川先輩の華の無い生活を悲しむべきか、白いのの扱いを哀れむべきか……難しい問題よな)
ちなみに当日、偶然にも芳川もコンビニで購入したチロルチョコを一方通行に渡すという奇跡が起きることなど、当人達は知る由も無かった。
----
そのころ、初春と佐天はというと…
「ねぇ、明日飾利は建宮にチョコあげるつもりなの?」
「え!?あ、あげるつもりはないですけど、きゅ、急にどうしてですか?」
初春はいきなり佐天に聞かれたので明らかに動揺していた。
「だってこの前そんな事話したし、あれ以来建宮に会っていないでしょ。」
そうなのである。あれ以来、初春は建宮にどう接して良いのか分からなくなっていたので避けるように魔術絡みの事で動いていないのだ。
「せ、せっかく忘れていたのにそんな事思い出させないでください!!明日本当に建宮さんに会ったらどうすれば良いんですか!?」
「今まで避けられたから大丈夫でしょ、ってまた顔を赤くしているし。」
「涙子さんのせいですよ。もう本当に建宮さんに会えなくなってしまうでは無いですか!!」
「なんか前にもこんな話をした気がする…」
佐天はあの時もこんな話をしたな~っと思っていた。
「まあ、とりあえず渡さないなら良いんだけどさ。ところで、誰かにチョコあげるの?」
「一応、お兄ちゃんとお姉ちゃん、涙子と最愛にはあげようかなっと思ってますけど。」
「じゃあさ、一緒に作らない?」
「良いですね、じゃあこの後私の家に来てチョコ作りませんか?」
「良いですよ。じゃあ行きましょう。」
という事で初春と佐天は佐天の家に向かった。
----
その頃の柵川中学校門前、最近ではすっかり名物になった二人がぶつかり合っていた。
「神裂先生よぉ、飾利を呼んで来てくれよ。今からバレンタインのリクエストすんだからさ」
「ですから、何度も言ってるじゃないですか。飾利はすでに佐天と一緒に帰ったと」
神裂とシェリー、実はシェリーが正式に学園都市配属になって以来、ほぼ毎日この場所で喧嘩をしているのだ。
ちなみに神裂が教師として学校にいるのに初春のことを名前で呼んでるのは、シェリーが現れて二人(初春と神裂)が親しい間柄だとバレたから。
このせいで初春が今まで隠していた佐天、神裂との関係が暴露、一気に初春が柵川中学一の有名人になってしまったのだった。
「それにしても芸術家というのは暇なんですね。ここに飾利に会いに来る暇があるのなら作品の一つでも完成させてはどうですか?」
「はっ、分かってないねぇ。飾利と会うことで私はリフレッシュ、作品に取り組む意欲を上げてるのさ。つーわけでさっさと飾利呼べよ」
「……あなたは毎度毎度。そろそろ本気で体に教え込まないと分かりませんか?」
「上等だ、やれるもんならやってみろよ」
そうこうしている内に二人はヒートアップし、一触即発の事態になるが二人が怖いので誰も止められない。
唯一止められる初春がここにはいないので血を見る喧嘩が始まるかと思われたが、
「神裂さんとシェリーさん、一体何をやってるんですか? 周りの迷惑になると飾利が超怒るから止めた方がいいですよ」
用事があってやってきた絹旗から初春の名前を聞くと、喧嘩しそうな雰囲気は消え去った。
「絹旗、あなたも飾利に会いに来たのですか?」
「涙子にも超会いに来たんですけどね。ところで二人は今どこに?」
「今日は飾利はジャッジメントの仕事はお休みなので、佐天と一緒に帰りましたよ。もしかしたら佐天の家かもしれません」
「そうですか、おかげで超助かりました。じゃあ私はこれで……っと超忘れてました」
神裂から初春と佐天、二人の義理姉妹のことを聞き出した絹旗は佐天の部屋の方角へと進路を向ける。
しかし向かう前に絹旗は神裂とシェリーにバレンタインなら聞かれる当たり前のことを尋ねる。
「ところでお二人は誰かにチョコを超あげたりしないんですか? 飾利ならきっと二人に友チョコと妹チョコを超作ると思いますよ」
(飾利からの妹チョコですか……。ならば私はお姉ちゃんチョコをあの子にあげましょう♪ ついでに上条当麻にも恩返しの意味でチョコを……)
(友チョコか。私は好きな男なんざ居ねぇしな。だったら飾利の為に友チョコならぬ朋友チョコを作るか!)
絹旗の質問に決意を固めた二人は全く予定していなかったバレンタインチョコを作る為にその場を後にした。
取り残された絹旗もまた、初春と佐天と合流すべく佐天の部屋の方角へと足を伸ばす。
----
その頃、佐天の部屋に向かってる初春と佐天、その途中で佐天が思い出したかのように初春に尋ねる。
「そういえば飾利、神裂さんとシェリーさんにチョコあげないの?」
「……ああっ! 忘れてました! 火織お姉ちゃんとシェリーさん、それにヴィリアン姉さまにも作ってあげないと!」
佐天が建宮のことばかり言うものだから初春は大事な姉(義理の)二人、親友一人の存在を忘れてしまっていた。
そのことを思い出し、今日は忙しくなりそうだと思った二人だが、そこに絹旗が合流する。
「何とか超追いつきましたよー。飾利に涙子、もしかしなくてもチョコ超作るんですか?」
「ええ。当麻お兄ちゃんと美琴お姉さん、涙子さん、最愛さん、火織お姉ちゃん、シェリーさん、ヴィリアン姉さまと多いですけど」
「建宮には超あげないんですね。いや、超いい傾向ですけど」
建宮の名前が出て焦った初春だが、顔には出ないまでには回復してるので何とか怪しまれることが無かった。
そんな中、佐天は今ここに居る上琴義妹トリオ(自分含め)を見て、妙案が思い浮かんだ。
「じゃあさ、今年はあたしたち三人で作ろうよ! 飾利がチョコ渡そうとした人達にさ♪ ついでで建宮さんにも、ホントついでだけど」
「それは超名案です! 浜面には麦チョコ一粒で超充分ですから作る気ありませんし。……でも建宮にもですか?」
「いやほら、建宮さんには何だかんだでお世話になってるしさ。飾利からチョコ貰えなかったら引きこもっちゃうかもしれないし。ボランティアだよ、ボランティア」
「それなら超納得です。でもあいつの場合、そこら辺に超転がってる石ころにチョコ塗ったのを渡せば充分ですね。飾利はどうですか?」
佐天のアイディアに救われた初春、心も落ち着き、建宮に対する『お父さんフィルター』も修復完了して絹旗に答える。
「私も賛成です。でも最愛さん、建宮さんにもきちんとしたチョコ作らないとダメですよ? 日頃からお世話になってるんですから」
「わ、分かってますよ? ちょっとした超軽いジョークですよ、ジョーク。……じゃあ気を取り直してバレンタインチョコ作り、超頑張りましょう!」
「「おーーーーーーっ♪」」
上琴義妹トリオ、気持ちを一つにし佐天の部屋へと向かうのだった。
----
こちらはインデックスとステイルが勤める教会、悩める少年ステイルは一人で悩んでいた。
(インデックスにチョコをそれとなく催促すべきか、それとも僕が彼女にチョコをプレゼントするか……。僕は一体どうすればいいんだ?)
見た目は老けてるが中身は立派は思春期の少年が本気で悩んでいると、彼の悩みの原因たるインデックスが陽気に帰って来た。
「ただいまー」
「や、やあおかえりインデックス。そういえばあの三毛猫は見つかったかい?」
「またどっかにふらっと出かけちゃったんだよ。まるでとうまみたい……ペットは飼い主によく似るっていうけど、スフィンクスの飼い主は私なんだよ」
「そうだね、全く飼い主に恩を返さないのはひどいね」
そんな会話をしながらも、ステイルはタバコを吸いながら考える。
(インデックスのチョコはほしい、だが!この子がチョコを作れるとは思えない。ましてや作る事さえ不可能かもしれない。
いや、ここはやはり僕から渡すべきなのか?僕ならインデックスの為に鉄人並みのチョコを作る事さえ惜しまない。
だが、しかし、でも、クソォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)
そんな時、上条当麻の幻聴が聞こえた。
『馬鹿野郎!!お前はインデックスが好きなんだろうが!!好きなら好きっていっちまえばいいじゃねぇか!!
保護対象であって恋愛対象じゃない?ふざけんな!!そんな幻想考えてるから前へ踏み出せないんだ!!
さっさと踏み出せよ魔術師!!お前なら言えるはずだ!!テメェの足枷(幻想)なんてぶち殺せ!!』
(全く……僕の思考回路の中まで説教するのか君は……君に言われなくてもわかってるんだよ!!)
勇気をだす。足を踏み出す。今こそ言うべきだ!!
「インデックス!!僕は君のチョコがほしい!!」
だがそこには、
「にゃあ?」
「何で猫なんだ!?」
インデックスはそこにいなかった。かわりに猫ってどういうことだ?
「はいスフィンクス、ちょっと遅いご飯なんだよ」
どうやらステイルが思考の泥沼に落ちてる間にスフィンクスが帰ってきてご飯を取りに行っていたらしい。
「な、なんて不幸なんだ……」
神様、この不条理な世界をどうにかして下さい。
ステイルはいつもの事だが、神に祈った。
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: