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――常盤台中学校女子寮(第7学区)

 時刻は午前7時前。
 昨日は何事もなく帰宅しいつも通りの寮生活をしていた美琴だった…のだけれど
 眠りについたのは深夜の3時頃、白井も普段は遅い方だがそれでも12時前には眠りについている。
 何かある日の前日はどうしても意識をしてしまって寝付きが悪くなる事は有りがちなので分からなくもないのだが……。

「さて…」
 部屋に響いた第一声は美琴の声ではなく白井の声だった。
 昨夜は比較的遅くまで資料をまとめ、本日は一般的には休日なのだが風紀委員の集まりに参加しなければならない。
(お姉さまは昨夜、かなり遅くまで起きていらっしゃったようなので無理もありませんか…)
 いつも笑顔で見送ってくれる美琴が起きていない事に若干残念そうな白井だったが、美琴を第一に思い―――そっと部屋を出て行こうとしたその時だった。
「どこ触ってんのよ……。ううん、ダメじゃない……エヘヘ、くすぐったい♪」
 白井は自分の耳だけではなく五感全てを疑った、今この部屋には確実に2人しかいない。
 もし何かの間違いがあっても寮監が部屋に入ってくる程度、時間帯を考えれば友人の初春や佐天も来てるワケがないし、居るワケもない。
 体の底から沸き上がってくる恐怖に身を震わせながら、恐る恐る後ろを振り返る……。
 ―――だが、そこには確かに美琴しかいなかった。しっかりと入り口から見て左側のベッドに美琴一人。
(疲れてるんでしょうか…本日は出来るだけ早めに帰宅し、いつもより早く寝る事にしましょう)
 そして再び部屋を出ようとドアノブに手をかけた―――その時
「あっ…。そこはダメ……」
 白井は金属矢(ダーツ)を構えた、相手のいる所さえ把握出来れば、的確に急所を突き、相手の戦力をゼロに出来る。
 その気になれば紙切れ一枚でダイアモンドの切断も可能な能力だ、余程の能力者でなければ大能力者の白井に対抗は出来ない。
 絶対に敵は見えない所(死角)にいる、そう判断した白井は部屋の全てを見渡せる位置へテレポートした…が敵らしき姿はない。
 確かに最初から、部屋には美琴しかいなかった。そう…『美琴』しかいない。
「まさか…お姉さまの寝言……?」
「ア、アンタとしかこんな事やらないんだから…」
「……これは風紀委員の集いなんかに行ってる場合じゃない気がしますの……」
 白井はニヤニヤしている美琴を揺すり眠りから引き摺りあげる。
 夢を見ているということは浅い眠り……という白井の目論み通り美琴はすぐに夢から覚めた。
「ん…?」
「お姉さま!お姉さま!!」
「……夢の中まで邪魔すんじゃないわよ!!」
「あ゛う゛っ!? 朝からシ・ゲ・キ・テ・キ…過ぎますわ……」
「えっ……朝?」
 美琴はそう言って時計を確認すると7時20分を過ぎた頃だった。
 そうして数秒の静止……。何かを思い浮かべ、そして弾けるように動き出した。
「こんな事してる場合じゃないわ!」
「ちょっとお姉さま……」
 パジャマを脱ぎ捨て、机の上に畳んであった制服を適当に着用、そして貴重品を掴み…ガードの為の短パンを履き
 『じゃ、行ってくるから!』と言い残し、白井より先に部屋を飛び出していった。その間35.6秒。
 結局、白井は見えない敵と戦い、電撃を浴びされ(当人は愛のムチだと判断している)そして風紀委員の集まりの集合時間にも間に合わなかった…。


―――上条当麻の住む男子寮(第7学区)

 目覚ましの音が鳴り響く。響くという言い方をすると、どうも反射音を想像してしまうのだけど、それは間違いではない。
 実際に鳴っているのは風呂場、そして厳密にいうのならば浴室の中だ。彼がいるのは浴槽の中なのだが……。
 時刻をチェックする…7時32分――普段ならインデックスが「おなかへった」と浴室の前まで来るのでそれで起床している。

 今日は起き上がる際に蛇口をヒネってしまった。もちろん、布団モノともビッショリになってしまい
 いつもならお決まりの一言が家の中に轟くハズなの…なのだが、彼は何も言わず布団を干そうとしていた。
 どこか言ってはイケない気がしていたのだ、あの常盤台の御坂美琴と一緒に出掛ける、自分が『不幸』なワケがない。
 もしこれがクラスの人間の耳にでも入ったら、右手では殺せない現実がクラスの男子全員から襲いかかってくる。
(さて…と。こういうのって少し早めに待ち合わせ場所に到着しといた方が良いんだったよな…?)
 今日の天気は晴れ、小鳥のさえずりが心を癒し、日差しが心を明るくする。見方を変えるだけで何故か幸せな気分になれた上条であった。

―――ホテル(セブンスミストの近く)

 美琴は起床から1分以内に寮を飛び出してきた事もあり、ホテルのシャワーにて汗を流していた。
 待ち合わせ時刻まで後1時間弱、既に彼女の胸は高鳴っていた―――『アイツ』の笑う顔を思い浮かべながら…。
(でもこういうのって早めに待ち合わせ場所についてた方が……出来るだけ早くしなくちゃダメね…)

 まずは女性と見てもらうのを第一に置き、服装はチェックの上下、ニーハイブーツ、ガーター付きのニーハイソックス。
 しかし……いざ合せてみると恥ずかしくなってしまう、自分で違和感の正体を探し…結局、短パンを履く事で落ち着いた。
 待ち合わせ時刻まではまだ40分近くあるのだが、ホテルから待ち合わせ場所まで距離がある事も配慮し既に出発の準備を完了させていた。
(…これくらいが丁度いいわよね。どっちにしろ行くんだから…)

―――Black history?

 時刻は8時30分。
 最初に待ち合わせ場所に到着してたのは美琴ではなく…上条だった。
 多少のナニかに見舞われる事を想定して早めに家を出発したのだけれど、驚く程何にもなく待ち合わせ場所に到着してしまった。
 彼もどういうワケか自分でも理解が出来ていないのだが、ドキドキしてしまっている。この感情の正体を彼はまだ知らない。

 美琴はというと、待ち合わせ場所へ向かって歩いている途中…なのだけど、周りの視線が非常に痛い事になっている。
 学園都市というのは学区によって雰囲気が様変わりするのだが、この第7学区は休みの日でも制服姿の中高生が中心。さすがに目立つのは仕方がない。
 まだ常盤台の超電磁砲とバレていないだけマシだろう……。もし気付かれでもしたら騒ぎになる事は確実。
 噂というのはこの世に誕生さえしてしまえば、一人歩きしあっという間広がって行くモノなのだから…。
(失敗したかも……。でも気にするのは人の目じゃなくアイツの目だけで良いわよね…うん、それだけで良いのよ)


―――姉妹

 時刻は8時45分。
 今日は見事なまでに何にもない。思い返してみると蛇口をヒネってしまい布団と服を濡らした程度。
 よく考えるとそれも不注意だった気がしないでもないが、たまたま掴んだ所が蛇口だった…これがこの男の体質というべきか。

(ちっと、早すぎたか…?)
 空を見上げ、右手を翳す―――これには神の御加護すら打ち消す『幻想殺し』を宿っている。
 いくらこの右手があろうと、不幸じゃなければ出会えなかった人間…立ち会えなかった出来事が沢山
 そんな数々の不幸に感謝しつつ御坂美琴を待つ、その横顔は呟いた言葉とは裏腹にどこか嬉しそうだった。

 そんな上条の姿を影から眺めてる人間がいた―――美琴だ。
 なんとか人の多い場所をくぐり抜け待ち合わせ場所までたどり着いたのだけど、彼の前に姿を見せる事を心の中で躊躇している。
 この服についてなんて言われるか、先程まで思っていた言葉とは逆に恥ずかしさとちょっぴりの恐怖が彼女を襲う。
(まだ時間あるし、今からホテルに戻れば…少し遅れるかもしれないけど何とかなるわよね…)
 そんな事を考えていた時、背後に気配を感じた。しかも自分に向かい一直線に歩いてくる。
(……誰?)
 恐る恐る振り向こうとしたが、声が先に飛んできた―――
「おはようございます。お姉様、とミサカは挨拶をすると同時にその服装はどうしたのですか?と尋ねます」
「……なんでアンタがここに居るワケ?」
「質問に答えてくださらないのなら、大声をあげますよ?とミサカは――」
「分かったから…お願いだから静かに…」
「ふっ、お姉様もこの程度ですか、とミサカは新たなスキルを身に付けた事に喜びを感じます」
「アンタねぇ……。た、たまにはこんな服着てもいいじゃない、深い理由はないわよ」
 美琴は明らかに震えている声で御坂妹に告げる。
「では、あの少年とは何もないのですね?とミサカは尋ねます」
 御坂妹は上条の方に目線を向ける。
「うっ……」
「非常にお似合いですよ、とミサカは見違えたお姉様を心から羨むと共に今度貸して頂けないでしょうか?とお願いをします」
「ほ、本当…?」
「ミサカが嘘をつくメリットはないと思うのですが、とミサカはお姉様に客観視する事を促します」
「そ、そういうなら行ってこようかしら…」
「ふっ、お姉様はやはりこの程度ですか、とミサカは扱い方を身に付けた事に新たな喜びを感じます」
「ヤバっ!? 待ち合わせ時間ギリギリじゃない!」
 それでも美琴は一呼吸置いて――
「…今日はありがとう、アンタが来てくれなかったら怖くてアイツの前出れなかったから」
 これに対して、御坂妹の口から言葉が飛ぶ事はない…歩き去るお姉様を視界から消えるまで見守っていた。


―――当麻と美琴が交差する時、何かが始まった!?

 時刻は9時、空は青の中にも柔らかい白が混ざり。気持ちの良い日差しが降り注ぐ。
 随分早く到着し、美琴を待っていた上条…それなりの時間に到着はしていたものの顔を出せなかった美琴
 短い時間に色々な想いが渦を巻きながらも、気付いてみれば約束の場所.時刻に二人が揃った。

「えーっと……。本当に御坂美琴さんでいらっしゃいます?」
 上条はというと初めて見る美琴の私服姿に驚きを隠せない様子。
 名門「常盤台中学校」の制服を着て、ビリビリを飛ばしてきたり、自販機に蹴りを入れてる…そんな御坂美琴はそこには居なかった
「べ、別にアンタの為にこういう服をわざわざ買って着てきたとかそんなんじゃないんだからねっ!」
「……御坂だ」
「そ、その前に何か言う言葉があるんじゃないかしらー?」
「時間…ギリギリだったな」
「ふ~ん、へぇ~。アンタは私がこういう服着てても何にも思わないんだ……」
「……そんなワケねぇだろ」
「えっ?」
「そ、その服すげー似合ってる。し、強いて言うなら…もう少しスカートを長くしてくれないと色々な意味で困るっていうか…」
 美琴はスカートの端を摘み、チラッと中を見せた―――それを見た上条の顔はスーパーの特売に間に合わなかった時、そんな表情をしていた。

 これで変な緊張から解き放たれた二人は徐々にいつもの調子を取り戻す。
「で、結局の所どう?」
「か、可愛い…」
「なんでアンタが照れてんのよ…。ま、まあ…私もこの格好は結構恥ずかしんだけど…」
「じゃ、なんでそんな服着てきたんだ? その姿で今日一日外に居るんだろ…?」
「そ、そんなの……(アンタの為に決まってるじゃない)なんて言えない…」
「ん?」
「な、何でもないわよ! そんな事よりどこに行くか決めましょ、こんな所にいつまでも居るワケじゃないでしょ?」
「そうだなー。その辺全く考えてねぇんだよな……」
「それなら…美琴センセー特別プランに決まりって事で良いわよね?」
「ん、なんだそれ?」
「いいから黙ってついてくる!」
「ちょ、引っ張んなよ!」
 自然な流れで手を取ったつもりの美琴だったが、力が思うように入らない。
 そんな時にサポートしたのが上条だった。離れないようにしっかりと掴み返し、言葉にならないやり取りを二人の中で消化して行く
 端から見たらカップルにしか見えない二人だが、当人たちにそういう意識はない。
 まだお互いの気持ちは今日の空のようだ。雲一つ無くなった時…お互いの想いが強く相手の心に射し込むハズ―――

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