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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/2スレ目短編/098 - (2010/02/03 (水) 13:20:11) の編集履歴(バックアップ)


※世界観としては「ロシア帽のフラグ男」の続編です。事前に見なくても大丈夫、かな?


御坂美琴の時が、止まる。

「御坂お願い!ワタクシ上条当麻と一端覧祭、一緒に回っていただけませんかっ!」
(え?)
(私がお願いしようとしてたのに。)
(どういうことなの?)

上条が少しひきつらせながらも顔をあげる。
「・・・・・ダメ?」
「ダメじゃない。」
美琴の口は、勝手に答えていた。


建宮斎字は急遽ロンドンへ緊急連絡を行った。
「上条当麻が女子中学生にデートを申し込み、受領されたのよ!
 緊急対策室を設け、情報収集を開始する!
 MMR(Misaka?Mystery-Report)作戦開始なのよ!」
『なんだってーーーー!!』


・・・時は30分前にさかのぼる。
御坂美琴は眠れぬ一夜を過ごした。
それもこれも、前日夜に上条から珍しくメールが届いたためである。
『明日ちょっと相談したいことがある。昼メシでも食いながら、どうだ?』
もはや上条耐性0の美琴にはパニック状態である。
何とかメールをやりとりし、昼にファミレスで落ち合う事が決まったが・・・
それからは黒子に見つからないように布団にくるまりながら、
想像妄想モードで一人で赤くなったり青くなったりしつつ、一晩過ごすことになった。

(そ、相談って!メールではなく直接でないといけない事・・・?)
(一端覧祭一緒に回らないか?とか・・・きゃー、ないないっ!)
(い、いや、むしろイイことを期待してたらダメ。)
(アイツはいつもそーやって期待を裏切ってたじゃない!罰ゲームを忘れたの?)
(無理やり寮に誘ったことに怒ってるとか?)
(遠くへ行っちゃうことになったとか?)
・・・最後には壮大なストーリーを組み上げ、その中で悲劇のヒロインをやる始末。
そんなこんなしてるうちに、夜が明けたというわけである。

眠気が体の芯に残る。しかし、その中で今日のルールはしっかり決めた。
『できるだけ素直な返事をする事。』
今までは、「へぇ~、他の人じゃダメなの?」等といった余計な一言をいれて、
興味なさそうに答えることが多々あった。
もう今までと一緒では、ダメだ。
私は、変わるんだ!・・・少しずつでも。
美琴は気合をムン!と入れて、予定の場所へ向かった。


御坂美琴と上条当麻が会う予定となっているファミレスでは、
とある案件で日本へ来ていた天草式十字凄教の教皇代理・建宮斎字と脚線美・対馬が、
打ち合わせを行っていた。本来、日本での案件と言うこともあり、五和が投入される予定であったが、
風邪によりロンドンへ残り、代わりに対馬が来日した次第である。
「あれ?上条当麻ですよ」
対馬が入り口に現れた少年を素早く見つける。
眺めていると、4人テーブルに案内され、待ち人来たらずといった風情である。
「声かけます?建宮さん」「んー、様子見てみるのよ」

ほどなくして、女子中学生が入店したと思うと、上条当麻の前に座った。
「! この展開は・・・!」
「対馬、すぐ店員に言って席の移動を頼むのよ!内容を聞き取れる場所に!」
「わかりました!」


『悪いな御坂、突然』
『いいわよー、どーせヒマだったし』
『じゃ話はとりあえず後で、まず食いモンたのもーぜ。』
『んー、私ハンバーグ定食で。』
『女子中学生が昼間っからそれかよ!俺はチキン照り焼きにすっかな』
『私は育ち盛りだからお昼はきっちりエネルギーとることにしてるの!』

2人が他愛ない会話をしている間に、こっちの2人組も移動が完了し、
聞き耳モード体勢に入った。
周りに溶けこむことに関しては超一級とはいえ、頭を低くしてひそひそ声で話す。
「うーん、この子、前に電撃ぶつけてきた子に似てるのよな」
「エレクトロマスターって奴ですかね」
「ふむ。さて、注文は終わったようだが、・・・妙な緊張感がただよっているのな?」

『えーと、まず、だな。前はちょっとケガで気まずい思いさせて、すまなかったな。』
『私こそごめんね。無理させちゃって』
『血は出てたけどたいした事なかったからな、実際。こうやってもう包帯取れてるし。』
『今の治療技術であの出血はビックリしたけどね・・・』
『まあもう大丈夫だ。・・・・・・・・さて、本題だけどな』
『・・・うん』

上条はやおら両手をついて額をテーブルにこすり付け、美琴に絞りだすように言った。
『御坂お願い!ワタクシ上条当麻と一端覧祭、一緒に回っていただけませんかっ!』
建宮斎字と対馬は無言で顔を見合わせる。美琴も固まっている。
『・・・・・ダメ?』
『ダメじゃない。』
即答。

建宮斎字のMMR作戦が開始された。


『へ?』
『へ?って何よ。一緒に回るんでしょ。いいわよ。いきましょー。』
『えーと御坂サン?いつもだったら、何いってんの?とか、何でアンタなんかと!とか』
『まあ理由は聞かせてもらうけどさ。私も、まあ、その、お願いしようかな、と思ってたし』
『俺に?一緒に回ることを?』
『うん、黒子とかジャッジメントの非番の時しか一緒に回れないし、一人だとナンパがうっとうしいし』
『はぁー』
『だけどまあ動機が変だから、どう頼もうかなと考えていたとこでさ、うん、ちょうど良かった』

「どーも恋人って事ではないですが、相当仲いいんじゃないですかこれ?」
「そうなのよ。これはちょっと想定外のダークホースが現れたとしか言えんよな。」
その時建宮の携帯が振動する。香焼からのメールだ。建宮の表情が引き締まる。
「身元が分かったのよ。中学生で御坂といえば唯一らしい。御坂美琴、科学側の誇るLV5エレクトロマスター」
「LV5!?って軍隊を一人で退ける力を持つ、ってアレですか?どうみても普通の女子中学生ですが」
「さすが上条当麻よな。囲い込む人脈がハンパじゃねえ」


美琴は、純粋な素直さにはまだ遠いが、無理せず話せている自分に驚いていた。
ダメじゃない、と自然に口について出た言葉が、自分に勇気を与えたような気がする。
「それで、そっちの理由って何なの?」

「笑わずに聞いて欲しいんだが」
「うん?」
「カミジョーさんに人生最大のモテ期が来てるんですよ」
「・・・へ?」
「この1週間に3人から一端覧祭のお誘い、もしくは告白に近いものを」
「えーーーっ?」

上条の話を聞くと、こういうことらしい。
そもそも、先日の上条当麻が常盤台中学女子寮へ訪問した事が発端である。
御坂美琴が敵わない強さを持ち、さらに『恋人募集中』と言い残したことで、
一気に学内に上条の存在が知れ渡ったらしい。
常盤台中では最低ラインのLV3の女の子にとっては、最強の彼氏は逆転のステータスである。
お嬢様といえど積極的な子なら、勝負を仕掛けてきてもおかしくはない。

「そもそもアンタが力を見せびらかすからでしょーに・・・」
「それにはカミジョーさん、反論の余地ございません。でもなー」
「でも?」
「めったにない御坂をいじれるチャンスだったんで、つい調子に・・・」
「・・・!///」

ここで食事が来て、2人は食べ始める。
「でさ、一端覧祭一緒に回りませんか、と見知らぬ中学生から誘われても、嬉しい半面そりゃちょっとできないだろ」
「そりゃそうかもしんないわね」
「で・・・無理の無い断り方ということで、『御坂と回る予定だ』って返事してしまったわけなんです!スミマセン!」
「そういうことね。ま、いいわよ。寮での話がきっかけなら、連れてきた私が原因なワケだし、しょうがないわね」

「それでさっき告白に近いもの、とか言ってなかったっけ」
「それはだな、一端覧祭が一緒に回れないことは分かりました、じゃあ彼女に立候補はアリですか、と・・・」
「は、はは・・・(なんて積極的な・・・)」
「のらりくらりとかわしているつもりだったんだけどな、なかなか諦めてくんなくてさ」
「うんうん」
「そしたらペアリングとか、ペアストラップとか、何かペアのものだけでもお願いしますって来て」
「一方的な想い、でそんなの意味あんのかしら」
「で、『そういやペアといえば御坂と携帯のペア契約してたなあ、ははは』と話したら、青ざめて速攻消えてった」
「・・・!」

建宮斎字はロンドンへ緊急連絡!
「MMR速報!上条当麻と御坂美琴は携帯ペア契約状態であることが発覚!
 まさかまさかのペア契約を済ませてるのよ!」
『なんだってーーーー!!』


「これは五和、相当やばくないですか?」
「そうよな。上条とインデックスならばどちらかというと兄妹のような感じで、五和にも攻め様があったがな」


『しっかしお前モリモリ食うなあ。美鈴さんはしっかり食うのが一番って言ってたけどなー』
『母の言いなりも嫌だけどさ。でもダイエットでサラダばっかり、なんてゴメンだし』
『美鈴さんと同じように、健康的にパワフルに育ちそーだな、お前・・・』
『・・・今一瞬胸見たでしょ?』
『み、見てねえ!意識しちまうからそーいう事言うな!』

「MMR追加速報!上条当麻は既に御坂美琴の母親と知り合っている!
 しかも母親を下の名前で呼ぶという親密ぶり!」
『なんだってーーーー!!』


『そーいやアンタのとこ見る限り、ほんっと父親似よね。お母さんとは目ぐらいしか似てないんじゃない?』
『・・・とても嫌なことをおっしゃいますね御坂サン。顔はともかく性格には触れないでくれ』
『娘は父親に、息子は母親に似るって言うけど、逆ね、私達』
『御坂は父親とは似てないのか?』
『んー、どう見ても母親似だわねー。』

「MMR!御坂美琴も上条当麻の両親と顔見知り!
 ここまでアドバンテージに差がつくとシャレならんのよッ!」
『なんだってーーーー!!』


『それはそうと、2人で回るのって3回目になるのかしらねー。海原の時と、罰ゲームの時と。』
『・・・毎回普通に終わってない、な・・・』
『そうね・・・大体いつもアンタが私を放ったらかしにするせいだと思うけど?』
『カミジョーさんの、不幸の星に言ってくれ。しかし今回も妨害多そうだな・・・』
『今から何言ってんのよ』
『女子中学生と歩いてるとなれば、クラスからの総攻撃はもう間違いない。お前ホントに大丈夫なのかよ?噂とか立つかもだぞ』
『噂なんて気にするタイプに見える?LV5たるもの、中傷誹謗なんてもう慣れたものよ~』
『・・・強いなあお前は。ま、それだけに「あの時の涙」は貴重ってわけだな~』
『い、言うな馬鹿ッ!忘れなさいよっ!』

対馬は唸った。
「わたしのカンですけど、ここまで親密だと、その一端覧祭とやらで確定条件になりません?これって」
「非常に、非常にマズイのよ。これはもう五和は既成事実を作るしかないのよな・・・っと!」
建宮斎字は嫌な予感がした。ロンドンへすぐさま連絡を取り、
「肝心な事を確認してなかったのよ。・・・五和は寝てるのよな?聞いてないのよな?」
『最初から一緒に、「なんだってーーーー!!」、やってますよ・・・』
「・・・それで」
『「なんだってーーーー!!」以外は槍を念入りに研いでます。』


ドリンクバーに立つ美琴は、幸せメーターを振り切っていた。
(うわ~どうしよう、会話が気持ちよすぎてふにゃっとなりそう・・・)
実際、そろそろクールな顔を維持するのが厳しくなったのでドリンクバーに逃げてきたのである。
顔をぐにぐにとマッサージし、顔をほぐす。
その時ハッと思い当たった。

なんでアイツの口からあのシスターの話が出てこないの?

変だ。一端覧祭はあの子と回るということにしてしまえば、別に問題はないはずだ。
今回、美琴と回るのなら、あの子は来ないのか?あの懐き方からみて、それはない。まとわりつくはずだ。
ほぼ確実に、今、そして当分あのシスターはいないという事か。
アイツはイギリスへ行っていた。あの子絡みとしか思えない。
向こうで何かがあった?何か言えないことが?
そして今回のお誘いも。これならメールでも問題ない・・・
舞い上がっていた自分を抑え、冷静に見つめ直す。
・・・私は。


美琴は戻るやいなや、上条を押し込んで強引に隣に座った。
さらに上条の右手を両手で挟むように掴み、自分の膝上に置いた。
「み、御坂!?」
上条はいきなりの展開に真っ赤になる。

「私はアンタを信じていいんだよね?」
「え?」
「私を誘う理由としてはちょっと弱いし、あのシスターの事も話してくれないけど」
上条の顔を上目遣いでじっと見つめる。
「私は信じてるから。何が起こるのか分からないけど・・・守ってね?」

美琴は上条当麻の行動パターンを考えた末に、一つの結論にたどり着いた。
あの少年は誰かが助けを求めるとき、積極的に介入する。ならば。
今回、一端覧祭で私の身に何かが起こると確信めいたモノがあるのだ、と。

上条はしばし沈黙した後、口を開いた。
「は~、お前はホンット・・・頭が良すぎてかなわねーよ・・・」
「フフン。ま、私の方は何も考えず楽しませて貰うけどねー」
「ああ・・・”今度こそ”俺は守るべき人を、守る」
「私もおとなしく守られる気はないけどね♪」
おそらく、あの子を完全に救えなかったか何かで、悔恨の念があるのだろう。

「よしっ!じゃあそろそろ出よっか。ゲーセンでも行く?」
「おぉっし。久々だし、行くか!」


対馬はつぶやいた。「強すぎる・・・」
建宮斎字はメールをロンドンに向けて飛ばす。
「MMR作戦第一次最終報告。御坂美琴はハンパねえイイ女だ。
 力も心も最高レベルに仕上がってる。
 五和、ただ好きだなんてレベルじゃ太刀打ちできねえ、心してかかるのよ!」

Misaka?Mystery-Report改め、MisakaMikotoReportは、今後も版を重ねてゆく・・・


Fin.

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