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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/4スレ目ログ/4-653 - (2010/02/21 (日) 13:01:05) のソース

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「ちょっと! この子は渡さないって言ってんでしょ!」
御坂美琴は街中を走る、小さな少女を抱えて。
その後ろを追う猟犬部隊≪バウンドドッグ≫を含む多数の暗部残党達だ。
人込みの多い大通りを走り、追っ手の追跡を撒こうとしている、
超電磁砲≪レールガン≫の異名を持ち強度≪レベル>>5の彼女が戦わず逃げているのは、
彼女の腰に両腕を巻き付け、茶色の短髪に一房の癖毛、体格は小学生といった少女の為である。
「ママ~なんでカミナリ出さないの?」
(……私だって出したいけど、引っ付かれているとこの子にも電気が走っちゃうし……こんな時にあの馬鹿何所に居んのよ)

「ったく! 何でゾロゾロ湧いてくんだよ! 数が多すぎだっての!」
上条当麻も走っている、後ろには美琴ほどでは無いが残党達が追いかけ、更に手には銃器らしき物を所持している。
こちらは幸いなのか人が居ない通りの為、彼らを見て騒ぎ立てる人が居ない。
(……御坂の方は大丈夫なのか? さっさと撒かないと合流場所にいけねぇ!)


「ハァハァ……もうダメ……もう走れない」
上条と良く出会ういつもの公園のベンチに、美琴は座り膝の上に少女を乗せる。
混雑している人込みや、電車、バスなどを乗った振りをして降り、追ってを減らし、ようやくこの場所まで辿り着いたのだ。
「どうしてあの人達追いかけてきたの?」
息を乱して上半身全体で呼吸している美琴に少女は首を傾げながら問いかけてくる、その動作は愛らしくいとおしい。
まだ会話出来る程呼吸が整っていない美琴は笑みを見せ、これまでの事を振り返った。

大元は一週間ほど前になるだろうか、

「私、美零≪みれい≫。パパとママの娘だよ~」
数日前に突然現れ、上条当麻と御坂美琴の娘と告げる少女『上条美零』と奇妙な共同生活をしている。
主な生活場所は上条当麻のアパート、しかし欠席日数が多い当麻は学業面での問題により休む事が出来ず、
朝から夕方までは学校、夕方からは美琴、美零と共に買い物に夕食といった生活を。

美琴は、当麻と美零を引き連れ常盤台中学と寮監に事情を説明しに行くも、すぐに『ハイ、判りました』とは行かず、
「許可を得られないのなら、私は!」と啖呵を切ろうとした事で真意を悟って貰えて、美零が未来に戻るまでの共同生活と休学許可が下りた。
それからは当麻のアパートで寝泊りし、朝は当麻達と朝食を取り、当麻を送り出し、午前と午後は掃除やら洗濯等を行いながら美零の相手をし、
夕方当麻が帰る頃に二人で迎えに行く。

言って見れば新婚生活に近い、数日程はお互い照れも有り不自然だった対応も、慣れると正に夫婦のような日々を過ごしていた。
そして今日、日曜日にいつもお世話になっている、通称『カエル顔の医者』と呼ばれる医者の元へ当麻の検診と美零の健康診断を行う為に向かっていた。
「ママとパパと美零でお出かけ~」
その道中、車道を通っていた車が当麻達の傍で爆発しその騒ぎの際、三人に学園都市の暗部残党が現れ美零を奪おうとした為、
美琴は電撃を、当麻は素手で挑むが数が多く美零の身を案じて、美琴は『電撃の槍』や『超電磁砲』の類が使えず、軽い放電の類を駆使するも、
対処しき切れず、当麻も数を武器にした相手にジリ貧になり、美琴と美零を先に逃がし、その後自らも美琴との追いかけっこで鍛えた持久力を使い逃走した。

美零が来た頃に、何かあったらいつもの自動販売機がある公園で合流する事を決めて、正解だったと呼吸が整ってきた美琴は安堵している。
「ママ~? 何所か辛いの?」
「ううん走りすぎて、ちょっと疲れただけ、ありがとう……美零」
心配そうに美琴の膝元で体勢を変え、向かい合う形で顔を覗き込んできた美零を、優しく抱きしめながら撫でてやる美琴の傍で、
草むらが動き美琴は咄嗟に美零をベンチに座らせ、ポケットに右手を突っ込み『超電磁砲』を放つ体勢を取る――だが、
「……待った待った! 俺だ、俺!」
現れたのは全身ボロボロの当麻だった、至る所に生傷を作っており右腕からは大量に出血している。
「……当麻! その傷! 右腕の出血も!」
「パパ! 大丈夫?! 死んじゃやだよ!」
当麻の格好を見て、二人は思い思いを口に出すと駆け寄り、美零は泣き叫ぶようにシャツを掴み、
美琴は傷口を確認し、手持ちのハンカチで出血の多い右腕を止血するも、涙を瞳に溜めている
「バカ! 当麻が居なくなったら私達どうすれば良いのよ! もう少し考えなさいよ……」
止血し終えると涙を流しながら、当麻を叱るように叫ぶが、最後の言葉は消え入るような悲しみが込められている。
二人の反応に当麻も顔を曇らせ左手で美琴を抱き寄せ、美零が二人の間に抱き付き「ごめん」と当麻は二人に囁いた。

三人は病院に辿り付き、院内に入ると到着が遅い事に心配して、カエル顔の医者がロビーで待っていた。
「やぁ、遅かっ――上条クン?!」
驚きを隠さず診察室へ連れて行き、傷の消毒、ガーゼによる止血等を美琴も手伝い、流れるような作業は短時間で終わった。
「ふぅ……もう大丈夫だね? 右腕の傷は酷い有様だからしばらくは無茶はしちゃいけないよ?」
「ハイ、いつもすみません先生」
左手で後頭部を掻く当麻に美琴は安堵したのか、診断用のベットで横になって眠ってしまった。
心配と疲れを押さえていた緊張が解けたのだろう。
美零はカエル顔の医者の裾を掴み、「パパを助けてくれてありがとうカエルさん」と満面の笑顔でお礼を言うと、頭を撫でてもらっていた。
「この子が連絡にあった、未来から来た娘さんだね? たしかにお母さんソックリだね?」
当麻の顔を見た後、美零の顔を見て笑みを表した後、ナースを呼び、美零とカエル顔の医者は一緒に別室での診察に向かった。
もちろん「パパとママと離れるは嫌ァァァ」と美零が泣き叫ぶので、当麻が頭を撫で「パパ達は待ってるからちゃんとお医者さんの言う事聞いて、終わったらご飯食べような」とあやし付ける。
渋々納得し「早く戻ってくるからね~」と告げた後、カエル顔の医者と出て行った。

扉が閉まった後、当麻は美琴が寝ている診察用ベットの前にある椅子に座り直し、スヤスヤ安心して眠っている眠り姫の頭を撫でながら「ごめんな」と呟く、
いつもの事とはいえ、二人に心配させてしまったことには変わりない、当麻の中にある自責の念が強くなっていると、
「……また深く自分追い込んでんじゃないわよ」
そっと瞼を半分だけ開け、上半身を起した後、美琴は当麻の背中に腕を回し抱きしめた。
「当麻は心配させたけど、私達を"守った"これだけは間違いないわ、だから深く自分を責めなくてもいいの」
優しい声色が耳元で囁かれ重荷が軽くなって行くと思ったら、涙を流している事に気づく当麻に、美琴は涙を拭ってあげている。
「公園の事は少し言いすぎたわ、当麻の心を傷つけちゃった……」
今度は美琴の方が涙を流し始め、当麻が涙を拭き取り強く美琴を抱き締める。
「バカだな、俺に悪い所があったのと、叱るほど心配してくれた証拠じゃねぇか」
そっと抱き締めていた体を放すとお互いの顔がゆっくりだが、近づて行き唇と唇が触れ合う――瞬間だった。
「終わったよ!パパ~ママ!」
診察室の扉が勢いよく開かれ、カエル顔の医者とナース数名と、
二人が来た事を知らされ挨拶来た御坂妹、診察を終えハイテンションで戻ってきた美零が、二人の衝撃的シーンに立ち会っていた。

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