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第三章
「冷静に考えれば……なんで御坂は」
原点に戻った。
御坂はあれでも義理堅い奴で理由ぐらいは言ってきそうなモノだ。
上条は病院のベッドで、一人考えていた。
よく思い出すと、別れを切り出された前日。
少し元気がなく、常盤台を転校して柵川中学に転入したいと言って相談を受けた。
理由は教えてくれなかったが、常盤台でイジメられているのかと心配した。
「何故転校したいなんて……」
理由を知るのは白井黒子か。
話を聞きたいと言って、点滴を無理矢理外して2階から飛び降りた。
しかし病院着じゃ目立つので、上条は財布の残金を確認してリサイクルショップへ向かった。
*
「誰ですの」
黒子は電話先の者に確認をとったが、返事はない。
切ろうかとした時、若い女の声が電話先から聞こえてきた。
『白井黒子か。私はレイヴィニア=バードウェイ。一つだけ相談があった。
第三位……御坂美琴と上条当麻の話だ』
黒子は携帯電話を握りしめて次の言葉を待った。
『結論だけ言おう。状況は最悪だ。
量産能力者計画の種でしかなかった捨て駒の第三位がここに来て世界の重要人物にピックアップ。
世界をも左右する上条当麻の制御の鍵は第三位、御坂美琴だよ。
それこそ『メインプラン』とやらに入っている第一位とは比べ物にならないほどのな。
知ってるか、上条当麻は病院を抜けだしたぞ。
白井黒子。この世界を守れるのはお前だけだぞ。
一言だけで言う。『上条当麻と御坂美琴を会わせるな。世界が終わるぞ』」
*
同時刻、上条は鉄橋にて御坂美琴と対峙していた。
リサイクルショップで買った500円相当の古着を着集め、適当にズボンとパーカーを買ってそのまま着ていた。
対する御坂はというと、数十万もする制服を着こなしていた。
ここで対峙するのは半年ぶりだ。
「御坂、なんで……」
「ごめんね、あの世でまた『愛し合おう』」
その瞬間、音速を超える弾丸を上条を貫いた。
処理速度云々なんて問題じゃなかった。
反応できなかった。右手だったモノの肉片はコンクリートに散らばり、噴水のように血液が噴射している。
二発目、御坂はゲームセンターのコインではなく、適当に拾った鉄の塊。
そう、車という名の弾丸を指で弾く動作もなく音速の三倍で発射した。
コイン一枚でビルをも貫くその威力を車で再現し、そしてたった1人の無能力者に向けられ発射された。
しかし、車はペシャンコになって、そしてオカルトとも言える現象を起こして車は消えた。
上条の左手に書かれた妙な陣。
「これが、魔術だ」
当然、その報いは受ける。
血管や内蔵を破裂された上条は眼球を破壊して、右足がもげて、腎臓が潰れて。
そんな中でも彼は叫ぶこと無く、ニッコリと微笑んだまま、御坂に近付いて行く。
「……クッ!」
御坂は電撃を浴びせた。ハズだった。
しかし再び魔法陣が光りだすと誘電力場の様に電撃が逸れて、上条の内臓が潰れていく。
これが魔術。
量子論で組み込まれた能力とは違う、才能の無いモノの為の異能。
「これは『グランスカランの兵器』。耐最強対策の魔術。さっきのは『威力相殺陣』。威力を減らすための魔術」
御坂の目的には適っていた。
それはもうすぐ達成される。
何もしなくても電気を浴びせるだけで勝手に。
しかし目的を完遂できない。
これが『愛』であり『情』だ。
不覚にも彼女は思ってしまった。
願いがひとつ叶うなら、どうか彼の近くで、側で温もりを、和らぎを感じたい。
あの公園の景色の中で、二人で夢見たあの未来を思い浮かべて。
しかし、それはもう叶わない望み。
「……私ね。親を人質に取られてるの。実際にそうではなくていつでも殺せるぞって。
『上条当麻を殺せば、親を殺さない』なんて事言われて、最初は報復に行こうと思ってけどママが怪我をしたらしいの。
だから、本気なんだって。私はアンタを殺して親を守る。保身に走った私を憎んでくれもいい。哀れんでもいい。
悪口なら、あの世で幾らでも聞くから」
「御坂……」
御坂はコインを指の上で弾いて、音速の三倍で射出した。
しかし、そのコインは上条に届くことは無かった。
無意識上で、コインを曲げて上条を生かした。
それが甘い証拠。殺すと宣言したはずなのに。殺せない。
「御坂、俺はお前のこと愛してるからな。だから、俺に任せろ」
「……っ!」
御坂はヘタリを座り込んだ。
妹達の時に助けてもらった。
でも、今回ばかりは泣き叫んで飛んできたヒーローを殺すヒロインとなった。
殺せなかった。
上条当麻は立ち上がる。そして座り込んだ御坂を見て言った。
「絶対、諦めない」
愛することを教えてくれた彼はもういない。
愛することを教えてくれた彼女はもういない。
この痛みは、忘れない。
この痛みは、忘れない。
俺と君、過ごした意味がいま、心に灯る。
私と君、過ごした意味がいま。心に灯る。
――次の季節を超えたその先に、春は見えるから
俺は歩き出すんだ。君と誓った『一生かけて守ってやるから』という言葉だけを抱いて……
私は歩き出すんだ。君と誓った『一生かけて愛して応援する』という言葉だけを抱いて……
「世界が動き出したか。さて、幻想殺しを失った上条当麻はどうなるか」
*
「はたまた、超電磁砲を手に入れた上条当麻はどうするか」
上条当麻は動き出した。
御坂美琴を守り通すという約束だけを胸に秘めて。
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第二章 秋は更けて冬を越え、春が始まる
「貴女……またネットゲームしてましたわね」
「し、してませんよ!依頼通りカミジョーさんの事を調べてたんですよ!」
黒子は信用してないのか、パソコンに付いていたイヤホンを引き抜くと、大迫力のBGMが聞こえてきて「ハハハ」と初春は乾いた笑みを浮かべてすみません!と謝った。
しかし上条の事は調べてあったのか、プリントアウトした資料を黒子に渡した。
とある高校の一年生で能力は国家機密レベルらしく、初春でも踏み込めないらしい。
住所なども全て記述してあって文句ない資料だったのだが、住所以外にも知りたいことがあった。
そんな事を考えていた時、佐天涙子がドアを勢い良く開けて「こんにちわー!」と叫んだ。
「佐天さん、ちょうど良かったですの。この人に見覚えはなくて?」
「……誰?カミジョートーマさん?聞いたこと無いなー」
佐天は頭の描く動作をしながら、資料を机の上に置いた。
手掛かりは無く、上条に直接聞くしか無い。
黒子はドアを開けて、外に出た。
ココからそう遠くはない寮に住んでいたが過去に火事があった寮なのを思い出した。
テレポートを繰り返しながら数十秒で着くと、インターフォンを押した。
しかし、出る気配がない。数回押すが誰も出てこないので黒子は家の中にテレポートした。
(な、なんですの?コレはッ!?)
目の前に広がる光景は皿が散らばり、綿埃が舞う部屋の真ん中で痩せ細り、不気味に眼球だけ動く上条の姿だ。
窓ガラスにはガムテープや新聞紙が貼られて、携帯電話や受話器は水に付けられていた。
「……るい、上条さん」
「……白井、黒子」
「何がありましたの?この有様は」
「………なん、にも無い。帰れ」
コンクリートを削るような低くお腹に響くような声だった。
冬場だというのに、生暖かく、そこら中に赤い液体が……?
そう思った黒子は上条の胸ぐらを掴んで、右手を見た。
皿の破片が刺さっていたのだが、既に固まっていた。自殺行為だと思いながら上条をテレポートさせようと演算したが……
(そうでしたの、この方にはテレポートは効かなかったのでしたわね)
1人では持ち運べない黒子はドアをテレポートさせて、救急車を呼んだ。
10分やそこらで救急隊員が来て、上条の様子と部屋の有様を見て「酷い……」と呟いて病院へ搬送した。
あと一日でも発見が遅れていたら死んでいたらしい。
脱水症状と、栄養失調。そして精神病。
「初春。佐天さんを連れて第七学区の大通りにあるカフェに集まってくださいな」
『へ?カミジョーさんはどうしたんですか?』
「そのことも含めてお話致しますの」
*
「で?カミジョーさんはどうしたんですか」
「……上条さんは精神が極限状態となり、現在搬送されましたの」
黒子は続けた。
「最近、お姉様の様子がおかしい。その理由は上条さんにあり、二週間ほど前からお姉様と上条さんは男女としての交際をしていたらしいですわ。
しかし一週間ほど前、お姉様が上条さんとトラブルがあったのか落ち込んで帰って来ましたの。
いつもなら気持ち悪いほど携帯電話にへばり付いているお姉様が一度だけメールを送って、そのままに」
「その理由が何なのか、ですねー」
佐天はパフェを頬張りながら不可解な御坂の動きに疑問を持っていた。
「お姉様、が何かあったのかもしれませんわね。上条さんを脱水症状と栄養失調にならせる何か」
その時だった、黒子の携帯電話に一通の着信があった。
見覚えのない番号だった。
「……もしもし?」
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