「上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/3スレ目短編/632」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/3スレ目短編/632」(2010/03/14 (日) 09:21:59) の最新版変更点
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明日は2月14日。 年に一度、女の子たちが勇気を振り絞る日。
『バレンタインデー』だ。
常盤台のお嬢様である御坂美琴は周囲が色めき立つ中、バレンタインチョコ売り場で右往左往している。
美琴は人当たりの良さと通っている学校が女子校という事もあって今まではチョコを貰う立場であったのだが今年は違った。
(あいつ確か手作りが欲しいとか前言ってたし、やっぱり売り物より作ったほうが嬉しいのかしら)
うーんうーんと売り場の前でぐるぐると挙動不審である。
(でも、今まで誰かにあげるなんてことなかったしどうやって作ればいいのかしら…)
14年間今の今まで誰かにチョコを上げるなんて事をした事のない美琴。
それもそのはず去年までは恋愛なんて事を一度もした事なかったからである。
後輩である黒子に聞くのも癪である。かといって親である美鈴に聞いてもからかわれるだけだろう。
知り合いに聞くと何だか誰にあげるのか聞かれそうだのなんだので結局誰にも聞けるような人がいなかった。
(あ、そうだ携帯端末で調べて作れば!そうよその手があった。そうと決まれば材料を買って作らなきゃ)
何を作ろうかなと思った所で売り物のトリュフに目がとまった。
美琴は材料を買い、誰もいないのを見計らって調理場で準備をする。
「よし!頑張ろう!」
チョコは作った事がないものの多少料理の心得はあるので携帯端末に載っている情報を見る。
(生クリームをホイップ。チョコを湯煎で溶かした後生クリームを混ぜて冷やしたら形作るだけね。うん出来そう)
そうして美琴はチョコを作り始めた。
途中生クリームを入れ過ぎただの形作るのにちょっと手間取って多少不格好な形になってしまったものの初めてのチョコを作る事が出来た。
「で、できた!後はラッピングするだけ…」
綺麗にラッピングして片付け終わった時調理場に誰か入ってきた。
「誰かいますの?ってあら、お姉様こんなところで何を?」
「く、黒子!?いや、別になんもないのよ?」
あははと苦笑いして先程のラッピングしたチョコを後ろに隠す。
「?何でも寮監が見周りなさってるそうなので早めにお戻りなされた方が」
「う、うん、すぐ戻るから先に行ってて」
また調理場は一人になった。
美琴は改めて初めて作ったチョコを見て
「えへへ。あいつ喜ぶかしら?」
明日の事を思い笑みが止まらなかった。
2月14日。バレンタインデー。
美琴は学校帰り先日作ったチョコを鞄の中に入れて上条を探す。
渡した後どんな顔するだろうか?かなり喜んでくれるだろうか?そんな思いで美琴は胸一杯だった。
とそんなこと考えていると先に見知った顔のだらけた少年が見える。
やたらと大きい袋と体中ボロボロなのが気にかかったが声をかける。
「ねえねえ」
しかし相変わらずの無反応。いつもの事なので我慢して2回目呼んでみる。
「アンタよアンタ!聞こえないの!?」
いつもいつもこいつはわざとやってるんじゃないだろうか?と流石に苛立ち電撃を放つ。
「うおっ!!あぶねえだろうが!!いつもいつもいきなり!」
「いきなりじゃないわよ!ちゃんと呼んでるのに無視する方が悪いんじゃない!」
「へ?呼んでた?そりゃ、まぁ、悪かった。でも今日の上条さんはいつも以上に不幸なのでこれ以上電撃はしないでくれると助かります」
「そういえば、そんなボロボロでどうしたのよ」
「いや、俺にもよくわかんなくてさ。土御門の奴がいきなり『いつもいつも頼まれる方になってみるにゃー!』とかわけわかんない事言ってクラスの男子達からは『我らが怨敵を葬り去れ!』とか言って全員からリンチ貰うし、女子からはなんかずっと睨まれるしもう災難だ…」
正確には何人もの女子から土御門に対して『上条君にこれ渡して欲しいの』と本命チョコを渡すよう手伝われ、その事が男子中に広まり、女子達が本命チョコを上げた後の上条の反応が気になって仕方がないという状況である。
「で、その袋は?」
「あぁなんか土御門がさ『義理の義理の義理チョコを手渡すよう頼まれたから渡しとくにゃー!』とかなんかキレられながら渡された」
「ふうん」
と美琴は袋の中を見ると。どう見ても殆どが明らかに本命である事が見てわかる。
中にはかなり凝ってそうな物まで見え、昨日初めて作ったチョコが霞むのではないかと思える程だった。
チクッと胸の奥が痛む。
本当にその土御門を通してだけで貰ったのだろうか?誰からも手渡しで本命を貰っていないのか?そんな思いがぐるぐる回って美琴はどんどん落ち込んでいく。
「まぁでも義理貰えただけでもうれしいけどなーって御坂どうした?何か顔色悪いぞ?」
「う、ううん別に何でもないの」
こんな物渡したところであの一杯あるうちの一つだけとしか認識されないだろう。
渡した所で何も変わらない。
「何でもないわけねーだろ!だったら何で泣いてんだよ」
「え…」
自分が泣いていた事にびっくりして鞄を落とす。
「でも本当に何でもないの。気にしないで」
そう言って鞄を拾おうとしたとき目の前の事に愕然とする。
鞄を落としたときにラッピングしたはずのチョコが地面にばら撒かれているのを見て。
「そん…な…」
「どうしたって…あ…」
もはや美琴は何も言う事が出来なかった。何でこう上手くいかないんだろう。
我慢していたのに気づいたら年甲斐もなくぼろぼろと泣いてしまっていた。
上条は何を言う事もなく美琴に胸を貸してずっと頭をなでてやった。
ようやく落ち着いたのかぐすっと鼻をすすって胸から顔を離した。
「あの…さ。誰にあげるのかとかわかんないけど、思いを伝えるのってチョコだけじゃないだろ?だからさ…その、チョコの事は残念だったけどちゃんと言えば伝わるんじゃないのかな」
「…うん」
「あ、いや、悪い関係ないのに偉そうに言っちまったな」
「ううん、大丈夫。ちゃんと言えば伝わるのかな…?」
「ああ、伝わると思うぞ」
結果まではどうなるかわかんないけどと頼りない返事が返って来る。
「そっか」
美琴は大きく深呼吸する。
そして小さいけど確実に聞こえるよう伝える。
「あの…ね。あのチョコ。アンタにあげるつもりだったの」
「え?」
「だから…好きなのはアンタって事!」
「えっと、御坂が俺の事を好き?」
「いちいち言わないでいい!」
「あ、えっと。告白すげえ嬉しい」
上条は突然の告白に顔が真っ赤になっている。どうやらようやく自分を一人の女性として見てくれたのかと思うと少し嬉しい。
「返事は別にしなくていいわよ…この関係壊れちゃうのも嫌だし」
「いや、待て。俺もその、お前の事…」
その返事を聞いた瞬間心臓が一気に跳ね上がる。まさか本当に?
「好きかもしれない」
一気に心拍数が元に戻っていく美琴。
「…かもって何よ」
「い、いや、俺としても告白なんて初めてだしお前は今まで友達として見てたからまさか好きだなんて思わなくてさ…」
「そ、そうなの」
「とりあえず。これ…俺のだよな」
と上条が指をさした方を見ると地面に転がったチョコがある。
「そうだけど…なんで?」
「じゃあ貰うぞ」
と地面に落ちたチョコをひょいっとつまむと食べ始めた。
「ちょ、ちょっと地面に落ちたのなんて…」
「別に大丈夫だろ。美味いぞこれ」
卑怯だ、と美琴は思う。こいつのこういう行動一つ一つが"好き"という感情をどんどん作り上げていったのだろう。
だから、ちょっとくらい悪戯してもいいよね。
美琴は上条の前に立って背伸びして口づけた。
初めてのキスはチョコの味がした。
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*勇気を振り絞ったその先に
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明日は2月14日。 年に一度、女の子たちが勇気を振り絞る日。
『バレンタインデー』だ。
常盤台のお嬢様である御坂美琴は周囲が色めき立つ中、バレンタインチョコ売り場で右往左往している。
美琴は人当たりの良さと通っている学校が女子校という事もあって今まではチョコを貰う立場であったのだが今年は違った。
(あいつ確か手作りが欲しいとか前言ってたし、やっぱり売り物より作ったほうが嬉しいのかしら)
うーんうーんと売り場の前でぐるぐると挙動不審である。
(でも、今まで誰かにあげるなんてことなかったしどうやって作ればいいのかしら…)
14年間今の今まで誰かにチョコを上げるなんて事をした事のない美琴。
それもそのはず去年までは恋愛なんて事を一度もした事なかったからである。
後輩である黒子に聞くのも癪である。かといって親である美鈴に聞いてもからかわれるだけだろう。
知り合いに聞くと何だか誰にあげるのか聞かれそうだのなんだので結局誰にも聞けるような人がいなかった。
(あ、そうだ携帯端末で調べて作れば!そうよその手があった。そうと決まれば材料を買って作らなきゃ)
何を作ろうかなと思った所で売り物のトリュフに目がとまった。
美琴は材料を買い、誰もいないのを見計らって調理場で準備をする。
「よし!頑張ろう!」
チョコは作った事がないものの多少料理の心得はあるので携帯端末に載っている情報を見る。
(生クリームをホイップ。チョコを湯煎で溶かした後生クリームを混ぜて冷やしたら形作るだけね。うん出来そう)
そうして美琴はチョコを作り始めた。
途中生クリームを入れ過ぎただの形作るのにちょっと手間取って多少不格好な形になってしまったものの初めてのチョコを作る事が出来た。
「で、できた!後はラッピングするだけ…」
綺麗にラッピングして片付け終わった時調理場に誰か入ってきた。
「誰かいますの?ってあら、お姉様こんなところで何を?」
「く、黒子!?いや、別になんもないのよ?」
あははと苦笑いして先程のラッピングしたチョコを後ろに隠す。
「?何でも寮監が見周りなさってるそうなので早めにお戻りなされた方が」
「う、うん、すぐ戻るから先に行ってて」
また調理場は一人になった。
美琴は改めて初めて作ったチョコを見て
「えへへ。あいつ喜ぶかしら?」
明日の事を思い笑みが止まらなかった。
2月14日。バレンタインデー。
美琴は学校帰り先日作ったチョコを鞄の中に入れて上条を探す。
渡した後どんな顔するだろうか?かなり喜んでくれるだろうか?そんな思いで美琴は胸一杯だった。
とそんなこと考えていると先に見知った顔のだらけた少年が見える。
やたらと大きい袋と体中ボロボロなのが気にかかったが声をかける。
「ねえねえ」
しかし相変わらずの無反応。いつもの事なので我慢して2回目呼んでみる。
「アンタよアンタ!聞こえないの!?」
いつもいつもこいつはわざとやってるんじゃないだろうか?と流石に苛立ち電撃を放つ。
「うおっ!!あぶねえだろうが!!いつもいつもいきなり!」
「いきなりじゃないわよ!ちゃんと呼んでるのに無視する方が悪いんじゃない!」
「へ?呼んでた?そりゃ、まぁ、悪かった。でも今日の上条さんはいつも以上に不幸なのでこれ以上電撃はしないでくれると助かります」
「そういえば、そんなボロボロでどうしたのよ」
「いや、俺にもよくわかんなくてさ。土御門の奴がいきなり『いつもいつも頼まれる方になってみるにゃー!』とかわけわかんない事言ってクラスの男子達からは『我らが怨敵を葬り去れ!』とか言って全員からリンチ貰うし、女子からはなんかずっと睨まれるしもう災難だ…」
正確には何人もの女子から土御門に対して『上条君にこれ渡して欲しいの』と本命チョコを渡すよう手伝われ、その事が男子中に広まり、女子達が本命チョコを上げた後の上条の反応が気になって仕方がないという状況である。
「で、その袋は?」
「あぁなんか土御門がさ『義理の義理の義理チョコを手渡すよう頼まれたから渡しとくにゃー!』とかなんかキレられながら渡された」
「ふうん」
と美琴は袋の中を見ると。どう見ても殆どが明らかに本命である事が見てわかる。
中にはかなり凝ってそうな物まで見え、昨日初めて作ったチョコが霞むのではないかと思える程だった。
チクッと胸の奥が痛む。
本当にその土御門を通してだけで貰ったのだろうか?誰からも手渡しで本命を貰っていないのか?そんな思いがぐるぐる回って美琴はどんどん落ち込んでいく。
「まぁでも義理貰えただけでもうれしいけどなーって御坂どうした?何か顔色悪いぞ?」
「う、ううん別に何でもないの」
こんな物渡したところであの一杯あるうちの一つだけとしか認識されないだろう。
渡した所で何も変わらない。
「何でもないわけねーだろ!だったら何で泣いてんだよ」
「え…」
自分が泣いていた事にびっくりして鞄を落とす。
「でも本当に何でもないの。気にしないで」
そう言って鞄を拾おうとしたとき目の前の事に愕然とする。
鞄を落としたときにラッピングしたはずのチョコが地面にばら撒かれているのを見て。
「そん…な…」
「どうしたって…あ…」
もはや美琴は何も言う事が出来なかった。何でこう上手くいかないんだろう。
我慢していたのに気づいたら年甲斐もなくぼろぼろと泣いてしまっていた。
上条は何を言う事もなく美琴に胸を貸してずっと頭をなでてやった。
ようやく落ち着いたのかぐすっと鼻をすすって胸から顔を離した。
「あの…さ。誰にあげるのかとかわかんないけど、思いを伝えるのってチョコだけじゃないだろ?だからさ…その、チョコの事は残念だったけどちゃんと言えば伝わるんじゃないのかな」
「…うん」
「あ、いや、悪い関係ないのに偉そうに言っちまったな」
「ううん、大丈夫。ちゃんと言えば伝わるのかな…?」
「ああ、伝わると思うぞ」
結果まではどうなるかわかんないけどと頼りない返事が返って来る。
「そっか」
美琴は大きく深呼吸する。
そして小さいけど確実に聞こえるよう伝える。
「あの…ね。あのチョコ。アンタにあげるつもりだったの」
「え?」
「だから…好きなのはアンタって事!」
「えっと、御坂が俺の事を好き?」
「いちいち言わないでいい!」
「あ、えっと。告白すげえ嬉しい」
上条は突然の告白に顔が真っ赤になっている。どうやらようやく自分を一人の女性として見てくれたのかと思うと少し嬉しい。
「返事は別にしなくていいわよ…この関係壊れちゃうのも嫌だし」
「いや、待て。俺もその、お前の事…」
その返事を聞いた瞬間心臓が一気に跳ね上がる。まさか本当に?
「好きかもしれない」
一気に心拍数が元に戻っていく美琴。
「…かもって何よ」
「い、いや、俺としても告白なんて初めてだしお前は今まで友達として見てたからまさか好きだなんて思わなくてさ…」
「そ、そうなの」
「とりあえず。これ…俺のだよな」
と上条が指をさした方を見ると地面に転がったチョコがある。
「そうだけど…なんで?」
「じゃあ貰うぞ」
と地面に落ちたチョコをひょいっとつまむと食べ始めた。
「ちょ、ちょっと地面に落ちたのなんて…」
「別に大丈夫だろ。美味いぞこれ」
卑怯だ、と美琴は思う。こいつのこういう行動一つ一つが"好き"という感情をどんどん作り上げていったのだろう。
だから、ちょっとくらい悪戯してもいいよね。
美琴は上条の前に立って背伸びして口づけた。
初めてのキスはチョコの味がした。
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