とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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だれでも歓迎! 編集

大切なメガネ 1



―とある高校の昼休み―

「青ピ、この本でおすすめの子は誰にゃー?」
「せやなー、やっぱりこのメガネっ娘とかええんちゃう?どうや?かみやん、この子とか可愛いと思うで?」
「んー俺はこっちの巨乳の方が…」
「おぉ!この吹寄似のメガネっ娘かにゃー!」
「………」
「あ…つっちー、かみやん…後ろ…」
「「え?…あああああああああああああああああ!!!!!吹寄いつのまにィィィィ!?!?」」
「お前達…本ッ当に死にたいようだな?」
「「「すいません!すいません!許して下さいィィィィ!!!!」」」
「問答無用!」

バコン!バギン!ドズン!

――――――――――――――――――――

「あー痛てて…本当、吹寄は容赦ねぇなぁ…」

ある秋の日の事、上条当麻は頭を擦りながら、いつものように補習を終わらせ、友人であり隣人でもある土御門と帰っていた。

「本当にそうだにゃー、もっと手加減して欲しいぜよ」
「あぁ、まったくだ」

ゆっくりと歩いていると、土御門が何か思い出したように話し掛けて来た。

「そうだ、かみやん、青ピに見せてもらった本の女の子は全員メガネ掛けてたよな?」
「ん?あぁ、そうだな」
「ふと思ったんだが、インデックスや常盤台の超電磁砲がメガネを掛けてたらなかなか良いと思うんだがどうにゃー?」

上条は想像する。インデックスと美琴がメガネを掛けたらどうなるか。二人とも元が良いのでかなり似あうな、と思う。

「確かにいいけどあの二人がメガネを掛けるときがあるのか?二人とも眼は良いだろうしな」
「かみやん、最近は「おしゃれメガネ」なるモノがあるぜよ。これはあくまでも、ファッションの一つだから二人が掛けても問題ない」
「へぇ、最近のファッションなんて上条さんは少しも知りませんからねぇ…」
「ま、二人に会ったら言ってみたらどうにゃー?」
「そうだなー」

じゃ、俺は特売があるんで。と上条は土御門と別れていつものスーパーに向かっていた。

「あ、アンタ!ちょっと待ちなさいよ!」

上条は頭の中で今日買うものを考える。

「待ちなさいってば!!!」

(うーん…今日は卵一人1パックに牛乳一人2本…ちときついな…)

「あぁ!もう待ちやがれっ!!!!」

ビリビリッ!と美琴が上条に電撃の槍を投げる。上条はのわぁ!っと驚きながら右手で電撃を消す。

「ちょ…御坂!あぶねぇだろ!本当マジで死ぬから!」
「あ、アンタが悪いんでしょ!いつもいつも無視して!」
「いつこの上条さんが無視したんですか!?まぁ、今は少し考え事してたけど!」
「ほ、ほらやっぱり無視したんじゃない!ひどいわ!」
「あぁ、もう!すいませんでした!なにかご用ですか!?」
「え、あ、あの、その…えっと…」

上条は目の前でさっきまであんなに怒ってた美琴が急にしおらしくなってるのを見て(腹でも痛くなったか?)などと思っていた。

「ん?どうした?大丈夫か?具合悪いのか?」
「だ、だ、大丈夫よ!元気100%よ!」
「ならいいけど…で、どうしたんだ?俺に用があって声掛けたんだろ?」
「え?あ、うん…あの、こ、これからスーパー行くんでしょ?わ、私も行ってあげる!」
「お!本当か!?ありがと~御坂、恩に着るぜ!」

上条は笑顔で美琴の両手を握り、ぶんぶんと手をふる。

(わわわわわ!!手握られてる…!手握られてるぅ…!)

美琴は顔を真っ赤に染めながら

「う、うん。じゃ、行きましょ?」

――――――――――――――――――――

アリガトーゴザイマシター

スーパーから出た二人はゆっくりと歩く。

「いやー、大漁!大漁!、これも御坂さんのおかげです!」
「この位だったら言ってくれればいつでも手伝うわよ?」
「いえいえ、本当にありがとな!さてなんかお礼をしないとな…何がいい?」
「え?お礼?別にいいわよ~、私が勝手にやったんだし」
「でもな………ハッ!?」
「ん?どうしたの?」

お礼…プレゼント…
(かみやん、最近は「おしゃれメガネ」なるモノがあるぜよ。)
そうか、おしゃれメガネを御坂にプレゼントすればいいじゃねえか!

「なぁ、御坂。お前メガネ掛けたら似会うんじゃね?」
「え?メガネ?」
「そう、メガネ。なんか最近おしゃれメガネが流行ってるって聞いてさ、お前なら似会うかなーと思って」
「おしゃれメガネか~、学校でも掛けてた人何人かいたなぁ~って、あ、アンタが私にくれるの?」
「あぁ!俺がお前に似会うメガネを選んでやるよ!」

お前に似会うメガネを選んでやるよ!…メガネを選んでやるよ!…選んでやるよ!…
かぁ~、と美琴は顔を真っ赤にしうろたえる。

「え、え、ええ、ええええええええええええええええ!?!?!?」
「え?嫌だった…か?」

美琴の叫びに負の感情を感じ、しょんぼりする上条に対して美琴は思わずキュンとするが呼吸を整える。

「つ、つまり、アンタが選んだメガネを、わ、私にくれるてこと?」
「そうだ!異論はないな?!」
「え、あ、うん、ない…」
「よし!じゃ、明日買ってくるからな!楽しみにしておけよ!」
「う、うん!」

上条は美琴が持っていたスーパーの袋を奪うようにとると駆け足で帰って行った。
一方、残された美琴は…?

「ふにゃー」

嬉し過ぎてへたれ込んだ。

大切なメガネ 2



―上条家―
「ふぅ…ただいまぁ」
「おかえりー!とうま!ごはん♪ごはん♪」
「おー、インデックスちょっとまっとけ~、今日は御坂が手伝ってくれたお陰で大漁だからな!」
「えー?短髪に手伝ってもらったの?」
「おいおい、今日のご飯が少し豪華になるんだぞ!その立役者たる、御坂をあまりけなすなよ。」
「ぶぅー」

上条は牛乳などを冷蔵庫に入れると早速米を研ぎ始める。

「あ、とうまー?」
「ん~?なにかね~?」
「明日はお休みでしょ?朝からこもえと一緒に出かけてくるんだよ!夜には帰るよ!」
「おー、わかったー、気つけろよー」

上条は炊飯器のスイッチを押し、フライパンを出しながら考え始める。

(明日は朝からインデックスがいないからゆっくり御坂に似会いそうなメガネを探しましょうかね)

フフーン♪と鼻歌を歌いながら上条は明日の事を考えながらオムレツを作っていた。

――――――――――――――――――――
―同じころ常盤台―
「お姉さまが道端で倒れてると通報が来た時、私はもうそれこそ音速で現場に駆け付けましわ」
「うん…ごめんね黒子、心配掛けちゃって…」
「いえ、お姉さまが私を頼りにしてくださるのは黒子にとって、非常に嬉しいことですわ」
「ありがとう、黒子」

美琴と黒子の部屋、先程まで美琴は道端で気絶してたが風紀委員である黒子によって保護された。
一応黒子には、疲れがたまっているから、と言ったが本当は違う。
本当は嬉しかったのだ。上条に何かプレゼントしてもらえるというのが。

「さて、ではお姉さま、お先にシャワー失礼しますわね」
「行ってらっしゃーい」

黒子はイソイソとバスルームへ向かう。
美琴はそれを見届けた後、ふぅ、と息を吐きベットに倒れる。

(アイツ、どんなのくれるんだろう…)
(貰うときどうしよう…こうやって…「あーらありがとう、でももっといい奴なかったのかしら?」…いや、これはまずいわね)
(じゃあ「ありがと!当麻!ご褒美にキスして、ア、ゲ、ル!」あわわわわわわわ!こんなの!わ、私のキャラじゃないわ!で、でもキスはしたいかも……って、ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!)

(お姉さまがベットの上でなんか悶えてますの…)

早めにシャワーを浴びた黒子が見たものは、ベットの上で悶絶している美琴だった。

――――――――――――――――――――
―次の日―
「行ってきまーす、とうまー」
「おー、先生に迷惑掛けんなよ」

朝、朝食を食べたインデックスを送り出すと早速上条は考え始める。
美琴にはどんなメガネが似合うのか。

(うーん…まず形から考えるか…?形は、そうだな…)

上条は考える。

(うーむ、むむむ…)

「あー!もう、実物見た方が早い!きっと!」

上条は適当に準備し部屋を飛びたす。
向かう先は第7学区の「セブンスミスト」…

――――――――――――――――――――
「さて、メガネ屋さんは何処かな?」

セブンスミストに着いた上条は案内図と睨めっこする。

「メガネ屋さんはっと、3階か」

エレベーターで3階の上がり、上条は店に入る。
このメガネショップは、ファッション用の度が入ってないメガネも置いてある大規模な店のようだ。

「えっと、おしゃれメガネ、おしゃれメガネっと…お、ここか」

上条は手書きで書かれた「今流行りのおしゃれメガネコーナーはここです!あなたもどうですか?」と書かれてる看板を見つけそこに向かう。
どうやらこの店では今、おしゃれメガネに力を入れてるのか特設コーナーまで設けている。

「うーん、種類が多いな…」

そこには形も色も全然違うメガネが多く飾られていた。横には「サイズ変更が必要な場合は、どうぞお気軽に係員までお申し付けください」
それを見て上条は気付く

「しまった!御坂の頭のサイズわかんねぇ…」

少し上条は考えて…

「うん、まぁ普通のサイズでいいだろう。多分」

勝手に決めた上条は早速手前にあったメガネを手に取る。
そのメガネは黒縁でよくありそうな四角い形をしたもの。

「んー、御坂は四角より丸って感じだな…」

そう言いながら上条は次に黒縁の丸みを帯びた四角のメガネを取る。

「お捜し中のところ失礼しますお客様、どうゆうのをお探しでしょうか?」
「ん?」

上条が「このメガネ御坂が付けたらどんな感じかな―」と思っていると、後ろからスーツを着た銀縁メガネの若い男に声を掛けられた。
どうやら店員のようだ。

「え、えぇ、そうですね…中学生の女の子に似会いそうなのってありますか」
「もしかして彼女さんへのプレゼントですか?」

店員はニコニコ笑いながら言う。

「い、いやぁ~、そうゆうのでは無いんですけど…」
「ハハッ、失礼しました。中学生の女の子ですとそうですね…」

店員は棚にあるメガネをジーっと見てから、ある一つのメガネを取った。

「これなんてどうでしょうか?」

店員がとったのは銀縁のメガネ。

「うーん…それよりこっちの方がいいですかね…」

上条が選んだのは、細い赤縁でレンズの形は楕円形のもの。
上条はそのメガネを受け取ると頭の中で美琴がそのメガネを掛けてる姿を想像する。

(うん、なかなかいいじゃないか!)

「じゃ、これ下さい。サイズは普通でお願いします」
「解りました。では保証書などの書類を書いて頂きたいのでこちらへ…」

上条は指示された椅子に座ると手早く書き込む。
名義は取りあえず上条自身にしておく。
2,3分で書き終わり上条は店員に手渡す。

「はい、ありがとうございます。」

店員はその書類に何か書きこむと保証書を渡してきた。

「ではこちらが保証書ですので大切に保管して置いて下さい。では包装紙がいくつか有りますが、どれに致しますか?」
「うーん…じゃこれでお願いします。」

上条が指したのは黄色でなにかの花をあしらったもの。

「解りました。ではお先に代金を頂戴いたします。ケースなどの備品含めて4980円です」
「はい」

上条は代金を支払い包装が終わるまで待っていた。
数分後…

「大変お待たせしました。こちら商品でございます。ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました」

上条は店員の見送りを受け、店を後にした。

――――――――――――――――――――
(さて…メガネ購入したし、御坂を呼びますか)

上条はいつもの自販機がある公園にいた。

プルルルル…プルルルル…プルルルル…プルルルル…

(あれ?出ねぇな?取り込み中か?)

上条は後10コールしても出なかったら夕方電話してみるかと思いながら美琴を待つ

プルルルル…ガチャ!

「は、はい!み、みみみみ御坂ですけどぉ!?ちょっと黒子うるさい!」オネェザマー!ナンデスノ!トノガタデズノォー?!ウワァァイイァァァ!!!(ビリビリ!)
「あ、御坂か?…つか今大丈夫か?無理だったら後で電話するけど」
「あぁもう黒子黙れ!!あ、あああああ嫌!だいじゅ!じゃなくて大丈夫よ!うん!」アァーオネエンダバー!!(ドゴーン!)
「なんか白井が断末魔あげてるが…まぁいいや、昨日メガネ買ってやるって言っただろ?選んできたからいつもの公園に来てくれるか?」
「え、あ、わわわわわかったわ!!!!に、20分くらいで行くから待ってて!!!」
「いや別にゆっくりでも…って切れたし…」

何か御坂焦ってたなー、大丈夫かなー、と呑気に思ってた上条は取りあえずベンチに座って待つことにした。

―――約20分後―――
ドドドドドドドド…

うん?なんだ?と思って上条が立つと…

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!!」
「ちょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!何ですかぁ!!!美琴サン!!!!」

美琴は常盤台の制服を着崩し、髪も乱れながらものすごい勢いで走ってきてブレーキが間に合わず上条へダイブする形になってしまった。
自然と上条は美琴の事を抱きかかえてしまうわけで…

(ああ、アイツに!アイツに抱かれてる…しかも美琴って………ふ、ふにゃー)

「え?ちょ、御坂さん?御坂さぁぁん?!上条さんの腕の中で気絶しないでえええええええ!困るううううううう!!!!!」

上条は美琴を抱きかかえながら無い知能を振り絞って、必死に考える。

(と、取りあえずベンチに寝かせないと…うぁ…なんか御坂すげぇいい匂い…しかも女の子ってこんな柔かいんだな…ってあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!邪念を振り切れ上条当麻ッ!!!!!)

上条はものすごい勢いでベンチに美琴を寝かせると(もちろん優しく扱う)自分も座る。

(あ、頭痛そうだから膝…枕してやるかな……)

上条は美琴の頭を自分の膝の上に載せ髪を優しく撫でる。

―数分後―
「う、うーん…」
「お?起きましたか、姫」

美琴は静かに目をあける。見上げたそこには何故か大好きな人がいた。しかも姫とか言ってやがる。

「え!あの、なんでアンタがここに…ってえぇえええ!?」

美琴は気付く。何故か膝枕されてることに…
ブンッ!と風を切る音が鳴るほどの速さで美琴は起き上がる。

「お、おい美琴。ぶつかる所だったぞ…危ねぇな…」
「え、あ、うん…なんかごめんね、気絶しちゃって…」
「嫌別に大丈夫だ。そんなことよりお前大丈夫か?一旦帰った方がいいんじゃね?」
「何でよ!来たばっかりなのに!」
「あー、あー、わかったわかった!!そう怒るなって!」

上条からすれば美琴の事を心配しただけである。
ひと段落して上条はポケットから箱を取り出した。

「ふぅ…さて御坂。上条さんが頑張って選んだメガネを見てくれないか?」
「え、あ、ありがと…」

美琴は箱を受けとると丁寧に包装紙を剥がし始めた。
箱を開けると、そこには赤い色のメガネケースと…

「これが、アンタが選んでくれたメガネ?」

細い赤縁でレンズの形は楕円形のメガネ
美琴から見ても可愛いと思うそのメガネは上条が、大好きな人が選んでくれたメガネだ。

「あぁそうだ!どうだ?お気に召しませんでしたか?」
「ううん…うれしい、ありがとう」

美琴は頬をほんのり赤くさせる。そんな美琴を見て上条はうれしくなる。

「良かった、早速掛けてみてくれないか?」
「うん!」

美琴は静かに掛ける。大好きな人からの初めてのプレゼントを

「ど、どうかな?似会う?」

美琴はモジモジしながら上目遣いで上条を見る。

「……………可愛い……な……」
「……ほんと?」
「…あぁ、すげぇ可愛いぞ御坂」
「こ、こんなときくらい、美琴って呼んで欲しいな…当麻…」
「え、あ、か、可愛いぞ!!美琴!」

美琴は当麻と呼んで恥ずかしくなり、美琴と呼ばれ顔をリンゴのように真っ赤にする。

「あ、あ、ありがとう…当麻……」

「「………………………」」

沈黙を破ったのは美琴の方だった。

「ほ。本当にありがとう。一生大事にするね…」
「い、一生って…ま、うれしいですよ?上条さんは…ってあぁぁぁ!!!!!!」
「ど、どうしたの?いきなり大声出して?」
「や、やべぇ!後15分後にタイムセールスが始まる!じゃ、また明日な!美琴!!」
「え、あ、じゃ、じゃーねー!とーうーまー!!!!」

上条は走りながら思う。美琴はかなり喜んでくれた。そんな美琴を見て上条は自分も嬉しくなった。そして上条は一旦振り返ると

「美琴ー!明日そのメガネ掛けてきてくれー!お願いだー!!」

対する美琴も笑顔で

「わかったー!!!楽しみにしとけー!!」

余談だがメガネを掛けたままルンルン気分で部屋に戻ったら黒子に延々とそのメガネは何だー!貸して見せろー!と言われたので、

「私の大好きな人からもらった物なのよ!触ったらいくら黒子でも許さないわ!」

と、言ったところ黒子は何かを叫びながら意識を失ったという…


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