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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/未来からの来訪者/Part08

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~4th day まこてんしょ~


とある学生寮の一室。
普段なら休日の静かな朝…なのだが

「ど、どこか変じゃないか?」

そう言ってどこか落ち着きのない様子でいるのはこの部屋の主、上条当麻だ。

「大丈夫、似合ってるよ。お父さん」

「うんうん。いつもよりかっこいいくらいなんだよ」

「ほ、本当か? 嘘じゃないよな」

先ほどからずっとこの調子である。何かをするたびに変じゃないか、おかしくないか、と同居人と娘に聞いてくる。

「もう、お父さん落ち着きなよ」

「し、しかしですね。上条さんはデートなんて初めてなんですよ!」

今日は美琴との初デートなのだ。記憶を失う前は分からないが、今の上条にとって人生初のデートだ。
おかげで朝から緊張しっぱなしで挙動が明らかにおかしい。歩くだけでもギクシャクとしていて滑稽を通り越して呆れるほどである。

「とうま。でーとの前に緊張しすぎかも」

「深呼吸して。大丈夫よ。お母さんが好きなのは着飾ったお父さんじゃないんだから、いつもどおりのお父さんで行けばいいの。ね」

大きく深呼吸して心を落ち着かせる。
娘の言葉に勇気付けられた。
変に着飾るよりも、いつもの俺を、等身大の俺をもっと美琴に見てほしい、知ってほしい。そして、等身大の美琴をもと見たい、知りたい。そのためのデートなのだ。

「よし、行って来る」

心が決まればあとは実行に移すだけ。等身大の上条当麻をぶつけてくるだけだ。
ぱしっと頬を打ち気合を入れると、最後に持ち物を一通り確認してドアを開ける。穏やかな陽の光が明るい未来を暗示しているようだった。


主人のいなくなった寮の部屋。
聞き耳を立て、上条の足音が聞こえなくなったのを確認する。

「……行ったよね」

「……行ったみたいなんだよ」

今まで上条を応援していたのはどこへやら、ニタリと不敵な笑みを浮かべる二人。やはり上条の不幸体質は明るい未来だけでなく、その後の不幸も暗示していたようだ。

「インデックスさん。急いで準備して追いかけるわよ」

「了解なんだよ!」

いつの間に用意したのかベッドの下から普段とは違う雰囲気の服装を取り出し着替えていく。そしてインデックスの髪を編み込み、麻琴は伊達メガネを装着する。そう、変装である。なぜこんなことをしているかというと……

「とうまとみことの!」

「ドキドキ初デートを調査せよ!」

ババーンと効果音でもつきそうなくらいに拳を振り上げる二人。顔には意地の悪い笑みが浮かんでいる。
こっそりと後をついて行って、帰ってきてから盛大にからかってやろう。そういう魂胆だったのだ。



「さて、後から出たはずなのにあたしたちの方がお父さんより先に待ち合わせの公園に着いたわけですが……」

こそこそと近くの茂みに身を隠して、待ち合わせ場所のベンチをうかがう。

「まだ待ち合わせの時間まで30分もあるのに、もうみことは待ってるんだよ」

麻琴と同じように草陰から顔を少しだけ覗かせて様子をうかがう。
視線の先には、ベンチに座ってどこかそわそわと落ち着きのない美琴。手鏡を見て髪をいじったり、服装を気にしたり、人影があればそちらを見て上条でなかったことに落胆したり、とせわしない。

「あ~あ~。お母さんったらあんなに浮かれちゃって……」

「ホント、ホント。あの普段は頼れるお姉さんみたいな御坂さんがさっきからずっとこんな調子で、でもそれが可愛らしくて、これがギャップ萌えって奴かなぁ」

「わかる気がするんだよ。普段は凛々しいのに今のみことの表情、何か来るものがあるかも」

「………涙子さん? 何、ナチュラルに混ざってんの!?」

いつのまにやら二人のそばで会話に混ざっていた佐天涙子に麻琴が驚きの声を上げる。
インデックスは見知らぬ人物の突然で自然な介入に唖然として声を忘れている。

「いやぁ。初春も風紀委員(ジャッジメント)があるって言うしさ、しょーがないから一人で歩いてたらなんか幸せそうな感じの御坂さんを見かけたから」

「……面白そうだからこっそり追跡して来たらあたしたちが居たと」

「そういうこと」

あははと快活に笑う佐天に麻琴が呆れた顔を向ける。
本当に涙子さんはこういうことに鼻が利くんだから、と心の中でつぶやいた。

「あたしは佐天涙子。御坂さんの友達です」

「私はインデックスって言うんだよ。よろしくるいこ」

麻琴の様子をよそに、自己紹介をしあう二人。なんというか、自分のペースを崩さない人たちだ。

「で、麻琴ちゃん。これって御坂さんと上条さんのデートをこっそりと見守ろうってことでいいのかな?」

佐天の目が面白いものを見つけたといわんばかりに輝いている気がする。

「さすが涙子さん。こういうことには鋭い……」

「ふっふっふ、この佐天涙子をなめないことだよワトソンくん」

「誰がワトソンくんだ!」

「まこと、大声出すとばれちゃうんだよ」

「そうそう、インデックスちゃんの言うとおり静かにしないと」

ねー、なんて仲良さそうに顔を見合わせる佐天とインデックス。
誰のせいだ、誰の! と叫びそうになるのを何とか堪える。
さっき初めて会ったばかりなのに何なんだこの二人は……。

そんなことをしている内に、どうやら上条がやってきたようだ。美琴はまだ気付いていないようだが、この茂みからは上条のツンツンヘッドが良く見えた。

「あっ、お父さんが来たわよ」

「とうま、ちゃんと時間までにはこれたんだね、良かったんだよ」

「あぁ、御坂さんも気付いたみたい。あんなに嬉しそうにして。も~、可愛すぎます御坂さん!」

佐天の言うとおり、上条を見つけた美琴の顔はそれは嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。佐天がよく知る美琴の凛々しさは今は欠片もみられない。

「わりぃ、待たせちまったか?」

「う、ううん。私も今来たところだから」

「「……」」

言葉が続かない。なんだか妙な緊張感があたりの空気を支配する。
互いに恋人同士になってから初めてのデート。しかも人生初のデートなのである。どうしたらいいかなんてわからない。

「ちょっと時間は早いけど、行くか?」

「そ、そうね」

「ほら」

「えっ?」

すっと手を出す上条。
その行動に一瞬驚きの表情を浮かべた美琴だったが、意図に気付くと上条の手をとって立ち上がる。
えへへ、と嬉しそうに微笑む美琴に上条の表情も自然と緩む。
美琴は上条と繋いだ手をじっと見つめると、そのまま勢いに任せて腕を絡めた。

「お、おい。美琴!?」

大胆ともいえる行動に上条があわてる。ぎゅっと抱きしめられた腕には慎ましやかな柔らかい感触が伝わってくる。

「い、いいじゃない。その、こ、ここ恋人同士なんだし……さ」

真っ赤な顔で見上げてくる美琴に、上条の理性が大きく削られた。赤面+上目遣い+腕への抱きつきのコンビネーションだったとはいえ、たった一撃でこの破壊力。

(腕には柔らかいのが当たってるし、美琴は可愛いし、いい香りもするし……ぐあぁ、理性が、上条さんの理性がぁ!)

もはやノックアウト寸前であった。

「うはぁ。御坂さんってばだいた~ん」

「とうま、あんなににやけて……嬉しいのが顔に出まくってるんだよ」

幸せそうなオーラを振りまく二人の様子に言葉がこぼれる。
そうこうしている内に公園から出て行こうとする上条と美琴を、少し距離をとって麻琴たち三人は追っていった。
不自然にならないよう、友達と一緒に居るだけです、と装いながらも視線は上条たちからはずさない。

「いいなぁ、御坂さん幸せそう。あたしも彼氏ほしー!」

「……」

佐天の漏らしたつぶやきに無言で答える麻琴。
麻琴にしてみれば佐天の将来の伴侶となる人物を知っている。だが、まだ出会いさえしていないかもしれない相手のことを言うのははばかられた。

「何、麻琴ちゃんその目は? あたしには彼氏が出来ないとでも言いたいのかー! こういう場合は涙子さん綺麗な

んだから彼氏くらいすぐできるよとか励ます場面じゃないの~!!」

「ルイコサンキレイダカラカレシクライスグデキルヨー」

「麻琴ちゃ~ん!!」

「いた、いたいっ! ごめ、ごめん涙子さん冗談だから~」

こめかみ辺りをぐりぐりとしてくる佐天に麻琴があわあわと許しを請う。
結構痛い、が、どうにかうやむやにすることが出来たようだ。

「まこと、るいこ。とうまたち行っちゃうんだよ」

二人がそんな馬鹿なことをしている間に、上条と美琴はさっさと進んでいってしまったようだ。
随分と離されてしまった。見失う前にあわてて駆け寄っていく。

「危ない危ない。インデックスさんに言われなきゃ見失うとこだった」

「しっかりしてほしいかも。まことのそういうところ、とうまにそっくりなんだよ」

「間違いなく、上条さんの血は麻琴ちゃんに流れてるってことだね」

……だから何なんだこの二人は。

かなり離されてはいたが、麻琴たちはすぐに上条たちに追いつくことができた。
それもそのはずで、上条たちはどうやら誰かと話しをしているからだった。上条たちと話しているのは見た目小学生くらいの教師、月詠小萌。

「上条ちゃん。こんなところで会うなんて珍しいですね」

「あ、先生。先生こそこんなところで……って酒ですか」

「い、いいじゃないですか、教師がお酒を買ったって!」

ビニール袋に入った酒瓶を抱える小萌にじとっとした目を向ける。確かに教師が酒を買うのもいい、だけど、休日のこんな朝っぱらから買いに行くのはどうなんだろうか。

(せ、先生? この子が!? 誰の? 当麻の!? えっ!? だって小学生くらいにしか…って待って待って、お酒?)

上条と小萌が話している横で、美琴は一人、混乱していた。
どこから見ても小学生な小萌なのだから仕方ないのかもしれないが。

「ところで上条ちゃん。隣の子は何方なんですかー?」

「ふぇ!? は、はじめまして、御坂美琴です。いつも当麻がお世話になってます」

話を振られ我に返った美琴が頭を下げる。
さすが常盤台のお嬢様なのだろう。パニックになっていても反射的にこのくらいはできる。

「御坂美琴……も、もしかして常盤台の超電磁砲(レールガン)ちゃんなのですかー!?」

御坂美琴の名前は、あまりにも有名だったようだ。
美琴の服装は今日も常盤台の制服。校則で決まっているということもあるが、実際は本当なら私服で来たかったのだが、お気に入り含め、ほとんどを麻琴に貸してしまっており、残っている服はさすがにデートには合わないので制服しか選択肢がなかったのだ。
そして、その常盤台中学の制服を着た御坂美琴となれば、あのレベル5の一人、第3位超電磁砲とすぐさま連想できてもおかしくはないだろう。

「は、はい。そうです」

「か、上条ちゃん。御坂ちゃんとはどういった……」

先ほどから上条と美琴は腕を組んだままである。
小萌もなんとなく分かってはいる。
それでも、確かめずにはいられなかった。

「美琴はその……俺の彼女なんです」

「え、えぇぇぇっ!?」

予想していたとはいえ、やはり驚きは隠せない。

「御坂ちゃん!? 本当なのですか?」

「はい。その、この前、当麻から、告白してくれて……私も、好きだったから、それで……」

もじもじと真っ赤な顔で途切れ途切れに言葉をつむぐ。
超能力者の面影なんて微塵も感じさせない、年相応の少女そのものの姿。
小萌にも、美琴が上条を好きになった理由がなんとなくわかった気がした。
尊敬、畏怖、超能力者としての重責。上条当麻はそんなものを意に介さず御坂美琴そのものを見てくれるのだろう。
そして御坂美琴は上条当麻の奥底にある何かを支えている。それは先ほどから美琴を見る上条の表情からなんとなく分かった。自分のような教師では入り込めない上条当麻の抱える問題を真正面から支え、挑み、彼のために事を成すのだろう。

「御坂ちゃん。上条ちゃんのこと、よろしくお願いしますね」

「はい」

教師なのに、教え子たちを支えることは出来ない。

「上条ちゃんも、御坂ちゃんのこと、ちゃんと守ってあげなきゃダメですよー」

「もちろんです」

しかし、互いを支えあう大切な人に、教え子が出会えたことに小萌は感謝した。

一方……

「この距離じゃ、こもえが何言ってるか聞こえないんだよ」

耳を澄ませるがさすがに聞こえる距離ではない。これ以上近づけばバレてしまうので近づくことも出来ない。

「あ、思い出した。あの先生、この間の特別講習のときの先生だ!」

上条たちと小萌が話し始めてからずっとうなってた佐天が晴れ晴れとした表情で言う。

「るいこもこもえを知ってたんだね」

「ちょっとお世話になっただけだけどねー」

「ねぇ……。あの人、お父さんの担任の月詠小萌先生でいいんだよね」

難しい顔をして麻琴が尋ねる。間違いであってほしいというニュアンスが含まれている言い方だった。
インデックスと佐天が不思議そうな表情を浮かべ顔を見合わせる。

「間違いないんだよ。こもえはとうまの先生なんだよ」

「麻琴ちゃん、どうしたの?」

「あの先生、あたしの知ってる小萌先生と大差ないのよ……」

沈黙が流れる。
麻琴が知っている……つまり現在から20年後の小萌のことである。
それが今とほとんど変わらない……。

「あ、あまり深く考えないほうがいいんじゃないかな~。初春の頭の花みたいにさ!」

「そ、そうだよね。実は不老不死なんじゃないかとかそんなことないよね」

乾いた笑いで誤魔化す。これ以上考えるのはやめよう、そう思った二人だった。
しかしインデックスだけは……

「不老の魔術? いや、それよりも肉体の時間を止めているのかも……でもそんな……」

などと二人に聞き取れないような小声で真剣に考えていたのであった。

そんな出来事もありながら、上条たちへの追跡は順調だった。
現在は、チケットの使える遊園地の近くまで向かうモノレールの車内。同じ車両ではあるが上条たちからできるだけ離れ、それとなく視線を向けられる位置に麻琴たちは移動済みである。また、変装しているとはいえ、インデックスの銀髪は目立つので、麻琴と佐天が壁になって上条たちの視界に入らないようにしている。ここまでしておけば、狭い車内といえども早々にバレたりはしないだろう。

「……じゃあ、るいこは料理が上手なの?」

「ん~。まぁ、自炊してるし、実家にいた頃は弟にも料理作ってあげてたからねー」

バレる心配がほとんどないとは言え、この二人は気を抜きすぎなんじゃないだろうか。そんな考えが麻琴の脳裏を掠める。

「インデックスちゃんは料理作らないの?」

「私は食べる専門なんだよ」

えっへんと自慢げに胸をそらせるインデックス。彼女の中では食べる専門というのは何か特別な役職にでもなっているのかやけに自信たっぷりである。

「いやいや。何でそんなに自信満々なの!?」

「るいこ。食べるという行為は神が与えた命を―(中略)―だから私は神の子としての―(中略)―ここで言う天使と言うのは―(中略)―になるから7つの大罪は―(中略)―であって、そもそも儀式的な意味で―(中略)―ということなんだよ。だから私はシスターとして食べなければならないんだよ!」

食とはなんなのかを切々と語りまくったインデックス。言いたいことは全て言ったとその表情はやけに晴れやかだ。

「ええっと、つまり??」

「涙子さん。深く考えなくていいから……」

この時代に来てインデックスの食へのこだわりを知った麻琴は大きくため息を吐いた。
心の声を代弁するならば、あの淑女なシスターのインデックスさんはどこに行ったの? だろう。


それからしばらくして―――

上条と美琴は楽しそうになにやら話しこんでいる。
二人の緩みきった表情を見れば、幸せを満喫しているだろうことは容易に想像できた。

「そういえば、御坂さんて電磁波レーダーか何かであたしたちのこと見つけられるんじゃない?」

もし分かるんならやばいんじゃないの、と佐天が今更ながらに思い出す。

「あぁ、大丈夫よ。さっきからずっとお父さんの右手と手を繋いだりで触れてるから能力使えないだろうし、そうじゃなくてもあの浮かれ具合じゃ、誰か人がいるのはわかっても誰がいるのか…まではわからないんじゃないかな。それに万が一に備えて、あたしがある程度はレーダーごまかせるように準備してるから」

チラッと上条たちの様子を除き見て麻琴が言う。
相変わらず話し込んでいてこっちに気付く気配はない。上条の右手は今もしっかりと美琴の手を握っており、電磁波レーダーも封じられているようだ。
もし、美琴がレーダーに気を向けたとしても、自分の電磁波の波長をうまくずらせばある程度は誤魔化せるはずだ。麻琴の能力に美琴ほどの精度がないとは言え、本気で精査されない限りはバレはしない。

「一家に一台、麻琴ちゃんって感じだねー」

「人を家電製品みたいに言わないで!?」

「で、でんじはれえだあ? か、科学のことは分からないんだよ……」

まるで何かの家電製品のキャッチコピーのように茶化す佐天。
電磁波でIHの真似事ができるだけに、なんだか妙にしっくり来ていて情けなくなる麻琴だった。

騒がしい3人をよそに、モノレールは目的地へと進んでいく。これから向かう遊園地が徐々にその全貌が明らかになっていく。

「な、なんか凄い建物がいっぱいあるんだよ!」

「あれが今日の目的地よ」

「あ、あそこに行くの!? 凄いかも。まるで童話の世界みたいなんだよ」

一年毎に記憶を消されるというサイクルにいたインデックスにとっては、こういう場所は初体験だ。窓に食いつき、きらきらとした視線を近づいてくる建物郡に向けている。わくわくとしているのが傍から見ていても分かる。

「なんか目的変わりそうだわ……」

「あはは。それはそれでいいんじゃない? インデックスちゃんもはじめてみたいだしさ」

インデックスの無邪気な行動に麻琴も佐天も頬が緩むのを止めることはできなかった。


上条と美琴も目的地の建物に目を奪われていた。

「あ、当麻。見えてきたわよ」

「ほ~。なんか、凄いな」

徐々に近づいてくる建物に圧倒される。

「凄いって、それ以外の感想とかないわけ?」

「そう言われても、上条さんは遊園地なんて初めてでしてね」

「子どもの頃とかに行ったこと…あ、ごめん。アンタ記憶……」

上条が記憶喪失であることを思い出し美琴がうなだれる。
辛いことをわざわざ掘り返してしまうようなことを迂闊にも言ってしまった自分に嫌悪する。
上条を傷つけてしまったのではないか。嫌な思いをさせてしまったのではないか。そんな思いがぐるぐると回る。

「ほら、そんな暗い顔すんなよ」

鈍感と揶揄される上条ではあるが、美琴の変化にはいち早く気付いたようで、優しく美琴の頭を撫でる。

「確かに色々と思い出とか失ってるけどよ。その代わり、初めての経験を世界で一番大切な人とたくさん体験できるんだから、それも悪くないだろ?」

「……気障なセリフ。アンタに似合わないわよ。でも、ありがと、当麻」

上条の優しさに、美琴が微笑む。

「やっぱり、お前には笑顔が一番似合うな。笑顔な美琴たん萌え~ってな」

「美琴たん言うな!」

さすがに多少恥ずかしかったのか、おどけて見せる上条に美琴も恥ずかしさを隠すように声を張り上げた。
その後、モノレールが目的の遊園地の最寄り駅に到着するまで二人は何事か言い合っていた。怒ったような口調で、

でも二人とも、とても楽しそうな笑顔を浮かべていた。