とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/未来からの来訪者/Part06

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~3rd day かみまこまい~


(これは、困ったわね……)

上条麻琴は今、この時代に来てから最大の試練にあっていた。
あがいても、自分の力ではどうしようもない現状。
この状況では電撃使い(エレクトロマスター)としての能力も、幻想殺し(イマジンブレイカー)の欠片・幻想阻害(イマジンキャンセラー)もなんら役に立ちはしない。

(ホントに、どうしよう……)

顔を上げ、その元凶を緊張した面持ちで見つめる。
残り時間は刻一刻と減っているようだ。
おそらく、もう長くもたないだろう。

(どうしてこうなっちゃったのかな……)

どうしようもない現実に、表情が曇る。

「麻琴? どうかしたのか?」

そんな時、現れたのは彼女の父親。
右手一本であらゆる幻想をぶち殺してきた少年。
上条当麻だった。

「あ……お父さん。実は……あれ」

そう言って顔を上げ、ある場所を指した。
上条も麻琴が指差した方へを顔を向ける。
目の前にある大きな木の、一本の枝。
その中ほどにうずくまる真っ白な毛むくじゃらの……

「にゃ~」

猫だった。

「猫?」

「うん。なんか降りられなくなっちゃったみたいでさ。あたしの電磁波で暴れたりして落ちちゃったりしたら大変だから、これ以上近づくことも出来なくて……」

しょんぼりと麻琴が肩を落とす。
助けたいのに、助けに行けば逆に追いやってしまう。
電撃使いとしての宿命なのだろう。

「しゃぁねぇな。麻琴、これ持ってろ」

ぽいっと麻琴に薄い学生鞄を投げ渡し、肩を回しながら木に近づいていく。

「お、お父さん?」

「俺なら猫も逃げないだろ、こういう時くらい、上条さんに任せなさいっと」

ひょいひょいっと木を登っていく。
なんやかんやで様々な戦場を歩いてきたのだ、木登りくらい造作もないことだ。
颯爽と登っていく様はかっこいいのだが、上条は内心で『どうだ、この父親の威厳!』なんて思っていたりする。
未来の父として、娘にいいところを見せたかったようだ。
あっという間に猫のいる枝までたどり着く。

「ほら、怖くないぞ、こっちおいで」

枝にまたがり猫を呼ぶ。
結構太い枝なので、上条が根元に座るくらいはなんともないだろう。
猫も最初は少し上条を警戒したようだが、恐る恐るといった風に近づいてきた。
なんとなく助けてくれるということが分かったのかもしれない。
麻琴はそれをハラハラとした面持ちで見上げていた。

―ミシッ―

もう少しで猫に手が届くという距離になったとき、上条の座っている枝が不穏な音を発した。
かなり太く、頑丈そうな枝だったはず……
上条のこめかみに汗が伝う。
この展開は、もうお約束のあれしかないだろう。
そして、次の瞬間には当然のように枝が根元からぼっきりと折れ、自由落下を開始した。

「やっぱこんなオチかっ~!」

「わぷっ!?」

バサバサと葉が擦れ合う音とドシンという重い音が公園に響く。

「くぅぅ、痛ぇ……」

腰をさすりながら上条が立ち上がる。
なんとか受身が取れたようで、それなりの高さから落ちたにも関わらず大きな怪我はないようだ。
また、猫は落ちていく枝が地面に落ちる直前に器用に地面へ飛び降りてそのままどこかに行ってしまった。

「麻琴、大丈夫か?」

「うぇ、少し口に葉っぱが入った……」

上条がまたがってた枝の葉が茂る部分が麻琴に直撃したらしく、折れた枝やら葉っぱが髪や服に絡まっている。
苦々しげな表情を浮かべ葉や小枝を払い落とす。
枝が刺さったとか、怪我をしたということはないようだ。

「…とりあえず、言っておくか」

「お約束だしね……」

自分たちの現状に大きくため息をつく。

「「不幸だー!!」」

父娘の声が公園に響き渡ったとか渡らなかったとか。

その後、二人は夕飯の買出しのためにスーパーへ向かっていた。
未来の上条がどんな様子で生活しているかとか、未来で麻琴が何をしているかとか他愛のない話をしながら歩いていく。
その途中、目的地とは別のスーパーの前で福引をやっているのが目に入る。

「へ~、福引かぁ」

「このスーパーは……やっぱりあった」

ごそごそと財布をあさった上条の手には数枚のチケットが握られていた。
好奇心に駆られた麻琴もそれを覗き込む。

「福引券?」

「あぁ、このスーパーでも買い物してるからな、何枚かもらってたんだよ」

そう言って上条は福引券を麻琴に差し出す。

「ほら、これだけあれば何回か引けるはずだから行ってこい」

「へっ、あたしが!? お父さん知ってるでしょ。あたしも不幸体質だって!」

麻琴が驚きの声を上げる。
昨日の夜、麻琴にもしっかりと上条の不幸体質が幻想殺しの欠片と共に受け継がれているということを上条に説明したはずだ。
福引などで今までいい結果が出たためしなど一度もない。
それくらいは元祖不幸体質持ちの上条なら分かっているはず。

「……それでも、俺よりはマシなんだろ。だったら少しでも可能性が高いほうがいいじゃねぇか」

五十歩百歩、どんぐりの背比べではあるが、確かにまだ麻琴の方が不幸体質は弱い。
極々わずかではあるが……。

「それにな。お前は俺の娘であると同時に美琴の娘でもあるわけだ」

「そりゃそうだけども、それがどうかした?」

唐突に語り始めた上条に、麻琴は頭上に?を浮かべ首を傾げる。
不幸云々だったはずなのに、何ゆえ当然のことを言われたのかわからない。

「美琴がそばにいるだけで俺は幸せになれるんだ。この不幸体質の俺が! つまり、美琴は俺の不幸をも吹き飛ばす幸運の女神様のなんだよ。ならばその美琴の血を継いでいる麻琴ならば―――」

「あー、お父さん。話の腰折って悪いけど、恥ずかしいこと叫んでるの自覚してる?」

「――――……今、自覚しました。うぉぉ、娘の前で何を叫んでんだ俺はぁっ!」

麻琴に言われ、公衆の面前で女神様などとのたまってしまったことに気付き、真っ赤な顔で頭を抱えて叫ぶ。
昨日といい、今日といい、美琴と付き合うようになってから、自分の中の何かが抑えられなくなっているのかもしれない。
気がつくと惚気とも取れる言動をしているような気がする上条だった。

「はぁ。ま、あんまり期待しないでよ」

未来でもそんな感じなため慣れているのか、麻琴は上条を放っておいて、福引券を手に会場に向かっていく。
この状態でスルーとか! などと上条が叫んでいるがそれすら無視する。
福引はアナログ式の手回しのもので、麻琴の電撃使いの能力でどうこうと言ったことも出来そうにもない。
まぁ、能力者のいる学園都市にあるものだ、何らかの対策が施されているのだろうが。

「これなら3回分だね」

福引券を係員に渡し、レバーに手をかける。
どうせ当たりはしない。
むしろ、ハズレでもまともにポケットティッシュがもらえるかどうかすら怪しい。
在庫切れだとか、そんな感じの不幸でもらえない可能性だってある。
ガラガラと特に何も考えずに回す。
結局2回連続で黒玉が出る。
当然はずれ、残念賞のポケットティッシュだ。
最後の1回。
しかし、当然期待など出来るはずもない。
父親譲りの不幸体質が伊達や酔狂でないことは嫌と言うほど知っているのだ。

(どうせまたハズレでしょ……―――――あれ?)

無欲の勝利……なのだろうか。
出てきた玉は赤。
景品の書いてある表を見る。

赤玉……三等 遊園地ペア1日フリーパス

「え…えぇっ!?」

「お嬢ちゃん、おめでとう~! 彼氏と一日楽しんできなっ!」

彼氏って誰のこと? なんて疑問に思いながらも手渡されたチケットに嬉しさに顔が綻ぶ。

「ま…麻琴さん? 彼氏って誰のことでせう? 麻琴に彼氏……彼…ま、まままだ早いと上条さんは思うのですよ!?」

係員の一言に一人突っ走っている親バカミジョウだった。
係員は当然、麻琴の隣に立っていた上条をさして言ったのだが、互いにそれは気付いていない。
まさか親子で間違われるとは露ほど思いもしていないのだ。
傍から見れば、高校生の彼氏と中学生の彼女に見えるのだろう。
実際、高校生の上条と中学生の美琴はカップルなのだし。

「ま、待て、結婚なんてお父さんは認めません! 認めませんよ! 認めないんだよの三段活用!! まだ麻琴は中学生だろう! 結婚なんて早すぎる!」

目的地のスーパーへ再び歩いていく上条と麻琴だったが、上条は歩きながらもブツブツと妄想の世界にトリップしてしまっているようだ。
しかも、いつのまにやら結婚まで話が進んでいる。

「お父さん。あたしに彼氏なんていないわよ……いい加減帰ってきてよ」

「ほ、本当か!? 実は隠れて付き合ってたりしないか!? 上条さんはまだ心の準備が……いやいや違う、どこの馬の骨ともわからない男に一人娘を……―――」

「いやだからいないって……」

「それでそいつが『お父さん、娘さんを僕にください』とか言うに決まってるんだ。麻琴が嫁に行く幻想なんてこの上条さんがぶち殺して……―――」

「いい加減帰ってこいって言ってんのよ。無視すんなやゴラァァアアァッ!!」

「うぉおおおぉ!?」

バチバチと溢れる怒気を電撃に乗せ、上条にぶつける。
すかさず右手で打ち消すが、上条を現実に戻すには十分すぎるほどの電撃だった。
今の一撃に相当力を込めていたのか、麻琴はぜぃぜぃと肩で息をしている。

「あ、あれ? 俺は一体? 確か福引で麻琴がチケット当ててから……?」

「ようやく現実に戻ってきたわね、お父さん」

どうやら我に返ったらしい上条の様子に、麻琴はほっと胸を撫で下ろした。
しかも、直前の記憶が吹っ飛んでしまったのか、いつのまにこんな所へ、などと上条は首を傾げている。
覚えていたら、また妄想の世界に旅立ってしまいそうなので、ある意味ラッキーだ。

「まぁまぁ、細かいことは気にせず特売に行きましょう」

立ち止まって頭を悩ませる上条をぐいぐいと後ろから押す。
せっかく上手い事忘れているのに思い出されては面倒だ。

「なんかはぐらかされてるような気がするんだが……」

そんなぐいぐいと背中を押されて歩く上条に前方から声がかけられる。

「こんなところで奇遇ですね、とミサカはあなたに出会えて嬉しい気持ちを隠しながら挨拶をします」

「えっと……」

肩辺りまで伸びた茶髪に常盤台の制服、頭の軍用ゴーグル。
そして、胸元のネックレス。

「御坂妹か。奇遇だな、こんなところで何してるんだ」

妹達(シスターズ)の中でも上条に御坂妹と呼ばれる唯一の個体。
検体番号(シリアルナンバー)10032、上条に直接助けられおそらく妹達の中では一番彼を想っているのも彼女だろう。

「先程、この辺りでミサカと非常に良く似た力を感知したので確認に来たのですが、とミサカは周囲を見渡しながら答えます」

御坂妹と……御坂美琴とDNAレベルでよく似た力、明らかに先程の麻琴の電撃だろう。
しばらく見回して、上条のすぐ後ろに麻琴がいるのを発見する。

「おや、そちらのどこかミサカに似た少女は、とミサカは自分にそっくりな少女を不思議そうに眺めます」

「あ~、こいつは……って言ってもいいのか?」

答えようかと思ったが、うかつに言ってしまっていいものかと麻琴に尋ねる。
こういう場合、未来から来たなんてことで色々と問題が起こったりするのではと危惧してのことだ。

「ん~。昨日、黒子さんたちにもばれたわけだし、今更じゃない?」

しかし、麻琴の答えはあっさりしたものだった。
よくよく考えれば、昨日までにすでに上条と美琴以外にも数名にばれている。
まぁ、深く考えても仕方ないだろうと上条は教えてしまうことにした。
隠して逆に疑われて変な出来事に巻き込まれるような不幸に会うよりはマシだろう。

「信じてもらえるかはわかんねぇけど、20年後から来た俺の娘らしいんだ」

「ほぅほぅ、あなたの娘ですか、どうりであなたにも似て……はっ? 娘? とミサカは驚きが隠せません」

わずかに御坂妹の表情に驚愕の色が浮かぶ。
よく知る人物が見なければ分からないほどの小さな表情の変化ではあるが、着々と感情が備わってきているようだ。

「そりゃ、そうそう信じられねぇよな。でも、まぁ、事実なんだ。まだ誰にも話してないようなこと知ってたりするし、未来の俺たちの写真も見せてもらったしな」

「あなたがそこまでおっしゃるのならば事実なのでしょう、とミサカは理解の早い女であることをアピールします」

「えっと、はじめまして、上条麻琴です」

ペコリと麻琴が頭を下げる。
麻琴からみれば知っている相手にはじましての挨拶をするのは変な気もするが、向こうは初対面なのである。

「こちらこそ、はじめまして、ミサカは検体番号10032のミサカです、とミサカは頭を下げます」

御坂妹がじっと麻琴の顔を見つめる。
自分によく似た顔立ち、しかしその瞳には輝かんばかりの力強さが見える。
自分達にはない、力強い意思の輝き。

「この子のお母様はやはりお姉様なのでしょうか、とミサカは確認を取ります」

「あぁ、麻琴は俺と美琴の子供だ……って改めて言うとなんか恥ずかしいな」

「そうですか、お姉様とお付き合いはされているのですか、とミサカは再度確認を取ります」

「麻琴が俺たちの前に現れる前日に、その、俺から告白して、恋人になった」

気恥ずかしそうに頬をぽりぽりと指でかきながら答える上条。
上条の様子に、御坂妹の胸の奥がちくりと小さく痛んだ。
彼女にとって、上条は命の恩人であり、また淡い想いを向けている人物でもある。
上条が美琴を選ぶということは、自分は失恋するということだ。
しかし、美琴も自分達のために命を賭けて救ってくれようとした恩人であり、何の疑いもなく自分達を妹として家族として受け入れてくれる何よりも大切な人である。
そう、何よりも、上条よりも妹達にとっては美琴が大切なのだ。
彼ならば、美琴を幸せにしてくれると思える。
だから、失恋したのだという痛みも確かにあるが、それ以上に美琴が幸せになれるのだという事実が心を暖かくする。

「お姉様をよろしくお願いします。もし、お姉様を悲しませるようなことをしたら妹達全員であなたに制裁を加えますので、とミサカは半ば本気の脅しをかけておきます」

「妹達全員ってマジかよ……」

御坂妹の脅しに少しびびる上条だった。

「あー、ミサ姉(ね)ぇって、こういうの割かしマジで言うからしっかりしないと危ないわよ。実際あのときなんて…………あ、いやなんでもない」

「え、ちょっと麻琴さん!? あの時って、あの時って何でせうか? か、上条さんは何をしちまったって言うんだ、おい!」

突然口とつぐんだ麻琴に、上条の不幸センサーが反応する。
この言い方、何か絶対とんでもないことになる、上条の勘がそう告げている。
カタカタと見えない未来に襲い掛かるであろう恐怖に身体を震わせた。

「だいじょうぶだよおとうさん、じょうだんだから」

そんな上条に、麻琴がなぜか哀れんだような視線を向け、かつ抑揚のない声で言い放ち、ぽんと肩に手を置く。
慰めているようで、明らかに慰めていない。

「な、なんだ、上条さんの身に一体何が起こるというんだぁぁあああぁぁっ!」

そんな麻琴の態度に言い知れぬ恐怖を味わう上条だった。
その空気を変えたのは御坂妹だった。

「あの、今ミサカのことを『ミサ姉ぇ』と呼びましたか? とミサカは期待をこめて尋ねます」

どこかそわそわした様子で麻琴に尋ねる。

「あ、ごめんなさい。あたしの時代ではいつもそう呼んでたから、馴れ馴れしかったよね」

「いえ、それは構わないのですが、『ミサ姉ぇ』という呼称はこのミサカ、10032号にだけ向けられるものなのでしょうか、とミサカは本当に聞きたかった事を伝えます」

「うん。ミサ姉ぇはあなたのことだけども……」

質問の意味を捉えきれず、麻琴が不思議そうに答える。
麻琴は目の前にいる御坂妹こと10032号をずっと『ミサ姉ぇ』と呼んできた。
これに間違いはない。

「ミサカは『ミサ姉ぇ』……検体番号でもなく、ミサカ個人の名前、ふへへ……とミサカは嬉しさがこみ上げてきて頬が緩むのを止められません」

ニヤニヤと笑みを浮かべる御坂妹。
検体番号としてでもなく、美琴の妹としての通称でもなく、明らかに自分自身を指し示す名前というものに、嬉しさがこみ上げる。
それは御坂妹からミサカネットワークを通じ、一瞬で全世界の妹達にも伝わる。
いつもいつも10032号だけずるいです、という嫉妬と羨望の声がネットワークを通じて流れてくる。
そして……

「ミサカネットワークでも言いましたが、いつもあなただけ特別扱いされてずるいです、とミサカは面と向かって10032号に憤慨します」

と、上条たちの前に、また美琴そっくりの少女、妹達の一人が現れた。
どうも怒っているようで、ニヤニヤしている御坂妹を睨んでいる。

「羨ましいですか、10039号、とミサカは勝ち誇った笑みを浮かべます」

近くを散歩中にネットワークから今の出来事を知り、直接会いに来たようだ。
どうだと言わんばかりに胸をそらせる御坂妹の態度に、10039号が悔しそうにギリッと歯を食いしばっている。
表情の変化が乏しいはずの妹達ではあるが、今にでも掴みかかっていきそうなのが分かるほどに怒っている。

「ミク姉ぇ、落ち着いて、ね?」

今にもケンカを始めそうな二人を宥めるようと麻琴が声をかける。
その言葉に10039号がぴくりと反応した。

「『ミク姉ぇ』とミサカの事を呼びましたか? 10032号ではなく、この10039号のミサカに、とミサカははやる気持ちを抑えて聞き返します」

ずずぃっと10039号が顔を寄せてくる。
そのあまりにも鬼気迫る迫力に思わず麻琴も気おされた。

「えっ!? あ、うん。10039号だからミク姉ぇ。他にも割と会う13577号はナナ姉ぇで、19090号はクレイ姉ぇって呼んでるんだけど……ダメ、かな?」

「ダメじゃありません、GJです、とミサカは惜しみない賞賛を送ります」

にやりと不敵な笑みを浮かべ御坂妹の方へ再び顔を向ける。

「これであなただけの特権ではなくなりましたよ、10032号、とミサカは呼称を与えられた喜びを隠しつつ挑発的な笑みを10032号へ向けます」

麻琴に呼ばれなかった大多数の妹達がネットワーク上で大騒ぎしているが、この二人はそれを気にせずにらみ合っている。
二人の視線の間にバチバチと火花が散っているのが見えるような気がする。
一触即発、ふとしたきっかけで爆発しかねない二人に麻琴はオロオロするばかりだった。

「はいはい、そこまでにしなさい。当麻がすぐ来てくれって連絡してくるから何かと思ったら、何してんのよ、アンタたち」

そんな二人の間に割って入ったのは彼女たちのお姉様(オリジナル)であり、麻琴の母親である、御坂美琴だった。