とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/未来からの来訪者/Part07

最終更新:

NwQ12Pw0Fw

- view
だれでも歓迎! 編集


~3rd day かみまこまい~


「なるほどね。まったく、そんなことでケンカするんじゃないわよ」

事の顛末を聞いた美琴が肩を落としてため息をつく。

「ですがお姉様。ミサカたちの誰よりも10032号がお姉様やお兄様に会うからといって、いつも何かと奢ってもらったりしてずるいのです、とミサカはお姉様に訴えます」

「そ、それは偶々この子とよく会うからで……」

「偶然だというのはわかっています。でもミサカのことももっと構ってほしいのです、とミサカは本音をぶっちゃけます」

少し瞳を潤ませながら構ってほしいと訴えてくる妹の姿に、きゅんと胸が締め付けられる。

「あ、う、わかったわよ。今度一緒に服でも買いに行きましょ」

「本当ですかお姉様! あのですね、できればお兄様とも一緒がいいです、とミサカは興奮を抑えて更にお願いしてみます」

興奮を抑えて……と口では言っているが目をきらきら輝かせ、テンションがかなり上がっているようだ。
期待に胸を膨らませるという表現がしっくり来る。
ここで、ふと10039号の言葉に疑問がわいた。

「お兄様? そういえばアンタ、さっきもお兄様って言ってたけど誰のことよ?」

「お兄様はお兄様ですよ、お兄様以外にお兄様はいませんし、とミサカは当然のことを答えます」

未だどこか興奮気味のようでなんだか要領を得ない。
そんな場面で助け舟を出したのは御坂妹だった。

「お兄様とは、上条当麻のことですよ、とミサカはお姉様に簡潔に説明します」

「お、俺!?」

突然話題をふられた上条が驚きの声を上げる。
美琴は呼んだし万事解決、と先程から傍観者に徹していただけに、矛先が急にこちらに向いたのだから驚きもするというものだ。

「そうです。将来お姉様の夫となるのですからミサカたちにとっては、義理の兄、つまりお兄様になるのです、とミサカは分かりやすく説明します」

「と、当麻が夫……ふにゃ」

御坂妹の説明に美琴が顔を紅く染める。
麻琴が来て以来、このようなやり取りを何度か経験した気がするが未だ慣れないようだ。

「ん……そうか。あたしにとってミサ姉ぇたちはお姉ちゃんみたいなもんだったけど、よくよく考えれば、おばさん―――」

「「何か言いましたか? とミサカはにっこりと表面上だけの笑みを浮かべます」」

確かに母親の妹なのだから麻琴から見れば妹達は叔母にあたる。
しかし、おばさん…と言ってしまった。
麻琴に御坂妹と10039号がにっこりと笑みを向ける。
基本無表情のはずの妹達が、満面の笑みを浮かべているのである。
これでもかというほどの笑顔を浮かべる御坂妹と10039号、しかし目だけは笑っていない。
いつもより更に目に表情が浮かんでいない。

「いえ、やっぱりお姉ちゃんだったと上条さんは思います!」

その笑みに恐ろしい何かを感じ取り、即座に訂正する麻琴であった。
上条はその様子を見て、なんだか先ほど麻琴が言いよどんだ意味がわかった気がした。
あぁ、上条さんも近い将来何かやらかしてこんな感じで攻められるんだな、と。

「それで、えっと10039号だったわよね。明日とかはどう? 明日は私達も学校休みだし、当麻は…補習ある?」

「いや、大丈夫だ。昨日、麻琴に課題手伝ってもらって提出できたから明日の休みは一日自由だぞ」

「本当ですか、ならば明日に……あ、忘れてました。明日ははずせない用事があったのでした、とミサカはしょんぼりと落ち込みます」

「日を改めればいいじゃない、そんなに落ち込まないの」

目に見えてしょんぼりを肩を落とす10039号を慰めるように美琴が優しく頭をなでる。
姉妹愛というものだろうか、静かな優しい空気が周囲を満たしたような気がした。
しかしこの空気を破壊したものまた妹の一人だった。

「しかし、中学生。しかも実の娘に課題を手伝ってもらうというのはどうなのでしょう、とミサカはお兄様に哀れみの視線を向けます」

「どうせ上条さんは馬鹿ですよ……」

御坂妹の容赦ない一言に拗ねる上条だった。
背に腹はかえられないと、プライドもかなぐり捨てて麻琴に教えてもらった上条であったが、やはり第三者から言われると心に刺さるものがある。

「ま、まぁ仕方ないってお父さん。常盤台は卒業までに世界に通じる人材を養成するって言う、とんでもない方針だし、あたしやお母さんはそこで習ってるんだから」

上条の通う高校と、常盤台中学ではそもそもの学力の差が違いがすさまじいのだ。
確かにそういう面から言えば仕方ないだろう。
しかし、同じ常盤台の学生といえど麻琴に教わるというのは美琴に教わるのと違い、上条の未来の父としての威厳に問題が出るのだ。
まぁ…そう思っているのは上条本人だけではあるのだが。
正直なところ、未来ではいつも美琴といちゃいちゃしてるし、犬に追われたり何なりと不幸な目にあってたり、とあまり父の威厳なんてなかったりする。
麻琴の中で上条当麻という父親は、普段は頼りないけど、いざという時には頼れる、ちょっと親バカなのが玉に瑕な親しみやすいお父さん、でしかない。
世間一般から見れば、反抗期真っ只中なはずの年頃の娘からそんな評価をされているとなれば羨ましいのだろうが。

「よし、じゃあ都合のいいときわかったら連絡してね」

「はい、とミサカはお姉様とアドレス交換した携帯を胸に抱きます」

麻琴と上条がそんなやり取りをしている間に、美琴は10039号とメールアドレスを交換していたようだ。
美琴とアドレスを交換できたことが嬉しいらしく、10039号は大事そうに自分の携帯をぎゅっと胸に抱きしめる。

「あっ! とミサカは重大なことを忘れていたことに衝撃を受けます」

そんな様子だった10039号だったが、突然大きな声を上げた。
きょろきょろと視線が泳いでどこか挙動不審だ。

「どうしたの?」

「あのですね、ミサカはこれから調整の時間だったのです、とミサカは明日の予定に続き、またもすっかり忘れていたことを告げます」

「ちょっと、ダメじゃない、そんな大事なこと忘れちゃ! アンタたちの身体に何かあってからじゃすまないのよ」

「す、すみませんお姉様。つい10032号が羨ましくて、とミサカは申し訳なさそうに頭を垂れます」

「謝罪はいいから早く戻りなさい。それと、またあとで連絡するからね」

「は、はい。では、お姉様方、失礼します、とミサカは病院に急いで戻ります」

またシュンとした10039号だったが美琴の一言に、ぱぁっと顔を輝かせるとあわてて病院へ戻っていった。
あまりのあわてぶりに少し心配ではあるが、病院までそう遠くはないしミサカネットワークもあるし大丈夫だろう。

「ミサ姉ぇは行かなくていいの?」

「ミサカの調整は先日行ったばかりなので大丈夫ですよ、とミサカは今日は自由の身であることを発表します」

「アンタ、時間はあるのね」

「はい。散策中でしたので、このあとも特に予定はありません、とミサカは現状を報告します」

ふむ、と美琴があごに手を当てて考える。
予定がないなら、付き合ってもらおうかと。

「ならさ、これから買い物行くから一緒に来ない?」

「買い物、ですか、とミサカは尋ねます」

こんな時間に何を買うのか、とミサカ妹が首を傾げる。
もう日が傾き始め、ショッピングに行くというのには少々遅い時間かもしれない。

「そ、当麻たちと一緒に夕飯の買出しにね」

「ミサカが行く必要はあるのでしょうか、とミサカは素朴な疑問をぶつけてみます」

上条たち3人、親子水入らずの買い物にわざわざ自分がついていくのはどうなのか。
邪魔者になってしまうんじゃないだろうか。
そんな考えが御坂妹の頭をよぎる。
しかし、美琴の出した答えは、そんな考えは徒労だということを存分に突きつけるものだった。

「お一人様限定品とか、アンタがいれば1つ多く買えるじゃない」

「……お姉様、中学生なのになんだか所帯じみてますね、とミサカはため息をつきます」

何を当たり前のことを、と言わんばかりの美琴になんだかため息が出る御坂妹だった。
これが上条にあわせようと、こっそり金銭感覚を直してきた結果であると言うのは美琴以外は知らない。
とは言っても、まだまだこういうタイムセールくらいであり、ほかのことはあまり変わってないのであるが。

「うんうん。美琴はいい嫁になれるな」

美琴の金銭感覚が直ってきたことに上条が嬉しそうにうなずく。
上条としても、美琴の金銭感覚が一般並になることは非常に喜ばしいことだ。
情けない話であるが、将来美琴を養っていくときに、今のままの金銭感覚でいられたのではお金が瞬く間になくなってしまいそうだ。

「そ、そうかな。私、いいお嫁さんになれる?」

「当たり前だろ。料理も上手だし、可愛いし、美琴ほど最高の嫁はいないと上条さんは思うのですよ」

「えへへ。当麻にそう言って貰えると嬉しい」

心の底から嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべる美琴。
そんな美琴が愛しくてたまらない。
上条は自然に美琴の身体を抱き寄せ、優しくなでる。
髪の感触を確かめるように、傷つけないようにそっと指を絡めて梳いていく。
抱き寄せられた美琴は上条の体温を感じ、優しく髪を梳かれ、幸福に包まれていた。
自然と体から力が抜け、上条に寄りかかるような体勢になってしまう。
上条が美琴の頬にそっと手をそえ、顔を上げさせる。

「美琴……」

「当麻……」

視線が絡み合う。
そっと目を閉じ、ゆっくりと互いの顔が近づく。

「はい、そこまでです、とミサカは二人の間に割って入ります」

「えっ?」

「あっ……」

御坂妹に中断され上条が顔を上げる。
美琴はどこか残念そうな表情を浮かべていた。
一昨日も今日も、いい雰囲気になったのに寸止めされてしまった。
あとほんの少しだったのに。
美琴の胸中になんだかモヤモヤとした感覚が残る。

「まさか、この場で桃色空間に突入するとは思いませんでした、とミサカはお姉様とお兄様のバカップルぶりに呆れます」

「わ、わりぃ」

こんな風に注意されたのはもう何度目か、本当に抑えが利かなくなってきている上条だった。
まだそんなに人が多くない場所だからいいが、昨日のように人が多い場所でこんな姿を見られるのは恥ずかしすぎる。

「むぅ……」

そんな上条とは対照的に美琴がどこか不満げに拗ねるようにうなった。
先ほどのもやもやが、つい口から漏れたようだ。

「美琴? どうかしたのか」

「べっ、別になんでもないわよ」

ほのかに頬を染め、顔を背ける。
さすがに面と向かってキスがしたい、などと恥ずかしくて口に出来ない。
思わず上条とキスをしている情景を思い浮かべてしまい、顔を直視できなくなってしまった。
顔が火照ったように熱い。

「顔が真っ赤じゃねぇか、大丈夫か?」

「ふにゃっ!?」

上条が心配そうな表情を浮かべ、美琴を覗き込むように見つめる。
美琴の視界に上条の顔がアップで写る。
そのせいで先程思い浮かべた上条とのキスシーンが再び頭の中でリピート再生される。
何度も何度でも。

「あ、あぅあぅ」

何かを言おうとするが言葉にならない。
頭の中にあるのは上条とのキスシーンのリピート画像。
思考は溶けてどんどんと真っ白に……。

「ふ、ふにゃー」

「美琴? 美琴ぉぉおぉっ!?」

バチバチバリバリと美琴の意識はどこかに飛んでいってしまったようだ。

「どうしてこうもミサカたちの目の前でいちゃつけるんでしょう、とミサカは疑問を口にします」

「お父さんもお母さんも、こうなると周り見えなくなるからね……」

御坂妹と麻琴は呆れ顔でつぶやくのだった。


あの後、美琴が意識を取り戻し、買い物を済ませた上条たちがインデックスの待つ彼の部屋の前に着く頃には日はすっかり暮れていた。
タイムセールは若干遅くなってしまったため、特売品も減ってきてはいたが、4人のコンビネーションで特売品の入手には成功した。
特に卵1パック50円、お一人様1パック限り、と言う目玉商品は御坂妹がいてくれたおかげで4パック購入できたし、戦利品は大量だ。
そして、御坂妹は買い物が終わると、そろそろ病院に戻る時間だと言って帰っていってしまった。
美琴としては妹にも自慢の料理の腕を振るいたかったのだが。
まぁ、美琴は気付かなかったが、また御坂妹だけに手料理をご馳走するとなれば先ほどの10039号のように、他の妹達が嫉妬するかもしれないので、ある意味良かったのかもしれない。
―――玄関を開けて部屋に入る。

「「ただいま」」

「おかえり、とうま、まこと。それといらっしゃいなんだよ、みこと」

「おじゃまします」

パタパタと、主人にじゃれつく犬のようにインデックスが美琴の元に駆け寄っていく。
上条でもなく、麻琴でもなく、美琴の元へ。
その理由は実に単純。

「ね、ね。今日はみことがご飯作ってくれるのかな?」

すっかり餌付けされてしまっていたようだ。
わくわく、きらきら、と期待に満ちた目で尋ねてくる。

「う~ん。どうしようかしらね。門限も近いし今日は……」

わざとじらすような口調でちらりと時計を見る。
当然、美琴としては夕飯を作る気満々なので、インデックスをからかうための行動だ。

「だ、大丈夫なんだよ! いざとなったらとうまが何とかするんだよ。だからみことは安心してご飯の用意をしてほしいかも!!」

何とか美琴をとどめようと必死に説得しようとしている。
おろおろと、うろたえながらも何とかしようと言葉を捜すインデックスに苦笑する。
最初に出会った頃は恋のライバルとして反発していたのに、この数日ですっかり打ち解けた。
世話好きの美琴に天真爛漫なインデックス。
しがらみがなければ仲良くなるのは難しくなかった。

「冗談よ、冗談。ちゃんとご飯作ってあげるわよ」

「ほんと!? 嘘じゃないよね?」

「嘘じゃないわよ。ほら、食材もこんなに買ってきたしね」

上条の両手にぶら下がっているスーパーの袋を指差す。
本日のタイムセールの戦利品たちだ。

「やったんだよ! 今日はおいしいものがたくさん食べられるんだよ!!」

「ほらほら、はしゃがないの」

今にでも嬉しさで飛び跳ねてしまいそうなインデックスを美琴が制止する。
ほほえましい光景。
まるで姉妹のような二人の様子に上条は顔を綻ばせていた。
しかし、そんな中、麻琴は一人むすっと頬を膨らませる。

「……わるかったわね。どうせあたしの料理はお母さんの料理ほどおいしくないわよ」

誰にも聞こえないような小さな声でぼそりとつぶやく。
昨日一日、そして今日の朝と昼、上条家で食事の用意をしたのは麻琴である。
美琴にかなわない、と頭で分かっていても目の前で美琴が料理するというだけでここまで喜ばれるとさすがに悔しい。
本当にこの母親は大きなハードルだ。
乗り越えたくてもそう易々とは乗り越えさせてもらえない。
能力にしても、その他のことにしても。
だからと言ってこのままおめおめと引き下がったりはしない。
母譲りの負けん気の強さは伊達ではないのだ。
憧れの対象でもある母親をいつか越えてやる。
そう意気込むと、準備を始めている美琴に向かっていく。

「お母さん、あたしも手伝う。その代わり料理教えて!」

「いいわよ。だけどちゃんと手伝いなさいよ」

まずは料理上手な母親から技術を盗む!

食事が終わりだらだらと過ごす。
麻琴が美琴に教わって作った味噌汁はインデックスにも好評だった。
昨日とは全然違うんだよ、と言いながら何杯もおかわりしていたので、うまくいったのだろう。
他の母娘共同作業での料理たちも当然大好評だ。
元々麻琴だって料理スキルはかなり高い。
美琴のアドバイスをすぐさま覚えることが出来た。
授業で習わないような、細やかな味付けや、ちょっとした包丁のテクニック。
麻琴はそれらを詳細にメモし、記憶した。

「あ、そうだ」

ふと、麻琴はテレビをぼ~っと見ててあることを思い出した。
3人が不思議そうな顔をして麻琴を見つめてくる。

「ええっと、あ、あった」

ポケットの中から出てきたのは少しくしゃくしゃになったチケット。
そう、麻琴が福引で当てた遊園地のペアチケットだ。

「はい、お父さん。明日休みでしょ、お母さんと一緒に行ってきなよ」

チケットを上条の前に置く。

「いいのか? お前が当てたんだぞ」

「いいのいいの。ペアチケットじゃあたしには相手いないし。元々お父さんの福引券だったでしょ。それにさ、せっかく恋人同士になれたのに、お父さんとお母さん、デートもしてないでしょ、あたしが来ちゃったからさ。だから行ってきなよ」

「麻琴……」

「迷惑かけてるし、たまには上条さんとしましても親孝行がしたいのよ」

「ったく、親孝行な娘を持って幸せだよ」

「わわ、ちょっとお父さん!?」

上条が麻琴の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
乱暴だが優しい手付きだった。

「ホント、いい子に育って、未来の母親としては嬉しいわね」

「お、お母さんまで!?」

「私もやるんだよ!」

「ちょ、インデックスさん! あぁ、髪がぐちゃぐちゃになる! やめ、やめてー! あぁ、もう不幸だー!」

わしわしと3人に頭を撫で回される麻琴。
不幸とは口では言うもののその顔は嬉しそうだった。