とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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第1話「プロローグ」


「上条さんはどうしたらいいんでしょうか…」

放課後の教室で、上条当麻は悩んでいた。
今日は12月23日、上条の高校では明日が終業式なのだ。
クラスメイトは冬休みの予定を話しながら教室を出て行き、教室内は上条だけとなった。
補習の常連である上条は例に漏れず、今年も29日までみっちり補習が入っている。
今までと違うのは補習が長引いて家に帰るのが遅くなっても頭を噛み砕かれる心配はないということ。
インデックスは今イギリスにいる。フィアンマに遠隔操作されたときに消耗してしまった体力の回復と療養も兼ねているのだが、本人はおなかいっぱいご飯が食べられないということで不満なようだ。
しかし、今の上条は頭を噛み砕かれることよりも重大な悩みを持っている。
自身に取ってはいつのまにか記憶喪失と並ぶほどに発展してしまった過去最大級の悩み。それは…

「…そもそも俺って好きな子に告白なんてしたことあるのか?いや、多分無いだろうな…」

そう!
男なら誰もが一度は通ってきた『好きな人への告白』の方法である。

ロシアでの荒事も無事(?)終わり、なんとか学園都市に戻ってきた上条さんであったが、やはりというか無傷というわけにもいかず、10日間の入院生活を余儀なくされた。
いつもより長めの入院生活の中でたくさんの人たちがお見舞いに来た。
インデックスや土御門兄妹、小萌先生やクラスメイト。
さらには、建宮、五和などの天草十字凄教の面々だけでなく、キャーリサやアックア、一方通行までが来たのだった。

そんな科学と魔術がオンパレードな中、毎日病院に通っていたのが御坂美琴である。
毎朝、学校前に乗り込んできては無理矢理叩き起こされ(手段は主にコブシ、かかと、電撃、etc…)、上条が洗顔から歯磨きまでするのを確認してから学校に向かい、放課後はすぐに病院に来て、面会終了時間までずっとたわいもないことを話すだけ。
上条本人にとってはいつまた電撃が飛んでくるかが分からないのでビクビクしていたが、入院中は電撃どころか一度もビリビリは発生しなかった。

理由はわからなかったが結果としてよかったのでそのときは何も考えていなかった。
しかし、能力による襲撃(?)は退院後も行われていない。
最初は、入院中だったからかと思っていた上条も不思議に思い、聞いてみると
「もうそんな必要はないから。」とのこと。
当然、理解が出来ない上条は
「じゃあ、なんで今まで必要だったんだよ。」
と聞いてみたが
「ちょっとは自分の頭で考えるのね。」と教えてもらえなかった。
分かるわけないだろと頭をかいている上条に、
「そのうち…」
「ん?」
「そのうち…言える時が来たら教えてあげる♪」
振り返り、笑顔で美琴は言った。
そのときの笑顔は、今までのビリビリ少女ではなく御坂美琴という女の子を意識させるのに充分なものだった。


(やっぱり、あのときからだよな…)
ケンカ友達だと思っていた女の子が、年相応の可愛い女の子に見え始めたとき、最初は『中学生に手を出した凄い人』になるのがためらわれ、モヤモヤした自分の感情に気づかないようにフタをした。
(でも――)
笑っている顔、怒っている顔、恥ずかしがっている顔。
何か悩んでいる顔、焦っている顔、そして―泣いている顔。
思い出しただけで嬉しくなったり、悲しくなったり、自分の感情が抑えられなくなる。
そして、自分だけにその顔を見せて欲しいと思ってしまう。
(―――末期…だな)
自分自身でもそう思う。
これであいつに他の相手がいたら、と思うと真っ黒な感情で自分が何をするかも分からない。
「…やっぱりあいつモテるんだろうな。」

美琴のことを思い出していた上条は後ろから近づいてくる2つの影に気づいていなかった。
「誰がモテるんだにゃー、カミやん?」
「フラグ魔の男にそんな風に言わせるほどの相手なんやからよっぽどなんやろ?」
「っ!聞いてたのかよ!!」
後ろに土御門と青髪ピアスがいるとは思っていなかった上条はどこから聞かれていたのかと焦った。
というより、教室には誰もいなかったから物思いに耽っていたのだ。それを見られたことの焦りも3割ほど入っている。
「いきなりとはご挨拶だにゃーカミやん。俺たちはちょっと職員室に呼ばれてただけなんだにゃー。ほら、鞄もあるだろ?」
確かに、土御門の机の上には通学用の鞄が置いてある。そんなことにも気づかないくらい悩んでいるのかと上条は唖然とした。
「それよりカミやん、誰がカミやん並のフラグ魔なん?」
「だからフラグってなんだよ!それにあいつはそんなこと…」
途中からいきなり声が小さくなっていく上条。
なぜなら、面白いことを聞いたとイジる気満々の顔の土御門と、その後ろで興味深そうに話を聞いている小萌先生、吹寄、姫神がいたからだ。
真っ青になり、鞄も持たずに教室を飛び出そうとしたところを土御門に掴まれ、青髪ピアスに羽交い締めにされ、吹寄のおでこを食らって白旗を上げた。
「不幸だ…」
少年の言葉は誰にも届いていなかった。

――――――――――――――――――――――――

「ヒドい目にあった…」
上条裁判という名の魔女裁判、しかも裁判官も弁護人も全て敵であり、クラス最強の小数精鋭+小萌先生という今までに無いプレッシャーの中で土御門のイジりに耐え続けた。
隙を見て逃げ出した上条は、今第7学区内を寮に向かってトボトボ歩いている。
(クリスマスか…)
神裂やステイルが見れば日本のクリスマスは間違っていると声を荒げるだろうが、日本人にとってはクリスマスは恋人たちのものである。
それは学園都市も例外ではなく、腕を組んで歩く人もいれば、路上でキスをしている人もいる。
そんな中を歩いていると向こうから頭に花をつけた女の子ときれいな黒い髪をしたロングヘアの女の子が歩いてきた。
「初春はプレゼント何買うの?」
「んー、まだ考え中です。渡す以上は喜んで欲しいですから。佐天さんは何を買うんですか?」
「ん?初春のはもう決まったんだけどね、他の2人のが決まらないんだ~。」
「…下着とかは要らないですからね。」
「ギクッ!や、やだな~初春、私がそんなもの買う訳ないでしょ?」
「『ギクッ!』って言ってる時点でごまかせてないですよ!大体佐天さんは…」
気づけば上条は立ち止まっていた。
すれ違うときに2人の会話が聞こえていたのだが、告白のきっかけを作る作戦を思いついたのだ。
また、歩き始めた上条だがさっきよりも足どりは軽くなっていた。

(明日、プレゼントを渡して告白する!)
そう心に決めた上条は寮の部屋に着くと、鞄だけを置いてそのままにプレゼントを買いに向かった。
向かった先で最悪の事態になるとは知らないまま…


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