とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part05

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 美琴は御坂妹が何を言っているのか理解できなかった。
 最初、仮死状態から戻るのはそれぐらいかかるのでは?と思ったが、その可能性はすぐに否定された。
 なぜならば美琴は常盤台の授業で第三次世界大戦が出てきた時、教師が「停戦時、学園都市側の死傷者はゼロ。戦争に参加していた警備員たちは次の日には普通の生活に戻った」と説明していたからだ。
 ならどうして上条は起きないのか?そう考えるととてつもなく嫌な予感がして額から汗が出る。

「でも・・・・うそ・・・・まさか・・・・」

「・・・・・どうやら、学園都市の技術をもってしても彼を目覚めさせる事は出来なかったようです、とミサカは苦痛に耐えながらも言葉を紡ぎます」

「・・・・そんな・・・ここまで来たのに・・・・やっと会えたのに・・・・ねえ、起きてよ・・・声ぐらい聞かせてよ・・・」

 御坂妹は俯くと何も言わなくなってしまった。
 美琴は上条の方へ向き直ると上条の肩を掴み揺すり始める。
 しかし上条は答えない。
 美琴が揺するのを止めるとガクガクと揺れていた上条の頭も止まり、横へ力なく傾いた。
 そしてついに、支えを失った美琴だけの現実がガラガラと音を立てて崩壊した。

「いや・・・いや!・・・・いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 美琴は上条を抱き寄せ叫ぶと、周りにバリバリッと放電し始める。
 その時、上条の体がビクンっと動いた。
 ピーッとカプセルに繋がれたモニターが赤く光り、警告音を発信する。

「何をしているのですかお姉様!!」

 我に返った御坂妹が美琴に駆け寄る。
 ドンッと美琴を突き飛ばし、上条から美琴を引きはがした。
 突き飛ばされた美琴はそのまま床に崩れ落ちたまま嗚咽を漏らす。 
 それまでビクンッビクンッと動いていた上条の体は力なくカプセル内に倒れた。
 部屋にいた他の妹達も上条の方へ駆け寄る。

「彼を殺す気ですか!?」

 御坂妹は上条の方へ向き手を手術着の中に入れると胸に触れる。
 上条の息は浅く、顔は青冷めていた。

「心臓は動いていますが不整脈が起きています。応急処置を行います、離れてください」

 ビクンとまた上条の体が動いて呼吸がもとに戻り、顔色も良くなった。
 モニターからの警告音も止み、元にもどった。
 御坂妹は上条の状態が正常に戻ったのを確認すると、美琴の方を向く。
 美琴はまだ床に突っ伏したまま泣いていた。

「お姉様、まだ終わってはいません。彼はまだ死んではいないのですから」
「うん」

 美琴は頷くとゆっくり立ち上がり涙を拭った。

「そうよね。まだ終わってなんかないわよね」
「大丈夫ですよ。行きましょう、とミサカは手を差し出します」
「ありがとう」

 そう言うと美琴は差し出された御坂妹の手を取る。
 妹達の内の二人が上条を担ぎ、全員が扉に向かって歩き出した。
 しかしその時、フッと明かりが消え辺りが真っ暗になった。
 そして、ガラガラガラガラドオォォンと凄まじい音を立てながら部屋の扉が落っこちた。

「え?何が起きたの?」
「ちょっと待ってください。今確認します」

 そう言うと妹達はバッグからライトを出しスイッチを入れる。

「確認できました。どうやら施設内のセキュリティが異常を感知し施設内の電源を落とした様です」
「異常ってもしかして」
「はい。さっきの放電です、とミサカは答えます」
「ごめん」
「いえ、過ぎたことです。それよりもまずここから出る方法を探しましょう」
「それなら私が扉を吹き飛ばすわ。向こうの子達に下がるように伝えて」
「わかりました」

 美琴はポケットからコインを取り出し指で弾く。
 次の瞬間、ドゴオオォォンと爆音がして美琴と扉の間にオレンジ色の光の線が現れて消えた。
 しばらくして閃光で眩んだ眼が闇に慣れてくると妹達がライトで扉を照らした。
 扉には美琴が超電磁砲で打った所に黒いインクを垂らした様な跡があるだけで、それ以外には全く変化が無かった。

「そんな・・・」
「大丈夫です。他にまだ手はあります向こうのメンバーに地上へ・・・・」

 御坂妹は言葉を詰まらせた。
 美琴は俯いて呟く。

「ねえ。私って空回りしてばっかりだよね。ていうか皆の足引っ張ってばかりだし・・・・」
「そんなことありませんよ。後ろに下がって下さい」
「え?うわっ」

 御坂妹はそう言うと美琴の腕をつかみ後ろへ引っ張った。
 美琴は後ろに尻餅をついて御坂妹に何事か?と尋ねようとしたとき、ガガガガガガンと金属同士がぶつかり合う様な音が部屋に響いた。

「な、なに?」

 美琴が扉を見ると丁度真ん中あたりに無数の金属矢の先端が縦に並んで現れ、消えた。
 そして、ガギィンと電話ボックス程の演算器が扉を引き裂き現れると、また消えて大きな穴がポッカリ空いた。
 するとその奥からキャップを被った少年の様な人影が現れた。

「まったく、驚きましたわ。不審者を追いかけていたらお姉さまがいっぱい居るんですもの。黒子はとうとうお姉さま禁断症状になったかと思いましたの」
「黒子!?」
「詳しいことはあとですの。それよりもこんな所で何を・・・ああ、なるほど。まあ、目的は果たせた様なので今は外へ出ましょう」

 黒子はぐったりした上条を見ると何かに納得しそれ以上話さなかった。




 その後の脱出はかなり簡単だった。
 妹達のおかげで研究員達は全員ダウンしていたし、施設のセキュリティも電源が落ちていたため一直線に昇降機まで行くことが出来た。
 昇降機まで辿り着くと、美琴は妹達が開けたハッチから床下のモーターに電流を流し、昇降機を稼働させ地上へ上がり倉庫の外に出た。
 こんなに簡単でいいのだろうか?と美琴が思っていると先頭にいた黒子が美琴の方へ振り返って口を開いた。

「ではお姉さま、また明日学校で」 

 そう言って黒子は背を向けて歩き始める。

「黒子!あの」
「お姉さま、責めるのも後悔するのも今でなければ出来ない訳ではありません。では」

 黒子は美琴の言葉を遮ると瞬間移動して居なくなった。
 そして上条当麻救出作戦は終了となった。
 実の所、外でバックアップしていた妹達はかなり暇だったらしい。
 彼女たちが言うには、セキュリティの解除以外にやった事と言えば、研究員から発信された緊急信号とセキュリティにより発信された異常報告を妨害しただけで、それ以外は何もしていなかったそうだ。
 本当にこんなに簡単でいいのだろうか?美琴はそう思っていると御坂妹が話し始めた。

「ちょっと上手く行き過ぎなような感じもしますが今は彼を病院まで運びましょう」
「ではお姉様、また会いましょう」「さようなら」「ごきげんよう」「失礼します」

 美琴と4人の妹達以外は会釈をすると闇の中に消えて行った。

「あの子たちは?」
「各々がお世話になって居る研究所や医療機関に帰るだけです。ここからは私達だけでも彼を運べますし」
「なるほど。じゃあちょっと肌寒いし早く病院にコイツを連れて行きましょう」

 美琴はそう言いながらジャージのジッパーを開け上着を脱ぎ、妹達に担がれた上条に着せる。
 そして彼女達は第7学区へと帰りカエル医者の病院へ向かった。








「ん・・・うぅ~ん」

 上条は目を開けた。
 少しぼんやりしていた周りの輪郭が徐々にはっきりしていき自分がいつもの病室に居ることを理解する。

「なんか、長い夢を見ていた様な気分だな」

 窓から見える景色は夕日で茜色に染まっていた。
 上条がしばらくボーッと窓の外を眺めていると、ガラララと扉の開く音がした。
 上条は窓の外から目を離し、そっちの方を見るといつものカエル先生が立っていた。

「おや?久しぶりだね。気分はどうだい?」
「はあ、お久しぶりです。物凄くだるい感じがします。ていうか俺はいつ日本に帰って来たんですか?」
「君、随分と寝ていた様だからね。あ、喉乾いたかい?水でも持ってきてあげるよ」

 そう言うとカエル医者は部屋を出て少しすると紙コップに水を入れて戻ってきた。
 上条はそれを受け取り飲んだ。カエル医者は扉の近くにある丸椅子に腰かけた。

「ありがとうございます」
「もっと欲しかったら言ってくれ。そうだな、まず何から話そうか?やっぱり最初からの方がいいかな」

 そしてカエル医者は美琴と御坂妹から聞いた大体のあらすじを説明した。

「と言うわけで、君は丁度一週間前の夜に御坂さん達に担がれてここに来たってわけだ」
「はあ、俺が眠っている間にそんな壮大なエピソードがあったんですか。所で御坂と妹は?怪我とかしてないですか?」
「彼女達なら大丈夫だよ。さっき連絡したからもうそろそろ来ると思うけど。おや?来たようだね」

 タタタタタタッと廊下を走る音が聞こえたと思うとガラララッと部屋の扉が勢いよく開いた。
 するとそこには肩で息をしながら険しい顔をした美琴が居た。

「先生!アイツは!?」
「こらこら、病院では大声を出さないでほしいね?彼ならそこだよ」

 カエル医者はベッドを指差した。
 美琴は深呼吸して息を整えるとベッドに歩み寄って来たので上条は声を掛けた。

「う、うっす」

 美琴は上条をジッと見つめて口を開く。

「・・・・・ねえ、私の事誰だかわかる?」

 上条は美琴が記憶喪失の事を心配しているのだとすぐにわかった。

「ああ、覚えてる」

 上条は美琴の顔をみて答える。
 美琴は一瞬明るい顔をしたと思ったがすぐに俯いてしまった。

「アンタがどうしてここにに居るか知ってる?」
「ああ、さっき先生から全部聞いた」

「・・・何か言うことは?」
「ごめん、迷惑かけたな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ばか」
「お、おい!」

 美琴が上条の胸に顔を埋めるように抱きついてきた。

「ヒック・・・・・・・ばか・・・ばかばかばかばかばかばかばかばかばかバカアアァァァ!!うっすじゃないわよ!!ヒック どんだけ心配したと思ってんのよ!!ウエ・・・ウ、ウワアアアアアアアアァァァァァン!」

 美琴は上条の胸にしがみ付き、子供の様に大声で泣いていた。
 上条は何も言わず美琴の頭をやさしく撫でた。
 するとまた扉の開く音がして今度は妹達が部屋に入ってきた。

「ようやく起きましたか、とミサカは安堵します」
「お前らにも迷惑かけたな、ありがとな」


 プルルルルルルルルルルル


「おや?電話だ。ちょっと失礼するよ」

 カエル医者の白衣の胸ポケットに入っていた病院の電話の子機が鳴ったので、一旦廊下へ出て行った。
 上条は美琴の方へ向き直り話しかける。

「心配かけてすまん。ありがとな、御坂」
「もういいの。ヒック 起きてくれたから。でももうちょっと、このままで居させて」
「ああ」
「では次は私です、とミサカは志願します」
「じゃあその次はこのミサカです」
「このミサカもお願いします」
「じゃ、じゃあミサカも」

 上条が美琴の頭を撫でていると御坂妹達が我先にと手を挙げて注文していた。

「おいおい、俺はレンタルきるぐまーじゃないんだぞ」

 フフフと漏れるような声が聞こえて上条は驚いた。
 上条はその時初めて妹達が笑うのを見た。







 医者は子機を取ると耳を当て話しかけた。

「はい。どうしました?」
「やはり貴方には敵いませんね」

 男にも女にも、聖人にも狂人にも聞こえる声が受話器から返ってきた。

「おや?めずらしいね。君のほうから電話が掛かってくるなんて。敵と言われた以上、宣戦布告でもされてしまうのかな?」

 医者は面白そうに返事をした。

「まさか。こちらが成し遂げられなかった事をやってくれたのだ。こちらが数ヶ月掛かっても覚醒させる事が出来なかったのに、こんな短時間で幻想殺しを覚醒させられると複雑な気分ですが。感謝はすれど、危害を加える気はありませんよ。」

 それは感謝にも憎悪にも聞こえる声だった。

「なんのことだい?」

 医者が笑いながらとぼけた様な声で返事をする。

「ふふ、人が悪いですね。わたしは自信をなくしそうですよ」

 嘘にも真にも聞こえる声がそれに答える。
 医者は「ふぅ」と一息つくと話し始めた。

「なあ、アレイスター。若いって素晴らしいと思わないかい?」
「私からすれば貴方もかなり若いのですが」
「違うよ。体の事じゃない。心の事さ。若者はいつだって僕達老いぼれのつまらない予想から遥か彼方の場所で、思いもよらない答えを見つけ出す。」
「・・・・・・・・・・・・・・・医者の台詞とは思えませんね」

 尊敬にも嘲笑にも聞こえる声が返ってきた。

「はは、僕だって人間だ、ちょっとセンチになってしまう時だってあるさ。それにさっきの事だけど、僕には何の事だかサッパリだよ?感謝ならあの子達にするんだね。」

 医者は後ろを振り返りながら電話に話す。
 そこには微笑みながらベッドを囲むように立つ同じ顔をした4人の少女、
 もう一人同じ顔を涙でグシャグシャに濡らしながらベッドに居る少年に抱きつく少女、
 そして抱きつかれながら笑うツンツン頭の少年の姿があった。

「あと、前にも言ったけどあの子達は僕の患者だ。なにかしようものなら、僕は君を許さないよ?」

 医者は低い声で警告する。

「わかっていますよ。先ほども言った通り、危害を加えるつもりはありません。久し振りに楽しい会話をさせてもらいました。では。プツッ ツーツーツー」

 喜悦にも悲愴にも聞こえる声はそう答えると通話を切った。
 医者も電話から耳を離し子機を上着の胸ポケットに仕舞うと病室に戻り少女達に話しかけた。

「まあまあ、目が覚めて一安心だけど、ついさっきまで半年以上無意識だったんだ。精密検査だけはさせてもらうからちょっと待ってて欲しい。御坂さんに君たちの部屋でも見せてあげれば?検査が終わったら呼ぶから」
「わかりました、お姉様こっちです。ではまた」

 御坂妹達はそう言うと部屋から出て廊下で美琴を待った。
 美琴も上条から離れ扉まで歩き出したが、途中でクルッと上条の方へ振り返った。

「またね!当麻!」
「え?」

 美琴が今まで見せたことがないような笑顔で、急に名前を呼ばれて上条はフリーズした。
 美琴は上条の思考が追いつく前に扉から出て妹達と行ってしまった。

「ラブラブだね?」
「・・・・・・・」
「でもこの病院では如何わしいことはしないでくれよ?産婦人科は再来年導入予定だからね」
「・・・へ? そ、そんなことしませんてば!!!!」

 上条は我に返り医者の世迷言にツッコんだ。

         ☆

 精密検査には2時間ほど掛かったが美琴は幸せ半分、緊張半分でそれほど長く待った気がしなかった。
 実は美琴、上条が起きたら告白しようと決めていたからだ。
 もう去年の秋からずっと言えなかったし、またどっかに行っちゃうかもしれないし、今回で全部ハッキリさせる!!
 そう意気込んでいたため妹達の部屋でトランプゲームなどを教えている間も殆ど上の空だった。
 そうこうしている内に妹達の部屋にある内線が鳴り、受話器を取った御坂妹に検査の終了を伝える。

「お姉様、検査が終わったので病室に行ってもいいそうです。先に行ってて下さい」
「アンタ達は?」
「私たちは後から行きます。お姉様の一大決心を邪魔したくありません」
「な、なんでその事を!?」
「先ほどからのお姉様の様子を見ていればすぐわかります」
「うっ、そんなに顔に出てた?」
「それはもう、一喜一憂全て表現してました、とミサカは真似します」

 御坂妹は笑ったり落ち込んだりニヤけたりを繰り返した。

「う、うっさいわね! じゃあ行ってくるから!」
「頑張ってください」

 そして美琴は妹達の部屋を後にし上条の病室へ向かった。
 病室に入るとそこには笑っている上条と険しい顔をしたカエル医者がいた。
 カエル医者は美琴の方へ振り向くと話し始めた。

「お、早かったね御坂さん。上条君と話す前にちょっといいかな?」
「いや、先生。俺が自分で話すんで大丈夫です」
「そうかい?じゃあまた後で来るよ。妹達には話しちゃっていいかな?」
「はい、そうしてもらえると助かります。後で自分も行きますんで」
「わかった」

 カエル医者はそう言うと部屋を出て行った。
 部屋に上条と二人きりになったので美琴はドキドキし始めたが思い切って話しかける。

「「あのさ」」
「どうした?先にいいよ」

 二人同時に声を掛けたので上条が先を促す。

「じゃあ私から。つ、次にアンタにあ、会えたらね、は、話しておきたい事があったの。だからっ、い、言うね」

 自分でもわかる、顔が赤くなってきた。動悸が加速する。言葉が詰まる。
 何よ!いざとなったら緊張しちゃって!根性出せ、私!
 心の中で言い聞かせた。その間上条は黙って美琴の方を見て頷いた。
 美琴は深呼吸をして自分を落ち着かせると話し始めた。

「私、御坂美琴は上条当麻の事をずっと前から好きでした。もう私にとってあなた以外の人はあり得ません。だから、これからの人生、私と一緒に歩いてくれませんか?」

 もはや告白と言うよりプロポーズだった。
 上条は少し驚いた様だったが、何も言わずに最後まで美琴の言葉を聞き終えると優しく微笑んだ。
 そして美琴に答える。

「正直、ちょっと驚いたけど凄くうれしい。まさか自分の事を好きになってくれる人がいると思わなかったし、それがこんなに見た目も頭も良いお嬢様だなんて思ってもみなかった」

 そして上条は俯く。

「・・・・でも、ゴメン・・・」
「そっか・・・」

 美琴は上条が答えても目を逸らさなかった。
 こうなる可能性も有るって分かっていたけど、やっぱり、無理!我慢できない!
 美琴の目からポロポロと涙が溢れ、止まらなくなった。

「・・・・ウッ・・・グスッ・・・ヒック・・・」

 嗚咽が漏れる。
 すると俯いていた上条が美琴の方に向き驚いた様に話しかける。

「御坂さん!? いや、確かに誤解されるような言い方したけど!なんか勘違いしてませんか!?」
「へ?」
「いや、上条さんは美琴さんと付き合えるのは万々歳なのですよ!でも、あの~、なんて言うか御坂さんのお願いは聞けないと言うか、出来ないというか・・・だーっもう!」

 上条は叫びながら頭をガリガリと両手で掻き毟ると「はぁ」とため息をついて美琴の方へ向き直る。

「御坂、俺も御坂に聞いてほしい事があるんだ」

 すると上条は手を自分の手を足に乗せ話し始めた。

「俺、もう歩けないんだ。だから一生、御坂と一緒に歩くことは出来ないんだ」
「え・・・・・・・・・・」


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