とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part60

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 とある右手の番外編 5


 愛してる


 当麻が私のことを好きだと言ってくれたあの日から、もう5年の月日が流れた。

 当麻は20歳。私は19歳になる。
 二人は今一緒の部屋に住み、一緒の大学に通っている。
 当麻はしっかり1浪して、私は高校の時に飛び級をしたので、今は同じ学年になっている。

 私の左手の薬指には、今指輪が光っている。
 彼が1浪した理由はコレだ。
 普通なら学生が買える額の指輪じゃないんだけど、当麻はデートの時に私がその指輪を見ていたのを見て、それをプレゼントすると決めていたらしい。

 私が高校を卒業した時に当麻はこの指輪を私にプレゼントしてくれた。
 でも、そのせいで当麻は1年を棒に振った。
 その事を私が言うと、当麻は……
 『人生長いんだ。一年くらいどうってコト無いさ』
 と言ってくれた。

 その指輪を貰った時、私たちは結ばれた。
 私が彼から離れなかった。そして当麻を押し倒した。
 だって……嬉しかったんだもん(ポッ……//////////)。

 今、当麻は私の横で寝息を立てている。
 彼の温もりに包まれながら、この5年間を思い返してみる。

 本当に色んなコトがあった。
 ケンカもしたし、一時は『もうダメかも……』と思ったことさえあった。
 でも、その度に『コレは神様が与えてくれた試練なんだ』と自分を励まして、その出来事に向かって行った。

 戦争もあった。
 当麻はその戦争を止めるために、そしてインデックスを助けるために、私を置いて行ってしまったこともあった。
 でも、私は当麻を待つことに決めていた。

『オレは必ず美琴の許に帰ってくる。だから、待っていてくれ』

 当麻はそう言って学園都市を出ていった。
 そして当麻はその約束を、必ず守ってくれた。

 でも、待つことは辛いことだった。
 当麻が居ない間は『もしかしたら……』という不安が消えることはなかった。
 いつしか私は『祈る』ことが、自分の日常になっていることに気が付いた。
 『祈る』ことで当麻を信じ、『祈る』ことで自分を信じ、『祈る』ことで不安を消して、『祈る』ことで待つことが出来た。

 ……ねえ、当麻。
 もう少しだけ、訊いて欲しい。
 もう少しだけ、私のワガママを訊いてよ。
 ねえ、イイでしょ?

 言葉が欲しいの。
 貴方は恥ずかしがり屋だから、口に出して言ってくれない。
 私も素直じゃないから、貴方が言わないと言えないのよ。

『愛してるよ。世界が終わるまで』

 その一言が何より欲しい。

『バカげてる』

 と笑われてもイイ。
 貴方の口から、その一言が聞きたいの。

 ……ねえ、当麻。
 私は貴方のことをもっと知りたい。
 ずっと一緒に居ても、貴方のことが知り尽くせない。
 もっと貴方を知りたいと思う。
 こうやって貴方と一つになりたいって思うのも、貴方のことをもっと知りたいからなのよ。
 貴方に甘えて、貴方のカラダを精一杯抱き締めるのも、貴方をもっと知りたいから。

 貴方が居なかったら、私の世界はモノトーンになってしまうの。
 貴方が居るから、私の世界は鮮やかな色を纏えるのよ。
 貴方が居るだけで、私の世界は変わってしまうの。

 忘れないで。
 貴方が帰ってくるのは、ココなんだからね。
 私のトコロに帰って来てね。
 そして私の手を、離さないで。

 いつか、二人が離れる時が来たとしても……
 こうやって愛し合えた日々があれば耐えられるから。
 約束する。貴方を待ち続けるから。
 だから私を安心させて。
 離れ離れになった意味を知る日が必ず来るから。
 今は、私のこの手を離さないで。

『愛してる』

 そう言って貰えるくらい、私は貴方のことを愛せてるかな?
 簡単なコトじゃないのは解ってる。だから『祈る』の。
 ずっと貴方を愛せるように……。

「ン……美琴……」

「え?……当麻……起きたの?」

「スー……スー……」

「何だ……寝てるの?」

「スー……スー……」

「無邪気な顔。ねェ……当麻。言って欲しいな……あの一言を……」

「スー……スー……」

「ねえ……言ってよ……ねえ……」

「//////////……愛してるぞ、美琴。世界が終わろうと、お前を愛してるよ……」

「やっぱり起きてたんだ……」

「恥ずかしいこと、言わせんなよ……」

「嬉しい……ありがとう。当麻パパ……チュッ」

「えっ!?」


Fin


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