とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part06

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上条当麻の苦悩


美琴が小さくなった事件から数ヶ月がたち、仲良く楽しく過ごせていたが俺と美琴にまた出来事が起きた。
最初は出来事が起こっていることにも気づかなかった。だがあることに気付いてから大きく変わったと言ってもいい。


きっかけはこんなことから。


(最近美琴部屋に遊びに来なくなったなぁ・・・)

晩御飯の支度をしていた時にふと思った。毎日のようにここに遊びに来ていた美琴だがこの一週間一回も来ていない。
いや、それよりももっと深刻なことがある。


(ていうか会ってないなぁ・・・)


そう、美琴と一週間も会ってない。半日連絡がなかったら「ちょっと!可愛い彼女置いて何してんのよ!?」など
可愛いメールなりお怒りの電話が来るのが普通だったがここ最近美琴から連絡が来るのは寝る前だけ。


「おやすみ、もう寝るね。当麻愛してる」


と美琴お約束のおやすみ&愛の言葉メールか来る程度。いつもならちょっと鬱陶しいメールの量でも突然パッタリと
来なくなるのも意外と寂しかったりする。いや、本当に寂しかった。

なので俺からメールを送ったこともある。朝一番に「おはよう、今日は久しぶりに会うか?」と送っても返信ナシ。
放課後の忘れた頃にやっと返信が届き、「ごめん!今日も用事があって会えないの!本当にごめん!!」というガッカリする内容。
あれ?俺に会ってくれない程美琴を怒らせたっけ?その記憶はない。もしあったとしても美琴は直接言ってくる性格だし。
インデックスに何か思い当たる所がないか聞いてみても

「最近のとうまは珍しくとうまらしくないくらい女の子の味方なんだよ」

と少々理解するのに時間がかかるコメントをしてくれた。

美琴から連絡がないということで悩むとは・・・どうやら俺は相当美琴の尻に敷かれているらしい。


でも俺はあえて考えないようにしようとした。美琴はレベル5で色々忙しいだろうし友人との付き合いもあるし。
そんな毎日俺といてもいけないからな!あはは・・・はぁ、不安だ。


「また短髪のご飯食べたいな」
「う・・・」

インデックスが不安を余計に煽ってくるこの言葉・・・グサっと刺さるし俺も段々辛くなってきた。

「美琴に会いたい・・・」

ふつふつとこの感情が湧き出てきた瞬間だった。




「とうま、こんな土曜の朝早くからどこ行くの?」
「ん?美琴に会いに」
「熱々なんだね・・・ふわぁ・・・短髪によろしくなんだよ」

土曜日の早朝、俺は学校に行く時間よりも早く出かけた。インデックスはいいなぁ~という顔をしながらあくびをし、
二度寝の支度をしようとしていた。

美琴に会うというより探しにいくほうが正しいだろう。あれから美琴との連絡は変わりなく寝る前のメールのみ。
実際に美琴が何をしているのか気になるし、万が一・・・俺が見たくない現場を見てしまったらどうなるかわからない。
それよりも会いたい、顔を見たいという気持ちが強かった。

真っ先に向かったのは常盤台の寮。この時間に行って待てばきっと会えるだろうと思っての早起きでもあった。
入り口のすぐ近くで待つと怪しまれそうなので少し離れた場所で美琴が出てくるのを待つ。

しかし1時間、2時間と待っても美琴は出てくる気配はない。もしかして今は寮の中にいるのかもしれない。
それとも俺が来るより前に出たのか?
そう思って美琴に電話をかけてみたが何回呼び出しても出ない。

おかしい。何があったんだ?美琴、返事をしてくれ、声を聞かせてくれ、顔を見せてくれ。
メールだけだと意味がないと言っていたのが今ちょっとわかった気がする。でも俺に連絡もしないで何をやっているんだ?


「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!もう何やってんだよアイツ!!」

俺はたまらず叫んでしまい、髪をぐしゃぐしゃと掻いた。ちょうど外出しようとしていた生徒たちが
「ひっ!」と悲鳴をあげていたのは知らないことにしておこう。


「風紀委員ですの。ここでそれ以上騒ぐと警備員に突き飛ばしますわよ上条さん?」

突然俺の目の前に瞬間移動を使って現れた少女が敵意を剥き出しにして俺に突っかかって来た。
そう、俺の天敵、白井黒子が。

「ここで気持ち悪い顔をして常盤台の生徒を物色中ですの?」
「気持ち悪い顔で悪かったな!そして決して物色なんかしてない!美琴を待っているだけだ!!」
「お姉さま・・・ですの?」
「え・・・あ・・・あぁ」

俺は白井に美琴と付き合っていることを黙っていたが美琴が小さくなった時に美琴がポロっと「当麻に会いたい」と
漏らしたらしく、それで関係がばれた。
当初は鬼の形相で白井に追いかけ回されたが今は「憎い相手」でも一応交際は認められているという訳だ。
でも白井は俺の口から美琴の名前が出ると明らかに殺意を抱いた顔をしてきた。だが美琴談によると
「お姉さまが信頼されている方なのですから私も信頼しますわ」らしい。決してそうは見えないのだが・・・


「申し訳ございませんがここでいくら待ってもお姉さまは現れませんわよ?」
「何ぃ!?じゃあどこにいるんだよ!?」
「今朝のお姉さまはとても急いでいらしたので私のテレポートで目的地まで送ってさしあげましたわ。私は今その帰りですの」
「そうか、じゃあ俺に会いたくない訳じゃないんだな?・・・・はあ・・・よかった・・・」
「・・・どうされましたの?」

これ以上ないくらい俺が白井の前で安堵のため息を吐くと白井は変な目で見てきた。


「いや、実は・・・」

俺は白井にこの一週間美琴と会えていないことを話した。連絡は一日ほんの少しだが取れている、でもいつも会うのに
会わないことに不思議だと感じて俺が会いに来てここにいる訳だと説明した。


「そうでしたか。今のお姉さまはとても忙しいみたいですから。実際の所、私も何をしているのか教えてもらっていませんの」
「お前にも教えてくれてないって・・・あのさ白井、まさかとは思うが美琴はもしかして浮k・・・」
「それ以上言うと脳天に鉄釘を刺しますわよ?」
「うわぁ!スマン!!美琴はそんなことするヤツじゃないもんな!!」
「ふん!お姉さまを疑うなんて何故アナタがお姉さまの隣にいるんですの?」
「わ、悪い・・・ちょっと最近不安で・・・美琴がどこか行ってしまうんじゃないかって」
「ですがお姉さまが私にも何をしているか教えてくれないのはきっと私からアナタに伝わるのが嫌だからだと思いますの。
いつの日かのように凄く落ち込んでいる様子でもなさそうですしここはそっと見守っていたほうがいいのでは?」
「そ、そうか・・・心配させて悪かったな」
「あら?アナタの心配なんかしてませんわよ?お忙しいお姉さまの体調だけが心配ですの」



そんなやりとりをして白井は風紀委員の仕事があると言って去っていった。
白井がああ言うのなら大丈夫なんだろう。俺はそう信じてまだ寝ているであろうインデックスがいる部屋へ戻った。
でも俺の心の中の不安は消えなかった。




「インデックス、久しぶりに2人で出かけるか?」
「珍しくとうまが私を誘ってくれたんだよ!?これは何かの前兆?」
「はいはい、早くしねえと置いていくぞ」
「そういえば短髪は?会いに行ったんじゃないの?」
「あ、あぁ。今日は都合が悪いからって断られちまった」
「ふぅん。熱々じゃなかったの?」
「いや、熱々だ・・・多分」

また不安を煽るようなことを言ってきやがりますね、この寝るか食うかのシスターさんは・・・

こうして久しぶりにインデックスと出かけたのだが・・・

「あれ?」

何やら外を歩く人たちが少し変わったような気がする。
変わったというより流行が変わったとでも言うのだろうか。ファッションに興味はない俺だが美琴の影響で多少なりとも
わかっていたつもりでいた。

ほんの些細なことだ。周りを歩いている女の子たちの服装にさほど変わりはないが持ち物に変化があった。
バッグにつけているキーホルダーがファンシー系のグッズが多い。見覚えのあるカエルキャラ、可愛いと言えるかどうかわからない
キャラクターなど、とにかく女の子たちの携帯やバッグについている。
何故鈍いと言われている俺がここまで気づけたのか・・・

それは美琴の好きなものとあまりにも同じだったからだ。特に多いのはカエルキャラのストラップ。あまり人気のない
漫画かアニメだと思っていた俺だがここまで人気だったのか?


「むうぅ~~」
「インデックス?」

そう考えていると隣でインデックスが不機嫌な声を出していた。珍しくインデックスが携帯をいじって難しい顔をしており、
確か美琴がめっぽう機械に弱いインデックスにわかりやすく、丁寧に教えていたこともあったっけ。

「短髪からけーたいでんわーでの遊び方を教えてもらったんだけどうまくいかないんだよ」
「お前・・・そんなの外でやってると人にぶつかるぞ?」

隣から画面を覗くとミニゲームをやっていた。何もここでやることじゃないだろ・・・だがここでもあることに気付いた。


「インデックス、お前の携帯につけているそれ・・・」
「これ?短髪にもらったんだよ?」
「きっとそうだろうな」
「可愛いねって短髪に言ったら待ち受け画面もカエルにしてもらったの!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

インデックスの携帯には美琴が好きなゲコ太ストラップが。女の子の周りに突然のゲコ太ブーム。これはもしかして
美琴はゲコ太を広めるために俺を放って宣伝活動でもしているのだろうか?いや、まさかな・・・
まあいいや、女の子はこういうものを好きになる性質なんだろうと軽く思いながらインデックスを連れて地下街に入った。


「楽しかったんだよ!ありがとうとうま!」
「楽しかったというより腹いっぱいだろお前は・・・上条さんの財布の中身が・・・とほほ」


地下街から戻り、インデックスの腹を満たしてくれた俺の財布の中身はひどいことになった。
しかもインデックスのことだから夕飯も普通に食べるというだろう。
これは美琴とかの前に俺の命が危ない。ろくに食べるものがない生活なんてうんざりだしこのままだとインデックスにガム代わりに噛み付かれてしまう。




「インデックス、ちょっと金下ろしてくるから留守番よろしくな」
「うん。これからカナミン1時間スペシャルだから任せてほしいんだよ!」


部屋を出た俺はエレベーターに乗るためにボタンを押して1階に止まっているエレベーターを待つ。
到着したエレベーターに乗り込もうとしたら乗客がいたのだが・・・


「あ!当麻!!」


その乗客は俺を認識するや否や飛び掛ってくるように抱きついてきた。常盤台の制服を着用し、ショートヘアーの茶色いサラサラの髪。
花柄のヘアピンをつけた俺の恋人、御坂美琴。
まさか俺が待ち望んだ光景がこんな突然やって来るとは・・・嬉しくて嬉しくてたまらなかったが・・・


「お前!今まで連絡もよこさないで何してたんだ!!」
「えへへ、内緒♪」

と少し怒ったように俺は問いかけたのにサラッと流された。だがこの満面の笑顔に言い返す言葉がない。天使の笑顔の前には
全てを許してしまう情けない俺がいた。

「ぐ・・・」
「当麻とインデックスを驚かせようと思って来たんだけど失敗したな~。んで、当麻どこに行こうとしてたの?」
「あ・・・お金下ろしに・・・」
「じゃあ私も付いていく。ついでに夕飯の食材も買いに行きましょ?」
「お、おう・・・それよりお前、その袋は何だ?」

ここで俺は美琴が持っている袋が気になった。学生鞄よりも大きい、袋の脹らみからすると中には結構何か入っているように見える。

「あ、これ?まだ見せてあげないし教えてあげな~い」
「いや、持ってやろうかと思って」
「ダメよ。どうせ私の隙を見て中身見ようとするんでしょ?」

1週間振りに会ったがいきなり主導権を握られたような感覚。「黙って俺の背中について来い!」という古き良き時代の
男を目指していたのですがこれでは・・・無理だ。
近くのコンビニのまで歩いている時俺は当然この1週間何をしていたのか問い詰めた。


「お前、一体何してたんだよ」
「あとで教えてあげるから。でも凄く忙しかったのよ」
「だから何を・・・」
「・・・・・・・・もしかして当麻、私と会えなくて寂しかった?」
「っっ!!!!ち、ちげえよ!変な男に近づかれてないか心配しただけだ!」
「ふ~ん?心配してくれたんだ~。当麻やっさし~」
「ぐ・・・落ち着け上条当麻。これは久しぶりに会って美琴も浮かれている証拠だ・・・」
「あははは!!でも私も本当は当麻と会えなくて寂しかったんだよ?連絡もまともにできなくてごめんね?
それに当麻がこんなに心配してくれてたなんて私嬉しいよ?」
「あ、あぁ。当然だ////」


くそ、何故俺がここまでテレなければいかんのだ。しかし久しぶりに会った美琴は一段と美しくなったように見えた。
美琴曰く普段はあまり化粧をしないらしい。だが美琴は元から女性が羨ましがる程綺麗な肌、可愛い顔立ちをしている。
その上に今はナチュラルメイクをしており、それが余計美しさを際立たせていた。



お金を引き落とし、スーパーで買い物を済ませて部屋に戻った。タイミング良くテレビを見終わっていたインデックスは
美琴を見ると喜びを体で表し抱きついていた。

「短髪、久しぶり!!」
「ちょっと、アンタも子供じゃないんだからいきなり抱きつくのやめなさいよ」

俺に会った瞬間抱きついてきたのは誰だよ。と心の中で呟いたがあえて2人の光景を見てほのぼの笑顔を振りまくだけにした。

「短髪、そのおっきい袋は何?」
「あぁ、後で見せてあげるからもうちょっと我慢してね。じゃあ私、料理作るから」
「うん、久々に会ったから我慢してあげるんだよ」

インデックスも無駄に大きい袋が気になったようで、インデックスからすれば「美味い食べ物」ならそれでOKという感覚だろう。
でも食べ物ならすぐ渡すハズなのになぜこう後回しにしたがるんだろうか。お土産か?それとも見せたい何かなのか・・・
頭の回転が悪い俺のことなので答えまでには至らず、「まあ、後で教えるって言ってるからいいか」と済ませた。


それから1時間経とうとしたころ、

「おまたせー。できたからお皿並べて?」

美琴の料理が完成したらしい。1週間ぶりということもあってかいつも作ってくれているよりも豪華な料理だ。
インデックスは早く食べたいがために美琴に素直に従って皿を並べ、自分の位置へ座る。

「はい、それじゃ手を合わせて・・・」

「「「いただきます」」」

久々の3人での食事が始まった。あれ?俺少し感動してるかも・・・

「おかわりはセルフサービスだからねインデックス」
「なら最初から食べる分だけ取っておくんだよ!」
「おい!今俺の分まで取っただろ!!」
「私が食べる分だからいいんだよ!!」
「あはは、まだたくさんあるから大丈夫」


こうして騒がしくも楽しい食事はインデックスが全てたいらげるのを合図に終わった。

「ふぃー、食った食った。ごちそうさま」
「お粗末様でした」
「この味を知ってしまったからもうとうまの料理は食べられないかも・・・」
「うるせえ」

食後にお茶を飲みながら談笑も久々ならではの会話だった。

「最近とうまは短髪に会えていなかったから凄く寂しそうにしていたんだよ?」
「お、おま!!空気を読むというのを学べ!」
「やっぱり寂しかったんじゃ~ん?一緒に住んでるインデックスがわかるくらいなんだから」
「ち、違うぞ。俺は決して寂しくなんか・・・」
「私は短髪と会えなくて寂しかったよ?」
「うん、私もインデックスに会えなくて寂しかったな」
「うぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺も寂しかったです」
「あははは!!それ見なさい!女2人に勝てるとでも思った訳!?」
「とうまはもっと素直になるべきだね」

くそぉ・・・「俺の背中について来い」という理想が壊される・・・


「でさ、短髪は最近何していたの?」

よくやったインデックス!!俺が一番聞きたいことをよくぞ自然に切り出した!!
「久しぶりに会ったんだから近況報告的な感じで」のこの上手い聞き方。インデックス、お前は空気読めるぜ!!


「それなんだけど、ちょっとこれ見てもらえる?」

そう言うと美琴はゴソゴソとさっきから気になっていた袋の中をあさり、俺とインデックスにあるものを差し出して来た。
インデックスにはCDを。俺にはモデル雑誌を。それを見た俺は心底驚き、インデックスは眼を輝かせた。


「凄い!この写真の人って短髪だよね!?カッコいいし可愛い!!」
「これは・・・・ど、どういうことだ?」

俺とインデックスに渡してきたものは種類が違っても俺からすれば全く同じだった。

CDのジャケットには美琴がカッコいい姿で写って「超電磁少女Days~御坂美琴」と書いてあり、
学園都市人気No.1のモデル雑誌の表紙も美琴が可愛いファッション姿で笑顔を作っていた。
本の中身も、超電磁砲、御坂美琴50P大特集!とでかでか書かれていた。

俺たちの反応に気を良くしたのか、美琴は照れくさそうに鼻をかいて今までの疑問に答えてくれた。


「2人にも友達にも内緒にしてたんだけど、私・・・アイドルデビューすることになっちゃった」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほぉぉぉぉ!!凄いんだよ短髪!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

大興奮しているインデックスの隣で俺は全てが固まった。


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