とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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雪合戦で決着つけるのかと思ってた



冬休み。今日は学園都市では珍しく雪が5cm程積もった。
一応学園都市には人工雪という方法で雪を降らし、スキーなどができる施設がある。

外を見れば子供が雪合戦をしたり、楽しく遊んでいる。
そんな中上条は…

「あー雪降るとか聞いてねぇぞ!食べ物はインデックスが食べてそこが尽きるし!」
インデックスが全部食べてしまい買いだめが必要な状況なのだ。

そんなわけでスーパーに行き買い物を済ましてきた。
「あとは帰るだけ…てか歩きにくいし…子供は楽しそうでいいよなぁ…」
と公園をチラッと見て視線を戻す。
しばらくすると上条の右のこめかみに向かって雪玉が飛んできた。
「痛ッ!誰だ…」
とまわりを見たら小さい子が『ごめんなさい』と頭を下げてきた。
正直に、真剣に謝られると叱れないのが上条だ。
「いいって、気をつけろよ」
と言って歩いていく。
第2の不幸が訪れるとも知らずに…

「また雪降ってるし…あぁ不幸だ…」
樹形図の設計者が破壊されて以来天気予報がたまに外れる。
その『たまに』が危ないのだ。

よそ見して歩いていたら、曲がり角で少女とぶつかった。
「痛ぁ…ちょっと!気をつけなさいよ!」
目の前には尻もちをついた少女…御坂美琴がいた。
「あぁ、ごめん…って御坂!?あぁ…これは…不幸だー!」
「ちょっと!人とぶつかっておいて不幸ってなによ!?」
「ううう、雪玉飛んでくるし…しまいにはビリビリお嬢様…」
勝手にぶつぶつ呟く上条は無視して美琴が言う。
「そうよ!せっかくだからアンタ私と勝負しなさい!新年初勝利するのはどっちか勝負よ!」
なにいってんだこのお嬢様は…と上条は思う。
「わかったよ…どうせお前は言うこと聞かないだろうし…いくらでも相手になってやるよ」
「じゃぁいつもの河原に集合ね、遅れるんじゃないわよ!」
と言い走り去った。転ばないのか?と少々心配な上条だが、何故か美琴表情には笑みがあることに気づいた。

数時間後 河原

昼になり、だいぶ辺りが冷え込んできた。
そんな中一人の少女がいた。
今は常盤台の制服、マフラー、手袋と防寒は一応バッチリだ。
「時間過ぎてるのになんであの馬鹿こないのよ!」
実は待ち合わせ30分前から来て一人でそわそわしていた。
(電話…掛けてみるか、なんか癪だし恥ずかしい…)
緊張で手が震えてるせいかボタン操作を誤る。苦戦するもどうにか電話をかける。
プルルル…ガチャ

「もしもし?アンタ何処にいるわけ?」
「はぁはぁ…御坂か、ちょっと面倒なことに、追いかけられてるんだが…」
「はぁ?アンタまた誰か助けたわけ?」
「ん、まぁそんな感じ…って気付けば河原のすぐ近くだし!ちょっとそっち通るけどアイツ等撒くまで待ってくれ」
プープー…切られた。
「ええっちょっと!?」
一応携帯電話をポケットにしまう。するとものすごい足音が聞こえる。
階段を駆け上がり待機する。

「くそ!お前らしつこいぞ!」
「とっと諦めてボコボコにされろや!」
と金属バットや鉄パイプを握って走る武装無能力集団(スキルアウト)の男が数人。

「ったく…アンタは人様と約束しておいて変な問題持ち込むんじゃないわよ!」
目の前の美琴が上条に向かって電撃の槍を連射する。
「うおっ!?」
反射で右手を防ぐ。もちろん武装無能力集団はひとたまりもなく地面に倒れる。

「はぁはぁ…危なかった…御坂サンキュー」
「いいわよ別に…あのままアンタも倒れてくれると私の勝ちだったんだけどね」
 
とりあえず階段を下り休憩する。
「はぁ…走ったせいかだいぶ温まってきた」
「アンタが遅れたせいで私は1時間も待ってたんだけど、それに対して特に言うことないわけ?」
「ん?1時間前?俺が30分遅れて…ってお前約束の30分前から待ってたのか?」
なっ…と固まる。よく見ると少し頬が赤くなっている。
これ以上悟られたくないので言い訳を考えるが頭の中が真っ白になり思いつかない。
しまいには俯いて何も言わなくなる。
その様子を見て不思議そうな顔をする。
「お前はどこの彼氏とのデートを待つ彼女なんだよ…」
浅くため息をつく。
流石の美琴も反論したいが何故か言葉が出ない。
(私ったらずっと言われっぱなしじゃない…)
悔しさのあまり唇を噛む。
「で?どうする御坂?力尽きるまで勝負するか、ここで解散するか…」
それを聞いて美琴の小さな唇が動く。
「……るに、決まってるじゃない…」
声が小さくてうまく聞き取れない。
「勝負するに決まってるでしょ…!」
ため息をし、下手くそな笑みを作る。
「―――よし、かかってこい御坂」

その後、日が暮れるまで勝負したが、結局美琴は勝てなかった。

敗因は電池切れ。
電撃の槍、砂鉄の剣、自分の力を最大限に活かし、応用して様々な攻撃をしたがまったく通じなかった。
上条本人は相当ビビってたようだが…

「はぁはぁ…死ぬかと思った…てか御坂大丈夫か?」
能力が使えなくなりそのまま地面に倒れたままだ。
(どうして…アイツ、そんな心配そうな顔するのよ…)
アイツは勝者だ。それなのにアイツがそんな顔をすること自体許せないのだ。
上条がこっちに駆け寄る。
「大丈夫か御坂?急に倒れて動かなくなるし」
立てるか?と言い手を差し伸べる。
手を掴み、立ち上がるがバランスが崩れてまた倒れる。
「ったくしょうがねぇな…」
ため息をししゃがむ。
「おぶってやるから乗れ」
言ってる意味がよくわからない。
何故自分のためにそこまでするのかも―――
「どうしてアンタは私にそこまでするの?アンタは勝者なのよ?どうして…」
気付けば小さな雫が地面に落ちる。
「はぁ?勝者だろうが敗者だろうがお前を放っておけるワケないだろ」
そう、ただそれだけのためにこの少年は動く。
気付けば上条におんぶされていた。

「やれやれ…泣き虫の御坂さん、もう帰るぞ」
「うるさい……嬉しいのよ」
最後は小声でよく聞き取れなかった。
「御坂サン?ちゃんと掴まってください?」
なんか背中に抱きついてるみたいなんですがと言ってるが美琴は無視した。
何故ならその通り、抱きついてるのだ。
「私をこんなんにしたんだから責任とってしっかりおぶりなさい♪」
「えー、まさか寮まで送れと?そういうのですか?」
「そうよ?何?さっき私を放っておかないって言ったのは誰よ?」
「確かにわたくし上条当麻は言いましたけど…」
「じゃぁよろしく」
「ったく、わかったよ」
美琴には聞こえないように言う『この甘えん坊が』
そして、深呼吸をしスピードを上げる。
「うわっ!?ちょっといきなりスピードあげないでよ!」
「うっせぇ!振り落ちないようにちゃんと掴まっとけ!文句言うなら途中で降りて歩いてもらいます!どっちがいい!?」
こういえば素直に従ってくれると思った上条はまだ甘かった。
等の美琴は深く考えている。
(このままおぶられるほうがいいわよね?いや…降りて一緒に歩いて帰るってのも…いや、うーん)
「じゃぁ…降りる」
「えっ?」
降ろしなさいって言って勝手に降りる。
「じゃぁ手繋いでよ」
「はい?アナタナニイッテルンデスカ?てかお前手袋あるだろ!」
「さっき破けちゃった、てことでよろしく♪」
ギュッ!と力強く握られる。
「うおっ!?なんかいろいろヤバイ!なんかムズムズする!」
「はいはい、帰るわよ」
「なんというか、不幸だな…」
 完


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