水泳勝負の結果
2勝1敗で上条の勝利となった。
クロールと平泳ぎで上条が勝利。3本目の背泳ぎで美琴が勝利、という結果だった。
全敗は避けたものの、負けたことに対して落ち込む美琴。
2勝1敗で上条の勝利となった。
クロールと平泳ぎで上条が勝利。3本目の背泳ぎで美琴が勝利、という結果だった。
全敗は避けたものの、負けたことに対して落ち込む美琴。
「なんとか勝てたけど、御坂もけっこう泳ぐの早いんだな。上条さんも結構ぎりぎりでしたよ?」
「ぎ…ぎりぎりでも何でも…私の負けでしょ…。勝者のアンタは敗者の私に何をさせる気なのよ…?」
「ぎ…ぎりぎりでも何でも…私の負けでしょ…。勝者のアンタは敗者の私に何をさせる気なのよ…?」
目に涙を溜めつつ、後半は消えてしまいそうなくらい小声で言う。
上条は、涙目での悔しがりつつ上条を見る美琴の表情に思わず目をそらす。
上条は、涙目での悔しがりつつ上条を見る美琴の表情に思わず目をそらす。
「そ、それじゃあ罰ゲームで言うこと聞いてもらうけど…。ちゃんと守れるのかぁ?」
「美琴先生をなめんじゃないわよ。アンタの言うことくらい、ちゃんと実行してやるわよ!」
「美琴先生をなめんじゃないわよ。アンタの言うことくらい、ちゃんと実行してやるわよ!」
疑うような上条に対して、美琴は強気で言い返した。
「じゃぁ罰ゲームは、『不意打ちで電撃ぶっぱなすの禁止』な。街中とかで不意打ちにビリビリ飛んで来ると結構怖いんだぞ?」
「そっ…それはアンタが声をかけても無視するから悪いんじゃない!声かけて反応してくれれば電撃なんて出さないわよ!」
「お前なぁ…。街中で後ろからアンタ、とか言われたって上条さんの名前はアンタじゃないんだぞ?俺には上条当麻って名前があるんだ。
名前で呼んでくれれば気が付くって」
「な…名前で、って…」
「んーこの場合、電撃禁止より名前でちゃんと呼んでくれってほうがいいのかな。アンタとか馬鹿とか、それ以外に呼ばれたことなかったはずだからなぁ」
「そっ…それはアンタが声をかけても無視するから悪いんじゃない!声かけて反応してくれれば電撃なんて出さないわよ!」
「お前なぁ…。街中で後ろからアンタ、とか言われたって上条さんの名前はアンタじゃないんだぞ?俺には上条当麻って名前があるんだ。
名前で呼んでくれれば気が付くって」
「な…名前で、って…」
「んーこの場合、電撃禁止より名前でちゃんと呼んでくれってほうがいいのかな。アンタとか馬鹿とか、それ以外に呼ばれたことなかったはずだからなぁ」
一人で納得して、うん。そうしよう。とか呟いている上条。
そんな上条と違い、名前で呼んでくれ、と上条が言ったあたりから徐々に顔が赤くなる美琴。
そんな上条と違い、名前で呼んでくれ、と上条が言ったあたりから徐々に顔が赤くなる美琴。
「な…名前でよぶ…それってと、とととととうま、とかってよぶってこと!?」
小声で早口でぼそぼそ言う美琴だが、上条には聞こえていない。聞こえていないので美琴の様子にも気が付かない。
「よしじゃあ罰ゲームは、『俺のことを名前で呼ぶこと』で決定。それで俺が無視したんなら電撃とかでも、まぁ俺が悪いんだからな」
「い…一応聞くけどさ…。名前で呼ぶって、苗字じゃないってこと…よね?」
「名前で呼ぶことって言ったけどそこまで考えてなかった上条さんです。んー…、罰ゲームで宣言した通り名前で呼んでくれ。
母さんいる状況で上条、とかだと紛らわしいとかあるからな」
「わ……わかったわよ。と…当麻…」
「あのー御坂さん?これは勝負に負けたお前の罰ゲームなわけであって、そんな小声で呼ばれても上条さんには聞こえませんよ?」
「う、うっさい馬鹿!いいわよ!ちゃんと呼んであげるわよ!と、とととと、当麻!どう?これで満足かしら!?」
「み、御坂さん?声が少し大きいですよー。そこまで大声だと恥ずかしいんですが」
「い…一応聞くけどさ…。名前で呼ぶって、苗字じゃないってこと…よね?」
「名前で呼ぶことって言ったけどそこまで考えてなかった上条さんです。んー…、罰ゲームで宣言した通り名前で呼んでくれ。
母さんいる状況で上条、とかだと紛らわしいとかあるからな」
「わ……わかったわよ。と…当麻…」
「あのー御坂さん?これは勝負に負けたお前の罰ゲームなわけであって、そんな小声で呼ばれても上条さんには聞こえませんよ?」
「う、うっさい馬鹿!いいわよ!ちゃんと呼んであげるわよ!と、とととと、当麻!どう?これで満足かしら!?」
「み、御坂さん?声が少し大きいですよー。そこまで大声だと恥ずかしいんですが」
若干ヤケクソ気味に叫ぶ美琴。恥ずかしいからなのか、これ以上ないくらいに顔が赤くなっていた。
叫ぶように当麻、と呼んだため、離れたところにいた二人の母親にもはっきり聞こえていた。
「あらあら、当麻さんたら、年下の女の子に名前を呼び捨てで呼ばせちゃって、そういう趣味でもあるのかしら」
「美琴ちゃんよくやった!そのまま名前で呼ぶように言い返しちゃいなさい!」
「美琴ちゃんよくやった!そのまま名前で呼ぶように言い返しちゃいなさい!」
おっとりしているようでこういうことはしっかり聞かれているものである。
こっそり聞き耳を立てていた御坂美鈴はガッツポーズと共に娘へエールを送る。
こっそり聞き耳を立てていた御坂美鈴はガッツポーズと共に娘へエールを送る。
「そろそろいい時間ですし、あがりませんか?当麻さんたちのほうもひと段落したようですし」
「あら、もうこんな時間になってたのね。おーい!美琴ちゃーん!当麻くーん!そろそろあがるわよー!」
「あら、もうこんな時間になってたのね。おーい!美琴ちゃーん!当麻くーん!そろそろあがるわよー!」
母親達に呼ばれ、プールから上がる上条と美琴。
上条が先にプールサイドに上がり、美琴へ手を伸ばす。
上条が先にプールサイドに上がり、美琴へ手を伸ばす。
「ほら、そろそろ上がるってさ」
「あ…ありがと」
「どういたしまして。すべるから気をつけろよ」
「あ…ありがと」
「どういたしまして。すべるから気をつけろよ」
何気ない上条の優しさに、うれしくなる美琴。
お礼の言葉は小さくなってしまったが、上条には伝わったようだ。
お礼の言葉は小さくなってしまったが、上条には伝わったようだ。
プールから出た上条たちは、美鈴の提案で夕食をファミレスでとることになった。
テーブル席で、美鈴と詩菜が隣り合わせ、その向かいに上条と美琴が隣り合わせの並びだ。
先に詩菜が入った隣にすぐ座った美鈴。特に気にせず反対側に座った上条。かなり迷って上条の隣に座った美琴。
親の前で隣に座るというのは恥ずかしいものだ。
テーブル席で、美鈴と詩菜が隣り合わせ、その向かいに上条と美琴が隣り合わせの並びだ。
先に詩菜が入った隣にすぐ座った美鈴。特に気にせず反対側に座った上条。かなり迷って上条の隣に座った美琴。
親の前で隣に座るというのは恥ずかしいものだ。
「で、プールどうだった?いい感じに時間つぶしとかになって楽しかったでしょ?」
「御坂と勝負してたら時間あっという間に過ぎた感じだったからなぁ。結構たのしかったですよ」
「御坂と勝負してたら時間あっという間に過ぎた感じだったからなぁ。結構たのしかったですよ」
何かを思いついたのか、美鈴の表情がにやける。その表情の変化に気が付いたのは美琴だけだった。
(何か思いついたわね、このバカ母。この表情をするときは大体からかわれるのよね…)
と、美琴が警戒する。が、美鈴の放った言葉で固まることになる。
(何か思いついたわね、このバカ母。この表情をするときは大体からかわれるのよね…)
と、美琴が警戒する。が、美鈴の放った言葉で固まることになる。
「当麻くん、美琴ちゃんのこと、名前で呼ばないの?一応、御坂だと私も含まれるんだけど?」
「……ちょ、ちょっと!何言ってんの!?」
「美琴ちゃんも当麻くんのこと名前で呼ぶなら、名前で呼ばれたいんじゃないかなーって。余計なおせっかいだったかな?」
「だっ、誰もそんなこと!言って…ないじゃない…」
「……ちょ、ちょっと!何言ってんの!?」
「美琴ちゃんも当麻くんのこと名前で呼ぶなら、名前で呼ばれたいんじゃないかなーって。余計なおせっかいだったかな?」
「だっ、誰もそんなこと!言って…ないじゃない…」
最初の勢いはどこへ行ったのか、徐々に声が小さくなっていく美琴。
一方、名前で呼ぶことを提案された上条は、特に深く考えることもなく
一方、名前で呼ぶことを提案された上条は、特に深く考えることもなく
「んーじゃあ美琴。これから名前で呼ぶな」
と、あっさり決めてしまった。
名前で呼ばれた美琴は真っ赤になる。その様子を見て話を振った本人、美鈴はニヤニヤしっぱなしだったのには誰も気が付かない。
名前で呼ばれた美琴は真っ赤になる。その様子を見て話を振った本人、美鈴はニヤニヤしっぱなしだったのには誰も気が付かない。
名前で呼び合う、というのは最初の数回が恥ずかしいだけであって、すぐに違和感がなくなってくるものである。
最初こそ、名前を呼ぶこと、呼ばれることに恥ずかしがっていた美琴も、食事をしながら会話するうちに、徐々に慣れていった。
最初こそ、名前を呼ぶこと、呼ばれることに恥ずかしがっていた美琴も、食事をしながら会話するうちに、徐々に慣れていった。
注文したものは、上条がハンバーグ定食、詩菜がさば味噌定食、美琴がカルボナーラ、美鈴があんかけスパゲッティを食べていた。
「でさ、当麻ってば自販機でお金飲み込まれてなきそうになってたのよ」
「上条さんにとってお金を飲み込まれるってのは生命の危機に直結するんだよ!実際、俺が不幸なのは美琴だってしってんだろ?」
「知ってるけどさ、当麻の不幸っていったいどうなってるのかしらね」
「それがわかれば上条さんは苦労しませんのことよ。言っててちょっと悲しくなるのはなぜでせう?」
「上条さんにとってお金を飲み込まれるってのは生命の危機に直結するんだよ!実際、俺が不幸なのは美琴だってしってんだろ?」
「知ってるけどさ、当麻の不幸っていったいどうなってるのかしらね」
「それがわかれば上条さんは苦労しませんのことよ。言っててちょっと悲しくなるのはなぜでせう?」
二人の会話に置いてけぼりにされている母親達。
学園都市での生活について話を振ったはずなのだが、途中から上条と美琴だけしかわからないような出来事で盛り上がり始め、状況がよくわからない美鈴と詩菜は取り残されていた。
会話しながら食事を進めていた訳だが、上条が不意に行動を起こした。
学園都市での生活について話を振ったはずなのだが、途中から上条と美琴だけしかわからないような出来事で盛り上がり始め、状況がよくわからない美鈴と詩菜は取り残されていた。
会話しながら食事を進めていた訳だが、上条が不意に行動を起こした。
「そーだ、美琴、それちょっと分けてくれよ」
「え、ちょ…」
「え、ちょ…」
と言い、返事を待たずに美琴の皿からカルボナーラをつまむ上条。
そんな上条は、自分の食べていたものを上条がつまんだと言うことで赤くなる美琴には気が付かない。
そんな上条は、自分の食べていたものを上条がつまんだと言うことで赤くなる美琴には気が付かない。
「おー意外とうまいのな、カルボナーラって。どうした美琴、俺のもちょっと食べるか?」
「え?ええっ!?」
「ほら、食べないのか?食べないなら俺が食べちゃうぞ」
「え?ええっ!?」
「ほら、食べないのか?食べないなら俺が食べちゃうぞ」
美琴があせっているのは、上条が食べるか、と進めてくれたからではなく、上条がハンバーグを箸でつまみ、食べるか、と進めてきたからである。
ようするに、あーんしている状況。好きな人からされて、恥ずかしくならないはずがない美琴。
それでもこの機会を逃してはいけない!と思う美琴であった。
ようするに、あーんしている状況。好きな人からされて、恥ずかしくならないはずがない美琴。
それでもこの機会を逃してはいけない!と思う美琴であった。
「ぁー…はむっ。……おいしい」
「だろ?ここのファミレスって学園都市のよりうまいんじゃないか?」
「だろ?ここのファミレスって学園都市のよりうまいんじゃないか?」
いつもどおり過ぎる上条と、真っ赤になっている美琴。その状況を見て楽しまない母親達ではなかった。
「あらあら、当麻さんったら・・・」
「美琴ちゃんかわいい!当麻くんにもっと甘えちゃいなさい!」
「美琴ちゃんかわいい!当麻くんにもっと甘えちゃいなさい!」
甘えちゃいなさい、と言われた美琴は頭の中でいろいろ妄想を膨らませていた。妄想してしまった。
上条にあーんをしてあげたり、お返しにあーんしてもらったり。
上条の腕に抱きついて一緒に歩いていたり。
抱きしめてもらったり、といった妄想を膨らませ…
上条にあーんをしてあげたり、お返しにあーんしてもらったり。
上条の腕に抱きついて一緒に歩いていたり。
抱きしめてもらったり、といった妄想を膨らませ…
「み…御坂さん?電気もれてますよ。なんかビリビリしてますよー!!」
突然漏電しはじめた美琴にあわてる上条は、名前で呼ぶと言うのも忘れ、あわてて右手を美琴の頭にのせた。
そして美琴は気を失って上条の肩にもたれかかった。
そして美琴は気を失って上条の肩にもたれかかった。
「美琴のやつ、疲れたんですかね?漏電するなんてめったにないのに。そっとしといてやるか」
漏電して気を失ったのを疲れて眠ったのだと勘違いした上条は、美琴の体制を少し変えてやり、膝枕の状態にしてやった。
体制を変えるときに妙に手馴れた感じで移動した上条に疑問を抱いた美鈴が質問を投げかける。
体制を変えるときに妙に手馴れた感じで移動した上条に疑問を抱いた美鈴が質問を投げかける。
「上条くん、美琴ちゃんの扱いを妙に小慣れてない?」
「いや、えっと…。こいつってたまに自分のこと考えずに無茶したりしてるんですよ。それでたぶん、ですけど、そういう無茶してたりしたのが、俺と一緒にいる時に影響がでてたまに気を失いように寝ちまうことが何度かありまして…」
「それって無茶してるから、とか関係あるののかしら・・・」
「いや、えっと…。こいつってたまに自分のこと考えずに無茶したりしてるんですよ。それでたぶん、ですけど、そういう無茶してたりしたのが、俺と一緒にいる時に影響がでてたまに気を失いように寝ちまうことが何度かありまして…」
「それって無茶してるから、とか関係あるののかしら・・・」
美鈴には原因がなんとなく把握した。おそらく上条と一緒にいて恥ずかしさと緊張のあまり意識が飛んでしまうんではないだろうかと。
なんとなくでしっかり把握してしまうのが母親のすごいところである。
なんとなくでしっかり把握してしまうのが母親のすごいところである。
しばらくして目が覚めた美琴は、上条に膝枕してもらっている状況を把握したとたん、顔を赤くしてあわてて起き上がろうとし、テーブルの角に頭をぶつけてしまうのであった。
その結果再び上条のひざの上に倒れこみ、あわてて再び起き上がろうとしたが、上条が心配そうに、大丈夫かー?と覗き込んだタイミングと重なってしまい、上条と頭をぶつけ合ってしまった。
その結果再び上条のひざの上に倒れこみ、あわてて再び起き上がろうとしたが、上条が心配そうに、大丈夫かー?と覗き込んだタイミングと重なってしまい、上条と頭をぶつけ合ってしまった。
その様子を見ていた母親達は、一度目は痛そうだなぁと美琴に同情していたが、二度目には・・・。
「当麻さんも美琴さんも落ち着いてくださいね。あわてなくても大丈夫ですから」
「み…美琴ちゃん、あわてすぎ…」
「み…美琴ちゃん、あわてすぎ…」
詩菜は落ち着くように上条と美琴に声をかけ、美鈴は娘のあわてっぷりにため息をついたのだった。