番外編 その2『出し物大会!』
これは3~6話の間に起きた話です。
え?詳しくいつ起きた出来事かって?そんなこと作者が知るわけないじゃないですか。
え?詳しくいつ起きた出来事かって?そんなこと作者が知るわけないじゃないですか。
美琴「出し物大会?」
パーティが始まって数時間後のこと、美琴は自分の席でほおづえをつきながらそう言った。
それに答えるのはやたらとテンションの高い初春と佐天。
それに答えるのはやたらとテンションの高い初春と佐天。
初春「ええそうです!!なんでも参加者が少し少ないから今参加者を募集してるとこなんですよ。」
佐天「それでですね、御坂さんも参加してみたらどうかなー、って思って。」
美琴「ええ!?なんで私が!?それに出し物って言っても特に何もすることないわよ。何も準備してきてないし……」
出し物があるとは知っていたが、自分が参加するなんて全く頭になかったので準備してきていないのは当然だ。
すると美琴の隣の席の黒子が
すると美琴の隣の席の黒子が
黒子「何を言ってますの。お姉様にはバイオリンという特技があるじゃありませんの。」
美琴「あ、バイオリンね…ってそのバイオリンがないっつーの。」
湾内「ありますよ?」
美琴「へ?」
泡浮「先度出し物大会の受付の前を通ったのですが、いろいろと貸し出してくれるみたいなんです。その中にバイオリンがあったんですよ。」
どれだけ準備がいいんだパーティ主催側の人間よ、と美琴は心の中で激しくつっこんだ。
しかしバイオリンが準備されていたとしても、今日は何の準備もしていないので弾く気は一切ない。
しかしバイオリンが準備されていたとしても、今日は何の準備もしていないので弾く気は一切ない。
美琴「……そ、そうなんだ。でもみんなの前でバイオリンを弾くのは恥ずかしいっていうか……」
固法「でもこれって上条さんにいいところを見せるチャンスじゃない?ほら、上条さんはすぐ側で見てるわけだし。」
美琴「ッ!!」
固法の言葉に美琴は反応した。ついでにいうと黒いオーラを出した黒子も。
面白いくらいわかりやすいので友人sの視線が美琴に集中する、が美琴は気づかない。
面白いくらいわかりやすいので友人sの視線が美琴に集中する、が美琴は気づかない。
美琴(アイツにいいとこ……)
確かに上条は舞台上で出し物をする人の近くのイスに座り、行われる出し物を見ていた。
現在はクラスメイトが何かをしているようで、上条も楽しそうな笑顔をみせていた。
現在はクラスメイトが何かをしているようで、上条も楽しそうな笑顔をみせていた。
とりあえず参加すれば上条の笑顔が見れるかも、と思い美琴のやる気はUP。
その上で上条にいいところを見せることでどうなるか、さらに美琴は考えてみる。
その上で上条にいいところを見せることでどうなるか、さらに美琴は考えてみる。
- バイオリンを弾いて上条にいいところを見せる。
↓
- 上条笑顔+普段とのギャップに上条が驚く。
↓
- 『へー、御坂ってあんな特技あるんだな…好きになった。結婚しよう。』
美琴「ッ!!!!!」
春上「?どうしたのー?」
婚后「御坂さん大丈夫ですの?急に顔が赤くなったみたいですが…」
美琴「ななな、なんでもない!ほんとなんでもないから!!」
妄想が暴走した美琴の顔は真っ赤。どう見てもなんでもないことはない。
不信に思ったのか黒子は目を細め
不信に思ったのか黒子は目を細め
黒子「お姉様……?何をお考えになっていらっしゃるので?まさかあの類人猿にいいとk」
美琴「そんなわけないでしょ!?
私は別にそんなこと……で、でもまあ、せっかくのアイツのパーティなんだしバイオリンくらい弾こうかなー……って…」
私は別にそんなこと……で、でもまあ、せっかくのアイツのパーティなんだしバイオリンくらい弾こうかなー……って…」
指をもじもじさせながら頬を赤く染め、舞台の上にいる上条をチラッと見る。
その行動は恋する乙女そのものだ。
その行動は恋する乙女そのものだ。
黒子「……とりあえずあの類人猿を葬っておきましょうか…」
固法「白井さん、先輩命令よ。とりあえずで人を葬るのは止めなさい。」
初春「いやいやとりあえずじゃなくても人を葬るのはダメですよ!?」
◇ ◇ ◇
建宮の『ギャグ100連発~言ったギャグを実戦~』や絹旗の『オススメB級映画紹介』、さらに木山春美が舞台上で脱ぎだしたりと
本当にろくでもない出し物が続く中、ついに美琴の出番がやってきた。
本当にろくでもない出し物が続く中、ついに美琴の出番がやってきた。
土御門「では出し物大会もラスト!大トリはこの方だにゃー!!!」
なぜか知らないがトリを任させれることになっていた美琴は土御門の声と同時に美琴は舞台中央へ足を進めるのだが…
美琴「と、ととと常盤台中学2にぇん!み、みしゃか美琴です!!」
緊張はMAX、自己紹介を噛みまくった上、貸してもらったバイオリンを手に舞台上で固まっていた。
美琴(あ、アイツにいいとこ見せるんだから……いいとこ…いいとこ……)
遠くから見ても全身ガッチガチだとわかるくらい美琴の動きは硬い。
上条にいいところを見せようという想いが強すぎてバイオリンを弾くどころではなかった。
上条にいいところを見せようという想いが強すぎてバイオリンを弾くどころではなかった。
土御門「あの~……そろそろ弾いてほしいんだにゃー…」
あまりに長い時間美琴が固まっているので司会の土御門だけでなく、会場内からもざわざわと声が聞こえてきていた。
友人たちの声も聞こえるような気がするがそれでもダメだ。焦れば焦るほど手が震える。
友人たちの声も聞こえるような気がするがそれでもダメだ。焦れば焦るほど手が震える。
美琴(早く弾くなきゃ…!でも、でも手が思うように動かない―――――)
上条「御坂!!」
美琴「ッ!」
諦めかけた時だった、美琴はその声に思わず振り返る。
ガッチガチに固まっていたはずだが、上条の声にだけはしっかりと耳に届き、体も反応することができた。
ガッチガチに固まっていたはずだが、上条の声にだけはしっかりと耳に届き、体も反応することができた。
上条「落ち着け御坂!!大丈夫だ、お前ならできる!」
そう言って上条は美琴に笑いかける。
と同時に女子陣から激しい嫉妬の目が美琴を襲うが今は全く気にならなかった。
と同時に女子陣から激しい嫉妬の目が美琴を襲うが今は全く気にならなかった。
美琴(あ……弾ける…かも…いや、弾ける!!)
緊張は解け体が動く、美琴は盛夏祭の時同様美しい音を奏でるためバイオリンを弾き始める―――――
◇ ◇ ◇
美琴「ふぅ……緊張した~……」
再び舞台裏、演奏を終えた美琴はバイオリンを傷つけないようそっとケースに入れ近くにあったイスに座る。
美琴(アイツのおかげね…盛夏祭の時に続いてまた助けてもらっちゃった……でも演奏は上手くできたし、いいとこ見せれたわよね!!)
最初固まってしまったことはともかく、『上条にいいところを見せる』という目的は達成できた。
なんだか達成感を感じ小さくガッツポーズをした。
が、握られていた拳はすぐに開かれる。
なんだか達成感を感じ小さくガッツポーズをした。
が、握られていた拳はすぐに開かれる。
美琴「…まあ鈍感なアイツのことだからなんとも思ってないんだろうな…はぁ……ま、少しでもいい印象を持ってもらえたらいいわね。
さて、みんな待ってるだろうしそろそろ戻ろうかな…」
さて、みんな待ってるだろうしそろそろ戻ろうかな…」
舞台裏は基本進入禁止なので友人たちはここへ来ることができない。
そのためここに長くいるといつまでも待たせてしまうのでさっさと自分の席に戻ろうと立ち上がった。
そのためここに長くいるといつまでも待たせてしまうのでさっさと自分の席に戻ろうと立ち上がった。
上条「あ、いたいた。おーい御坂!」
美琴「ッ!」
立ち上がり一歩目を踏み出そうとした絶妙なタイミングで上条が舞台から舞台裏に戻って来て美琴の前までやってきた。
この場で話すことになると思っていなかった美琴は
この場で話すことになると思っていなかった美琴は
美琴「な、なな何…?」
少し挙動不審で上条に聞き返した。
だが上条はその様子を気にすることなく
だが上条はその様子を気にすることなく
上条「何って…バイオリンの演奏すっごい良かったよ!」
美琴「え!?ほ、ほんと!?」
美琴は驚いた。
まさか上条がほめてくれるなどと思っていなかったからだ。
まさか上条がほめてくれるなどと思っていなかったからだ。
上条「ああ、全部の出し物の中で1番すごかった!それにわざわざ俺のために弾いてくれたなんて…上条さんは感動で泣きそうですよ……」
手を顔に当て、言葉通り目にうっすら涙を浮かべる上条。
しかし美琴は少しの間きょとんとしていたのち
しかし美琴は少しの間きょとんとしていたのち
美琴「………ええ!?アンタのために弾いた!?」
美琴の大声が舞台裏に響いた。
ぶっちゃけ美琴としては『上条にいいところを見せる』という考えと同時に『少しでも上条がこのパーティを楽しめるために、上条のためにバイオリンを弾く。』という考えもあったので上条の言うことは合っている。
しかし美琴はそれを誰にも言った覚えはないのでなぜ上条が知っているのかわからない。
美琴が困惑した表情を見せていると上条が
しかし美琴はそれを誰にも言った覚えはないのでなぜ上条が知っているのかわからない。
美琴が困惑した表情を見せていると上条が
上条「え?俺のためってのは…違うのか……?」
美琴「え、い、いや、違わない、ような……その…うん……違わない……」
美琴はもじもじしながら小さな声でボソッとそう言った。
恥ずかしいからか上条と目を合わせられていない。
恥ずかしいからか上条と目を合わせられていない。
上条は美琴がバイオリンを自分のために弾いてくれたということが本当だとわかり少し嬉しそうだ。
上条「じゃあ俺は今からすることあるからもう行かなきゃ。
バイオリン弾いてくれてほんとありがとな、それにいつもと違う御坂が見られてよかったよ。」
バイオリン弾いてくれてほんとありがとな、それにいつもと違う御坂が見られてよかったよ。」
笑顔でそう言って上条は早足で舞台裏から会場へと出て行った。
そして舞台裏に1人残された美琴は
そして舞台裏に1人残された美琴は
美琴「えへ…えへへー……だ、大成功よね…アイツ喜んでくれてたし、いいとこ見せれたし…えへへへへ………」
『結婚しよう』まではいかなったが上条に好印象を与えることができたことは大健闘。
美琴のにやけ顔はしばらく戻らなかった。
美琴のにやけ顔はしばらく戻らなかった。
ちなみに……
舞夏「いやー、2人をからかうために『御坂は上条当麻のためにバイオリンを弾いたんだぞー』って適当に言ったんだけど……
御坂は本当に上条当麻のために弾いてたんだなー。」
御坂は本当に上条当麻のために弾いてたんだなー。」
土御門「まあ俺はある程度予想できてたけどにゃー。で、舞夏。今の2人の様子ちゃんと撮れたか?」
舞夏「ああもちろんだーあにきー。いいかんじにデレてる御坂が撮れたなー。もちろん喜んでる上条当麻もなー。」
美琴と上条の様子は舞夏によってバッチリ撮影されていた。
このとき撮られた映像がのちのホテルでの尋問でみんなに公開されようとは誰も予想できなかっただろう。
このとき撮られた映像がのちのホテルでの尋問でみんなに公開されようとは誰も予想できなかっただろう。