とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/未来からの来訪者/Part54

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~外伝 とある夫婦の育児記録3~


「んしょ、んしょ。はい、ままー」

少しよたよたとした足取りで麻琴が食器を美琴に手渡す。
当然、食器とは言っても幼い麻琴が怪我しないようにプラスチック製のものなので万が一落としたとしても安全だ。

「ありがと。じゃあ、今度はこれをパパに持って行ってね」

「うん!」

水の入ったコップを麻琴に渡し、軽く頭をなでる。
嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべ、元気よく返事を返した。

「ぱぱー。はいどうぞ」

「おぉ、ありがとうな、麻琴。今日はやけに手伝うな」

「あのね。いいこにしてるとさんたさんがきて、ぷれぜんとくれるの!」

「そうか、もうすぐクリスマスだもんな。だからいつもよりお手伝いがんばってるのか。でもプレゼントのためにお手伝いするのはいい子なのかなー?」

「!? ち、ちがうよ! まこがおてつだいしてるのはぷれぜんとがほしいからじゃないもん!」

上条の言葉に目を白黒させて慌てる麻琴。
そんなわたわたとした慌てぶりがまた可愛い。上条の親バカ補正も加わってそれはもうたまらないほどに可愛いのだ。

「ちょっと、当麻。麻琴をあんまりからかわないでよ」

洗い物を終えた美琴がキッチンから戻ってきて上条に釘をさす。

「わりぃわりぃ。大丈夫だ麻琴。ちゃんとサンタさんは麻琴がいい子っていうの知ってるからな」

「ほんと?」

プレゼントをもらえないかもしれないと、潤んだ目で不安げに見上げてくる。

「本当よ。サンタさんはちゃんと分かってるから安心しなさい」

「もし、いい子の麻琴にプレゼント届かなかいなんてことがあったら上条さんがサンタさんに文句を言いに行ってやるよ」

そう言いながら麻琴を優しくなでる。二人の笑みに安心したようで、麻琴も嬉しそうに『えへー』っとして笑みを浮かべている。

「それで、麻琴はほしいもの決まったの? 決めておとかないとサンタさんも何を持って来ればいいのかわかんないわよ?」

「えっとね、あのね。このあいだままといったでぱーとにあったおっきいげこた!」

「あぁ、セブンスミストにあった大きなゲコ太のぬいぐるみね」

つい先日見かけた、麻琴と同じくらいの大きさのものだ。ゲコ太好きである美琴が忘れるはずもなく、すぐに思い当たる。

「うん!」

「本当に麻琴はゲコ太が好きだよなぁ」

「げこたかわいいもん!」

「そうよ! ゲコ太ほど可愛いものはないわよねー」

「ねー」

そう言って意気投合する母と娘。本当にこの二人は色々な面でそっくりだ。

「つか、美琴はいい年していつまd……あ、いやすみません失言でした。だからね、ちょっとその無言で睨むのやめてください! なんかビリビリ言ってるじゃないですか! だから、その、本当にすみませんでしたー!」



―12月24日―

「売り切れですか?」

「はい。先ほどのお客さんが最後の一体を買って行ってしまわれて……」

「そうですか……不幸だ」

「本当に申し訳ございません」

プレゼント購入のためセブンスミストに出向いた上条ががくりと肩を落とす。
お目当ての品は数分前にタッチの差で買われていってしまったらしい。
足取りも重くセブンスミストを後にする。
このままで帰るわけには行かない。別のもので代用しては麻琴の夢を壊してしまう。それだけは避けねばならなかった。

「この幻想(ゆめ)はぶち壊しちゃなんねぇよな」

気合を入れると上条は冬空の下、大きなゲコ太ぬいぐるみを求めて走りだした。


それから数時間後――


「ただいまー」

「おかえり。遅かったわね。例のは買えた?」

「あぁ、セブンスミストで売り切れてたけど、何とか探してきたよ」

そう言って、背に隠してる荷物を美琴に見せる。

「ぱぱー。おかえりなさいー」

パタパタと駆け寄ってくる麻琴に気づかれぬよう、美琴に見せていたプレゼントの包みを二人ですばやく後ろに隠す。

「ただいま、麻琴」

そのまま抱き上げて、ぽんぽんと背中をたたく。

「よーし、麻琴。パパとお風呂入ろうか」

「うん。はいるー」

「じゃあどっちが早いか競争だ。行くぞー」

「まこのほうがはやいもんー」

麻琴をおろし駆け出すような姿勢をとると、それを見た麻琴がきゃいきゃいと嬉しそうに騒ぎながら風呂場に走っていく。

「美琴。わりぃけどプレゼントどこかに隠しておいてくれ」

「オッケー、わかったわ」

麻琴に聞かれぬよう小さく声をかけ、上条も麻琴を追っていった。


さらに数時間後―


「そろそろいいかな?」

「そうね。じゃあ、サンタさんがプレゼント置きに行くとしますか」

「おぅ、って言っても俺が行くと不幸で起こしそうだから、行けないんですけどねぇ……」

「まぁまぁ、拗ねないの」

「拗ねてないですよーだ」

父親として、サンタの代わりにプレゼントを置きたいのに置けない、なんだかおいしいところだけを美琴に取られたようで、少しだけ面白くない。
そんな上条を放っておいて、美琴は隠してあったプレゼントを取り出すとそっと寝室に運んでいく。
静かにドアを開ける。くぅくぅと規則正しい小さな寝息が聞こえてくる。起きてくる様子はないようだ。

「メリークリスマス、麻琴」

枕元にプレゼントを置き、物音を立てぬように寝室を後にした。

「お疲れ」

美琴を出迎えたのはもちろん上条だ。

「当麻こそ、ゲコ太のぬいぐるみ探し回ったんでしょ、お疲れ様」

「麻琴が喜んでくれると思えばそのくらいへっちゃらですよ」

少し疲れの見える顔で上条が笑みを浮かべる。
何軒も店を走って回ったのだ。さすがに少し疲れているのは隠しきれていない。

「ん~。じゃあ、そんなお疲れな当麻にも美琴サンタからプレゼントをあげましょう」

「おっ? マジで」

「マジよ。元気の出るおまじない」

座っている上条の横に入り込み、唇を重ねる。
小さな水音と時計の時間を刻む音だけが部屋に響く。

「ど、どう? 元気出た?」

恥ずかしそうに真っ赤な顔の美琴。その恥じらい加減がまた愛おしくてたまらない。

「あぁ、もう、元気でまくりですよ! 今度は上条サンタからも美琴たんにお返し」

「美琴たん言う……んぅっ」

言葉を遮るように、上条が美琴の唇を奪う。

「どうでした、上条サンタのプレゼントは?」

「ふにゃー」

恥ずかしさの許容量がいっぱいいっぱいだったようで、ふわっと上条にしなだれかかる。
そんな彼女の適度な重みと暖かさが上条に伝わってくる。
それが嬉しくて、幸せで。

「まったく。お前らは上条さんの人生の中で最高のプレゼントだよ」

夢心地の美琴に頬が緩む、そっと抱きしめて額に自分のものと印をつけるかのように口付けをするのだった。