とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

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第一話 『女王と大罪人』


雨が降り続く。
第七学区……無能力者区域の大通りは彼女は歩いていた。
女王と呼ばれた御坂美琴。
もちろん、黒服も黒服学生も居ない。端から見ればただの無能力者だ。
御坂もそう見られる事を望んでいた。
着ている服装も常盤台の制服ではないし、それ程高いものでもない。
しかし小奇麗な服装をしている事は目立った。上級階段コースである第七学区『コーラスフラン区域』とはまた違ったモノだ。

「ん?」

御坂は怪訝な視線でソレを見た。
目の前に居る誰よりも貧しくて、醜い人物。
辺りからは避けられ、罵声などを浴びせられている少年。

「どうしたの?」
「……アンタ、俺に話しかけて大丈夫なのか」
「は?」

そう言った時、ザッザッザッ!と革靴の音が背後から聞こえてきた。
黒服学生の集団か。
御坂はげんなりした表情を作って振り向いた。

「女王様!なにをやっているのですか!そいつは最下級人物ですよ!?」
「へ?そうなの?」

辺りがざわっと湧き上がった。
この少女がレベル5の第三位という事をしり、道を譲った。
それほど、彼女の位置が高い事を証明しているモノは無かった。

「怪我してるのか、足だよ」
「へ?」
「ほら、気付かなかったのか?絆創膏あるけど……いるか?」

ボロボロの財布からしおれた絆創膏を取り出した。
そして足に貼ろうとした時、黒服学生が少年の肩元を蹴って怯んだ所を膝で腹を蹴る。
あがっ!と妙な声を出した上条はのされてしまう。

「ねぇ」
「はっ」
「コイツ、私の専属黒服学生にする」

のされて気絶している少年を指さして黒服学生達に言い告げた。
黒服学生。二十の書類と一年の研修を経て、選ばれた男子学生が高位能力者を護衛するシステムだ。
どんな命令であろうと絶対服従が基本で、月収などは無いが特別手当や住居や寝食を用意してもらえる。また『黒服学生をしていた』というキャリアが生まれる為
将来、就職にも役立つらしい。専属とは言わば執事だ。
寝食はともかく、着替えの用意などの親身な関係となる。御坂はそれが嫌で黒服学生も5人しか雇っていないし、メイドも7人だけだ。

「女王様?こいつは最下級人物ですよ!?大罪人なんですよ!?」
「いいじゃない、型にはまったアンタ達よりは幾分マシよ」
「……そうですか、こちらにもプライドというモノがあります。今までお世話になりました。今夜までにすべての荷物をまとめて退出させて頂きます」
「そう、いままでありがとうね」

レベル5の黒服学生になるというのは凄く名誉なことだ。
しかし第四位なんかじゃ黒服学生を30人も雇ってるというし、雇先など探せばいくらでもあるのだ。
切り捨てる方も切り捨てられる方も気が楽だ。
少年は対等な目線で御坂に声をかけてくれた。普通なら憎しみや嫉妬などの感情が沸き起こる。
気付かないフリをしておいてもバレるハズもない。
演技じゃなかった、腹黒い計画でもなかった。それは純粋な善意だった。
気に入った。というよりは一緒に居たいと思わせるような。

「行くわよ、アンタは初めて私を優しくしてくれた」

少年を担いで、民衆の唖然とする中『コーラスフラン地区』まで向かっていく。
これが最下層の少年と最上層の少女の出会いだった。







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