格差社会、地位が高い人が異常に優遇され低い人が冷遇される。
学園都市も格差社会で、そういうシステムはいつの間にか出来上がっていた。
『レベル』という明確なランク付けが出来る以上、そうなる可能性もあった訳だが。
明確に記すと、無能力者の奨学金は月に四万円。
切り詰めて切り詰めてで一ヶ月を暮らせていける。
逆にレベル5は学園都市からの奨学金と研究費を合わせても数千万はくだらない。
また高位能力者は『黒服学生(スティルバトラー)』や『学生女中(ハウスキーパー)』を雇用出来る。
黒服学生や学生女中になるのはレベル1からレベル3が多く、無能力者は雇用できないケースがあるらしい。
学園都市も格差社会で、そういうシステムはいつの間にか出来上がっていた。
『レベル』という明確なランク付けが出来る以上、そうなる可能性もあった訳だが。
明確に記すと、無能力者の奨学金は月に四万円。
切り詰めて切り詰めてで一ヶ月を暮らせていける。
逆にレベル5は学園都市からの奨学金と研究費を合わせても数千万はくだらない。
また高位能力者は『黒服学生(スティルバトラー)』や『学生女中(ハウスキーパー)』を雇用出来る。
黒服学生や学生女中になるのはレベル1からレベル3が多く、無能力者は雇用できないケースがあるらしい。
「……なんで『CTRR事件』の大罪人を雇うなんて思ったのかしらね。まぁ後悔はしてないけどさぁ」
そんな格差社会の頂点に立っている御坂美琴は金箔入りの椅子に腰掛けて高級磁器のコーヒーカップで紅茶を飲んでいた。
シャァァァァァと水の音が風呂場から聴こえてくる。
上条当麻が風呂に入っていた。数カ月ぶりだという風呂らしく、服はボロボロで泥だらけで繊維に砂が混じっていた。
ゴミ箱にポイっと捨てると、フランス製の机に置かれた退職届を電気で燃やしてそれさえもゴミ箱へ投げ捨てた。
学生女中も中途半端な黒服学生も要らない。
そう思い、適当に買ってきた着替えを風呂場の前に置いておく。
シャァァァァァと水の音が風呂場から聴こえてくる。
上条当麻が風呂に入っていた。数カ月ぶりだという風呂らしく、服はボロボロで泥だらけで繊維に砂が混じっていた。
ゴミ箱にポイっと捨てると、フランス製の机に置かれた退職届を電気で燃やしてそれさえもゴミ箱へ投げ捨てた。
学生女中も中途半端な黒服学生も要らない。
そう思い、適当に買ってきた着替えを風呂場の前に置いておく。
「着替え、外置いとくからね」
「……すまねぇな」
「気にしないで、ゆっくり入ってよ。シャンプーとか久しぶりなんでしょう?」
「……すまねぇな」
「気にしないで、ゆっくり入ってよ。シャンプーとか久しぶりなんでしょう?」
御坂は若干、猫を被りながら再び椅子に腰掛ける。
そして、テレビを付けようとリモコンを手にとったが、溜息をついて机の上にリモコンを置いた。
『女王』なんて呼ばれている御坂は、『大罪人』と呼ばれている上条当麻の顔を思い浮かべた。
意外に悪そうに思えなかった。理由はまた訊けばいいし、それ程気になるモノでもない。
学園都市ではレベル5達の知名度にもムラがあり、第一位と第三位が有名で第二位と第四位、第五位、第六位もそれ程有名じゃない。
第七位はそもそもこの格差社会体制が気に入らないと現統括理事会の本部へ単独で殴りこんで、三人を怪我させた『大罪人』だから有名だ。
それでもシンボルを穢したと言われている上条当麻よりは幾分かマシだが。
そして、テレビを付けようとリモコンを手にとったが、溜息をついて机の上にリモコンを置いた。
『女王』なんて呼ばれている御坂は、『大罪人』と呼ばれている上条当麻の顔を思い浮かべた。
意外に悪そうに思えなかった。理由はまた訊けばいいし、それ程気になるモノでもない。
学園都市ではレベル5達の知名度にもムラがあり、第一位と第三位が有名で第二位と第四位、第五位、第六位もそれ程有名じゃない。
第七位はそもそもこの格差社会体制が気に入らないと現統括理事会の本部へ単独で殴りこんで、三人を怪我させた『大罪人』だから有名だ。
それでもシンボルを穢したと言われている上条当麻よりは幾分かマシだが。
「……あがったぞー」
気持ちよさそうな表情を浮かべて、風呂場から出てきた上条。
ドロドロだった体は綺麗な肌色に戻っていて、服装もなかなか似合っていて。
ドロドロだった体は綺麗な肌色に戻っていて、服装もなかなか似合っていて。
「でもどうしてこんな待遇を?」
「そーね。簡単に言うとアンタを私の専属黒服学生(オンリースティルバトラー)にしようと思って」
「……は?専属黒服学生?」
「そう、アンタは今日から私の専属。衣食住を提供する代わりにアンタは私の……秘書みたいなモノね」
「で、でも俺。黒服学生の資格持ってないぞ?」
「そーね。簡単に言うとアンタを私の専属黒服学生(オンリースティルバトラー)にしようと思って」
「……は?専属黒服学生?」
「そう、アンタは今日から私の専属。衣食住を提供する代わりにアンタは私の……秘書みたいなモノね」
「で、でも俺。黒服学生の資格持ってないぞ?」
そういった上条に溜息をついて御坂は首を振った。
御坂は細く綺麗な指を上条の目の前に突きつけて、顔を近付けた。
御坂は細く綺麗な指を上条の目の前に突きつけて、顔を近付けた。
「いいわね。アンタに拒否権は無いわ。資格については必要ないわ。ある制度があってね」
「そ、そうか……」
「返事は」
「し、しっかりお勤めさせて頂きます、お、お嬢様?」
「そ、そうか……」
「返事は」
「し、しっかりお勤めさせて頂きます、お、お嬢様?」
第二話 『専属黒服学生としての役割』
『特別高位能力者雇用制度』
高位能力者……主にレベル5の事を指す名だが、黒服学生と学生女中の雇用についての制度だ。
レベル5ならば資格を持っていなくとも、『見習い』として雇用する事によって資格無しでも雇えると言ったモノだ。
この『見習い』は雇用者本人が認める事によって訓練所の資格許可証無しに資格を獲得出来るという。
御坂が使う制度はこの『特別高位能力者雇用制度』だ。
『見習い専属黒服学生』なんてのは前代未聞だろうが。
上条当麻は高級な黒服に身を包むと、案内された部屋で突っ立っていた。
貧乏人が急にレベル5級の暮らしにクラスチェンジしたのだ。無理もない。
それ程大きな部屋じゃないが、置いてる家具や、装飾品なども一品物らしく上条は壁に触ることすら躊躇してしまう。
レベル5ならば資格を持っていなくとも、『見習い』として雇用する事によって資格無しでも雇えると言ったモノだ。
この『見習い』は雇用者本人が認める事によって訓練所の資格許可証無しに資格を獲得出来るという。
御坂が使う制度はこの『特別高位能力者雇用制度』だ。
『見習い専属黒服学生』なんてのは前代未聞だろうが。
上条当麻は高級な黒服に身を包むと、案内された部屋で突っ立っていた。
貧乏人が急にレベル5級の暮らしにクラスチェンジしたのだ。無理もない。
それ程大きな部屋じゃないが、置いてる家具や、装飾品なども一品物らしく上条は壁に触ることすら躊躇してしまう。
「……落ち着かないな」
上条の元住んでいた家を丸ごと突っ込んでもこれ程の広さにはならないのだが。
金箔入りのベッドを遠目で眺めて溜息をついた。
金箔入りのベッドを遠目で眺めて溜息をついた。
「どうすんだよ……俺」
そう呟いた時、金色のドアノブがガチャリと音を立てた。
ドアはゆっくりと空いていき、ドアの隙間から御坂が顔を覗きこませる。
上条と目を合わすと、ホッとしたようにドアを開けてえへへと気味の悪い笑みを浮かべながら入ってくる。
ドアはゆっくりと空いていき、ドアの隙間から御坂が顔を覗きこませる。
上条と目を合わすと、ホッとしたようにドアを開けてえへへと気味の悪い笑みを浮かべながら入ってくる。
「ほ、ほら?な、ナニかしてたら困るし……ね?」
「ノックしろよ……で?御坂様、美琴様、お嬢様?何をすればいいんでしょうか?」
「ああ、御坂様とか呼ばなくていいわよ?御坂とか美琴で呼ぶように。あと敬語は無し。雇用主の私が決めたから大丈夫よ」
「……ああ、わかった御坂。で?何をすればいいんだ?」
「ノックしろよ……で?御坂様、美琴様、お嬢様?何をすればいいんでしょうか?」
「ああ、御坂様とか呼ばなくていいわよ?御坂とか美琴で呼ぶように。あと敬語は無し。雇用主の私が決めたから大丈夫よ」
「……ああ、わかった御坂。で?何をすればいいんだ?」
御坂はスカートのポケットから四つに折りたたまれた紙を取り出して上条に渡す。
中には『雇用者と黒服学生の関係や、任されている仕事』などが書かれてあった。
中には『雇用者と黒服学生の関係や、任されている仕事』などが書かれてあった。
「でもさ、この館内の掃除って俺が終わらせれる量じゃないぞ?メイドさんとか辞めたんだろ?」
「まぁ、余裕よ。募集かければ一時間で数十は希望が来るわね」
「す、すげぇな」
「さっ、アンタの初仕事は学生女中の審査ね」
「わ、分かった」
「まぁ、余裕よ。募集かければ一時間で数十は希望が来るわね」
「す、すげぇな」
「さっ、アンタの初仕事は学生女中の審査ね」
「わ、分かった」
*
「面接官とか初めてだ……」
上条当麻は正装に身を包み、綺麗な身なりをして殺風景な個室で待っていた。
ガチャリ、とドアノブの音がして少女が入ってくる。
上条はこの面接を一任されている。最低条件は特に無かったが、採用する基準としてはレベル0を雇いたいらしい。一人目の少女……常盤台中学の生徒だ。
特に悪い印象は見られなかったが、強いて言うなら『やる気はないがキャリアの為にやる』という感じだ。
上条は無いな、と思い少女の履歴書に×を付けて封筒になおした。
二人目……は柵川中学の生徒だった。
ガチャリ、とドアノブの音がして少女が入ってくる。
上条はこの面接を一任されている。最低条件は特に無かったが、採用する基準としてはレベル0を雇いたいらしい。一人目の少女……常盤台中学の生徒だ。
特に悪い印象は見られなかったが、強いて言うなら『やる気はないがキャリアの為にやる』という感じだ。
上条は無いな、と思い少女の履歴書に×を付けて封筒になおした。
二人目……は柵川中学の生徒だった。
「えーと、佐天涙子と言います」
「……佐天涙子さん。柵川中学に通ってるのか。俺もそこだったよ。
ところで……何で学生女中募集に来たんだ?」
「……実は最近、自転車で人を轢いてしまって……『罪人』になっちゃって三ヶ月間の奨学金が減らされて。月二万じゃどうやっても生きていけないから
働こうかなと思って……。『罪人』でも良いと書いてあったから……」
「はい……十分です。今日の所はお帰りになって頂いて結構です。結果は後日発送するよ」
「はい、失礼します」
「……佐天涙子さん。柵川中学に通ってるのか。俺もそこだったよ。
ところで……何で学生女中募集に来たんだ?」
「……実は最近、自転車で人を轢いてしまって……『罪人』になっちゃって三ヶ月間の奨学金が減らされて。月二万じゃどうやっても生きていけないから
働こうかなと思って……。『罪人』でも良いと書いてあったから……」
「はい……十分です。今日の所はお帰りになって頂いて結構です。結果は後日発送するよ」
「はい、失礼します」
上条は佐天涙子の履歴書に○を付けて、封筒の中に入れた。
そして三人目、四人目と続いてきたが、上条的には『キャリア』が欲しいだけだと感じ取り不採用にした。
その点、佐天涙子は生活がかかっている為、必死にやるだろうなと思いそれ程良くもない人材だが消去法的に採用した。
雇ったのは『佐天涙子』と『白井黒子』だった。
白井黒子は御坂と同じ学校らしく、相談した所快く承諾してくれたらしい。
上条の二日目の仕事が終わり、鮭の残り物と腐りかけでカチカチの白ご飯じゃない高級な料理を食して、ダニとカビだらけの布団じゃない羽毛の布団で眠る。
そんな学園都市で最高の幸せを得た上条だったが、それも長くない事は上条自身が良く分かっていた。
この世間とこの風潮が生み出す負の連鎖に巻き込まれるのは、『御坂美琴』だと言う事も。
それでもこの立場に甘んじて生活する上条は自分の事を何と思っているのか。『本当の大罪人』だと思っているのか。
そして三人目、四人目と続いてきたが、上条的には『キャリア』が欲しいだけだと感じ取り不採用にした。
その点、佐天涙子は生活がかかっている為、必死にやるだろうなと思いそれ程良くもない人材だが消去法的に採用した。
雇ったのは『佐天涙子』と『白井黒子』だった。
白井黒子は御坂と同じ学校らしく、相談した所快く承諾してくれたらしい。
上条の二日目の仕事が終わり、鮭の残り物と腐りかけでカチカチの白ご飯じゃない高級な料理を食して、ダニとカビだらけの布団じゃない羽毛の布団で眠る。
そんな学園都市で最高の幸せを得た上条だったが、それも長くない事は上条自身が良く分かっていた。
この世間とこの風潮が生み出す負の連鎖に巻き込まれるのは、『御坂美琴』だと言う事も。
それでもこの立場に甘んじて生活する上条は自分の事を何と思っているのか。『本当の大罪人』だと思っているのか。
「……はぁ」
「どうしたのよ、そんな溜息なんてついて」
「なんでもねぇよ。……なぁ御坂。俺のせいでお前の立場が危うくなったとしたらお前は俺を追い出すか?」
「……フフッ。そんな事考えてたの?ンな訳ないじゃない、私がアンタを雇ったのよ?責任は取れるわ」
「そうか、ならいいんだ。じゃあ俺寝るな。明日の早朝から風呂場の掃除と朝食の準備だな?」
「頼んだわよ?あと制服は部屋のクローゼットに掛けてあるから。ここからじゃ少し遠いだろうけど頑張ってね」
「それぐらいできるさ。じゃあおやすみー」
「おやすみ」
「どうしたのよ、そんな溜息なんてついて」
「なんでもねぇよ。……なぁ御坂。俺のせいでお前の立場が危うくなったとしたらお前は俺を追い出すか?」
「……フフッ。そんな事考えてたの?ンな訳ないじゃない、私がアンタを雇ったのよ?責任は取れるわ」
「そうか、ならいいんだ。じゃあ俺寝るな。明日の早朝から風呂場の掃除と朝食の準備だな?」
「頼んだわよ?あと制服は部屋のクローゼットに掛けてあるから。ここからじゃ少し遠いだろうけど頑張ってね」
「それぐらいできるさ。じゃあおやすみー」
「おやすみ」
上条は布団に入った。
フカフカで温かい布団が上条の眠気を誘う。
ものの数分で眠りについた上条だったが、その上条の部屋で御坂はボーッと突っ立っていた。
フカフカで温かい布団が上条の眠気を誘う。
ものの数分で眠りについた上条だったが、その上条の部屋で御坂はボーッと突っ立っていた。
「はぁ、アンタの言いたい事は判るわ。ホントは追い出すかもしれない。自分が可愛いのは誰でもだから」
上条の顔を見つめながら、御坂は目を伏せる。
「じゃあね、おやすみなさい。大罪人の上条当麻さん」
帽子をかぶり、薄いTシャツを着る。
無地の短パンをはいて、手元にある地図を見ながら屋敷を出た。
学生手帳を後ろポケットに入ってるのを確認して彼女は夜中、街を暗躍する。
無地の短パンをはいて、手元にある地図を見ながら屋敷を出た。
学生手帳を後ろポケットに入ってるのを確認して彼女は夜中、街を暗躍する。
*
「チッ、ホントはこんなモンじゃなかったのによォ」
白髪の少年はビルの非常階段で寝転がっていた。
彼は『一方通行(アクセラレータ)』。学園都市最強の能力者であり『王子様』と呼ばれている少年だ。
しかし彼はこの地位に納得していなかった。
彼の言う『最強』は誰かに崇められ、弱者より最高の暮らしをして優越感に浸るようなそんなチンケなモノだったのか。
二年後にはつまらない政略結婚という謎のイベントが待ち受けているし、正直何も考える気になれなかった。
と、ビルとビルの間からピカリ、と光が見えた。
磁力で空に浮いている第三位、超電磁砲の御坂美琴だ。しかし起き上がる気にもなれずただ見慣れたその顔を見るだけだった。
確か、『専属黒服学生』を雇ったという噂を訊いたな、と思い出す。
しかもCTRR事件の犯人の大罪人を。
彼は『一方通行(アクセラレータ)』。学園都市最強の能力者であり『王子様』と呼ばれている少年だ。
しかし彼はこの地位に納得していなかった。
彼の言う『最強』は誰かに崇められ、弱者より最高の暮らしをして優越感に浸るようなそんなチンケなモノだったのか。
二年後にはつまらない政略結婚という謎のイベントが待ち受けているし、正直何も考える気になれなかった。
と、ビルとビルの間からピカリ、と光が見えた。
磁力で空に浮いている第三位、超電磁砲の御坂美琴だ。しかし起き上がる気にもなれずただ見慣れたその顔を見るだけだった。
確か、『専属黒服学生』を雇ったという噂を訊いたな、と思い出す。
しかもCTRR事件の犯人の大罪人を。
「第三位も何を考えてンのだか」
カツン、と足音がする。
一方通行はその殺意の大きさからそれ程強大な敵じゃないと判断して、首だけを足音に向ける。
スーツを崩して着ている金髪の男、垣根帝督だ。
知名度は低く、女子中学生の間で第二位の理想図を描くのが流行っているらしい。
一方通行はその殺意の大きさからそれ程強大な敵じゃないと判断して、首だけを足音に向ける。
スーツを崩して着ている金髪の男、垣根帝督だ。
知名度は低く、女子中学生の間で第二位の理想図を描くのが流行っているらしい。
「今のは超電磁砲か?」
「ああ」
「……そうか。ところで……テメェ中学生と婚約してるんだって?このロリコン野郎」
「否定はできねェなァ、まぁ学園都市の体裁の為の……要するに政略結婚だ。クソが」
「ああ」
「……そうか。ところで……テメェ中学生と婚約してるんだって?このロリコン野郎」
「否定はできねェなァ、まぁ学園都市の体裁の為の……要するに政略結婚だ。クソが」
毒づく一方通行。
垣根は壁に体を預けながら、寝転がっている一方通行へ視線を向けた。
垣根は壁に体を預けながら、寝転がっている一方通行へ視線を向けた。
「第四位……原子崩しが動き出したってよ。『エレティス電子書庫攻撃事件』の大罪人を捕まえて何か調べたい事があるらしい」
「はァ?エレティス事件の犯人は拘置所だろォが」
「逃げ出した。第七位の手を借りてな」
「はァ?エレティス事件の犯人は拘置所だろォが」
「逃げ出した。第七位の手を借りてな」
一方通行は興味が無さそうに溜息をこぼした。
立ち上がると、服についた砂を払って非常階段前から消えた。
垣根は唾を吐くと、背中に六枚の羽を出現させ非常階段から消える。
立ち上がると、服についた砂を払って非常階段前から消えた。
垣根は唾を吐くと、背中に六枚の羽を出現させ非常階段から消える。
*
上条当麻は早朝に風呂場で汗をかいていた。
かなり暑い。風呂場は男女共用で洗う手間は少なくていいんだが……、その分銭湯並に広かったりする。
制服姿になって掃除をしていたが、ズボンはかなり濡れている。
泡だらけの地面で何度も滑ったからだと言える。
かなり暑い。風呂場は男女共用で洗う手間は少なくていいんだが……、その分銭湯並に広かったりする。
制服姿になって掃除をしていたが、ズボンはかなり濡れている。
泡だらけの地面で何度も滑ったからだと言える。
「さて、後は流すだけか」
上条はホースを引っ張ってきて、勢い良く水を噴射させた。
泡は水とともに排水口に流れていき、上条の仕事は終わった。訳ではない。
朝食の準備だ。一応、和食を作るスキルならあるので、お嬢様を満足させられると思う。
(ちなみに昨日はデリバリー)。
ホースを決められた位置になおして、朝日に反射する風呂場を見て「うん!」と言った。
次は台所に向かい、冷蔵庫の中身を確認する。
泡は水とともに排水口に流れていき、上条の仕事は終わった。訳ではない。
朝食の準備だ。一応、和食を作るスキルならあるので、お嬢様を満足させられると思う。
(ちなみに昨日はデリバリー)。
ホースを決められた位置になおして、朝日に反射する風呂場を見て「うん!」と言った。
次は台所に向かい、冷蔵庫の中身を確認する。
「うげ、洋食モンばっかかよ……パンとかグラタンか……」
上条は冷蔵庫を探っていると、鯖の切り身と卵を発見しフライパンを用意する。
鯖はちょうど二人分あったので焼く。
取り敢えず、朝のメニューは白ご飯と目玉焼きと鯖の切り身のウィンナーだ。
実際、冷蔵庫にはこれぐらいのモノしか無かったし、あの細い体だったら足りるかと思い机の上に並べていく。
時間は風呂場の掃除を始めたのが4時30分くらいで、今は6時半。
眠いな、と目を擦りながら御坂の部屋をノックする。
鯖はちょうど二人分あったので焼く。
取り敢えず、朝のメニューは白ご飯と目玉焼きと鯖の切り身のウィンナーだ。
実際、冷蔵庫にはこれぐらいのモノしか無かったし、あの細い体だったら足りるかと思い机の上に並べていく。
時間は風呂場の掃除を始めたのが4時30分くらいで、今は6時半。
眠いな、と目を擦りながら御坂の部屋をノックする。
「……入るぞ」
中にはだらしない格好で寝ている御坂が。
ゲコ太というキャラクターがプリントアウトされた緑のパジャマを着ていて、上条は苦笑いした。
トントン、と御坂の肩を優しく叩く。が起きる気配はしない。
次は……、と悪巧みをするように呟くと耳元に顔を近付けて、ふぅーっと息をふきかけた。
ゲコ太というキャラクターがプリントアウトされた緑のパジャマを着ていて、上条は苦笑いした。
トントン、と御坂の肩を優しく叩く。が起きる気配はしない。
次は……、と悪巧みをするように呟くと耳元に顔を近付けて、ふぅーっと息をふきかけた。
「ひやっ!?」
「起きろ御坂―」
「……へ?へ?なんでアンタがここに……ってまままま、まさか?」
「そんな趣味あったんだなー、天下の美琴様も少女趣味が……」
「ああああああああアンタァ!!!こ、ここで黒焦げになりなさい!」
「起きろ御坂―」
「……へ?へ?なんでアンタがここに……ってまままま、まさか?」
「そんな趣味あったんだなー、天下の美琴様も少女趣味が……」
「ああああああああアンタァ!!!こ、ここで黒焦げになりなさい!」
掌から数万ボルトの電気が上条に向けられる。
「ちょっ!?」
右手をかざし、電気は右手に触れた時点で霧散し御坂は唖然とした。
何度も電気をぶつけるが、結果は同じで。
何度も電気をぶつけるが、結果は同じで。
「……は?」
「えっ、と、取り敢えずご飯にしません?上条さんはお腹が空いて……」
「そ、そうね……」
「えっ、と、取り敢えずご飯にしません?上条さんはお腹が空いて……」
「そ、そうね……」
上条を部屋から追い出して、取り敢えず制服に着替える。
部屋の前で待っていた上条と一緒に長い廊下を歩いていく。
目的地の大きな部屋に長い机が置かれていた。
しかし今の従業員は上条1人。家主の御坂含めても二人しか居ない状況で20人以上が座れる机が必要なのかと。
向い合って座るのは当たり前だが、この机に質素で普通の家庭の朝ごはん風景は何か合わない。
しかし御坂は、満足しているようで箸を持って「いただきまーす」と言った。
部屋の前で待っていた上条と一緒に長い廊下を歩いていく。
目的地の大きな部屋に長い机が置かれていた。
しかし今の従業員は上条1人。家主の御坂含めても二人しか居ない状況で20人以上が座れる机が必要なのかと。
向い合って座るのは当たり前だが、この机に質素で普通の家庭の朝ごはん風景は何か合わない。
しかし御坂は、満足しているようで箸を持って「いただきまーす」と言った。
「ん!アンタ料理うまいわねー」
「そ、そうか」
「やっぱり日本人って感じよねー。フランス料理とか、イタリア料理とか高級料理よりも和食の方が美味しいわね」
「そうか?昨日のイタリア料理は美味かったぞ?」
「そ、そうか」
「やっぱり日本人って感じよねー。フランス料理とか、イタリア料理とか高級料理よりも和食の方が美味しいわね」
「そうか?昨日のイタリア料理は美味かったぞ?」
箸を上条に向けた。
「アンタにはわかんないわよ……、風呂場も掃除してあったみたいだし良い感じね」
「昨日、どこ行ってたんだ?」
「秘密よ、秘密。お、こんな時間か。アンタも学校行くんでしょ?鍵渡しとくから勝手に出入りして頂戴」
「昨日、どこ行ってたんだ?」
「秘密よ、秘密。お、こんな時間か。アンタも学校行くんでしょ?鍵渡しとくから勝手に出入りして頂戴」
上条もそうだ!と思い出して学生鞄を取りに行く。
さて、今日も一日が始まる。
二人は同時に家を出て、それぞれ学校に向かう。
御坂達の住んでいる『コーラスフラン地域』から無能力者地域まではそう遠くない。
常盤台が何故、無能力者地域にあるのかが不思議でならない訳だが。
無能力者地域、文字通り無能力者が集められた地域でコーラスフラ地域と隣接している。
コーラスフラン地域と無能力者地域は元は『第七学区』と呼ばれ、学区制だったのだが五年前から地域化された。
また窓のないビルという難攻不落の城と言われていた今は廃墟のビルがあり、その中には『何もなかった』。
青く、長い髪の毛が落ちていたらしいが調査は行われていないらしい。
まだ『第七学区』の名残があるのか『第七学区、無能力者地域』といわれる事が多い。
さて、今日も一日が始まる。
二人は同時に家を出て、それぞれ学校に向かう。
御坂達の住んでいる『コーラスフラン地域』から無能力者地域まではそう遠くない。
常盤台が何故、無能力者地域にあるのかが不思議でならない訳だが。
無能力者地域、文字通り無能力者が集められた地域でコーラスフラ地域と隣接している。
コーラスフラン地域と無能力者地域は元は『第七学区』と呼ばれ、学区制だったのだが五年前から地域化された。
また窓のないビルという難攻不落の城と言われていた今は廃墟のビルがあり、その中には『何もなかった』。
青く、長い髪の毛が落ちていたらしいが調査は行われていないらしい。
まだ『第七学区』の名残があるのか『第七学区、無能力者地域』といわれる事が多い。
「何でさぁ、コーラスフラン地域に常盤台が無くて、無能力者地域にはあるんだろうな」
「さぁ?前の内戦で常盤台は無能力者側に立ってたって聴くし、その名残なんじゃない?」
「それにしても、人権団体とかは批判したりしないのかねぇ?」
「……私にも分かんないけど。恐らく何かの圧力でもかかってるんじゃないかな」
「さぁ?前の内戦で常盤台は無能力者側に立ってたって聴くし、その名残なんじゃない?」
「それにしても、人権団体とかは批判したりしないのかねぇ?」
「……私にも分かんないけど。恐らく何かの圧力でもかかってるんじゃないかな」
御坂は常盤台中学へ行く道に向かい、上条とわかれた。
一人になった上条は最悪の学校と最高のクラスへ向かっていく。
一人になった上条は最悪の学校と最高のクラスへ向かっていく。