とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part04

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集



「なんでてめえが…」

上条は驚いた。それもそのはず、目の前にいる人物は既に死亡扱いになっているのだから。

「オマエやっぱり生きてやがったか」
「ほう?君は驚かないのか」
「どうせこんなことだろうと思ってたからなァ、クソッタレが」
「それにしても久しい者も集まってくれたようだね、歓迎するよ」

アレイスターの歓迎を遮る声が響いた。

「おい、てめえ。てめえの目的はなんだ」
「目的?目的などないさ、プランの崩壊と共に私は全てを失った。今やこの世界に興味など微塵もない」
「しかし何もせずにただ日々を過ごすのも退屈だろう。そこでこの世界を混乱させるために一計講じたわけだ」
「なるほどなァ……それがこれか。まさに二枚舌外交というわけか」

一方通行が納得したように頷く。

「どういうことだ一方通行」
「分からねえか、学生を好きにしていいと研究者どもを煽った。かと思えば利害を一致させた研究者と外部の人間のグループを統率していた」

「そして今、その二つが争っている。そこに俺たちが加わっているがな」
「……!!ということは俺たちは皆コイツの手の平で踊らされてたってことか!?」


「さすが第1位。この短時間でそこまで見抜くとは」
「オマエに褒められても全然嬉しくないんだがなァ」

「さてどうする。私を殺すか?それも余興だな」

「ふざけんなよ!さんざん俺たちを利用して、挙句の果てにはてめえの暇つぶしのためだけに世界を混乱させやがって…」

「ああ、殺してやるよ、てめえのふざけた幻想をなぁぁ!!」




「お前ら今だけでも良い、俺の力になってくれないか」
「当然だろ、そのために来たんだからな」

「幻想殺し、君は他人を極力巻き込まないのでは?」
「今さらだろ。俺一人で解決できたことなんて数えるほどしかない。皆がいたから今まで戦って来れたんだよ!」

「では君を見せてもらおう。楽しい楽しいショータイムの始まりだ」



「どうする?何か手はあるのか。アイツは神の如き存在だ。俺様…というかここにいる全員の力でも勝率はかなり低いぞ」
「アイツの魔術はできる限り俺が打ち消す。攻撃は任せる」
「了解した」


アレイスターの元に突っ込むや否や、彼(?)を中心に無色透明の衝撃波が展開された。
急な出来事だったが、今までの経験で常人を超える反射速度を備えた上条はとっさに右手を伸ばす。

しかし、

「がっ……」

打ち消せなかった。

「ここは私の城だよ?最先端の科学技術も詰まっていることくらい予想できてもいいものだが?」
「だったらそれは俺の領分だァ。全部ブッこわす」
「どうする気かな?全て破壊する前にまず幻想殺しが倒れる方が先だと思うけど?」

「ならオマエをミンチにするまでだ。クッソ野郎がぁぁぁ」

一方通行が地面を思いっきり踏みつけると浮遊建造物の建物やらが根っこから折れ、アレイスターに降り注ぐ。


一気に視界が曇るのにもかまわず、一方通行は能力を使って飛び出していった。
徐々に視界が晴れていき、上条達が目にしたのは一方通行を引きずって歩くアレイスター。

「口ほどにない。第1位とはいってもこの程度か」
「そいつを放せ!」

また先と同様に衝撃波が発生した。

「同じ手を食らうか!」

上条は身をかがめ、避けた…

かのように思えたが、それは向きを変え、隙ができた上条の背中に命中した。

「今のは魔術だよ。君の右手でも打ち消せる程度のものだったのに」

「いつまでそうやって余裕こいてんだ?あんまり天狗になってると足元すくわれるぞ。俺たちは雑魚キャラじゃないんだからな」
「なら来るがいい。私を楽しませてくれ。そして存分に失望してくれ」

直後、神の如き者と魔術界の化け物達が激突した。



別次元の戦いに上条はただ黙って観戦してるしかできなかった。

(と…まずは一方通行を保護しないとな)

一方通行の所まで這って上条は一方通行の異常に気付いた。
外傷がなかったのだ。
そればかりではない。何か奇妙な膜が一方通行を覆っているのだ。
右手で触れた瞬間幻想殺し特有のあの音が響く。

だが、膜が消えることはなかった。
いや、正確には消滅するのだが、またすぐに現れる。
大覇星祭のときに土御門が受けた魔術のような感じである。

(くそっこれも本体そのものを倒すまでは術式が続くってやつか…)

ひとまず一方通行を少しでも危険が及ばない場所まで運び、上条は再び戦いに赴く。



不気味な光を放つ剣と説明のつかない何かがぶつかり、それを中心にあらゆるものが破壊されていく。

「オッレルスといったか……確かに弱くはない。だが私を倒すほどの力でもない」
「ッ…!?」

動揺した一瞬の隙を狙って剣を振りおろしてくるアレイスター。
いかに魔神になり損ねた男とあっても、避けるのは不可能だった。

「お別れだ」

しかしアレイスターが退屈そうに振ったその剣を、幻想殺しが砕いた。

「勝手に終わらせてんじゃねえ。お前には言いたいことが山ほどあるんだ」

「なあオッレルス、神裂達はまだ来ないのか」
「ああ、道中敵に遭遇してばかりでなかなか進めないらしい。もう少し時間がかかるだろうな」
「それまでもつか?」
「何か策を思いついたらしいな」
「そんな大したもんじゃないよ。ただあん時の再現をしようと思ってな」
「あん時?」
「まぁ、今は均衡を保つので精いっぱいか。アレに人員を割くわけにはいかないか……」

「だったらやるべき事は一つしかないよな…」
「あいつらが来るまで全力でアレイスターを抑える!」


そこから先のことはよく覚えていない。
次から次へと繰り広げられる攻撃を無我夢中で、ただ本能に従って打ち消していたから。
ひとつひとつの攻撃にそれほどの威力はない。ただ、それらは多様多種で、数も多かった。
右手一本で対処するには限界があった。
フィアンマ達も反撃をしているようだが、アレイスターは涼まし顔でそれらをなんなくいなしていく。

正直もう持ちこたえられそうにない。


「上条さーん!!」

そんな声が聞こえたかと思うと、背後からピンクのかたまりが勢いよく飛び出してきた。

「上条さんをこれ以上傷つけはしません!」

五和とアレイスターは一騎打ちを始めた。

「神裂いるか!」
「ここに。遅れて申し訳ありませんでした、上条当麻」
「いいよ。それより神裂テレパシーみたいな術式使えるか?」
「誰かと話すつもりですか?」
「範囲は学園都市にいる奴ら全員」
「そんなに?できないことはありませんが、人数が必要です。天草式を半分そちらに動員させましょう」

「五和聞いてましたね、交代です!貴方は通信術式の用意をしてください!」
「分かりました、プリエステス!」


「これは珍しい客だな。神裂火織といったか。聖人か」
「今は天草式の神裂として貴方を倒します」
「ふっ…聖人が一人増えただけでパワーバランスに変化があるとは思わないことだな」



「上条さん、準備が整いました!」
「分かった!始めるぞ」


※長いので読まなくても結構ですw


「あー、あーえっと聞こえるか皆」
「俺は上条当麻だ。今まではお前らの敵だったわけだけどさ、ちょっと聞いてほしいんだよ」
「俺は今まで守りたいものがあるから戦ってきたんだ。勝手に体が動いちゃうっていうのもあるけど」
「お前らはどうなんだ。いろんな目的を持っているだろう。利益目的で戦っているやつもいるだろうし、そうじゃないやつもいる」
「ただ単に戦いたいからってやつもいるだろう。ただ一つ言いたい……」
「お前ら本当にそれでいいのか?」
「大切なものを守るために全力を尽くすのと、その希望を打ち砕くために全力を尽くすのと、どっちが胸を張れると思う?」
「んなもん決まってるよな。お前らにだって大切なものがあるんだろう?」
「なら想像できるだろう。それを失ったときの気持ちが…」
「焦ったはずだ、痛かったはずだ、辛かったはずだ、恐かったはずだ、苦しかったはずだ、震えたはずだ、叫んだはずだ、涙が出たはずだ!」
「だったらそれは駄目なんだ!」
「だからこの戦いが終わるよう協力してくれないか。これ以上誰かが傷つけられなくちゃいけないってんなら、そんなくだらない幻想みんなまとめてぶち殺しにいこうぜ!」





「…ちょっと行ってくるわ」
「どこにだ!?」
「上条って奴のところさ。あんなことを言える奴を見てみたいんだよ」
「私も興味があります」
「私もついていきます」
「なんかこう、心に響いたな」
「そうそう。なんか今までの自分がアホらしく思えたよ……」
「上条と一緒に戦ってみたいな」

あれほどうるさかった戦の音など、もうどこでも聞かれることはなくなった。

一人また一人と上条のもとへ行こうとする人間が集結していく。
いつしかそれは100人になり、1000人になり、加速度的に増えていく。

最後の戦いを終わらせるために。






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