とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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振り回される人々




ある日、様々な勢力、組織、グループでとある協議がなされていた。

それは偶然、たまたま、奇跡……奇跡は違うか、別々の会合ながら同じ議題が登っていた。


とあるクラス

「シスコン軍曹の姿が見えへんな」

「危険を感知して逃げたのよ、下手したら藪蛇になるから。しかし上条当麻め」

「まだ確定じゃない……」

「カミやん、事実やったら」


とあるグループ

「なンですかァ、この集まりは? 暗部は解体させたはずだぜェ」

「暗部の仕事じゃないにゃー、ちょっとしたアルバイトぜよ」

「(御坂さんと……彼が、約束を守ってくれた末なのでしょうか)」

「海原、何ぼそぼそ言ってるの? それにしても何でこんな調査が回ってくるのよ」

「一筋縄じゃいかん二人だからにゃー」


とあるサークル

「大将が?」

「戦々恐々、ってミサカはミサカはネットワークの状況を伝えてみる」

「私達には超関係ない話しです」

「にゃー。友達が困ってたら助けるのが筋!」

「超電磁砲……ね」

「何でコワい顔してんの麦野?」

「笑っただけでナーニ言ってんのかな浜面」

「そんなはまづらを愛してる」


とある大聖堂

「何で僕がそんな調査をしなければならないんだ?」

「これは禁書目録の将来に係りける調査になりけるわ」

「あの子の?」

「あの者が勧誘に靡けばよりけり、禁書目録は共に帰りける。あの者がかの地にとどまりける理由ありけるなら禁書目録の説得次第なりけるの」

「わかりました。仕方無い、最大主教のご命令とあらば行ってきます」


とあるファミレス

「白井さんが、しかばねのようだ、状態だね」

「そうですね、大人しくて楽です」

「でも、本当なの?あの御坂さんに、あの人でしょ?」

「んー、状況証拠だけならファイルにもう一杯ですね」

「あ」

「初春、決定的瞬間は?初春なら監視カメラを調べたら」

「さすがにそれは職権乱用ですよ」

「ありえ」

「じゃあさ、監視中たまたま映り続けてたなら」

「佐天さん、それは……仕方ないですね」

「ありえませんの!」

「おぬしも悪よのぉ、初春屋」

「佐天さ、お代官様ほどでも」

「ありえませんの。お姉様が、お姉様があの類人猿となどと、そんなこと天地開闢以来ありえないことですの!」


それぞれの思惑により動き始める。上条当麻と御坂美琴がお付き合いしているかどうかの調査が。





調査報告1

「こちらスネークや、カミやんを発見」

『上条当麻、一人だけ? 情報ではよく自販機前で待ち合わせをみたいに聞いてるけど』

「今のところカミやんだけや……ちょっと待ってや、今」

自販機の前に立つ上条へ声をかける少女。

「アンタ忘れたの、この自販機で買おうたって呑み込まれるのがオチよ」

「今日の俺のラッキーカラーは緑! コレを御覧じろ、今日の俺は大丈夫だ!」

「ゲコ太ストラップ? でもアンタ、右手で掴んでたらご利益ないんじゃ」

「そ、そーかー? ロシアで無くしたと思ったら御坂が拾ってくれてたゲコ太だぞ」

そう言うとあくまでも強気を装いつつ上条は震える手でコインを投入する。そして神に祈る、のは止めておいて強運のゲコ太に祈り、お目当ての飲み物、やしの実サイダーのボタンを押す。

と、

ガシャン!

缶が出て来る。

「よっしゃーっ! さすが御坂のゲコ太、今日の俺はツイてる! 10年に一度あるかどうかのラッキーデイだ!」

「10年に一度ってアンタそれぐらいで」

「ん?」

「ん?って」

「ガラナ青汁」

「ぷっ、ぷははははははは」

笑い声が聞こえる。

「こちらスネーク、コマンドポスト。楽しそうや、仲良さげやねん。僕の腸がねじ切れそうや、突入させてくれへん」

『まだだ、まだ証拠が足りない。突入は不許可よ』


調査報告2

「あァ、なンですかァこれはァ、俺がなンでこンな事をやらされンだァ?」

「いまさら」

「何を言ってるんですか(御坂さんが幸せなら……)」

「仕方ないにゃー、あまり近づいたら超電磁砲のレーダーで捉えられるにゃー。この距離で音声を拾うには一方通行にベクトル操作してもらうのが一番だぜい」

「そンな事の為に貴重なバッテリーを使わせンな、くそっ!」

にゃーにゃーとウルサい男は指向性の遠く離れていても会話が聞ける機器を構えている。学園都市製の優れものではあるが、目標の二人からは限界距離を越えていた。それで一方通行の力を借りて距離を伸ばしているのだ。

「あっ、店に入るようですね」

ビデオを構えていた男が呟く。

「……自前かよ」

「何のお店?」

「あそこは……ファンシーショップだなァ」

「……どうして知ってるのか非常に気になるわ」

「お仲間にゃー」

「……ロリコン」

「帰ってイイかァ?」

そうこうする内に店のガラスの微振動を通じ音声が聞こえる。





「ゲコ太ーっ!」

「おーい、御坂。はしゃぎすぎだぞ」

「で、でもフェアでこんなに限定品が」

「御坂、一つだけって覚えてるよな、覚えてくれてますよね?」

「うーん、見たことないのがこれだけあるならいっそのこと」

「聞いちゃいねー!」

「えっ?これって」

「どーした……真っ白いゲコ太? フェアとは言えこれは似合わねーな」

「アイツを思い出すわね」

「あー、そーだな。一方通行のイメージがするな」

「そーなのよね、こればかりはどうしようかしら……K.T作?」

「個人出品モノか?」

「なんか気に入らないけど……これを逃したら……ゲコラーとしては……よし、買った!」

「買った、って御坂。それじゃ、ホワイトデーのお返しにならねーじゃんか」

「アンタにはそこの白いタキシードを着たゲコ太を買って貰うわよ」

「あっ、これか」

「他のも私が買って帰るけどね」

店内にはホワイトデー・ラブリーミトンフェアの品がそこかしこに並べられていた。

「お子様ね」

緊急脱出用員の少女が呟く。

「そこも彼女の良いところですよ、でも録画できないのは残念ですね」

自前のビデオもさすがに店内まで映せない。

「お子様じゃ大人買いはできないぜい」

真っ直ぐに機器を店に向けず一方通行へと向けていた。音波を一方通行に当てて変換してもらっている。そうして対象から返ってきた音波をまた一方通行に機器へと返してもらっていたのだが

「帰る」

「へっ、一方通行。何を言ってるのかにゃー」

「早く帰らねェと忘れてたンだよォ、打ち止めにお返しを用意するのをよォォォ! 打ち止めァァァ、待ってろよ今から買って帰るからなァァァッ!!」


調査報告3

「うーん、あの人が叫んでる、ってミサカはミサカはそんな第六感がするの」

「おっ、店からお二人さんが出てきたぞ……何だ、あの荷物は?」

「男の甲斐性ってヤツですよ。所詮、超浜面には無理です」

「いやいや、大将も無能力者だぜ。あれは第三位が自分で買ったんだろ?」

「そんな事を言ってるから超浜面なんです」

「大丈夫、はまづらは私だけのもの。私が納得してたらいい、はまづらは気にしないで」

「絹旗、滝壺の言うとおり、それでいいのよ」ニコッ

「超怖いんですが」

「大体、そんなおしゃべりしてたら二人を見失うにゃー」

「えっ、あっどこだ?」





「AIM拡散力場は見失ってないから、あそこ」

滝壺が指差す方向を見ると確かに二人がいた。ただ

「「「「「ホテル!?」」」」」

「ってミサカはミサカは大混乱」

二人はホテルへ入って行く。

「はー、上条さんは格差社会ってもんを思い知りました。そうですか常盤台のお嬢様はホテルをロッカー代わりに使うんですか」

「だって、これだけの荷物を持って映画館に行けないでしょ?近くだし」

「その前にその荷物ですよ、片っ端から買いやがって、せっかくの俺からのプレゼントが霞んじまうじゃないか」

「買ったものと買って貰った物は違うの! アンタに買って貰った物だもの大切にするわよ」

「そーゆーもんなのか?」

「そーよ、アンタから貰った物は全部宝物よ」

「御坂……」

「えーと、早くしないと映画、始まっちゃうわよ」

「そっ、そーだな」

二人を待っていた。会うつもりではない。そわそわと落ち着き無く、ホテルの入り口を見張っていた。

これはもう決定的か、と思われた時、二人は出てきた。

「早っ!!」

「……浜面、超下品です」

「ホテルで食事?」

「あっ、それも考えられたのか」

「浜面、お子様がいる前でナニ言ってんだぁ」

「麦野、その顔やめて。えっ、何で左手あげてんの?」

「『原子崩し』だと死んじゃうから」

「いや、左手の義手で殴られても死んじゃいます、死ぬから、死ぬ、死ぬ」

「浜面、超ウルサいです」

「絹旗、てめぇも同じ想像してたんだろがーッ!」

ドコッ!

5メートルほど吹っ飛ぶ浜面。

「さて、あの二人は?」

「あれ?」

「どうしたんですか滝壺さん?」

「第三位のAIM拡散力場が見えない」


調査報告4

映画館まで来た上条と美琴はおかしなことに気がついた。

館内に人っ子一人いない、二人を除いて。まだ最終下校時刻にも余裕がある、誰もいないなど有り得ない。

「御坂、気をつけろ、これは」

「アンタも」

お互いの背を守り合うように立つ。

上条が周囲に目を配ると、壁や天井に貼られたモノが見えた。

「これは、たしかルーン?」

そして廊下の奥、薄暗く見えるそこからカツーン、カツーンと足音が聞こえる。

「そう僕だ」

聞き慣れた声。

もう戦友と言った間柄の魔術師。2メートルを超える身長の持ち主で赤髪の神父。

「ステイル、何のまねだ」





「君があの子を悲しませるからさ」

ステイルがあの子と言えば一人しかいない。

「インデックスを?」

「言ったはずだよ、あの子を泣かせたら許さない、と」

「ステイルちょっと待て!何の話だ?」

「問答無用だ」

ステイルの胸から何かが生まれる。沸き起こり、炎の巨人が出現する。

「知っての通り、ルーンのカードにはラミネート加工をしてある。前みたいに濡らして使えなくするなんてできないよ」

そして両手に炎剣を構えた。

「だー、その前を覚えてないんだよ俺は!」

上条に迫る、炎の巨人イノケンティウス。

雷撃の槍、美琴の前髪のあたりから迸り、イノケンティウスを撃つ。

「僕の『魔女狩りの王』はそれぐらいではビクともしない」

炎は揺らめくもダメージを与えたように見えない。イノケンティウスは上条から方向を変え、美琴へ向かう。

「御坂!」

「人の心配をしているヒマがあるのかな君は、僕自身の手で君は討たせて貰うよ」

上条へはステイル自身が向かい、左の炎剣を振るう。

それを右手で受け止める。

「人の話を聞けよっ!」

炎剣は掻き消えたが、代わりに右の炎剣が横薙に来た。

「くっ」

寸前で躱す。

「君の部屋を訪ねたら、あの子が泣いてたんだ」

左の炎剣が元に戻る。

「泣いてた?」

「それで理解したよ、そしてあの子から君がここに来ると聞いて張らさせて貰った」

「なんでインデックスが泣いてたんだよ? お前も何を理解したってゆーんだ?」

「わからないのかい?」

「君はそこの彼女と付き合ってるんだろ?あの子は君に振られたんだ、それで泣いてたに決まっている!」

「はぁー?」

「ちょっとアンタ、ステイルだっけ。それ、あのシスターに確認したのっ!」

イノケンティウスと炎と雷の応酬をしている美琴が口を挟む。

「悲しんでいるあの子に聞ける訳がない! 泣いてる姿、それだけで十分だ!」

「バッ、バカやろーッ!」

「今日のセッティングしてくれたのあのシスターよっ!」

「えっ」

「前売り券の予約して一人で買えたって喜んでたのよ」

「なっ」

「私にごはん作ってくれるお礼って」

「はっ」

「なんで泣いてたかインデックスに聞いてみろ」

「ぼ、僕は彼女の電話を知らない……」

「あー、もう。連絡取ってあげるから、これ片付けなさい!」





ステイルが魔術を収めると、美琴がインデックスへと連絡を取った。

スピーカーにしたので他の二人にも聞こえる。

『はい、インデックスだよ』

「電話が来ても慌てなくなったわね」

『もう、短髪はいつの話をしてるのかな? それよりとうまと楽しんでるのかな』

「一応ね、ところでそっちにステイルが行ったでしょ、その時に泣いてなかった?」

『短髪に教わった料理を作ろうとして玉ねぎを切ってたら泣いてたかも?』

「玉ねぎ? 少しでも努力してるのね。今はどうしてるの?」

『こもえに呼ばれて焼き肉パーティーなんだよ、あいさも呼んでたけど、これなくなったっていうからこもえと二人だけかも、ってこもえ、それ私のなんだよ!』

遠くで油断大敵なんですよー、と聞こえる。

「と、いうことらしいけど」

「…………」

「ステイル、一人分余ってるみたいだから行ってきたらどーだ?」

「僕は……」

「いいから、さっさと行ってらっしゃい!」

と美琴がステイルを追い立てる。

そしてステイルの姿が消え、

「せっかくインデックスが用意してくれたのにな」

上条が焼け焦げた跡が見える館内を眺める。

「そーね、私達も早く出ないと責任取らされちゃうわね」

「不幸だー」

「不幸なのは私よ、ゲコ太天の川の奇跡、楽しみにしてたのに……」


調査報告5

「あっ、いました、いました。見つけましたよ佐天さん」

「おっ、さすが初春。やったね」

ホテルから出てきた後、見失っていた二人を監視カメラで再発見していた。ちなみに白井はホテルに入る二人を見て、しかばねのようだ状態にまたなっていた。

「この様子では鉄橋のある方へ向かってますね」

「へー、なんか思い出でもあるのかな?」

「決定的瞬間、来ますかね」

「これまでの映像だけでも、もうお腹いっぱいだけどね、音声が無いのだけが残念」

この時間になると鉄橋付近は人気など無い。空には満天の星、鉄橋の下にはそれが映る水面。シチュエーションにはバッチし。

わくわくとその時が来るのを待ち構える二人プラスしかばね。

「ステイルにあのシスターが泣いてた、と聞いてちょっとドッキリしたわ」

並んで歩く上条に美琴。

「俺も」

「二人の間に入り込んじゃったし」

「それは……」





入り込んだ、とは違うと上条は思う。

美琴は貧窮に喘ぐ上条を見かねて食事を作りに来てくれたりした。いつの間にか3人で食事をするようになった。美琴がインデックスに家電の使い方を根気よく教えてくれた。簡単な食事の作り方も教えてくれた、上条は大量の作り置きをしないで済むようになった。

同じように過ごし、同じように暮らす。その中での僅かながらの変化。

互いの距離が近くなり、一緒にいる時間が増える。

友人には二人は付き合っているのか、聞かれたりもしたが、まだ否定していた。

そうした区切りとなる出来事がなかったからだ。

お互いの気持ちが分かっていても尚、不安がある。このままで良いじゃないかという気持ちになる。知り合って一年半、きっかけを求めるには長すぎたのかもしれない。

その幻想を打ち砕いたのがインデックスだ。

二人で行って来るんだよ、と映画の前売り券を渡されて言われた。一人で出来るもんアピールも兼ねて。

そして、日本では3月14日は男の人がバレンタインの返事をする日なんだよ、と今日は送り出された。

鉄橋の上に辿り着く。

「御坂」

風紀委員第177支部

「これは!」

「来ますね」

監視カメラの画像を食い入るように見る佐天に初春。

その二人に、

「貴方達、なにをやってるの?」

パトロールから帰ってきた固法が背後から声をかける。

ドキッとする二人。

「佐天さんも風紀委員じゃないのよ、こんな時間まで……あら御坂さん?」

二人の間から画像を覗き見る。

「だめよ、こんな大切なところ覗き見しちゃ」

「「はーい」」

やむを得ず、その後のシーンを見ずに終わってしまった。


調査報告 ラスト

「御坂」

「な、なに」

上条と美琴、向かい合い、互いの視線が絡み合う。

どことなく美琴の瞳は潤んでいた。

互いしか見えない、はず。ところが異様な風体に目を奪われる。視線が行ってしまった。

その者が現れたのは美琴の背後。

美琴も上条の様子が変わったのを見、背後に誰かいることに気づく。

上条はまたまたその誰かを知っていた。

「サーシャ、何でこんなところにーっ!?」

「第一の解答ですが、調査にきました」

「調査……なんの?」

「それでは」

「第一の質問ですが、上条当麻と御坂美琴はお付き合いをされているのですか」









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