おめでとうを永遠に
涙を拭いて。私は目の前の娘にそういった。長年夢見た光景が、目の前に会った。
私は心の底から『おめでとう』と純白の衣装を包んだ娘に言う。
あの子の旅立ちの日は今日。その誓いを忘れない為の言葉を涙ぐむ娘の耳元で囁いた。
この言葉は何よりも素晴らしいこの日の為においておいた。
『あなたはいつまで経っても私の娘。愛してる』
あの頃を思い出そう。あの頃、あなたは悔しくて泣いていた日も彼に憧れを抱いていたね。
私達を頼ってくれなかった。あなたなりの『正義感』だったのかもしれない。
どんな辛い事があっても負けない心を持ったあなたらしさ。
私や夫にはない、あなたらしさ。
だから、その心を忘れずに、彼と一生を過ごしなさい。
『涙と笑顔で人間は成長するもの。だから、いっぱい泣いて、いっぱい笑って頂戴』
あなたは何度も遠回りをした。素直になれずに彼に何度当たった。
そのたびに喧嘩をして電話をかけてきた。
私は話を聞く事しかできなかったけど、あなたは自分で行動できた。
失ったものも沢山あったはず。でも、顔をあげてあなたはここまで歩み進んできた。
思い出すことは、いつもあなたと眺めてたあの空。
綺麗で、澄んでいて、すぐに機嫌が変わるお転婆さん。
当たり前に感じていた景色、あなたと見る事はこれで最後になる。
あなたは大人になった。
心から『おめでとう』と彼とあの子に言った。
それがあなたが選んだ道で、68億分の一の奇跡を大事にして。
今日は旅立ちの日。明日からへの言葉を贈る。
何よりも素晴らしいこの日へ。
『行きなさい、彼が待ってる』
おめでとう、をいうたびにあの子は大人になっていく。
いつも隣にいたあなたは、いつの間にか『超電磁砲』だなんて呼ばれていたね。
そして、自分だけの恋をして、自分だけの道を歩むの。
私とあなたの『母娘』という関係は永久。そう思う、切ない時間。
フォトグラフの中の何枚と何年かが今日を飾る。
フォトグラフを閉じると、特別な節目に瞼あつくなる。
『お幸せに』
小さかった背中はもういない
門出は名残惜しい程 Delight
理想と現実 紆余曲折しながら
やっと今日を結んだんです
この先笑われても 時に逃げたくなっても
忘れないでプライド そんな時の為送るよ
「オメデトウ」という勲章を
「おめでとう、美琴ちゃん、当麻くん」
END