第2章 ①これから先の目的
「俺達の目的は大きく分けて二つある。
まず第一目的は主神の槍…グングニルと呼ばれる霊装を作成するのを阻止することだ」
まず第一目的は主神の槍…グングニルと呼ばれる霊装を作成するのを阻止することだ」
「グングニル?」
上条の疑問にトールではなく美琴が答える。
「北欧神話の主神・オーディンが持つ槍のことよ。
投げたら必ず標的を貫き、どんな武器でも防げないと言われているの」
投げたら必ず標的を貫き、どんな武器でも防げないと言われているの」
「大凡は美琴ちゃんの言ってる通りだ。
だけど本当に恐いのは霊装の持つ能力自体じゃない。
グレムリンのリーダー魔人オティヌスの持つ無限の可能性を制御出来るようになっちまうことなんだ」
だけど本当に恐いのは霊装の持つ能力自体じゃない。
グレムリンのリーダー魔人オティヌスの持つ無限の可能性を制御出来るようになっちまうことなんだ」
「無限の可能性?」
今度は上条ではなく美琴が疑問の言葉を口にする。
「魔人っていうのは完璧な存在だ。
その力を用いればあらゆる事象を意のままに捻じ曲げることが出来る」
その力を用いればあらゆる事象を意のままに捻じ曲げることが出来る」
「そんなの反則じゃねえか!?」
「そう、文字通り反則な力なんだよ。
でもそれ故に弱点とも呼べる特性があるんだ。
それが無限の可能性…正と負の両方に対して可能性がある故に、
あらゆる物事に対して成功と失敗の可能性を五分五分で持ち合わせている。
でもその可能性が制御可能になったら…」
でもそれ故に弱点とも呼べる特性があるんだ。
それが無限の可能性…正と負の両方に対して可能性がある故に、
あらゆる物事に対して成功と失敗の可能性を五分五分で持ち合わせている。
でもその可能性が制御可能になったら…」
「完全に勝ち目が無くなる!?」
「そういうこと。
そうなればオティヌスによる完全なる支配が始まる。
そして魔術も科学も関係なくオティヌスにとって邪魔なものは排除されることになるってわけ」
そうなればオティヌスによる完全なる支配が始まる。
そして魔術も科学も関係なくオティヌスにとって邪魔なものは排除されることになるってわけ」
三人の間には重苦しい空気が流れる。
「本当はこれを第一優先しなきゃなんないんだけど、どうも俺はいつか裏切ると思われてたらしくて詳しい話は聞いてないんだ。
だからこれはグレムリンの正規メンバーと接触した際に口を割らせるしかない。
そして二つ目なんだが、戦争を回避するために俺達で神の右席を潰す…これが当面の優先的な行動指針になるかな」
だからこれはグレムリンの正規メンバーと接触した際に口を割らせるしかない。
そして二つ目なんだが、戦争を回避するために俺達で神の右席を潰す…これが当面の優先的な行動指針になるかな」
「でも戦争を回避するのに片方の組織のトップを倒しちゃったら、一方的に攻め込まれちゃうことになるんじゃない?」
「確かにそうなんだけど、どうもオティヌスの奴は神の右席さえ潰せれば他の事に興味がないようなんだよな。
他の連中は割と全面戦争に乗り気なんだけどオティヌスの力は圧倒的だから、
どうしても何かするにはオティヌスの伺いを立てなくちゃならない。
それに現状でオティヌスと戦ったとしても、俺達じゃ全く歯が立たないからな。
強敵との戦いを通じて経験地を貯めて実力を養わなくちゃ勝ち目が全く無い。
自己鍛錬だけじゃ限界もあるからね」
他の連中は割と全面戦争に乗り気なんだけどオティヌスの力は圧倒的だから、
どうしても何かするにはオティヌスの伺いを立てなくちゃならない。
それに現状でオティヌスと戦ったとしても、俺達じゃ全く歯が立たないからな。
強敵との戦いを通じて経験地を貯めて実力を養わなくちゃ勝ち目が全く無い。
自己鍛錬だけじゃ限界もあるからね」
少なくても上条はトールの放ったプレッシャーからトールの実力が尋常でないことを見抜いていた。
そのトールを以ってしても絶対に敵わないというグレムリンのリーダーであるオティヌス。
何者かは分からないが、上条たちの間に緊張感が走るのだった。
そのトールを以ってしても絶対に敵わないというグレムリンのリーダーであるオティヌス。
何者かは分からないが、上条たちの間に緊張感が走るのだった。
「それで神の右席が第一目標なのは分かったけど、どうして俺達はイギリスに向かってるんだ?」
「実はイギリス清教もローマ正教と並んでグレムリンとの戦争に挑む予定だったんだが、
どうも二つの組織の間での関係がキナ臭くなってきたらしいんだよ」
どうも二つの組織の間での関係がキナ臭くなってきたらしいんだよ」
「どういうこと?」
「俺も詳しくは話は聞いてないんだが、このままじゃイギリス清教は戦争において孤立する状況にある。
だから何とかして俺達の味方として協力出来ないか打診を図ろうとしてるのさ」
だから何とかして俺達の味方として協力出来ないか打診を図ろうとしてるのさ」
「打診を図るって、元グレムリンのお前にそんなコネがあるのかよ?」
「おいおい何言ってるんだ、そこは上条ちゃんの出番だろ?」
「へ?」
そしてイギリスに着いた上条たちを待っていたのは予想以上にややこしい事態なのであった。