とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part25

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第2章 ③裏切り者


「それじゃあ簡単に英国の立場が十字教内で悪くなった経緯を説明する」

エリザードが会議場における壇上に立ちながら言った。

「元々英国における十字教宗派としての立場はあまり強くなかった。
 歴史を辿ればヘンリー八世の代にローマ正教に喧嘩を売るような形で独立を講じたのが発端なのだが、今は置いておこう。
 それに加えて英国には魔女狩りの国としての歴史があり、悪の道に走った魔術師を狩るために異教の力でも寛容に受け入れてきた。
 しかし今回の十字教と異教徒による戦争ではそれが仇となり、異教徒を受け入れているというレッテルを貼られてしまったわけだ」

上条はトールが先日に話していた話を思い出しながらエリザードの話に耳を傾けていた。
だがそんな上条が耳を疑うような言葉が上条の耳に飛び込んできた。

「そして先日、必要悪の教会に所属していたステイル=マグヌスが禁書目録を連れてイギリス清教を裏切った」

「な!?」

「神の右席は禁書目録の力を必要としていたにも関わらず、
 ステイル=マグヌスは神の右席の一人と戦闘を行いそれを撃退してしまった。
 その事件によって英国の立場は完全になくなり、グレムリンだけでなく同じ十字教に属する国からも狙われることになった」

上条はステイルと友人というわけではないが、ステイルの人物像についてはよく理解してるつもりだった。
ステイルがイギリス清教を裏切るという選択肢を採ったということは、恐らくインデックスの身に何か危険が迫ったからに違いない。
そして上条は英国に対して協力を求めたのは早計だったのではないかと疑いはじめていた。
しかしそんな上条の心を見透かすようにエリザードは言った。

「そうか、君は禁書目録とステイル=マグヌスの知り合いだったね。
 君が私達を疑うのも仕方ない。
 だが我々も国を預かる人間である以上、ある程度の犠牲の大小を考えねばならないのだよ」

エリザードの何処か苦しそうな表情を見て上条は悟る。
エリザードの言っていることは正しい…
ただ誰かを守るために自分の意思で戦う上条と、数千万の民を抱えるエリザードでは立場が全く異なるのだ。
納得することは出来ないものの、今はそのことに蟠りを持っている時ではないことを上条は理解していた。

「こういう状況に陥った以上、十字教を離れグレムリンを初めとする敵対勢力に頭を垂れるのも選択肢の一つだが、
 そうなった瞬間に英国は近隣諸国から槍玉にあげられ総攻撃を受けることになるだろう。
 それは君達に対しても同様だ、すまないが表立って協力することは出来ない」

「そうですか…」

エリザードの言うことは尤もであり、上条たちは素直に引き下がろうと席を離れようとする。

「だが君個人に協力しようとする人間達を止める権利は私にはない。
 それにもしもの可能性だが、欧州をこれから活動の場とするならロンドンにいい物件を紹介することも出来る」

「あ、ありがとうございます」

「君達が戦争を止めてくれることを祈ってるよ」

そして上条たちのロンドンを拠点とした神の右席との戦いが幕を開けようとしているのだった。








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