序章 ④再会
上条が退院した翌日、上条は美琴に連れられ第四学区のレストランへと向かっていた。
レストランに入ると上条にとって非常に懐かしい男性と女性が待っていた。
レストランに入ると上条にとって非常に懐かしい男性と女性が待っていた。
「旅掛さん、美鈴さんも…」
御坂旅掛と御坂美鈴…
二人は美琴の両親で幼かった上条にとって両親を除いた唯一の大人の味方であった。
二人は美琴の両親で幼かった上条にとって両親を除いた唯一の大人の味方であった。
「久しぶりだな、当麻君」
「…はい、お久しぶりです」
美琴が上条の顔を見ると何処か浮かない顔をしている。
上条を両親に会わせれば喜んで貰えると思っていただけに、
美琴はどうすればいいか分からなくなっていた。
上条を両親に会わせれば喜んで貰えると思っていただけに、
美琴はどうすればいいか分からなくなっていた。
「それにしても大きくなったわね。
10年も会ってないんだから当たり前か」
10年も会ってないんだから当たり前か」
「あれから10年も経つんですね」
(そうか、お兄ちゃんはまだ あの時のことを…)
美琴は上条が喜ばせると思ってしたことが上条を逆に苦しめていることに気付く。
上条にとって御坂家との思い出は楽しいものであると同時に、
当時の自分を取り巻いていた状況を思い出させる苦いものでもあるのだ。
美琴は自分の浅はかな行動に自己嫌悪を覚える。
そんな美琴の心情を察したのか、上条は美琴の肩に手を置いて言った。
上条にとって御坂家との思い出は楽しいものであると同時に、
当時の自分を取り巻いていた状況を思い出させる苦いものでもあるのだ。
美琴は自分の浅はかな行動に自己嫌悪を覚える。
そんな美琴の心情を察したのか、上条は美琴の肩に手を置いて言った。
「そんな顔するな。
旅掛さんや美鈴さんに会えて嬉しいって気持ちも本物なんだから」
旅掛さんや美鈴さんに会えて嬉しいって気持ちも本物なんだから」
「…ごめんね」
そんな二人の様子を見て旅掛は言った。
「すまない、当麻君。
俺達も当麻君と久しぶりに会いたくなったんだ。
それに当麻君に大事な話もしなくちゃいけないからな」
俺達も当麻君と久しぶりに会いたくなったんだ。
それに当麻君に大事な話もしなくちゃいけないからな」
「大事な話ですか?」
「取り合えず座ってちょうだい、当麻君の話も聞きたいし」
「…分かりました」
そして上条と美琴は四人席のテーブルに腰掛けるのだった。
「まあ、そんな感じです」
上条は主に学校での生活について旅掛と美鈴に語って聞かせた。
日々の不幸はあるものの、楽しい日々を送っている。
その言葉に旅掛と美鈴も笑顔を見せるのだった。
日々の不幸はあるものの、楽しい日々を送っている。
その言葉に旅掛と美鈴も笑顔を見せるのだった。
「刀夜さんの判断は正しかったかもしれないな。
オカルトと対極に位置するこの街なら、以前のようなことには…」
オカルトと対極に位置するこの街なら、以前のようなことには…」
旅掛はそう言って口を噤んだ。
「すまない、不用意なことを言ってしまって…」
「気にしないでください。
さっきも言った通り、俺は楽しい日々を送ってます。
それにいつまでも過去ばかり見ているわけにはいきませんし」
さっきも言った通り、俺は楽しい日々を送ってます。
それにいつまでも過去ばかり見ているわけにはいきませんし」
「当麻君がそう思えるようになって本当に良かったわ」
「まあ、こう思えるようになったのは最近なんですけどね」
「…当麻君、君に一つお願いがある」
「何ですか?」
「これから先、ずっと美琴ちゃんのことを支えてあげてくれないか?」
「…」
「俺もまだ美琴ちゃんから詳しい話を聞いたわけじゃない。
だが美琴ちゃんが何か大きなものを抱えてしまったことは分かってる。
俺達は美琴ちゃんがいつか自分から話してくれるようになるまで、
親として美琴ちゃんを支えるつもりだ。
でも美琴ちゃんのことを本当に支えてあげられるのは、当麻君しかいないんだ」
だが美琴ちゃんが何か大きなものを抱えてしまったことは分かってる。
俺達は美琴ちゃんがいつか自分から話してくれるようになるまで、
親として美琴ちゃんを支えるつもりだ。
でも美琴ちゃんのことを本当に支えてあげられるのは、当麻君しかいないんだ」
「…逆に俺が傍にいることで、美琴に不幸が降りかかるかもしれませんよ」
「当麻君が決して不幸なんかじゃないことを私達は知ってるわ。
でも当麻君が自分を不幸だって決め付けてる限りは幸せは決して訪れない。
当麻君が本当に美琴ちゃんを不幸にすると思ってるなら、
私達の勝手だけど この話は断ってちょうだい」
でも当麻君が自分を不幸だって決め付けてる限りは幸せは決して訪れない。
当麻君が本当に美琴ちゃんを不幸にすると思ってるなら、
私達の勝手だけど この話は断ってちょうだい」
「…俺は先日 美琴の笑顔と言葉に救われました。
美琴の笑顔を見て、あんな風になる前の自分を思い出すことが出来たんです。
そして美琴の言葉で、美琴のためにも自分の幸せを諦めないことを決めました」
美琴の笑顔を見て、あんな風になる前の自分を思い出すことが出来たんです。
そして美琴の言葉で、美琴のためにも自分の幸せを諦めないことを決めました」
「当麻…」
「正直に言うと まだ恐い部分はあります。
美琴は俺にとってかけがえの無い大事な存在だから。
大切に思えば思うほど、何かあった時のことを考えると恐くなるんです。
でも もし何かあっても美琴のことは必ず守ってみせます。
だから 美琴との交際を許してください」
美琴は俺にとってかけがえの無い大事な存在だから。
大切に思えば思うほど、何かあった時のことを考えると恐くなるんです。
でも もし何かあっても美琴のことは必ず守ってみせます。
だから 美琴との交際を許してください」
上条の言葉に美琴は思わず涙ぐむ。
そして旅掛と美鈴の顔には満面の笑顔が溢れているのだった。
そして旅掛と美鈴の顔には満面の笑顔が溢れているのだった。
「当麻君は本当に強くなった。
そして今の君になら安心して美琴ちゃんを任せられる。
良かったな、美琴ちゃん」
そして今の君になら安心して美琴ちゃんを任せられる。
良かったな、美琴ちゃん」
「うん」//
美琴は涙を袖で拭いながら旅掛の言葉に頷く。
すると美鈴がカバンの中から、一枚の紙と何かの鍵を取り出した。
すると美鈴がカバンの中から、一枚の紙と何かの鍵を取り出した。
「そんな美琴ちゃんにプレゼントがあります!!」
美鈴はそう言って紙と鍵をテーブルの上に置く。
「あの、これは?」
上条は何か嫌な予感がして美鈴に恐る恐る尋ねる。
「まずは中身を見てちょうだい」
上条と美琴が紙を覗き込むと、そこには常盤台学生寮退寮受理と書かれていた。
「ちょっ、これどういうこと!?」
「ふふ、当麻君と美琴ちゃんの恋人生活のお膳立てをしようと思ってね」
「もしかして、この鍵は?」
「うん、当麻君と美琴ちゃんの愛の巣の鍵よ」
それを聞いた途端、美琴の顔は一気に赤く染め上がる。
そして上条は逆に頭を抱えて溜息を吐いた。
そして上条は逆に頭を抱えて溜息を吐いた。
「どうした 当麻君、嬉しくないのか?」
「嬉しいとか、それ以前の問題でしょ?
俺達は学生で、しかも美琴はまだ中学生ですよ」
俺達は学生で、しかも美琴はまだ中学生ですよ」
「だから、ちゃんと当麻君には選択肢を残しておいたわ。
当麻君の寮の退寮手続きは流石に取ってない。
だから、美琴ちゃんと暮らすのがまだ早いと思ったら断っていいのよ」
当麻君の寮の退寮手続きは流石に取ってない。
だから、美琴ちゃんと暮らすのがまだ早いと思ったら断っていいのよ」
美鈴に言われて、上条は隣に座る美琴を見る。
自分が心から守りたいと思い、支えてあげたいと思った大切な少女。
その体は華奢で何かあったら簡単に壊れてしまいそうである。
傍にいてあげたい、何より自分が傍にいたい。
なら年上の自分が傷つけないように注意を払えばいいだけだ。
自分が心から守りたいと思い、支えてあげたいと思った大切な少女。
その体は華奢で何かあったら簡単に壊れてしまいそうである。
傍にいてあげたい、何より自分が傍にいたい。
なら年上の自分が傷つけないように注意を払えばいいだけだ。
「…分かりました、お心遣い感謝します」
そして上条と美琴の同棲生活が決まるのだった。