とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part05

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匿名ユーザー

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序章 ⑤同棲開始


「よーし、これで全部だな」

上条は大きめなダンボール箱を部屋の中に運び込むと、額に掻いた汗を拭う。
すると美琴が冷たい麦茶を持ってきてくれた。

「ご苦労様」

上条は美琴から麦茶を受け取ると一気に飲み干す。

「しかし、今日からここで暮らすのか。
 イマイチ実感が湧かないな」

上条は旅掛と美鈴と対面した その日の内に退寮届けを提出し、
三日後の今日になって引越しの当日を迎えた。
家具は予め備え付けられており、引越しの荷物は基本的な生活用品だけだった。
だから引越し業者などには依頼せずに、自分達で引越しの準備を全て行ったのだった。

「何だかこうやって二人で作業してると、新婚さんみたいね」

「ああ、そうかもな」

すると美琴は上条の隣に並んで上条の腕を抱きしめる。

「どうした?」

「えへへ、今日から当麻とずっと一緒にいられると思うと嬉しくて」

美琴はそう言うと、上条の肩に頬ずりしてくる。
とても最近までアンタとか馬鹿とか言って、
電撃を放ってきた人間とは同一人物に思えない。

(まあ、どっちの美琴も俺の可愛い妹分には違いないんだがな。
 でも恋人なのに、いつまでも妹扱いはどうなんだろう?)

上条がそんなことを考えていると、ある重大なことに思い至った。

(そいえば、俺達って告白とかしてないんだよな。
 告白みたいなものはしたけど、お互いのことを好きって伝えたこともないし…
 何かこのままグダグダな関係が続いていくのも良くない気がする)

そこで上条はせっかく同棲を始める初日なので良い機会だと思い、
腕に抱きついている美琴に向かって言った。

「なあ、美琴?」

「何、当麻?」

「俺達って一応 恋人なんだよな?」

「う、うん」//

「美琴の中で俺は恋人なのか それとも兄みたいな存在なのか…
 正直に話してみてくれないか?」

「え?」

「美琴がどんな風に思ってたって別に構わないんだ、
 美琴が俺にとって大切な存在のことに変わりはないから…
 ただ俺の気持ちを無理強いして美琴を傷つけることはしたくないんだよ」

「…えっとね、学園都市で再会してから
 やっぱり異性として当麻のことが気になってたんだと思う。
 でも当麻が戦ってる姿を見て昔のことを思い出して、
 昔のお兄ちゃんとして慕ってた気持ちも混ざりあったの。
 だから異性としても もちろん大好きなんだけど、
 どうしてもお兄ちゃんって想いも抜けなくて…
 ゴメンね、こんな半端な気持ちじゃ困っちゃうよね」

「いや、俺も正直 美琴のことを妹として見ちゃってる部分があるんだ。
 だから無理に今の関係を変える必要はないと思う」

「…うん、そうだね」

「ただ一つだけ美琴にしっかり伝えておきたいことがあるんだ。
 俺は美琴のことが好きだ、何よりも大切にしたいと思ってる。
 まだ頼りない部分がたくさんある俺だけど、
 美琴のことを一生守ってあげたいと思ってる。
 だから美琴も俺のことを傍でずっと支えてくれないか?」

「ふふ、何だかプロポーズみたい」

「わ、悪い、重かったか?」

「ううん、凄く嬉しい。
 私も当麻と同じ道を当麻の隣で歩き続ける。
 嬉しい時も辛い時もずっと一緒だから」

そうして上条と美琴は唇を重ねる。
たった数秒の出来事だったが互いの気持ちを確かめ合うには十分だった。

「私は当麻のことを絶対に離さないから、覚悟しといてね!!」

美琴はそう言って上条のことを抱きしめる。

「それは、こっちのセリフだ」

上条もそう言って、美琴のことを抱きしめ返すのだった。
そんな二人が仲良く手を繋ぎ寝室に向かって、
置いてあるダブルベッドを見て悶絶するのは この後すぐのことだった。

こうして幼馴染の少年と少女の恋人としての物語が本格的に幕を開けた。
ここから始まるのは少女の罪を、少年の不幸を嘆く物語ではない。
少年と少女の道が再び交わり一つとなった幸福へと続く道を歩んでいく物語…









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