第1章 ①虚空爆破事件
「あ、御坂さーん!!」
美琴が声のした方を見ると、白井を通して知り合った初春だった。
隣には友達だと思われるロングストレートの黒髪の少女がいる。
隣には友達だと思われるロングストレートの黒髪の少女がいる。
「おっす、そっちはお友達?」
「はいっ、これから一緒に洋服を見に…」
すると初春のことを黒髪の少女がズルズルと引きずっていった。
(ちょっと、あの人 常盤台の制服を着てんじゃない?
知り合いなの?)
知り合いなの?)
一般の学校に通う生徒にとって学舎の園にあるお嬢様学校は憧れの的であり、
その中でも常盤台は学園都市でも能力開発において五本の指に入る超有名校だ。
恐らく少女は常盤台というだけで、少し気後れしてるのだろう。
それに追い討ちを掛けるように初春は友人の少女に言った。
その中でも常盤台は学園都市でも能力開発において五本の指に入る超有名校だ。
恐らく少女は常盤台というだけで、少し気後れしてるのだろう。
それに追い討ちを掛けるように初春は友人の少女に言った。
「しかも あの方はただのお嬢様じゃないんですよ。
レベル5、それも学園都市最強の電撃使い…
あの『超電磁砲』の御坂美琴さんなのです!!」
レベル5、それも学園都市最強の電撃使い…
あの『超電磁砲』の御坂美琴さんなのです!!」
すると少女は興奮した様子で、美琴の手を掴んで自己紹介を始めた。
「あのっ、私 佐天涙子です!!
初春の親友をやってます!!」
初春の親友をやってます!!」
「そ、そう、よろしくね」
佐天の興奮した様子に若干 引きながらも、美琴も佐天に自己紹介を返す。
「そういえば最近 姿をお見かけしませんでしたけど、何かあったんですか?
白井さんも御坂さんの元気がないって心配してましたよ。
…最近は白井さんのほうが明らかに元気がありませんけど」
白井さんも御坂さんの元気がないって心配してましたよ。
…最近は白井さんのほうが明らかに元気がありませんけど」
「…ちょっと色々とあってね。
ありがとう、心配してくれて。
黒子に元気がないのも私が関係してるんだけど…」
ありがとう、心配してくれて。
黒子に元気がないのも私が関係してるんだけど…」
美琴がそう言い掛けた時…
「おーい」
上条が二本の缶ジュースを持って、美琴のところに駆け寄ってきた。
「美琴はヤシの実サイダーで良かったんだよな?」
「うん、ありがとう」
そう言って上条から缶ジュースを受け取った美琴のことを
初春と佐天は先ほどまでとは少し異なった羨望の目で見つめている。
初春と佐天は先ほどまでとは少し異なった羨望の目で見つめている。
「どうしたの、二人とも?」
美琴はそんな二人の様子を少し訝しみながら尋ねる。
「もしかして、その人って御坂さんの彼氏ですか?」
突然の質問に美琴は戸惑いながらも、顔を赤く染めて頷く。
(何ですか、その乙女な反応は!?
何だか白井さんの気持ちが少し分かってしまったような…)
何だか白井さんの気持ちが少し分かってしまったような…)
初春は美琴に釣られて一緒に頬を染めている。
そして一方の佐天はというと…
そして一方の佐天はというと…
「キャー、彼氏がいるなんて やっぱり大人ですね!!
ぜひ詳しい馴れ初めを教えてください!!」
ぜひ詳しい馴れ初めを教えてください!!」
変な方向にテンションが上がりまくっているのだった。
「へー、お二人は幼馴染なんですか?
それで学園都市で再会したなんてロマンチックですね!!」
それで学園都市で再会したなんてロマンチックですね!!」
佐天に釣られたのか いつのまにか初春のテンションまで高くなって、
上条と美琴は佐天と初春の二人から質問責めにあっていた。
ちなみに上条と美琴も初春たちと同じセブンスミストが目的地だったため、
一緒に同行することになったのだった。
上条と美琴は佐天と初春の二人から質問責めにあっていた。
ちなみに上条と美琴も初春たちと同じセブンスミストが目的地だったため、
一緒に同行することになったのだった。
「でも白井さんの元気が無かったのって御坂さんに彼氏が出来たからなんですね。
これで少しは正常な道に戻ってくれるといいんですが…」
これで少しは正常な道に戻ってくれるといいんですが…」
「ハハッ、それは言えてる」
すると佐天が上条に興味深そうに尋ねた。
「でもレベル5の御坂さんの彼氏だなんて、
上条さんも何か凄い能力を持ってるんですか?」
上条さんも何か凄い能力を持ってるんですか?」
「能力はあるっていえばあるんだけど、身体検査じゃレベル0なんだよな」
「どういうことですか?」
「…俺の右手って異能なら何でも打ち消すことが出来るんだ」
「えっ、もしかして それって海賊ラジオの!?」
「海賊ラジオ?」
「様々な場所からネットを介してゲリラ的に生放送を行っているラジオのことです。
その中の内容の一つに、
全ての能力を無効にするブラックホールのような無能力者っていうのがあったんです」
その中の内容の一つに、
全ての能力を無効にするブラックホールのような無能力者っていうのがあったんです」
「うーん、確証はないけど 確かに俺のことかもな」
「…いいですね、レベル0でも特別な力があるんだから」
「もしかして、佐天さんもレベル0なのか?」
「ええ 超能力に憧れて学園都市に来たのはいいものの、
初日の身体検査で"あなたには全く才能がありません"って言われて…
流石にその時はヘコみましたよ」
初日の身体検査で"あなたには全く才能がありません"って言われて…
流石にその時はヘコみましたよ」
そう言う佐天の顔には劣等感に塗れた卑屈な笑みが浮かんでいた。
「俺は諸事情で学園都市に来たから佐天さんの気持ちが完全に分かるわけじゃないけど、
佐天さんは学園都市に来て後悔してるのか?」
佐天さんは学園都市に来て後悔してるのか?」
「どうでしょう、正直よく分からないです」
「確かに、この学園都市じゃ能力の優劣で価値を判断されることが多い。
無能力者には生きづらい社会だっていうのも分かる。
でも、能力じゃなくても学園都市に来て得られたものだったあるはずだ」
無能力者には生きづらい社会だっていうのも分かる。
でも、能力じゃなくても学園都市に来て得られたものだったあるはずだ」
「能力じゃないもの?」
「…例えば友達とかな」
上条の言葉に佐天は思わず初春の方を見る。
そこには心配そうに佐天のことを見つめている初春の姿があった。
そこには心配そうに佐天のことを見つめている初春の姿があった。
「例え学園都市であっても能力だけで全てが決まるわけじゃない。
気にするなとは言わないけど、意外と本当に欲しいものって身近にあるもんだぞ」
気にするなとは言わないけど、意外と本当に欲しいものって身近にあるもんだぞ」
「…そうですね。
すみません、劣等感を押し付けるような真似をしてしまって」
すみません、劣等感を押し付けるような真似をしてしまって」
「いや、俺のほうこそ説教臭いこと言って悪かったな」
上条の言葉に佐天の笑顔は自然なものへと変わっていた。
そんな佐天の笑顔を見て上条も笑みを零す。
そして先を行く上条の背中を見ながら、佐天は美琴に囁くように言った。
そんな佐天の笑顔を見て上条も笑みを零す。
そして先を行く上条の背中を見ながら、佐天は美琴に囁くように言った。
「上条さんって素敵ですね」
「そ、そうかな?」
「いいなー、御坂さんには あんな格好いい彼氏がいて。
私も彼氏が欲しくなちゃった」
私も彼氏が欲しくなちゃった」
「…」
「大丈夫ですよ、そんな目で見なくたって。
別に御坂さんから上条さんを奪おうだなんて思ってませんから」
別に御坂さんから上条さんを奪おうだなんて思ってませんから」
「本当?」
首を傾げながら尋ねる美琴に佐天は思わずキュンとしてしまう。
「あー、御坂さんってば可愛すぎ!!
レベル5っていうと凄い人だとばかり思ってましたけど、普通の女の子なんですね。
あの 御坂さん、良ければですけど私と友達になってくれませんか?」
レベル5っていうと凄い人だとばかり思ってましたけど、普通の女の子なんですね。
あの 御坂さん、良ければですけど私と友達になってくれませんか?」
「えっ?」
美琴は思いがけぬ提案に思わず聞き返してしまう。
「…やっぱり一般人なんかじゃ駄目ですか?」
(やっぱりお兄ちゃんは自分を不幸になんてしない。
こうやって思いがけない幸せを運んできてくれるのだから…)
こうやって思いがけない幸せを運んできてくれるのだから…)
「ううん、喜んで!!
これから よろしくね、佐天さん!!」
これから よろしくね、佐天さん!!」
やがて目的地のセブンスミストに着くと、四人は婦人服フロアへと向かう。
しかし そんな四人を怪しい目つきで見つめる人影があることに
上条たちは気付いていないのだった。
しかし そんな四人を怪しい目つきで見つめる人影があることに
上条たちは気付いていないのだった。
「上条さーん、この下着なんてどうですか?」
そう言って佐天は上条に手に取った下着を見せる。
上条は思わず目を逸らした。
上条は思わず目を逸らした。
「ちょっ、佐天さん!!
当麻になんてもの見せてるのよ!!」
当麻になんてもの見せてるのよ!!」
「えー 別に身に付けたものじゃないんだから、いいじゃないですか?」
「それでも駄目なもんは駄目なの!!」
上条は彼女である美琴の付き添いであるとはいえ、
不用意に婦人服フロアに来てしまったことを早くも後悔していた。
そして初春は美琴と佐天の争いを諌めるように言う。
不用意に婦人服フロアに来てしまったことを早くも後悔していた。
そして初春は美琴と佐天の争いを諌めるように言う。
「と、ところで御坂さんは何を探しに?」
「えっと、私はパジャマとか…」
「それなら寝巻きは、こっちの方に…」
下着のコーナーからようやく移動して上条は心の中で一息吐く。
「色々回ってるんだけど、あんまりいいのが置いてないのよね…」
そして寝巻きのコーナーを見て回っている内に、美琴はあるパジャマの前で足を止めた。
そのパジャマはピンクの生地に花柄模様の付いたものだった。
そのパジャマはピンクの生地に花柄模様の付いたものだった。
「ねえ、このパジャマかわ…」
「アハハ、見てよ初春 このパジャマ!!
こんな子供っぽいの今時 着る人いないっしょ」
こんな子供っぽいの今時 着る人いないっしょ」
「そうですね。
小学生の時くらいまでは、こういうの着てましたけどねー」
小学生の時くらいまでは、こういうの着てましたけどねー」
「そ…そうよね、中学生になって これはないわよね」
「あ、私 水着を見ておこうと思うんですけど、上条さん選んでくれませんか?」
「…先行っててくれ、美琴のパジャマを選んだらすぐに行くから」
「はーい」
佐天と初春は返事をすると、水着コーナーに向かって走っていく。
「…取り合えず試着してみればいいじゃねえか?」
「当麻は笑わない?」
「今更 俺達の間で何言ってるんだ?
そういう可愛らしいものが好きなのも含めて美琴だろ?
…それに俺は美琴に似合ってると思うぞ」//
そういう可愛らしいものが好きなのも含めて美琴だろ?
…それに俺は美琴に似合ってると思うぞ」//
「あ、ありがとう」//
美琴は結局そのパジャマを購入することに決めた。
そして美琴はパジャマを購入すると、
上条と手を繋いで水着コーナーへと向かうのだった。
そして美琴はパジャマを購入すると、
上条と手を繋いで水着コーナーへと向かうのだった。
「…」
「ねえ、機嫌直してよ」
「…別に上条さんは彼女が他の男に目移りしただけで怒るほど、
小さな男じゃないですよ」
小さな男じゃないですよ」
「だから あの人を見てたんじゃなくて、持ってた縫い包みを見てただけだって」
「分かってるよ、少しからかっただけだ」
「もう、そういう冗談はよしてよね!!」
「…半分は本気なんだけどな」
「え?」
「何でもねえよ」
上条と美琴は現在 ベンチに腰掛けている。
佐天と初春はトイレに向かっていた。
上条と美琴の口論の原因だが、美琴が通りすがった男にジッと視線を向けたのだ。
美琴は男が持っていた縫い包みを自分の好きなゲコ太だと勘違いしただけなのだが、
上条は美琴が男を見ていたと勘違いした。
それが原因でちょっとした口論になった、それだけのことである。
そして上条自身、自分の感情に少し戸惑っていた。
上条は自分がこんなに嫉妬深い男だとは思っていなかった。
美琴は何も悪くないのに責めるようなことをしてしまった。
そんな自分に上条は自己嫌悪に陥り中である。
しかし一方の美琴は逆に顔には出さないが、上条が嫉妬してくれたことに喜んでいた。
上条が自分のことを嫉妬するほど深く想ってくれている…
美琴はそのことが分かっただけで大満足だった。
すると佐天と初春がトイレから帰ってきた。
しかし その様子は先ほどまでと違い、ひどく慌てふためいたものだった。
佐天と初春はトイレに向かっていた。
上条と美琴の口論の原因だが、美琴が通りすがった男にジッと視線を向けたのだ。
美琴は男が持っていた縫い包みを自分の好きなゲコ太だと勘違いしただけなのだが、
上条は美琴が男を見ていたと勘違いした。
それが原因でちょっとした口論になった、それだけのことである。
そして上条自身、自分の感情に少し戸惑っていた。
上条は自分がこんなに嫉妬深い男だとは思っていなかった。
美琴は何も悪くないのに責めるようなことをしてしまった。
そんな自分に上条は自己嫌悪に陥り中である。
しかし一方の美琴は逆に顔には出さないが、上条が嫉妬してくれたことに喜んでいた。
上条が自分のことを嫉妬するほど深く想ってくれている…
美琴はそのことが分かっただけで大満足だった。
すると佐天と初春がトイレから帰ってきた。
しかし その様子は先ほどまでと違い、ひどく慌てふためいたものだった。
「どうしたんだ?」
「衛星が重力子の爆発的加速を観測したんです!!」
「それって もしかして!?」
「はい、例の虚空爆破事件の前兆です!!」
ここ最近、学園都市で無差別に起こっている爆発事件。
アルミを基準にして重力子の数ではなく速度を急速に加速させることによって、
それを一気に周囲に撒き散らす…要はアルミを爆弾に変える能力。
しかし学園都市の『書庫』には事件の規模に見合う能力を持った人間が一人しかおらず、
その能力者も現在 謎の昏睡状態に陥っていて事件を起こすことが不可能だった。
そのために容疑者の特定が出来ずに警備員や風紀委員も後手に回っていた。
アルミを基準にして重力子の数ではなく速度を急速に加速させることによって、
それを一気に周囲に撒き散らす…要はアルミを爆弾に変える能力。
しかし学園都市の『書庫』には事件の規模に見合う能力を持った人間が一人しかおらず、
その能力者も現在 謎の昏睡状態に陥っていて事件を起こすことが不可能だった。
そのために容疑者の特定が出来ずに警備員や風紀委員も後手に回っていた。
「御坂さん、上条さん。
すみませんが、避難誘導に協力してもらえませんか?」
すみませんが、避難誘導に協力してもらえませんか?」
「わかったわ」
「佐天さんも早く避難を…」
「う、うん、初春も気をつけてよ」
そして初春は急いで店員に緊急事態であることを伝え、上条と美琴は避難誘導に回った。
多少の混乱はあったものの、避難は速やかに行われ無事に全員退避したように思われた。
しかし…
多少の混乱はあったものの、避難は速やかに行われ無事に全員退避したように思われた。
しかし…
「初春ー!!」
「佐天さん、どうしてここに!?」
「女の子が一人行方不明で、何処にも見当たらないって お母さんが…」
上条と美琴も含めて脱出しようとした矢先のことだった。
「お姉ちゃーん」
一人の少女が変な縫い包みを持って初春のところに駆け寄ってきた。
「あれ、あなたはこの間の?」
少女は初春が先日とある一件で知り合った少女だった。
行方不明だと思われる少女が見つかったことに安堵の息を吐く一行だったが、
少女の一言がその場の空気を不穏なものへと変える。
行方不明だと思われる少女が見つかったことに安堵の息を吐く一行だったが、
少女の一言がその場の空気を不穏なものへと変える。
「メガネを掛けたお兄ちゃんが、お姉ちゃんに渡してって…」
この状況で誰かに縫い包みを渡すよう頼むことに違和感を覚える。
ブン…
そして縫い包みが放った音が不信感を確信へと変えた。
「逃げてください、あれが爆弾です!!」
初春は少女を庇うようにして縫い包みから距離を取る。
そして縫い包みは音を立てて周りの空間を圧縮するように潰されていく。
虚空爆破事件による爆発の前兆だった。
そして縫い包みは音を立てて周りの空間を圧縮するように潰されていく。
虚空爆破事件による爆発の前兆だった。
(レールガンで爆弾ごと吹き飛ばす!!)
美琴は咄嗟にスカートのポケットに手を入れ、
レールガンに使うコインを取り出そうとするが…
コインが美琴の手から滑り落ちた。
レールガンに使うコインを取り出そうとするが…
コインが美琴の手から滑り落ちた。
(マズった、間に合…)
次の瞬間、凄まじい轟音と爆風が辺りに響き渡った。
「凄い、素晴らしいぞ 僕の力!!
徐々に強い力を使いこなせるようになってきた!!
もうすぐだ!!
もう少し数をこなせば、アイツらも無能な風紀委員もまとめて…」
徐々に強い力を使いこなせるようになってきた!!
もうすぐだ!!
もう少し数をこなせば、アイツらも無能な風紀委員もまとめて…」
線の細いメガネを掛けた少年がそう高笑いをあげようとしたその時…
「吹き飛ば…ぐあっ!?」
いきなり肩を掴まれたと思ったら殴り飛ばされていた。
「な、一体何が!?」
「よう、爆弾魔」
少年を殴り飛ばしたのは他ならぬ上条だった。
「用件は言わなくても分かるよな?」
「な、何のことだか僕はサッパリ…」
「狙いは風紀委員だったんだってな。
でも風紀委員の初春さんも含めて、誰一人 怪我を負ってねえよ」
でも風紀委員の初春さんも含めて、誰一人 怪我を負ってねえよ」
後から初春の携帯に入った連絡によると、
虚空爆破事件の現場には必ず風紀委員がいたらしかった。
そこから風紀委員が爆破事件のターゲットであると風紀委員の本部は判断したのだった。
虚空爆破事件の現場には必ず風紀委員がいたらしかった。
そこから風紀委員が爆破事件のターゲットであると風紀委員の本部は判断したのだった。
「そんな馬鹿な、僕の最大出力だったんだぞ」
「へえ」
「い、いや、外から見ても凄い爆発だったからさ」
しかし少年はそう言った瞬間、能力を発動させたアルミのスプーンを上条に投げつけた。
「死ね!!」
しかし飛んできたスプーンを上条が右手で受け止めた瞬間、
能力の発動は収まってしまった。
能力の発動は収まってしまった。
「い、一体何が起こったんだ!?」
次の瞬間、上条は少年との距離を詰めると一気に少年を組み伏せる。
「暴れてもいいが、それなりの覚悟はしてもらうぞ」
「くそ、くそ!!
そうやって僕を見下しやがって!!
殺してやる、お前みたいなのがいけないんだ!!
風紀委員だって、力がある奴は皆そうじゃないか!!」
そうやって僕を見下しやがって!!
殺してやる、お前みたいなのがいけないんだ!!
風紀委員だって、力がある奴は皆そうじゃないか!!」
「…何かお前に事情があるのは分かった。
でもな、だからってお前がやったことが正しいって本気で思ってるのか?
さっきは、あんな小さな女の子まで巻き添えになるところだったんだぞ」
でもな、だからってお前がやったことが正しいって本気で思ってるのか?
さっきは、あんな小さな女の子まで巻き添えになるところだったんだぞ」
「それは風紀委員が守るに決まってるから」
「じゃあ何でそんな風紀委員を狙うような真似をしたんだよ?」
少年は上条の言葉に今までの風紀委員の行動を思い返す。
確かに間が悪いことばかりだった。
それでも風紀委員は最後には必ず少年の下に駆けつけてくれた。
何てことは無い、単に少年は風紀委員を逆恨みしてただけだった。
少年は自分がやってきたことが、
自分を傷つけていた人間と何ら変わりがないことに気が付いた。
確かに間が悪いことばかりだった。
それでも風紀委員は最後には必ず少年の下に駆けつけてくれた。
何てことは無い、単に少年は風紀委員を逆恨みしてただけだった。
少年は自分がやってきたことが、
自分を傷つけていた人間と何ら変わりがないことに気が付いた。
「俺には、お前の苦しみは分かってやれねえ。
それでも本当に力が貸して欲しいなら力になることはできる」
それでも本当に力が貸して欲しいなら力になることはできる」
「…いや、これは僕自身で片を付けなくちゃいけないから。
罪を償ったら、もう少し本当の意味で強くなれるよう頑張ってみるよ」
罪を償ったら、もう少し本当の意味で強くなれるよう頑張ってみるよ」
「…そうか」
そして上条は少年と並んで、駆けつけた風紀委員のところへ向かうのだった。
「…犯人逮捕のご協力、感謝しますわ」
「いいって、アイツは自分から自首したんだからさ」
「…一つ、お聞きしてよろしいですの?」
「何だ?」
「それは黒子に対する嫌がらせと挑戦と受け取っていいんですの!?」
そう叫んだ白井の前に立つ上条の横には美琴がベッタリと上条と腕を組んで佇んでいた。
その挙句に上条の肩に頬ずりをしてる始末である。
その挙句に上条の肩に頬ずりをしてる始末である。
「だって、お兄ちゃんが皆を守ってくれたんだもん」
先ほどの爆破から皆を守ったのは上条だった。
間に合わなかった美琴の超電磁砲の代わりに爆風の前に飛び出し
皆を庇うように右手を使ったのだった。
間に合わなかった美琴の超電磁砲の代わりに爆風の前に飛び出し
皆を庇うように右手を使ったのだった。
「お兄ちゃんですの!?
まさか二人でそんなアブノーマルなプレイを行っているんじゃ!?」
まさか二人でそんなアブノーマルなプレイを行っているんじゃ!?」
「何だ、アブノーマルなプレイって!?
俺と美琴は幼馴染で、偶にこうやって昔の呼び方に戻っちまうんだよ」
俺と美琴は幼馴染で、偶にこうやって昔の呼び方に戻っちまうんだよ」
「くっ、幼馴染とは…思いがけぬアドバンテージをお持ちでしたのね。
しかし黒子はその程度で諦めませんわ!!」
しかし黒子はその程度で諦めませんわ!!」
そして三人の様子を遠巻きから見ていた初春と佐天は…
「あれが例の白井さん?
何ていうか…変わった人だね」
何ていうか…変わった人だね」
「良い人に間違いはないんですが、見ての通り性格が少々残念な人で…」
すると初春の背後で突然…
「初春、聞こえてますのよ。
誰が残念な人ですの?」
誰が残念な人ですの?」
「て、テレポート!?」
「ひぃー」
「その花を一つ残らず毟ってやりますわ!!」
そして追いかけっこを始めた初春と白井を余所目に上条と美琴は…
「それじゃあ、帰るか?」
「うん」
二人で並んで帰ろうとしたのだが…
「ちょ、ちょっと、待ってください!!」
佐天が何処か驚いた様子で二人のことを呼び止めた。
「帰るかって、もしかして二人は一緒に暮らしてるんですか!?」
「誤解されると嫌だから言っておくけど、
一緒に暮らしてはいるが 疚しいことは何もしてないからな」
一緒に暮らしてはいるが 疚しいことは何もしてないからな」
しかしそんな上条の言葉を佐天は全く聞いておらず、
ただ興奮した様子で美琴に詰め寄っている。
ただ興奮した様子で美琴に詰め寄っている。
「凄ーい、御坂さん!!
彼氏と同棲なんて、やっぱり大人なんですね!!」
彼氏と同棲なんて、やっぱり大人なんですね!!」
「あうぅ」
「いいな、彼氏と二人暮らし。
どんな部屋で暮らしてるんですか?」
どんな部屋で暮らしてるんですか?」
「…それじゃあ今から部屋に来る?」
「えっ、いいんですか?」
「うん、友達なんだし…」
「分かりました、それじゃあ お邪魔させてもらいます!!」
そして上条と美琴は佐天たちと共に一緒に暮らす部屋へと戻るのだった。