とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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匿名ユーザー

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子守唄



不気味な紫の閃光が携帯を弾き飛ばした。

「くっ……!!」

美琴は正面に視線を移す。

そこは既に美琴の部屋とは呼べなくなっていた。
赤い稲妻や青い炎が飛び交い、暗い空間や氷の結晶が点在し、天使や怪物が割拠している。
そしてその中心には

(……インデックス!!!)

赤子となった少女インデックスがいる。
彼女は、泣いていた。

インデックスを寝かしつけた後、飲み物を飲みに台所に立ち、戻った時にはこうなっていた。

美琴は思い出す。
いつの日か、彼女と二人きりの時に聞いていた話を

『わたしにの頭には十万三千冊の魔道書が入っていて、少し、たまに、不安になるんだよ』

でも、当麻がいれば安心できるんだよ。と言っていた彼女に嫉妬した記憶がある。
あの年齢で不安に感じる魔道書の知識。それがもし赤子なら?

(助け、なきゃ!!!)

しかし、一歩も動けない。
竜巻、炎、氷塊や電撃、さらには得体のしれない光線や煙が襲いかかり、女の顔をした鳥や青く輝く馬、優しく微笑む天使が四方から襲撃する。
そのどれもがおそらくは一瞬で命を落とす一撃。
美琴は歯ぎしりした。

(また……)

思い出すのは実験の時。

(わたしはなにも救えないの?)

浮かぶのは……

(アイツは、来るだろうな)








でも、それはこの子のためなの?








その思考の中、左の炎の玉を電撃で打ち抜くが、後方からの天使の接近に気付くのが遅れた。

(しまった!!!)

天使はその手を伸ばす。

美琴は目をつぶり、自分の人生の終焉を待った。

が、その時は来ない。

静かに目を開けると、
そこには、




いつも追いかけている背中があった。

「大丈夫か? 美琴」



卑怯だ。

さっきまで抱いていた絶望が一瞬で消えさる。
この男の存在が自分の感情に影響を与えすぎている。

ずるい。

「た、助けなんて、必要なかったわよ!!」

「えー? 電話口できちんと言ってたと思うんですが?」

「わたしじゃなくてあの子をっていう意味よ!!」

「あーはいはい、それでいいよ……ってあぶねぇ!!」

美琴の後方から飛来したピンク色の玉を上条は打ち消し、
美琴に言う。

「じゃあ、アイツを助けるために力を貸してくれ!!」

まったく卑怯だ。
こいつにこんなこと頼まれたら、
どんなに危険で絶望的な状況でも。

「足引っ張んじゃないわよ!!」

笑顔で進めてしまう。

「少しずつ、進むぞ」

背中を預け合い、少しずつ進む。
右手が打ち消し、電撃が舞う。
一歩一歩が命をかけた綱渡りであるにもかかわらず、
それはあたかもダンスを踊っているかのようだった。

だが、

「これ以上は、ムリか!!!」

当然、インデックスが魔術を使っている以上、インデックスの周囲はその密度が高い。
これ以上の接近は不可能だ。

しかし

「うー、あうー、ぁぁぁ!!」

*1

彼女を、救いたい。



気がつけば、

美琴は、「きらきら星」を歌っていた。

すると、泣いていたインデックスが落ち着いてゆく。
周囲の脅威も緩やかになった。

その瞬間、上条がインデックスに飛びかかる。その右手が、全てを打ち消した。

「インデックス!!」

「……大丈夫だ、美琴、安心して眠ってる」

「ホントだ、よかっ―――」

「美琴が無事でよかっ―――」

彼らは安心したとたん、静かに、意識を手放した。








「……どうした? ステイル。今忙しいんだけどニャー」

「……なんだって!!? 学園都市に!!?」

「……何を考えているんだアイツは!!!」





「さーて、インデックスが元気かどうか、楽しみでありけるわね」










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注釈

*1 ……インデックス!!……