子守唄
不気味な紫の閃光が携帯を弾き飛ばした。
「くっ……!!」
美琴は正面に視線を移す。
そこは既に美琴の部屋とは呼べなくなっていた。
赤い稲妻や青い炎が飛び交い、暗い空間や氷の結晶が点在し、天使や怪物が割拠している。
そしてその中心には
赤い稲妻や青い炎が飛び交い、暗い空間や氷の結晶が点在し、天使や怪物が割拠している。
そしてその中心には
(……インデックス!!!)
赤子となった少女インデックスがいる。
彼女は、泣いていた。
彼女は、泣いていた。
インデックスを寝かしつけた後、飲み物を飲みに台所に立ち、戻った時にはこうなっていた。
美琴は思い出す。
いつの日か、彼女と二人きりの時に聞いていた話を
いつの日か、彼女と二人きりの時に聞いていた話を
『わたしにの頭には十万三千冊の魔道書が入っていて、少し、たまに、不安になるんだよ』
でも、当麻がいれば安心できるんだよ。と言っていた彼女に嫉妬した記憶がある。
あの年齢で不安に感じる魔道書の知識。それがもし赤子なら?
あの年齢で不安に感じる魔道書の知識。それがもし赤子なら?
(助け、なきゃ!!!)
しかし、一歩も動けない。
竜巻、炎、氷塊や電撃、さらには得体のしれない光線や煙が襲いかかり、女の顔をした鳥や青く輝く馬、優しく微笑む天使が四方から襲撃する。
そのどれもがおそらくは一瞬で命を落とす一撃。
美琴は歯ぎしりした。
竜巻、炎、氷塊や電撃、さらには得体のしれない光線や煙が襲いかかり、女の顔をした鳥や青く輝く馬、優しく微笑む天使が四方から襲撃する。
そのどれもがおそらくは一瞬で命を落とす一撃。
美琴は歯ぎしりした。
(また……)
思い出すのは実験の時。
(わたしはなにも救えないの?)
浮かぶのは……
(アイツは、来るだろうな)
でも、それはこの子のためなの?
その思考の中、左の炎の玉を電撃で打ち抜くが、後方からの天使の接近に気付くのが遅れた。
(しまった!!!)
天使はその手を伸ばす。
美琴は目をつぶり、自分の人生の終焉を待った。
が、その時は来ない。
静かに目を開けると、
そこには、
そこには、
いつも追いかけている背中があった。
「大丈夫か? 美琴」
卑怯だ。
さっきまで抱いていた絶望が一瞬で消えさる。
この男の存在が自分の感情に影響を与えすぎている。
この男の存在が自分の感情に影響を与えすぎている。
ずるい。
「た、助けなんて、必要なかったわよ!!」
「えー? 電話口できちんと言ってたと思うんですが?」
「わたしじゃなくてあの子をっていう意味よ!!」
「あーはいはい、それでいいよ……ってあぶねぇ!!」
美琴の後方から飛来したピンク色の玉を上条は打ち消し、
美琴に言う。
美琴に言う。
「じゃあ、アイツを助けるために力を貸してくれ!!」
まったく卑怯だ。
こいつにこんなこと頼まれたら、
どんなに危険で絶望的な状況でも。
こいつにこんなこと頼まれたら、
どんなに危険で絶望的な状況でも。
「足引っ張んじゃないわよ!!」
笑顔で進めてしまう。
「少しずつ、進むぞ」
背中を預け合い、少しずつ進む。
右手が打ち消し、電撃が舞う。
一歩一歩が命をかけた綱渡りであるにもかかわらず、
それはあたかもダンスを踊っているかのようだった。
右手が打ち消し、電撃が舞う。
一歩一歩が命をかけた綱渡りであるにもかかわらず、
それはあたかもダンスを踊っているかのようだった。
だが、
「これ以上は、ムリか!!!」
当然、インデックスが魔術を使っている以上、インデックスの周囲はその密度が高い。
これ以上の接近は不可能だ。
これ以上の接近は不可能だ。
しかし
「うー、あうー、ぁぁぁ!!」
(*1)
彼女を、救いたい。
気がつけば、
美琴は、「きらきら星」を歌っていた。
すると、泣いていたインデックスが落ち着いてゆく。
周囲の脅威も緩やかになった。
周囲の脅威も緩やかになった。
その瞬間、上条がインデックスに飛びかかる。その右手が、全てを打ち消した。
「インデックス!!」
「……大丈夫だ、美琴、安心して眠ってる」
「ホントだ、よかっ―――」
「美琴が無事でよかっ―――」
彼らは安心したとたん、静かに、意識を手放した。
「……どうした? ステイル。今忙しいんだけどニャー」
「……なんだって!!? 学園都市に!!?」
「……何を考えているんだアイツは!!!」
「さーて、インデックスが元気かどうか、楽しみでありけるわね」