とある男の王道物語
「はあ・・・・・」
上条当麻はため息をつきつつ、のんびりと歩いていた。
「たしか・・・・・この辺りだったよな」
独り言を言いつつ手にした紙に目をとおす上条。その紙には
「17時までにこの場所にこい、とミサカはあなたに脅迫状を送りつけます」
と書かれていた。
「・・・・何を考えてるんだ御坂妹め・・・・」
ぼやきつつ脅迫状?にあった建物の中に入る。すると
「よくきたな勇者よ!とミサカはあなたを歓迎します」
「・・・・・・・」
上条は唖然とした。なぜなら、目の前には巨大な扉があり、その前に
マントに身を包んだ御坂妹が立っていた。
「・・・御坂妹・・・・これはなんの冗談でせうか・・・・・」
「冗談ではありません、とミサカは訂正します」
「そもそも勇者ってなんだよ!上条さんはそんなこっぱずかしい名前ではありませんよ!」
「うだうだ言わず横のモニターを見ろ、とミサカはあなたに言います」
「モニター?・・・・・・・・ぶっ!」
モニターに映されていた映像を見て思わす上条はふきだした。なぜならそこに映し出されていたのは、
両手両足を鎖に繋がれた御坂美琴の姿だったからだ。
「なにしてるんだ御坂妹!」
「勇者よ、あなたの使命は囚われたおね・・・美琴姫を悪の手から救う事です」
「なんだよ使命って!」
「しかし姫を救うにはたちはだかる四天王をたおさなければなりません」
「四天王!?なにこのありがちな設定・・・・つーか人の話を聞けよ!」
「四天王をたおし、おね・・・・美琴姫を救いだすのです!とミサカはプロローグをしめます」
「プロローグって言っちゃったよこの人!?」
ぜえぜえと肩で息をする上条、「はあ・・・」とため息を一つすると
「わかったよ・・・・付き合えばいいんだろ」
「ようやく理解いただけましたか勇者よ」
「その勇者ってのは止めてくれ・・・・しかし、あいつがお姫様って無理があるような・・・」
モニターの中の美琴は『くおらーーー!さっさとこれ外しなさいよーーー!』と顔を真っ赤にしながら
叫んでいた。
「あいつの能力ならあれぐらいの拘束具なんとかできそうな・・・」
「あの拘束具はAIMジャマー付きの特別製なのでお姉様でも自力での脱出は無理です」
「自分の姉になにしてるんでせうか!」
「とっとと扉をくぐって先に進めや!とミサカはあなたをせかします」
「はいはい・・・・」
まさかこの歳で勇者ごっこをするとは・・・・そんな事を思いつつ上条は目の前の扉をくぐりぬけた。
扉をぬけた先、そこで上条が見たものは
「よくきたな勇者よ!とミサカはあなたをなぜかほめます」
「ぶは!?」
上条は目の前に立つ人物を見てまたふきだしてしまった。なぜなら
「このミサカは四天王が一人!10039号とミサカは自己紹介します」
「・・・・おい・・・・」
「なんでしょうか?とミサカは問いかけます」
「なんちゅー格好しているんだお前は!」
そう、10039号はいわゆるボンテージを着ていた。上条が焦るのも無理もあるまい。
「悪の女幹部は大抵こんな衣装であるとミサカは聞きましたが」
「だからって実際に着るんじゃありません!上条さんはそんなハレンチな衣装はゆるしませんよ!」
内心ドキドキしながらも、冷静なふりをする上条。
「そんな事をいいながらあなたの目はミサカに釘付けではありませんか」
「なあ!?」
「そんなむっつりすけべな勇者にミサカはさっさと勝負を始めましょうとうながします」
「・・・・勝負って何をするんでせうか・・・」
むっつりすけべと言われた事に地味にへこむ上条、そんな事にはおかまいなしに10039号はマイペースに
「ミサカとの勝負は鬼ごっこです!」
と言い放った。
「鬼ごっこ!?」
「そうてす、とミサカは肯定します。ルールは部屋の中を逃げ回るミサカを10分以内に捕まえられれば
勇者の勝ち、10分間逃げきればミサカの勝ちです。勇者が勝てば右手の枷の鍵を手に入れられます。
もし、勇者が負けたら・・・・・」
「負けたら?」
「ミサカ達による罰ゲームを受けてもらいます、とミサカはほくそ笑みます」
「・・・・嫌な予感しかしません・・・」
これは絶対に負けられないと、気合を入れる上条。
「それでは勇者よ!覚悟はよろしいですか?とミサカは問いかけます」
「上条さんはいつでもOKですよ!」
「ではバトル・・・・・・・スタート!」
背を翻し走り出す10039号。上条も即座に走りだして
ベチン!!
派手な音をたてて10039号は転んだのだった。
「いたたた・・・・・・やはり履き慣れてないハイヒールで走るのは無理がありましたかとミサカは・・・・」
がし!
「あっ・・・・・・」
慌てて身を起こそうとした10039号の肩を上条の右手が容赦なく掴んだのだった。
「捕まえましたよミサカさ~~~ん」
「うう・・・・・」
「よくこのミサカをたおしたな!とミサカは負け惜しみを言います」
「自分で言うなよ・・・」
「約束どおり鍵は渡しましょう、とミサカは潔く鍵を渡します」
「どーも・・・ところで、ここから先どう進めばいいんだ?」
「この部屋の奥の扉から二階へ進めます。おね・・・美琴姫は最上階の部屋におりますので最上階目指して
頑張って上ってください、とミサカは勇者に説明します」
「サンキューな」
扉を開け進もうとする上条の背に、10039号の言葉がとどく。
「ふふふ・・・・このミサカは四天王の中では最弱です。あとの三人は・・・・・とミサカはお約束なセリフを口にします」
「・・・・・だからお約束とか・・・・もういいや・・・・」
脱力しながらも上条は二階への階段を上るのであった。
少々長い階段を上り終えた上条。その目の前に
「また扉ですか・・・・」
この扉の向こう側にはどんな茶番が・・・・そんな事を思いつつ扉を開け、中へと入る。
「ふはははは!最弱とはいえ10039号をたおすとはさすがだな勇者よ!とミサカは・・・・」
「やっぱり・・・・・」
ややうんざりとした表情で部屋の中心に立つ人物を見る。
そこにいたのはやはり妹達だった。
「このミサカは四天王一可愛い13577号です!とミサカは自己紹介します」
「・・・・お前達全員同じ顔じゃなかったのか・・・・?」
「なにか言いましたか?とミサカはあなたを睨み付けます」
「いえ、なにも」
女性を怒らせても何一つ良い事が無い事を、身をもって経験している上条は慌てて否定した。
「まあいいでしょう。とミサカは寛大な心であなたを許します」
「そりゃどーも・・・しかし・・・・」
「なんでしょうか?」
「その衣装は止めてくれませんでせうかね・・・」
13577号も10039号と同じボンテージ(色違い)を身に着けていた。
「やはり悪の女幹部は・・・・」
「もういいです・・」
上条は右手で頭を掻きつつ
「で、やっぱりお前と勝負するのか?」
「そうです。ミサカに勝てば左手の枷の鍵を手に入れられます」
「それで、今度は一体どんな勝負なんだ?」
「それは・・・・」
ダラララララララーーーーー
突然響き渡るドラムロールにギョッとすると部屋の中が暗転した。
「な、なんだ!?」
パパーン
軽快な音とともに部屋が明るくなる。そこには・・・・
「第一回御坂美琴クイズ~~~~~とミサカはハイテンションに叫びます」
「・・・・・・・」
いつの間にか上条の前には、テレビなどでよく見るいわゆる回答者席が置かれていた。
「さあ!今週も御坂美琴クイズの時間がやってまいりました」
「・・・おい・・・」
「司会はこの私、ミサカ13577号でおおくりいたします」
「・・・・こら・・・・・」
「今日の回答者はこちら!学園都市一のフラグ男、勇者上条当麻さんです!」
「・・・・・・・おい・・・・・・」
「はたして、勇者上条は全問正解できるでしょうか!」
「それでは、クイズスタートです!とミサカは」
「ちょっとまてーーーーーー!」
「はい、なんでしょうかとミサカは」
「なんですかこのつっこみ所だらけの展開は!?」
「ミサカにつっこみまくりたいだなんて大胆ですねとミサカは」
「そんな事言ってませんよ!?」
「やはりむっつり・・・・」
「まだ言いますかそれ!?」
「話が進みませんのでとりあえず席につけやと、ミサカはあなたに言い放ちます」
「・・・・はいはい・・・・」
ややうんざりしながらも言われるままに席に着く上条。
「では簡単にルールを説明します。これからおね・・・美琴姫に関するクイズを出題します」
「三問連続で正解すれば勇者の勝ちです。逆に三問連続で不正解だと勇者の負けとなります」
「つまり・・・とにかくクイズに正解すればいいんだな?」
「そうです」
「わかったよ、ならとっとと始めようぜ」
「では第一問!お姉様の好きな色は?」
チッチッチッチ・・・・
(色?あいつの好きな色なんて知るわけ・・・・)
チッチッチッチ・・・・・・
(まてよ?たしか御坂はなんかのかえるのキャラが好きだったような・・・)
チッチッチッチ・・・・・・
(ならおそらく)「緑!」
「正解です」
「よし!」
「続けて第二問!お姉様はきのこ派、たけのこ派どっち?」
チッチッチッチ・・・・・・
(これはたしか・・・)「たけのこ!」
「くっ・・・正解です」
「ふ~~~~~」
(前にあいつがコンビニで買っていたのを見かけていて助かったぜ)
「まだ終わりではありませんよ第三問!お姉様の誕生日は?」
「5月2日」
「正解!ってなぜ即答しているのですか!?とミサカは驚嘆します」
「前に美鈴さんが教えてくれたんだよ」
(お母様~~~~~~~~~!)
がくりと項垂れる13577号。
「よし!三問連続正解だ!」
「まさかこんなあっさり負けるとはと、ミサカはショックを隠しきれません・・・・」
「まあ・・・なんだ・・・」
なぜか罪悪感を感じる上条。そんな上条に13577号は
「うりゃあ!」
べし!
「ぐあ!?」
鍵を投げつけてきた。
「いたたたたた・・・」
「今回はお前の勝ちにしてやる!とミサカはおきまりのセリフを言って逃亡します」
と言い残して逃げていったのだった。
「・・・不幸だ・・・」
三階にたどりついた上条。だが、部屋の中には誰もいなかった。
きょろきょろと辺りを窺うと、テーブルの上に何かが置かれていた。
「なんだこれ?手紙?」
とりあえず手紙を読んでみる
「えーーーと、『ミサカはこんな恥ずかしい衣装であなたの前に出る事はできません。鍵はお渡しします
のでミサカに構わず先へ進んでください。四天王一スレンダーな19090号より』・・・・」
上条は右足の枷の鍵を手に入れた。パパーン!
「・・・・・はあ・・・・・」
『残る四天王はあと一人。さあ、ゆくのだ勇者よ!とミサカはナレーションを言います』
「やかましいわ!」
いよいよ四階にたどりついた上条。いいかげんうんざりしながらも扉を開けるとそこには・・・・
「とうとうここまできたか勇者よ!みごとである!」
「しかし、貴様の快進撃もここまで!この四天王最強のミサカ10032号が貴様に引導をわたしてくれるわ!
とミサカはいかにもなセリフを言います」
「・・・やっぱりお前かよ・・・・」
もはや見慣れたボンテージ(やはり色違い)を着た御坂妹が待ち構えていた。
「・・・ところで御坂は何処にいるんだ?」
辺りを見回してもこの部屋には見当たらない。
「おね・・美琴姫ならこの上の階にいます。助けたければミサカに勝たなければいけません、とミサカは説明します」
「・・・・で、何の勝負でせうか?」
御坂妹は手にした機械のボタンを押す。すると
ウイーン
床の一部が開き何かが上昇してきた。そこには
「あはははははは!や、止めてくださいとミサカはあああああ!」
「止めてほしければ、ダイエットの秘密を喋りなさい」
「そ、それは・・・・あひゃあ!」
十字架に磔にされた19090号(ボンテージ姿)が10039号と13577号にくすぐられていた。
「おっと、間違えました」
御坂妹はボタンを押すと、それは下降していった。
「け、結局あの人に見られて~~~~~~!」
19090号の悲痛な叫びだけを残してミサカ達は去っていった。
「いまのは一体なんでせう!?」
「敵前逃亡した19090号へのお仕置きですが?」
「やりすぎだろおい!」
「こっちの赤いボタンでしたねとミサカは」
「聞けよ!」
御坂妹が再びボタンを押す。
ウイーン
今度は部屋の中心の床が開き、上昇してきた物を見て上条は目を丸くした。
そこには大量の食材がのったテーブルと調理台があった。
「ミサカとの勝負は料理対決です!」
「料理対決!?」
「そうです。ルールはここにある食材を使って互いに一品づつ料理を作り、その後審査員に食べてもらいまして、
審査員が美味しいと決めた方の勝ちです。」
「なんでまた料理なんだ?」
「あなたにミサカ達は殴れないでしょうから、こうゆう勝負方法にしたのです。それとも、ミサカと
殴り合いをしたいのですか?とミサカは問いかけます」
「悪人でもないやつなんて殴れねーよ」
頭を掻きつつ上条は答える。
「ところで、審査員って誰がやるんだ?」
「モニターを見てください」
上条は壁にかかっているモニターを見た。そこに映っていた人物は
『おなかがすいたんだよ!』
「インデックス!?」
白い暴食シスターだった。
「なんでインデックスがここにいるんだ!?」
昼ごろ、「知り合いの所に遊びにいくんだよ~」と言っていたのでてっきり小萌先生か姫神の所にいるものだと思って
いた。それがなぜここに?
「審査員としてミサカがお呼びしました」
「審査員って・・・・あいつに味の審査ができるのか・・・・?」
なんでもいいから食べられれば良い、そんなイメージをあのシスターにいだいている上条は思わず呟いた。
『とうま!それはちょっとひどいんだよ!』
「うえ!?」
「言い忘れてましたが、こちらの声も向こうと繋がっております」
「早く言えよ!」
『そんな事よりごはんを早く出してほしいんだよ!』
「・・・・・」
「審査員も待ちきれないようですし、勝負を始めましょう、とミサカはあなたを促します」
「やれやれ・・・・」
30分後・・・
「よし!できたぞ!」
「ミサカも完成しました」
二人ほぼ同時に料理が出来上がった。完成した料理は10039号(メイド服)がインデックスのいる
別室へと運んでいく。
「なんでインデックスを別室に待機させてるんだ?」
「こんな食材だらけの所にあのシスターを呼んだらどうなるか、あなたの方が理解しているのでは?」
「・・・・たしかに・・・・・」
『お待たせいたしました』
『わ~~~い!ごはん♪ごはん♪』
『まずは10032号の料理からです』
『クールビューティの作ったごはん?うわあ!』
御坂妹の料理は高級肉を使ったサーロインステーキ(300g)、インデックスが驚くのも無理はない。
『は、初めて見るんだよ!ほ、本当に食べていいの!?』
『はい、とミサカは』
『いただきま~~~~す!』
美味しい!美味しい!と言いながらインデックスはあっという間にたいらげた。
『ふは~~~~!とっても美味しかったんだよ!』
『・・・・次は上条当麻の料理です、とミサカは300gの肉をものの数分で食べたあなたに恐怖します』
『とうまのごはんだね!・・・・・これって』
上条の料理はなんのへんてつもない肉野菜炒めだった。それとゆうのも、普段まずお目にかかれない
高級食材に尻込みしたのと、貧乏性により安い食材を選んでしまったからだ。
「ミサカの勝利は決まったようなものですね、とミサカはあなたへの罰ゲームをわくわくしながら考えます」
「・・・・・・」
『いただきます』
無言で上条の料理を食べるインデックス。
『ごちそうさま』
『さて、どちらの料理が美味しかったのですか?とミサカは一応審査員に問います』
ダラララララララーーーーー
ジャン!
『とうま!』
「な、なぜです!?知識も技術(学習装置を使い)も食材もミサカの方が上でしたのに!とミサカは納得できません!」
『たしかにクールビューティーのごはんは美味しかったんだよ』
『でもこれはただの美味しいだけのごはんなんだよ』
「な!?」
『たしかにとうまのごはんは普通のごはんだよ。でも』
『安いお肉やお野菜をいかに美味しくできるかとゆう工夫と努力、そしてなにより・・・・』
『食べる人に美味しく食べてほしいとゆう愛情がこめられているんだよ!』
ババーン!
「・・・・ミサカの・・・負けです・・・・」
床に両手をつきがっくりとうなだれる御坂妹。
「なんかおおげさな事になっているような・・・・」
しかし、内心インデックスの言葉が嬉しい上条であった。
「これが最後の鍵です」
「悪いな」
御坂妹から左足の枷の鍵を受け取る。
「よし!後は御坂を助けるだけだ!」
勢い良く階段を駆け上がる上条。しかし彼は気づいていなかった。
御坂妹の口元が怪しく微笑んでいたのを・・・・・
「ぜえ・・・・ぜえ・・・・・・」
上条は肩で息をしていた。なぜなら
「・・・なんで・・・最上階への階段だけ・・・長いんだよ・・・」
ほとんど嫌がらせに近い作りである。この建物を作った人物はよっぽどひねくれたやつなんじゃないかと
思いながら階段を上る。
「やっと・・・ついた・・・・」
疲労でぐったりしながらも扉を開ける、そこには
「御坂!」
両手足を鎖に繋がれた御坂美琴がいた。
「え・・・・・?な、なんであんたがここに!?」
戸惑う美琴、その後顔を赤くすると
「まさか・・・・これあんたの仕業!?」
「ええーーー!」
怒鳴りつけてきた。
「私を拘束して、こ、こんな服(アニオリの盛夏祭で着ていた白いワンピース)着させて一体私に何しようと・・」
「俺はお前を助けにきたんだよ!」
「え!?」
「今鎖を外してやるから待ってろ!」
美琴に駆け寄ろうとしたその時!
「そうはいかないんだよなあ!」
「な!?」
頭上から声とともに何かが落ちてきた。慌てて後ろに下がる上条、そこに現れたのは
「ひさしぶりだなあ!三下ぁ!」
「「一方通行!?」」
ビジュアル系ロックバンドのような衣装を身に纏った一方通行だった。
「な、何でお前が・・・・・まさか!」
「そう!四天王は俺様の下僕にすぎねえ。俺がここのボスキャラだぁ!」
「・・・・お前もかよ・・・・」
ため息をつく上条。まさかこんな大ボスが出てくるとは思いもしなかった。
「オリ・・・姫を助けたければ、この魔王をたおすんだなぁ勇者ぁ!」
「姫?勇者?な、なんなのよこれ!?」
「・・・つーか・・・お前がこれしくんだのか・・・?」
「勘違いすんな三下ぁ!あのクソガキが『ミサカは王道の物語が見てみたい!ってミサカはミサカはお願いしてみる!』
って言いやがるからよぉ、しかたなく協力してるだけだぁ!」
そう、全ては王道物語を楽しむと同時に、なかなか素直になれない美琴に何かきっかけになれば良いと思った打ち止めの
仕業だった。
最初は悪役とゆう事に難色をみせた御坂妹達だったが、「上条当麻がもし負けたらミサカ達が罰ゲームと言う名目で好きに
しても良い」とゆう条件で協力していたのだった。
「・・・・お前も大変だな・・・・」
「哀れんだ目で見るんじゃねえ!」
「ちょっと!説明しなさいよ!」
「もしかして・・・この建物って・・・」
「俺が作らせたんだよぉ、ついでに妹達の衣装とかもなぁ。まあ、俺にとっちゃはした金だがなぁ!ギャハハハ!」
(おのれブルジョア!)
「聞いてるの!?ねえ!」
「さあて、そろそろおっぱじめようぜぇ!勇者上条ぉ!」
「なんか頭痛がしてきましたよ・・・・」
「無視すんなやゴラァァァァァァ!」
鎖をガチャガチャ鳴らしながら叫ぶ美琴。一応お姫様なのだからもう少しおしとやかにしてほしい。
「やかましいぞオリジナルぅ!大人しくしてねえと恥ずかしい目にあわすぞごらぁ!」
「は、恥ずかしい目って・・・何する気よ!」
「やめろ!御坂に手をだすんじゃねえ!」
上条の言葉にニヤリと笑う一方通行。
「おい、三下ぁ。てめえが負けたら妹達から罰を受ける事になってたよなぁ」
「ああ」
「今回は特別にオリジナルにも罰を受けてもらうぜぇ!」
「「な!?」」
一方通行の言葉に二人の顔色が変わる。
「・・・・・一体御坂に何をする気だ・・・」
「これさぁ!」
一方通行が懐から取り出した物。それはねこ耳付きカチューシャとデジカメだった。
「ねこ耳超電磁砲の写真をネットにばら撒いてやんだよぉ!」
「いやああああああ!」
「・・・・・・一方通行・・・・」
(こんだけ煽りゃぁこいつはいやでも本気をだすだろぉ)
「いいぜ・・・お前が美琴を辱めようってなら・・・・その幻想をぶち殺す!!」
(誰かを守るため、助けるためなら実力以上の力が出せる・・・・)
(やっぱりてめえは心底勇者【ヒーロー】だよ上条当麻)
「こいやぁ!勇者ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「魔王ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
ただ今、上条当麻と一方通行が本気で殴り合っております。しばらくそのままでお待ち下さい.
「・・・・ちょっとばっか響くぞ!!」
バキリ!と鈍い音とともに、一方通行の顔面に上条の右拳がめり込んだ。
「ぐはあ!」
どさりと仰向けに倒れる一方通行。
「・・・・みごとだぜぇ・・・勇者よぉ・・・・」
とつぜん一方通行の周りに煙がたちこめる。
煙が消えたそこには、一方通行の姿はなかった。
「はあ・・・はあ・・・勝った・・・・」
大きく肩で息をする上条。
「あ、あんた・・・・・」
そんな上条を美琴は悲痛な表情で見つめていた。
「御坂・・・待ってろ今自由に」
「馬鹿!」
「はい!?」
「馬鹿!馬鹿!馬鹿!」
「な、何を怒っているのでせうか?」
「こんの大馬鹿!またそんなぼろぼろに傷ついて・・・・・何であんたはそうなのよ!」
涙目で上条をにらむ美琴。上条は戸惑いながらも
「美琴・・・・今の俺は勇者なんだよ」
「ふえ・・・・?」
「勇者が囚われの姫を助ける・・・・まさに王道の物語なんだ」
「あんた・・・何言って・・・・」
「今回はそれで納得してくれませんかね・・・美琴姫」
ぽかんとする美琴。そして
「あははははははは!」
爆笑した。
「あんたが勇者って・・・・全然似合わないわよ」
「・・・・そうか?」
「まったく・・・・いいわ、今回は納得してあげる」
「でも今回だけよ!一方的に助けられるのは私の好みじゃないから」
「そうだな」
「それじゃ早くこれ外してよ。立ちっぱなしで結構きついの」
「はいはい」
鍵を使い拘束を解く。
「きゃっ!」
「おわ!」
倒れこんだ美琴を上条は優しく受け止めた。
「ご、ごめん!足に力が・・・・」
「・・・・・・・しかたないな・・・・」
「え・・・・きゃあ!」
上条は美琴を抱き上げた。いわゆるお姫様だっこである。
「な、な、な~~~~~~!」
顔を真っ赤に染め、美琴は慌てふためいた。
「ちょっと!降ろしなさいよ!」
「降ろせって・・・・お前まだちゃんと歩けないだろ。遠慮するなよ」
「は、は、恥ずかしいって言ってんの!」
「いいから。このまま送ってってやるよ」
「こ、このまま・・・・・ふにゃ~~~~~~~」
「漏電すんな~~~~~~!」
END