とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

28-047

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匿名ユーザー

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小ネタ




大覇星祭。学園都市の学校全てが参加して、能力を使用しながら競う、大規模な運動会だ。
一日目の昼。屋台が並び、昼食を求める雑踏の中にいる一組の男女。額に白いハチマキを着けた2人は、屋台に目を向けることなく、真っすぐに突き進む。

「美琴のお父さん、今年も来れないんだって?」
「うん。仕事で世界中回ってて、ママですらパパが今どこにいるのがわからないみたいだし」
「寂しいか?」
「ううん。むしろいる方が少ないから慣れてるわよ。それに、当麻のお父さんも私を本当の娘みたいに接してくれた」

一連の会話からわかる通り、彼らは付き合っているし、既に両親との挨拶もしませていし認められている。

「そ、それに…」
「ん?」
「やっぱ何でもない!」

プイッと顔を反らす美琴。
それもそれで可愛いと思うのだが、口にはしない。

買い物を済まし、焼きそばの屋台の列から外れた男女がいる。
浜面と滝壺。学園都市の生徒だから。といえば当然であるのだが、体操着を来ている。

「お、上条に御坂か」
「こんにちは。2人とも」
「浜面。お前、学校行ってたのか?それに滝壺。浜面と同じ体操着じゃん」

元武装無能力者集団である浜面が学校へ行っていた事自体疑問であるが、そんな浜面と同じ学校の体操着を来ている滝壺も気になる。

「あー、やっぱ得意な事で仕事したいにしろ、いろいろと学ばないといけないしさ。その事を滝壺に言ったら自分も行きたいって。2か月くらいから」
「学校で、はまづらが他の女に誘惑されないか見張らないと」
「そんな事しなくたって俺は滝壺一筋だって!」
「そんなことはわかってる。でも、私ははまづらと長く居たいから」

解っていたけれども。この2人がバカップルである事など周知の事実であるけれども!
ここまで表に出されていちゃいちゃされるとイラつくものだ。

「ほら行こうぜ美琴。美鈴さん達が待ってるぞ」
「あ、うん」

上条は、美琴を引き連れて浜面と滝壺から距離をとった。


この屋台通りも後半分。であるのだが、美琴の様子がおかしい。
表情が暗い。口数も減っている。

「どうしたんだ?」
「…ううん。なんでもない」
「そう、か……」

いや、彼もわかっているのだ。美琴が、浜面と滝壺を羨ましく思っている事など。
彼自身、彼らの様にできればいいとは思っていても、それを表に出すことが出来ない。それでも、美琴のあんな表情を見てしまうと……。

「あ~ったく……」

上条は、繋いでいた左手から美琴を離すと、その手で美琴の肩を掴んで抱き寄せた。

「ちょっ!?」
「こうすれば、もうちょっとカップルっぽく見えるか?」

美琴は何も言わない。反応を見たいのだが、生憎と上条自身、恥ずかしさで顔を真っ赤にしてしまっているので美琴と目を合わせたくないのだ。
もう少しで通りを出れるかというところで、



パシャリ!




「「……へ?」」

カメラのシャッター音のような音に、2人して素っ頓狂な声を上げた。
音がしたのは2人の正面。5mかそこらしか離れていない距離だ。
その正面には大人が三人。それも上条と美琴がよく知る人物達だ。

「美琴ちゃーんこっち向いてぇ」

カメラを向けている美琴の母親。

「あらあら。」

微笑ましく見守る上条当麻の母親。そして一番後ろで「GJ!」とでも言いたげな父親。

「は、ははは。ははっはははは!」

どこかで聞いたことのある高笑い。

「い、いいい、いつの間に!?」
「うーん。当麻君が美琴ちゃんと抱き寄せたところから?」
「あ、あわわわわわ」

プルプルと、美琴が震えているのが肌から伝わってきている。その振動は1秒ごとに早くなる。

「ははは。あははははは!!」

そして、何かを諦めきったこの笑い声。上条には聞き覚えが会った。それを聞いたあの時はどうなったか、上条は思い出す。

「うわああーーん!!」

掴んだ腕を離すタイミングを逃した上条は、美琴に引っ張られながら、大人達の間を縫ってすぐ近くののレストランへと入りこんだ。










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