食蜂さんの大誤算
「……アイツだったら、こういう時は『不幸だー』とか言うんでしょうね…」
そんな事をぼやきながら、美琴は土砂降りの雨の中を溜息交じり歩いていた。
季節外れゲリラ豪雨にさらされて、あっという間にびしょ濡れになってしまった彼女は、
「今更、雨宿りするのは無意味かな…」と開き直り、真冬の冷たい風雨が肌に当たりながらも、
帰宅の途に就いていた。
今はとにかく自分の寮に帰って、一刻も早くシャワーを浴びて着替えたい。
「へ…へ……へぇっくちっ!!! うー、寒っ!
ったく、今日は一日中晴天とか言ってたくせに…本当に最近の天気予報って当たんないわね!」
樹形図の設計者が破壊されて以降、確かに天気予報は絶対ではなくなったが、
それにしても外れすぎではないだろうか。と、美琴は不満を漏らす。
とそんな時だ。
「…?」
何故か急に雨が当たらなくなった。一方通行のベクトル変換でもあるまいし。
「…あのなぁ、女の子が体を冷やしたらダメだろ?」
同時に後ろから声をかけられた。聞き覚えがありすぎるその声に、美琴は慌てて後ろを振り向く。
案の定、そこには呆れ顔をした上条が立っていた。
右手に持っている安物のビニール傘を、美琴【じぶん】にも差すようにしながら。
突然話しかけられてビックリするやら、上条の優しい言動にドギマギするやら、
ずぶ濡れ【みっともない】姿を見られて恥ずかしいやら、いきなりの相合傘でドギマギするやらで、
急激にテンパりを見せる美琴。顔に赤みが差しているのは、寒さのせいではないようだ。
「うぇあっ!!? な、そ……あ、ありが、と…」
とりあえず何とか搾り出した一言でお礼を言う。
本当は、他にも言いたかった言葉がたくさんあったのだが。
「これから帰るのか?」
「う、うん…そうだけど…」
美琴の返事に上条は「んー…」と考え込む。そして。
「じゃあその前に、ウチに来てシャワー浴びてけ。
常盤台中学女子寮【みことんとこ】より近いし、そのままだとマジで風邪引くぞ」
「にゃっ!!!?」
上条からの大胆すぎるお誘いに美琴は固まった。
いや、上条が『そういう意味』で言ったのではない事は分かりきっているのだが、
どうしても頭の中で『そういう事』を想像してしまう。
「濡れた制服は乾燥機にでも……って、どったのミコっちゃん?」
「…にゃ……にゃんれもないれふ……」
真っ赤になった顔を俯かせて、頭から煙を出している美琴を不審に思った上条。
美琴からの返事もどこか元気がなく、ろれつも回っていない。
(…こりゃ早く体を温めてあげないと、本格的に風邪引いちまうな)
美琴の様子を風邪の引き始めだと勘違いした上条は、見当違いな優しさを見せる。
結果的にはオーライだが、やはりこの男は鈍感の中の鈍感である。
上条は美琴の腕を引っ張り、自分の寮へと連れ込むべく歩き出す。
余談だが、この時、美琴が現在ドギマギしている理由の一つに、
「上条と手を繋いだから」が加わった。
そんな二人の様子を、面白くなさそうに見つめる少女が一人。
少女はその苛立ちを隠す事なく、手に持っていたテレビのリモコンを「ガリッ」と噛んだ。
(…豪雨力でびしょ濡れになった時は「ざまぁw」とか思ったけどぉ、
その直後に上条さんから声を掛けられるとか、どんだけ幸運力が強いのかしらぁ)
食蜂である。
彼女はお気に入りのカフェで紅茶を飲みながら、ボーっと外の様子を眺めていたのだが、
たまたま通りかかった美琴が目に入ったので、そのまま何気なく意味もなく美琴を見ていたらしい。
そんな時にゲリラ豪雨が降ってきたので、
美琴が慌てふためく姿から諦めの境地に至るまでの彼女の動きを、お茶請け代わりにしていた。
が、そこへ偶然にも上条が来た、という訳だ。
店の中からでは会話までは聞こえてこないが、『あの』上条ならばこの後どうするのか、
大体の行動パターンは読める。
(上条さんの事だからぁ、
『このままだと風邪引いちゃうからぁ、とりあえずウチに来て入浴力で温まってけぇ』
とか言って、御坂さんを自分の部屋に連れて行こうとしてるって所じゃないかしらぁ…)
ぐうの音も出ない程に、まったくもってその通りである。
食蜂は自分の視界から二人がフェードアウトしてしまうその前に、リモコンを上条に向ける。
(上条さんなら危険力は無いと思うけどぉ、念には念をって言葉もあるしねぇ)
そしてそのままリモコンのボタンを押した。
彼女の能力は「心理掌握」。学園都市最高の精神系能力だ。
美琴には電磁バリアによってその能力は阻まれてしまうが、上条は別だ。
幻想殺し【みぎて】で頭に触れさえしなければ、能力が効く事は実証済みである。
上条に『何らか』の意識を植え付けた食蜂は、一息つく為に紅茶を飲んだ。
(まぁ、これで何も起きないでしょぉ。
…上条さんはもう『御坂さんを女性として認識しない』んだしぃ)
食蜂はどうやら、美琴に対して性的な感情が湧き上がってこないようにしたらしい。
これで万が一上条が美琴を「フガフガ」してしまう可能性が、万に一つも無くなった訳だ。
しかしまさか『上条が美琴を女性として認識しない』事が、
逆にとんでもない事になってしまうとは、予知能力を持たない食蜂には知る由も無いのだった。
◇
美琴を連れて自分の寮に帰った上条は、
まず浴槽の近くに付いているガス風呂給湯器のリモコンの、「追いだき」ボタンを押す。
「今お湯あっためてるから。朝の残り湯だけど、いいよな?」
上条は別に朝風呂派ではないが、実は今朝ちょっとした寝相【ふこう】で、
浴槽の蛇口のハンドル部分に足を引っ掛けてしまったのだ。
当然そのまま水は流れ、浴槽に布団を敷いて寝ている上条は、
自分も布団もびしょ濡れになって、その冷たさで起床するという最悪な起き方を経験したのだ。
皮肉にも今、美琴が置かれている状況と非常に似ている。
そんな訳で上条は、朝から風呂を沸かして体を温めた訳なのだが、しかしそれは。
「って、ちょっと待って!
そ、そそ、それってつまり、アンタが朝入ったお風呂って事!?」
「…? そうだけど、それが何か?」
「い、いや、その……べ、別に…」
また一つドギマギする理由が増えてしまったが、
あまり気にしすぎると変態【くろこ】みたいになりそうなので止めた。
他人が入った後の湯船に浸かるなど、普通によくある事だ。
まぁ、その他人が上条だからこそ(美琴にとっては)大問題なのだが。
「とりあえずお湯が沸くまで、これで体拭いとけ」
「あ、うん…どうも…」
美琴は上条から渡されたバスタオルで頭を拭きながら、ふと浮かんだ疑問をぶつけてみる。
「……あれ? そういえばインデックスとオティヌス【あのこたち】は? 姿が見えないけど…」
部屋を見渡してみたが、上条と同居している例の二人がいない。
ついでに言えば、飼い猫【スフィンクス】もだ。
「ああ、インデックス達なら明後日まで帰ってこないぞ。
何かイギリス清教の方で大事な会議みたいなモンがあるとかないとかで、
この前ステイルって奴がインデックスを迎えに来たんだよ。
で、その間にオティヌスが『何か』しでかさないようにって、
監視する為にインデックスが一緒に連れてった。
今更オティヌスが『何か』危険な事をするとは思えないけどな。
ちなみにスフィンクスは、インデックスの手荷物の中に紛れて、
一緒にイギリス旅行に旅立ったみたいです。空港の検査で引っかかってなきゃいいけど」
インデックスが危惧する『何か』とは、オティヌスが「世界」をどうこうする危険ではなく、
上条と二人っきりになる事で「上条」にどうこうするかも知れない危険なのだが、
鈍感な上条は当然ながら気付いていない。だがそのせいで、
「へ…へぇ~……じゃ、じゃあ今、私達って二人だけなんだ~……ふ、ふ~ん」
奇しくもオティヌスよりも危険(?)な短髪【みこと】を、
上条と二人っきりにさせてしまっていたのだった。
平静を装ってはいるが、『二人っきりの彼の部屋』と『これからシャワーを浴びる自分』、
という二つのキーワードで否が応でも思い浮かんでしまう情景に、
美琴の頭も心臓も爆発寸前になっていた。
と、そんなタイミングで浴室から「ピー」という安っぽい電子音が鳴り響いてきた。
「おっ! もう沸いたみたいだな。じゃあシャワー浴びてこいよ」
「べあっ!!? そ、そそそそうね! じゃ、じゃ、じゃあ、おさ、『お先』に失礼しまふ……」
誰も「『先に』シャワー浴びてこいよ」とは言っていないのだが。
◇
「はぁ…」と美琴は溜息を吐いた。
冷え切った体には追いだきされた風呂のお湯が心地良く染み渡り、少し落ち着きも取り戻せていた。
しかしやはりこのお湯は上条が入ったお湯である事は変わりないので、
油断すると長湯もしていないのに、のぼせてしまいそうだ。なのであまり考えないようにしている。
そんな時。
「美琴ー! バスタオルと着替え、洗濯機の上【ここ】に置いとくからなー!
あ、それと濡れた制服とか全部まとめて乾燥機に入ってっからー!」
上条が脱衣所から話しかけてきた。
「あ、うーん! ありがとー!」
返事をする美琴。しかし彼女は、物事を深く考えないようにしていた事が災いし、
この時の上条の『とんでもない異変』に気が付く事が出来なかったのだった。
着替えはどこから持ってきたのか。全部まとめてとは、つまり美琴の下着ごとではないのか。
仮に美琴の下着ごと乾燥機に入れたのだとしたら、上条は何故こんなにも平然としていられるのか。
そんな疑問が頭を過ぎるか過ぎらないかという瞬間だった。
美琴は『そんな事』などどうでもよくなるくらいの事件に遭遇する。
「よーし美琴。それじゃあ今から上条さんが、直々に背中を流してさしあげましょうぞ」
「……………………ふぁ?」
突然上条が、腕まくりしながら浴室に乱入してきたのである。
湯船に浸かっていて湯気も立ち込めている為、ハッキリと見られていないとは言え、
美琴【こちら】は生まれたままの姿である。ちなみにDVD版では湯気が消えます。
「なななななななに堂々と入ってきてんのよアンタはああああああああっ!!!!?」
直後、美琴は大声を出しながら、右手で上半身の、左手で下半身の『大事な部分』を隠した。
ちなみにBD版では隠しません。
「何って…だから背中を流してあげようかと」
「いらないからっ!!! いらないから出てってよっ!!!」
美琴は鬼気迫るように叫ぶ。
本能に従えば「お願いします」なのだが、理性がブレーキをかけてくる。
そういう事は『まだちょっと』早すぎる。
そんな美琴とは対照的に、上条は「あ、そう?」と暢気な返事をする。
「まぁ、確かにもう体洗った後みたいだしな。すんません、失礼しやした」
言い残しながら、浴室から出て行く上条。突然やって来た嵐は、突然過ぎ去った。
いやもう嵐どころか地震と雷と火事と親父が全部一遍に来たような感じだったが、とにかく過ぎ去った。
上条がこんな大胆【へんたい】行動を取れるのには、勿論理由がある。
これは全て食蜂の能力で、『上条が美琴を女性として認識していない』からだ。
普段の上条ならば紳士を自称している為こんな事はしないが、
今は美琴に性的興味を抱いていないので、
下着も普通に触れるし、風呂も当たり前のように入っていける。ちょっと悲しい。
しかしそんな事情など知らない美琴は、
(な、ななな、何なのよアイツ……きゅ、きゅきゅ、急にこんな…事……しちゃって…
わ…私にだってその………こ…心の準備ってもんが―――って! 心の準備って何よ!?
それじゃまるで『準備が出来たらOK』って言ってるみたいじゃないのよーっ!!?
だ、だだ、大体アイツが変な事するからっ!!!
…? でも、ホント何で急に? 今までこんな大胆な事しなかったクセに……
っ! ままままままさか、まさかアイツ!
つつつ、ついに私の事を意識しちゃうぃthな得ヴぃjんfひqq@s武っ!!!!?)
色んな考えが錯綜しすぎて、思考が「はじめてのおつかい」状態となっていた。迷宮入りである。
結果的に、美琴はのぼせた。
長考による長湯と、『もう一つの方の理由』による合併症である。
◇
風呂から上がった後も、美琴は暫し挙動不審だった。
忙しなくソワソワしているかと思えば、不意にポケ~っとしたり、かと思えば嘆息したり、
上条の方を向いているかと思ったら目が合った瞬間に電光石火の速さで顔を背けたり。
何しろ、これまでの上条の行動に振り回されただけでなく、
今、美琴が着ているその服は、上条の汗やら汚れやら何やらが染み付いた、彼の私服なのだから。
制服がまだ乾いていないから仕方ない…
とは言え、美琴としてはインデックスの服を借りる予定だったのだ。
しかし上条が「留守の間に勝手にインデックス【あいつ】のタンスを開けるのは気が引ける」と、
そんな正論めいた事を言うので、結果としてこうなった。
だがお忘れではないだろう。上条は美琴の『下着ごと』乾燥機に入れたのだ。
まさか常日頃から替えの下着を持ち歩いている訳もなく、
そして下着まで上条の物を借りる訳にもいかないので、
美琴は今、ノー・パンツ&ノー・ブラジャーなのである。
何も身に着けていない状態から、直接上条の私服を着る。もはやこれは。
(な、ななな、何なのっ!!? 何なのこれ!?
これ今、私達一体どんなプレイしてんのよおおおおぉぉぉっ!!!?)
しかし上条は冷静である。
こんな状況なのに大して気に留める様子も無く、窓から外の様子を見ている。
「う~ん…雨、止まねぇなー……ゲリラ豪雨っつーより台風だな、こりゃ」
それはそれで一大事なのだが、部屋の中【こちらがわ】が百大事くらいなので、
止まない大雨など、どうでもよくなってくる。
しかし食蜂の能力が効いている上条は、大雨の方が問題だと思っている。
「まだ制服、乾ききってないし、外も暗くなってきてるし……」
と上条が呟いた所で、美琴はハッとした。
今の上条の話し方からすると、次に言うであろう台詞は―――
「今日はこのまま俺ん家に泊まってけ」
「やっぱりかあああああああああ!!!!!」
美琴は絶叫した。
しかし何故か、『断る』という選択肢は無かったのだった。
◇
「う、うん。そういう訳だから黒子、悪いんだけど寮監の目はソッチで何とかごまかし……
ふぇっ!!? ち、ちち、ちが、違うわよっ!?
あ…ああ、あの馬鹿の所とか、そんな訳ないじゃないっ!
えっ!? …いや…ば…場所はその……企業秘密…だけど……で、でも違うから!
いや、いい! いい! 迎えとか大丈夫だから! …うん、はい。おやすみー…」
ルームメイトへの言い訳も済んだので、美琴は電話を切る。
これで自分の寮に帰らなくても、白井には不審に思われないだろう。別の意味で疑われてはいるが。
美琴は上条のベッドに座り、一度思いっきり深呼吸した。
そして頭の中で、ここまでの状況を整理してみる。
1:ここは上条の部屋
2:上条と暮らしている同居人二人とペット一匹は今いない
3:上条からシャワーを借りる
4:自分が入浴中に上条が乱入
5:自分の制服(下着含む)を上条が乾かす
6:制服がまだ乾いていないので、上条の私服を借りて素肌の上からそれを着ている
7:そのままお泊りコースが決定
8:上条のベッドの上に座る ← 今ここ
やはり、いくら脳内でシミュレートしても、そこから導き出される答えが一つしかない。
しかし今日の上条がどれだけ大胆だとしても―――
(―――大胆だとしても、『そこ』まではしない…わよね…?)
と思いつつも、心のどこかで期待してしまっている自分がいる。
そんな複雑な気持ちが渦巻いている美琴に、相変わらず能天気一直線の上条が話しかける。
「うっし! ちょっと早いけど、もう寝るか!
明日朝早く起きて、美琴を帰らさなきゃだもんな。
美琴のとこの寮監って怖いみたいだから、バレたらマズイだろうし」
上条のこの様子から察すると、寝る…というのは文字通りの意味だろう。
つまり睡眠を取る、という意味であって、決して『そっちの意味』での『寝る』ではない。
美琴はホッとしたような、それでいてちょっとだけ残念だったような溜息を吐いて、
横になろうとした。…と、思ったのだが。
「そういう訳で一緒に寝るから、もうちょっと詰めてくれ」
「わっしょおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉいっっっ!!!!!」
お約束である。
「ちょちょちょままま待ってっ!!! い、いいい、いく、いくら何でもそれは!!!」
「いいじゃねーかよ。減るモンでも無いし」
大切な何かが減る気がする。
「それに俺の布団、朝に濡らしたっきり、まだ乾いてないんだよ。
他に寝られる場所も無いしさ。だからお願い! ……ダメ?」
ちょっと困った顔をしながら両手を合わせてくる上条。
そんな可愛らしく頼まれてしまった日には、こう言うしかないのだった。
「ダメじゃない!」
美琴の長~~~~~い夜が始まる。
◇
朝である。美琴は結局、一睡も出来なかった。
上条の部屋で、上条の服を着て、上条と一緒に一夜を共にする…
というだけも既にいっぱいいっぱいなのに、文字通り目と鼻の先で熟睡していた上条が、
自身の無自覚フラグ建築能力を遺憾なく発揮し、
眠っているにも関わらず『あらゆるドッキリ』を仕掛けてきたのだ。
そのせいで彼女は現在、絶賛放心状態を継続中なのである。
「ふあ、あ、ぁぁぁ~……んー…はよー……」
そんな美琴を横目に、ドッキリの仕掛け人【かみじょう】が起床する。
「昨日は良く眠れたか?」
どの口が言うのか。おかげ様で、ある意味『良い夢』は見られたが。
と、ここで上条は何気なく、「右手」で自分の頭をかく。
小さく「パキン」と音がした。食蜂から受けていた洗脳【まほう】が解けたのだ。
昨日の内に上条も風呂に入れば、頭を洗った時にでも解けたのだろうが、
上条は朝(心理掌握される前)に入ってしまったので、「夜は入らなくてもいいか」となったのだ。
上条にとっては不幸な事に、美琴にとっては『富』幸な事に。
さて、洗脳が解けた上条は、今のこの状況を、頭の中で整理してみる。
1 :ここは自分の部屋
2 :本来一緒に暮らしている同居人二人とペット一匹は今いない
3 :美琴がシャワーを借りた
4 :美琴が入浴中に乱入した
5 :美琴の制服(下着含む)を自分が乾かした
6 :美琴の制服が乾いていなかったので、自分の私服を貸して、
美琴がそれを素肌の上から直接着ている
7 :そのままお泊りコースが決定
8 :一緒のベッドで寝る
9 :美琴を抱き枕代わりにしている ← 今ここ
10:足と足を絡ませ合っている ← 今ここ
11:自分の左手が美琴の背中を抱き寄せている ← 今ここ
12:美琴が自分の胸に顔を埋めている ← 今ここ
13:美琴の着衣が乱れている ← 今ここ
14:ノーパン・ノーブラなので、感触がモロに当たっている ← 今ここ
15:ちょっと胸の谷間とかも見えてる ← 今ここ
16:放心状態の美琴 ← 今ここ
やはり、いくら脳内でシミュレートしても、そこから導き出される答えが一つしかない。
上条は最後に、『あの一言』を口に出した。今まで何回、何十回と耳にした、『あの一言』を。
「……………ふにゃー」