とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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if














もしもの話は面白い。
もし、世界の共用語が日本語なら?
もし、宝くじの一等が当たったら?
もし、本能寺の変がなかったら?
もし、宇宙人が攻めてきたら?

もし、DNAサンプルを提供していなかったら?
もし、記憶を無くすことがなかったら?

もし、もし、
そんな仮定のお話。



















「と、いうことで!! もし!! 御坂さんと上条さんがお付き合いをしたらどうなるでしょーか座談会!!」

佐天は、数行前のシリアスを全力でシカトしやがったのだった。

「「「「ちょっと待とう!!!」」」」

安心していただきたい。
置いていかれたのは何も読者諸君だけではない。

「なにがどうしてそんなことになったんだよ?」

「な、なんで!! わ、わたふにゃーー「早い早い」

ぱきーん、と音がする。

いつものファミレスにいるのは、
いつもの少女4人組と、上条家3人。

数分前、ほぼ満席の状況のファミレスに入った上条達。

「相席でいいですかー?」

と聞いてきた巨乳でドジッ子のウェイトレスに、了承の返事をしたらここに通された。
家族連れの隣、指定された6人席には例の4人がいたのである。
そして、白井が手洗いに行っていたのをいいことに、佐天と初春がソファ席の両サイドを固め、ドリンクバーに行っていた美琴の侵入を阻止。
上条の選択肢は右に美琴を、左にインデックスを侍らせる、「両手に花」の陣形を組むしかない。
美琴は最近、顔を見ただけでふにゃーとビリビリ爆発する娘(略してふにゃ娘)となっているので(理由は不明)右手が届く位置に置いておきたい。
ファミレスで、インデックスと距離をおき、秘奥義『エンドレスオーダー』を制止出来ないなんて自殺行為をするわけにもいかないのだった。

で、現在。
正面には結局移動した佐天。
向かってその左には佐天同様笑顔の初春。
右には鉄矢を研ぐ般若。
机の上は爪楊枝を装備した魔神。
自分の右にはふにゃ娘。
左にはガンガンと鳴る歯の音。

隣の席で人形遊びをする女の子の声が、あまりにも遠くから聞こえる。
上条は、今日が自分の第3の命日かもしれないと、本気で思った(伏線)。

「なんで、美琴と付き合う仮定の話をしなきゃなんないのさ?」

そう話ながら、大丈夫か?
と 美琴に問いかける。
肝心の彼女は首を縦に振ることしかしない。
彼女の友人はそんな状況なんて知ったこっちゃないのだった。

「ただの仮定の話ですよ。それとも、『このあと上条さんが不幸になるなら』って話題がいいです?」

「いえ、さっきのタイトルでかまわないです」

上条としても、空想まで不幸にはなりたくない。しかし、なにをどうしても不幸になる気がするのはなぜだろう(伏線)。
こうして上条は陥落した。

「御坂さんも問題ないですよね?」

「へ?……あ、ひゃい」

美琴も陥落。


しかーし、そうはいかねーのだ!!

「意義あり!! ですの」

テーブルをバン!! と叩いて白井が立ち上がった。

「やるなら、『もしも!! 黒子と御姉様が付き合ったら』とするべきですの!!」

お昼時、一斉に集まる視線なんて目もくれない。
上条としては知り合いがいないことを祈るしかないのだった(伏線)。

「まずは!! 毎週のようにデートしますの!! デートコースは公園を散歩して、わたくしが作ったお弁当を食べて、ショッピング!! 水族館、映画鑑賞の後にホテルでついにふたrあひゃびゃふぇひゃ」

「…………ほんと、ゴメン」

正気に戻った美琴が呟くのと同時に、雷に撃たれた白井はテーブルに崩れ落ちた。

「あー、大丈夫か? これ」

「大丈夫ですよ」

輝く初春の笑顔の周囲の影が濃い。
苦笑する上条を余所に、佐天は話を続けた。

「白井さん、人物の組み合わせはあれでしたが、コースは悪くないですよね?」

「え?」

瞬時に第3位の演算能力が発揮された。

『太陽は眩しいけど、美琴の笑顔には叶わないな』

『うぉ、美琴の弁当うまいなぁ。毎日食べたいくらいだぜ!!』

『驚いた、似合ってます。天使かと思いましたよ』

『あまり、はしゃぐなよ? お前は僕にだけ微笑んでくれればいいんだ。僕だけの、マーメイド…』

『ぐすっ、ぐすっ、流石に、超大作ですね。でも、ケロヨンが……』

『ここまで、来たんだ、お前もその気なんだろ? 今日は、寝かさないぜ?』

「誰だよ!!!? せめてキャラの統一くらいしようよ!!」

「はっ!! ……や、やさしく、してね❤「はやく戻ってきなさい!!」

「そうですねー、さすがにそれはなさそうです。実際はどうなると思いますか? 上条さん」

「んぁ?」

右手を美琴の頭に乗せたまま、へんな声を出す上条。
ここにきて危機を察したのが、
フィギュアサイズのアンドロイド、オティちゃん(設定)だ。
桃色空間になるのを阻止しようとテーブルの上に立って、

「忘れ物しちゃだめよ」

「はーい!!!」

隣の席の女の子に鞄に「ないない」された。
周りはかわいい人形ばかり、
リアルトイストーリーだ。
動揺している上条は、オティヌスが冒険に出たことに最後まで気づかないのだった(伏線)

「実際……ねぇ。最初はゲーセンとかになるんじゃ?」

「ゲーセン?」

「そ、格闘ゲームしたり、エアホッケーしたり、プリクラ撮ったり」

美琴も納得した。

「あぁ、音ゲーとかレーシングとか?」

「そうそう、クレーンゲームであのケロポンとったりな」

「ケロポンってなによ!!? ケロヨンだってば!!」

「はいはい」


もう限界なのだった。
インデックスは大きく口を開き、
目の前の良質な(中身は少ないかもしれない)ウニにかぶりつ「お待たせしましたーー」こうとしたが止まった。

目の前にハンバーグが現れたのだ。
あの針山はいつでもかじれる。
しかし、熱々のハンバーグは今しか食べられない。
怒りに顔を歪ませながら、インデックスはハンバーグにかじりつく(伏線)。
ドジッ子のウェイトレスは、インデックスに怯えながら配膳を続けた。
だから、テーブルに突っ伏した白井の頭の上に皿を置いたことに気付かなかった(伏線)。

「とりあえず食べましょう」

初春の一言で箸やフォークを思い思いに取る面々。
上条と美琴の指が触れ合い、甘酸っぱい空気になったりもした。
佐天は、わざと一息ついてから話を続ける。

「御坂さんが作るお弁当って、どんなのですかね?」

「…………こいつが、弁当?」

「ちょ!! 失礼でしょ!!」

「でもー」

「なめんな!! 弁当くらいつくれるわ!! 卵焼きとか唐揚げとか入ってるわ!! 」

キュウリでケロヨン作ったるわー、と叫ぶ美琴に、全体的に真っ黒の?と聞いたら至近距離で電撃がとんできた。死ぬかと思った。
初春はなにごともなかったかのように話を続ける。

「上条さんは、料理するんですか?」

「ん? 自炊してるよ。何より自分で作ったほうが安い」

「でも、味の保証がないんじゃねー」

クスクス、と蔑みの目で笑う美琴。
上条の頭に分かりやすく血管マークが出てくれた。

「オレのかわいいキンピラゴボウと豆腐ハンバーグちゃんをバカにしたな!!」

「ぶさかわいい?」

「上等じゃ!! 貴様に味わって貰おうか!! オレの『上条幕の内』を!!」

「アンタにも見せてやるわ!!『ケロヨンランチ』の前に、跪かせてやるんだから!!」

「じゃ来週御坂さんの予定空けときますね」

ようやく、インデックスはハンバーグ定食を食べ終え……早えぇよ。

「ちょっと待って欲しいか……」

目の前の皿が引き、代わりにコトン、と置かれたのはチキンカツ。

「!!!!」

「どうぞ、食べてください」

初春の誘いに抗えない。
今、噛みつくべきは、ウニ頭であって、トサカ頭ではないはずなのに!!

「お、美味しいんだよ~~~!!」

泣く泣くインデックスはチキンカツに貪りつく(伏線)。


「食事の後はやっぱり買い物ですかね?」

「んー、そうなるかな?」

「洋服とか買うんですかね?」

「でも、ウチ校則があるからなぁ」

「じゃあ、雑貨屋行って小物でも買うか?」

「小物?」

「ヘアピンとか、キーホルダーなら少しくらい許されるだろ?」

「そうね!! アンタにしちゃいい考えじゃん!!」

「一言余計だっつの」

「じゃ、お互いにプレゼントとかするなら、どんなのがいいですかね?」

「そうだなぁ、オレはヘアピンでもやるかな」

「じゃあわたしは財布」

「おっ!! ちょうど欲しかったんだよ」

「やっぱりそのあと水族館とか行きますか?」

「好きは好きなんだけどね……」

「問題はこれかな?」

美琴の頭が撫でられる。

「これで、魚もイルカも、ラッコだって逃げはしない」

「……そ、そうかもしれないけど……」

「けど?」

「恥ずかしい、かな」//////

「…あっ……わ、わるい」//////

ゆっくりと手が離れて、代わりに桃色の空間が出来上がる。

チキンカツ定食最後の一口を食べたインデックスはってだから早いって!!
……コホン。 インデックスは上条に飛びかかろうとした。
しかし「お待たせしました!! 追加のサイコロステーキ定食でーす」の声に震え上がる。
そして、初春と目が合った。
目が、合ってしまった。

「あ……あぁ……」

「どうぞ」

「うっ…あっ」

「食べないんですか?」

「ぁぁぁぉぉあああああああああ!!!」





















「ぅぅうおぉぉぉいしいんだよぉぉぉぉぉおおおお!!!」

インデックスは決めた、
もう上条を噛むのは後でいいや(伏線)。


「で、ホテルに行くじゃないですか?」

「「行かないよ!!」」

2人のハモリを耳にしても、
佐天は微動だにしなかった。

「なにいってるんですかー!! もし、もしも、たーだの仮定の話ですよー」

ただの仮定の話。
その魔法の言葉に美琴は動揺する。
お姫さま抱っこされて、ベットに寝かされるところまで妄想した。
どんどん赤くなる美琴の耳に、

「仮定でも、ありえない」

という上条の言葉が聞こえた。
一瞬にして熱が退いていく。
それほど、彼にとって、自分は魅力がないのだろうか?
震えながら、続く彼の言葉に耳を傾ける。






「どんなに『もしも』を重ねても、オレが美琴を傷つけるわけがないだろ」

佐天も、初春も顔を赤らめた。
美琴はもう、もう、あれである。

「ふにゃ~~~~~~~」

ふ、の段階で上条の右手が美琴の頭の上に置かれていた。これぞプロの領域。

「ぽー………はっ!! 初春!!私達用事あるし帰ろ!!」

「ぽー……へっ? えっ!!? 用事!!? 用事ぃ? …あっ!! はい!!帰りましょう!!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!! このふにゃ娘どうすんの!!?」

「白井さんは持って帰るんで、そっちはお願いします!!」

そのままドタドタと2人は白井(メシ抜き状態)を引きずって帰った(伏線)。
金銭面でなにかをするのを忘れている気がする(伏線)。

((今日録音したやつダビングしなきゃ!!))(伏線)

こうして、ほっとかれた上条は、呆然とするしかない。

「お願いったって……」

視線を美琴に移す。

気を失い、あどけない表情で眠る、彼女の唇に目が行った。

心臓が跳び跳ねた。

(な、なんなんだよ~~)//////////////////

上条は大きく息をすると、
少し影が薄い女性とオデコ巨乳(伏線)や、最強の超能力者とその家族(伏線)や、金髪アロハと青髪ピアス(伏線)や、扇子を持った少女とその友人(伏線)や、アステカ(伏線)、ショタコン(伏線)、赤髪神父(伏線)、侍女(伏線)、二重瞼(伏線)、クワガタ(伏線)、カチューシャ(伏線)とその妹(伏線)、女王(伏線)、アイテム(伏線)、科学的天使(伏線)、忍者(伏線)、魔術結社のボス(伏線)、レッサー(伏線) 、雷神(伏線)、カブトムシ(伏線)、不死の少女(伏線)、冒険を終えたオティちゃん(伏線)、食べ終わりかけのシスター(伏線)、無理して大量の食器を持っている(なぜかクビにならない)ウェイトレス(伏線)
がいるこのファミレスで、このふにゃ娘を次の週末デートに誘うことを決めた。

「汝の欲するところをなせ!!」

「佐天さん、誰と話してるんですか?」

そして上条と美琴は週末、互いの弁当を絶賛しあったのだった。

まぁ、その前に上条はファミレスで史上最大の不幸に会うんだけどね(伏線回収)。











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