とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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小ネタ ポッキーゲーム




本日、11月11日。快晴なり。
若干寒さを覚える学園都市の公園
御坂美琴が腕を組む前で、上条当麻は美しい土下座をしていた。

上里翔流は? 「赤」とか「黒」は?
っつーかこの頃バゲージシティにいるんじゃ?
……いんでっくすさん時空なんだと思うよ。

怒りを主張していた美琴の表情が、ため息とともに諦めの表情へと移行する。

「で、今回はなに?」

頭の中でルーレットが回る。
赤、宿題が終わらない。
黒、買い物に付き合ってくれ。
さあ、賭けた賭けた!!

「オレとポッキーゲームをしてくれ!!」

……。
大穴すぎる。

「って、ぇぇぇえええええ!!」

「だ、ダメ?」

「ダメじゃない!!……ダメじゃ、ない、けど……」

「良かった、じゃ、早速行こうぜ」

「手!! 手が!!!手が~~!!」

ポッキーゲームだけでいっぱいいっぱいなのに、手まで握られてしまった。
心の器から幸福感が溢れてとまらない。

「え、えへへ…」////////

暫くして、目的地に着いたのか、手が放された。

「あっ……」

名残惜しそうにするが、
かの鈍感は気づかない。
上条の横顔に暫く見とれた後、
彼の視線を追う。

「ごっがぁぁぁあああああああああ!!」

叫び声と、眼前に広がるK.O.の文字。
目を点にしたあと、まばたき数回。
そのとき、ようやく周囲の騒音に気付いた。
ここは、ゲームセンターだ。

「……ちょっと」

「さぁ、やるぞー」

ヤツはさっきのゲームに100円入れやがった。
有名な宇宙戦争の映画に出たようなビーム状の剣を持ち、勇者の服を着た上条が3D映像として映写される。

「急に青ピが風紀委員にジャッジメントされて来れなくなるんだもんなー」

「……ポッキーゲームは?」

「ん? …あぁ!! この呼び方うちだけなのか? このゲーム名前長いだろ? だから、この剣の見た目からポッキーゲーム」

ピキッ、となにかが鳴った。

「この2人1組のトーナメントに参加してたのに、途中棄権になるとこだったよ。1位の賞品が商店街の商品券10万円分!! これを逃す手はねぇぜ旦那ってなもんだ!!」

勝手に美琴も登録される。
このビキニアーマーどっかで見た気がする。

「いくぞ!! 美琴!!」

目に影が入っている美琴の耳に、
対戦相手の声が入る。

「ふふふ、このオレ、『不死身のゾンビ』と」

「『運命を操るシギン』が相手になってやるぜ!!」

瞬間、ちゅどーーーーん!!
という音とともに、敵が吹き飛んだ。
K.O.という表示の真下で、美琴さまは白い息を吐いている。
上条さん絶句。

「い、いやーー……。さ、さっすが美琴せんせー、お見事!!」

「……いいから、さっさと殺るわよ」

「変換ミスですよね? ね?」

以降怒涛の快進撃。
そもそも運動神経抜群の美琴と、最近人間を辞めつつある上条に勝てるやつはごく少数だろう。

あの僧正にだって対向してたんだぜ!!

と、いうことで決勝戦。
二人はユニゾンアタックで敵を降し、見事10万円の商品券をゲットし、意気揚々とゲームセンターを出たら『上条勢力にも上里勢力にもあえて加わらなかったイレギュラー』なんて名乗るやつらと戦闘し商品券は燃えかすになった。





「不幸だぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!」

世界が夕日によって染められるなか、

「うぅポリポリひっぐポリポリポリぐすっポリポリモグモグえっひぐっポリポリポリポリ」

公園のベンチで上条はポッキーを食べていた。
ポッキーは不憫に感じた美琴の奢りである。
その美琴も上条の隣でポッキーを食べている。

「な、泣き止みなさいよ」

「ひぐっ、そ、そうだなポリポリ泣いたところでモグモグ戻ってくるわけポリポリでもモグモグないポリポリもモグモグんな」

食うのやめろ。
美琴はため息をつき、ポッキーを咀嚼する。

「ま、昼は美琴と楽しめたし、よしとするか!!」

ビクンッ!!
と肩を震わして、ポッキーを食べる速度がゆっくりになる美琴。
隣の上条はなんにも考えてないようだ。
一時ポワポワしていた美琴だが、どんどん眉がつり上がっていった。

腹がたった。
腹がたったのだ。
自分ばかり振り回されているこの状況に、腹がたったのだ。

「……ちょっとこっち向いてくれる?」

次のポッキーをくわえた上条は、?を浮かべながら美琴を見る。
すると、バッシーン!!と両頬をはたかれた。
いってぇ!! と思った瞬間だった。

ポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキムチューーーーー

と、いう音が聞こえ、
ようやく視覚と触覚が追い付いてきた。

次の瞬間、目の前にあった少女の顔はパッと離れ、彼女はスタタッと走り去る。
呆然と目で追うと、彼女はクルリと振り返った。

「約束のポッキーゲームよ!! 鈍感バカヤローーーー!!!」//////////

夕日より真っ赤な顔で叫んだ少女を呆然と見送った後、
上条はただただ湯気を出し続けるのだった。










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