とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part026

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匿名ユーザー

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第3章-06


窓から、部屋の奥まで、陽光が差し込む。
冬至近くだが、西高東低の冬型の青々とした関東地方特有
の抜けるような晴天から強烈な日差しが降り注がれる。
一見すると暖かさそうだが、天気予報は東京都多摩地区
最高気温が10度と告げる。
よく見ると、紅葉の街路が強風に揺れており、かなり強め
の北風が吹き抜けているようだ。
けれども、
いかにも高級そうな空調機器は静かに設定温度24度を維持している。
だから、外の寒さは全く感じない。

それにしても、あの上条当麻の惚気は本物だろうか?
美琴は、電磁気センサーで、上条当麻をサーチしていたが、あまり
惚気を感じない。
脈動は正常、発汗はやや多く、前立腺周辺の血行は多少活発だが、
その直径の増加はいわゆる勃起までは至らない。

やっぱり口だけなのか?
だけど、言葉にさせることで変わるのだと信じたい。
嘘からでた誠という言葉もある。
本人に言わせることが大事なのだ。
美琴愛していると言わせる、
その気がなくとも、言った事実に人間は引っ張られて行く。
それが、既成事実の積み重ねなんだ。

そうね、だから一緒に暮らすんだしね。
こうやって、一緒に食事して買い物してデートと
いろいろ積み重ねていくうちに、
彼の御坂美琴への思いが積み重なっていくんだわ。
今はこうして一歩一歩、彼との思いを積み上げよう。

でも意外ね。あれほど、あの鈍感な上条当麻が、私に
性的な関心を抱いていたなんて。
本当・・もっと早く告白しておけばよかった。
ふふ僧正には感謝いくら感謝しても足りないわね。
言ってみればあの木乃伊が恋のキューピッドみたいなものね。

偽デート時のリンスの香りに興奮したとか・・何よ。。エロ高校生。
だけど・・正直な話 うれしい。
あの鈍感男がこれほど、私に好意があったとは。。
驚愕な話だ。
彼の鈍感は、無能な味方を排除する、無意識な行動だと思っていた。
でも・・そんなのは私の思い込みだったのか?

まあいい、彼の性格分析は、今度のひとつひとつの行動で見極めよう。
何気ない一言、何気ない行動、例えば、座席の選択、私と位置関係
の選択、食事の態度すべてに意味がある。
だから明日のデートは重要なのだ。言い聞かせる。

ふふ・・まあどんな選択も受け入れるけどさ・・
お嬢さまの観察は結構辛辣なのよ。
だからせいぜい頑張りなさい。と心の中で独り言を言う。


さあて。美琴は上条当麻の学習状況を遠目で確認する。

それしても・・遅いわね。解答速度がさ・・
あの戦闘時の非常識な反射速度はどこへ?
これじゃ授業さえ理解できないレベル?
あらためて驚愕する。彼にまともな学力をつけさせる困難さを

いくら大学院生にも匹敵する美琴の学力でも、いやだからこそ、
落第生上条当麻は正直理解できない代物なのだ。

いわゆる「わからないことがわからない」という話になってしまう。
美琴にとって学校教育なんて答えのあるものは、所詮はただの復習で本当の
学習とは違うと感じている。
それを、ただの復習にきりきりするなんてどうゆうこと?
常盤台のカラキュラムよりはるかに簡単な、なんの役に立つか
わからない代物の教科書、難関大学の受験には、まったく役にも
立たず、一般教養というには中途半端すぎるソレ。

うーん。悩ましいわね。
正直な話、こんなものいくらやってもコイツのためになるかしらね。
龍の力を持つ、世界の基準点の彼に、こんな公立高校の知識は
いるの?

そもそも論になってしまう。
だけど・・いくら龍の力があっても、学歴はないよりあったほうがイイ。
それに学歴はいらなくても学力は必要なのだ。

昔、新潟県出身の小学卒の総理大臣がいたが、その人物だって、建築士
を独学で取得しなければその後の彼の人生はなかっただろう。

私は、彼に学歴は期待しない。だけど学力は身に着けてほしい。
いくら彼にとんでもない右手の力があろうとも、それを制御する理性
は持ってほしい。

それに・・私の彼にせめて普通の学力を持ってほしい。これて愚かな女の思い?
恐らく春には再度、転校し、長点上機という最高学府へ通う私の彼への押し付け?
いいや・・どうせこんな夢のような話が終わり、彼にも人生の転機がくる。
彼には少しでも選択肢をもってほしいのだ。
だから・・勉強なんてつまんないもので悩むのはもうやめにしてもらいたいのだ。

まず・・学習前に Mind Set が必要ね。
上条当麻の魂の声に触れてみよう。
すべてはそれからだ・・


美琴:当麻 勉強ははかどっている?
当麻:見てのとおり、順調ではないですよ。
美琴:そう・・ひとつ聞いていい?
当麻:いいけど 何?
美琴:当麻て勉強したい?そんなのどうでもいい人?
当麻:へ?
美琴:当麻には勉強できてほしい。だけど、当麻が本音は
勉強なんてどうでもいいなら
   私が当麻に勉強してほしいと思うことはすべて無駄になる。
   だから・・私は当麻の本音が知りたいの。
当麻:ふーんなるほど、美琴が言いたいことはわかった。
   でもさ・・美琴は思い違いしているよ。
   美琴みたいにやればできる。理解できる。満点とれる。なんて学生は一握り
   じゃないのかな。実際。
美琴:へ?   
当麻;いや別に開きなおるわけじゃないけどさ、美琴みたいに簡単にはいかないのよ。
   底辺の学生が、成績上げるのはさ・・
美琴:ごめん当麻 もしかして傷ついた?自分の価値観を押し付けつもりはないの。
   でも当麻に、龍の力を持つ当麻に勉強なんかやっても正直いまさら・
   やっても意味があるかどうか確信がないの。r
当麻:いや美琴はスゴイナ。そこまで考えているなんてさ。正直、いままでの俺は
  考えるより体が動くタイプで先の事なんて考えれていなかったかもな。
  でも龍の力てさ・・俺の力じゃねえよ。多分。そんなあやふやな物に
  将来を託すなんてリスキーすぎねえか?
  美琴はさ・・俺の右手に幻想抱きすぎなんだよ。
  仮にさ・・美琴は能力失っても別にどうにかなるだろう?
  素の御坂美琴でもさ・・十分食えるじゃなのか?
  複数の言語を流暢に話し、理工系で天才的な才を示す御坂美琴なんだろう?
  いや。。悪い、それは単なる言い換えだな。
  美琴、俺は勉強の重要性は理解しているよ。だけど、正直才はない。
  だから、お前の才を貸してほしい。
  これが俺の本音だ。だから教えてほしい。頼む。
美琴:ごめんなさい。私は、自分が勉強できる事で心がおごっていたのね。
   正直勉強なんて復習だと思っていた。
   でもみんながそうでないと気がつかなかった。
   当麻・・ありがとう。少しづつでもいい、つまづいてもいい。
   私と一緒に勉強やろう。
当麻:じゃ美琴先生、見捨てずに頼むな。よろしくできの悪い生徒だけど
   一生懸命するからさ。
美琴:う・・う 当麻て優しいのね。本当ありがとう。一緒にやろう。

正直怖かった。当麻の一番苦手な分野に切り込むのは。せっかく作った関係が
すべておじゃんになるかもと思っていた。
でも、やっと当麻の魂の声が聴けた。
価値観も生きてきた道も異なる他人が、同じ道を歩むことは決してやさしくないだろう。
だけど、魂を通わせれば、どんな艱難辛苦も乗り越えられ気がした。

僧正ありがとう。
私は、上条当麻の心を知ることができました。
彼の魂に触れることができました。
もう自分は一人じゃない、上条当麻と共に同じ道を歩みます。










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