とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part027

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第3章-07


過ぎたるは猶及ばざるが如し・・・論語 中庸

上条当麻は、彼女になりつつ女が毎日死線をさまよっている事を
今だ知らない。
その極限の戦いが、自分のためであるのも知らない。
力を手にするために、一度はアンフェタミンに手を出したことも、
ほぼ最強に近い女性が、力がないと思い込みその結果大変な
事をしでかしつつあることも一切気がつかない。

彼は、愛しい彼女に危機が迫りつつあることにも気がつかない。
彼の目には、彼女の笑顔がまぶしすぎた。
その笑顔は一切危機を感じさせなかった。

だが最終局面は近づきつつある。
彼女は巨大すぎる力を手にし、その為に重大な危機が迫りつつある。

    • 土曜日 19時 (デート前日)・・・

夕食を作り終え、一家3人の夕食を終え、皿を洗えば正直な話くたくただ。

いくら、ツリーダイアグラムⅡで演算能力の底上げを図り、それにより学園都市
のすべてのインフラを掌握できるとは言っても、仮想現実に自分の脳を埋没させ
る作業は、大脳を酷使する作業なのだ。1日16時間も続ければ、生体電流を
操作して活性酸素やファティーグ・ファクター(疲労物質)を急速に分解しても
それでも疲労が残る。

そんな体に鞭をうち独裁者との小競り合い、極限まで神経を酷使する生活。
正直な話もうやめたい。なぜこんな事を続けるのだ。
もう体全体が酷使に耐えかねている。あの8月21日に匹敵する、あるいは
それ以上の焦燥感にさいなまされている。

相手は、あの一方通行さえ駒として扱う、科学世界の首領。
一介の女子中学生がどうかするのは本来は大それた行為なのだろう。
だけど、自分が愛した彼が、アレイスタの手の平で、事情の知らされないまま
好きなように駒にされ、便利屋扱いされ、ろくな報酬も受けず、正当な扱いも
されず、使いつぶされている現状に、切れてしまった。
もう当麻を奴の好き勝手にはさせない。決めた。

すべてを投げ出し、常盤台を捨て、社会的な立場を放棄し、真相が明らかになれば
電磁的記録不正作出及び供用の罪(刑法161条2)違反で告訴される。
そんな経歴書に前科がつき、社会的に抹殺されるリスクを冒してまで
力を手に入れたんだ。

そこまでの代償を払った以上、勝たなきゃ意味がない。
そのためにアレイスタを目の前に引き釣り出す必要がある。
しかも、自分が優位に立ち、交渉を主導できるようにしなければならない。

具体的には、窓のないビルをこの世から消滅させ独裁者を白日の
元にさらすことだ。
それが一番他に犠牲がなく、一番目的に近い手段。
彼女はそう結論づけた。

窓のないビルを消滅させる。すべてはそれからだ。
彼女はもてる力を使い踠いた。

その結果、御坂美琴の学園都市のすべてを暴き、それを自分の力にする作戦は
終盤にさしかかっている。

まず接続が一番簡単な書庫を、とある事件のさいに入手した長点上機学園の
学年主任のバイオメトリック認証を使い乗っ取り、そこから入手した230万人のID
パスワード バイオメトリック情報を使用し、学園都市のあらゆる基幹システムの
乗っ取りに成功した。

特に脳波のデータが決め手であった。Sクラスの安定的なハッキングは脳波データ
をいかに再現できるかが決め手である。それをいつでも入手できるのは大きな
アドバンテージになった。能力だよりの強引なハッキングよりも、安定し
かつ確実なハッキング。それを突破口に、一番困難なツリーダイアグラムⅡ
の書き換えを行い、完全に手中にした。


全大気に存在する、約10の44乗個の大気分子をひとつひとつ演算を行い、
1年先までの地球上のすべての地点の天気を秒単位で予測する空前絶後
のスーパーコンピュータ。その制御を奪い、その演算能力を使用することで
たかだかレベル5の、超電磁砲しか打つことができないはずの少女は、とて
つもない演算能力を手に入れた。

その結果約5300兆トンの質量を有する地球大気に存在するすべての電子を
制御できる演算能力を手に入れた。

窒素分子を分解し、元素へ返還し、さらに電子と陽子を分離する。
その莫大な電子結合エネルギーを自在に動かし、あらゆる大気現象を操作する。
その大気で発生するあらゆる現象の励起、探知、観測。

究極は何万度に達するプラズマを瞬きする間に全球規模で作成し、
あらゆる生物・建造物さえ電離ガスへ焼き尽くす究極の破壊能力。

約6604万年前にメキシコ・ユカタン半島に墜落し、恐竜時代を終了させた
小惑星墜落さえ、小石の落下にすぎないと思わせる究極の力。

そんな1人の人間に身に余る過剰な能力。
それが、14才の電子操作能力以外は平凡な少女の人格で制御しえるだろうか?
少女にも窓のないビルの独裁者にも答えはない。
無論、上条当麻は何も知らない。
彼女の無力感、疎外感に気がつかない、無自覚な、鈍感な男に気がつくはずもない。
自分に向けられた、自分が助けた美少女の好意をすべて拒絶した男が気がつくはずも
ない。
自分の彼女が手に入れつつある莫大な力も、それがいかに魔神が
消滅した現時点で危険な存在かも。
彼女が自分が無力だと絶望し、力を渇望した本当の理由が、自分の右手の龍の力で
あることも当然しらない。

龍の力に並びたい。共に戦いという思いが生み出した莫大な感情、
    • 恋・・・の重さに気がつかない鈍感な不器用な、不幸を気取る少年に
何も気が付きはずもないのだ。と少女は思い込んでいた。

どんな手段を使っても、彼を知りたい、彼に追いつきたい、彼とともに必死に戦いたい。
彼女の必死な思いが、鈍感な上条当麻の心に大きな風穴をあけ、彼がいつも自分だけを
眺めていることを鈍感な、しかし優しすぎる彼女はまだ気がついていない。

そんな彼女は疲れ果て、ついに行動を開始してしまった。
彼女は今、後戻りができない道を一歩踏み出した。
独裁者の居場所、科学世界の伏魔殿、窓のないビルを破壊する。

少女は笑う。
ふふふ我ながら大それたことをするわね。
あの一方通行がさえ破壊できなかった。窓のないビル。
どんなテクロノジーか定かでないが、核ミサイルが直撃
しようが破壊できないビル。
そんなものに破壊する手段があるのだろうか?

だが・・11月にあのビルにヒビを入れた事件。その記録が
彼女に不可能を可能にする方法があることを気がつか
せてしまった。あのビルは、完全ではない。

気がつけば後は簡単な話だった。
あのビルは堅いのではない、ショックを分散して受け流し、衝撃を受けない。
素材自体の強度ではなく、ビルの柔構造で受け流す構造なのだろう。
美琴は、無人機、監視カメラと人工衛星を使いビルの構造を暴き出す。
冬には珍しい巨大な雷雨を発生させ振動させ、ツリダイアグラムⅡを使い、
ビルの構造図、仕様、素材、アブソーバーの構造を暴く。

そして21時 ついに爆砕方法の計算を終える。
戦力が乏しい自分に時間的な余裕はない。
すぐに実行を決断する。

複数個所に超高圧電流を発生させ、超高度プラズマを
発生させる。そのエネルギを集約しその中心に
太陽中心並みの約3000億気圧の莫大な圧力を発生させ
ビルにぶつける。あらかじめ計算したパターンに従って、
繰り返し複数波状的にビルに振動を与える。そのあとに
大気を操作し、太陽中心並みの数千万度の超高温
高密度プラズマで膨張させた後、一気に絶対零度に冷却し、
ビル自体のショックアブソーバを固定化させる。
そこへ1兆kw以上の高圧電流をぶつけると
ビル全体に亀裂が走りはじめ、ビル全体が軋み始める。
あの壊れないとされたビルがぎしぎしと、断末魔の
叫び声をあげ始める。

よし・・・今だ。美琴は決断する。

窓のないビル周辺数億トンの大気を圧縮し、1点に集約し
超新星爆発に匹敵する数千兆気圧の超高圧ジェットで
ほぼ光速に匹敵する大気の剣でビルを突き刺し、ビル
を原子の単位で粉砕し、ただのプラズマに変換させる。
        • 1秒後、窓のないビルは。。。素粒子へ還元され消えた。
科学世界の伏魔殿はあっけなく消滅した。










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