とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「困ったわね…」
御坂美琴の見る世界は上下逆さまである。
鉄橋の裏側に電磁石の原理で貼りついているからだが。(ジーンズだから出来ること♪)

そもそもなぜ彼女がここに居るかというと…。

数分前。
謎のシスターやらヨーロッパ中世史の授業でしか見たことのないような人間が
魔女裁判で使っているような変な道具を持ち出したかと思うと周りから人が消え、
爆風が吹き荒れ、建物が『音もなく』崩壊したからである。

超能力でもない上に人数が多すぎて太刀打ち出来ない。

その判断のもと美琴と滝壺は逃げたのだが。
「どうも捕まったみたいね……」
トランシーバモードにした携帯は何も言わない状態である。呼びかけにも応じず。

 そこにオルソラ率いる魔術師の本隊の精鋭30人が強襲し、美琴を無力化させるために人質にした滝壺を見せ付ける。
 友人を人質に取られたとあっては美琴も下手な真似は出来ないので大人しくオルソラ達に従い、彼女達の本拠地でもある廃病院へと付いていく。

「ごめんみさか。わたし、足手まといになっちゃって」
「気にしないで滝壺さん。友達じゃない、私達」
「ありがとうみさか」

 オルソラ達に拘束されて身動きが取れない滝壺と美琴、特に美琴は雷の発生を無効化させる術式が組み込まれた魔方陣の中に入れるという念の入れ様だ。
 二人が励まし合っていると、とてもこんなことを企てた張本人とは思えない雰囲気を持ったオルソラが現れる。

「実に美しい友情でございますわ。あなた達を見ているとすぐさま解放して差し上げたくなりそうでございます」
「そうしてくれると助かるわね。それで狙いは私? それとも当麻?」
「とうま、そう、とうまさんは私と運命を共にするのが必定なのでございます。それが私の求める理想なのでございますわ」

 話を全く聞いていないオルソラに美琴がイライラしながらも、しかし平静を装ってオルソラに言い放つ。

「運命? 必定? 笑わせないで。私と当麻の仲はね、絶対に切れないの。お互いに別れたり手離す気も無いくらいに愛し合ってるの!」
「ところで御坂さん、お願いがあるのでございますがよろしいでしょうか? どうしたらとうまさんから手を引いてもらえるのでしょう?」
「アンタ人の話聞いてないの! 私と当麻は愛し合ってるの! それがどうしたら別れる話になるのよ!」

 オルソラの超マイペースに怒り心頭の代わりに滝壺がオルソラの説得を試みる。

「こんなことしてもかみじょうは喜ばない。たとえかみじょうの体は手に入れられても心は手に入らない。かみじょうの心はみさかのものだから」
「滝壺さん……」
「実に美しい友情でございますわ。あなた達は素晴らしい友人同士なのですね。それで、どうすればとうまさんと別れるのでございますか?」
*1

 堂々巡りのやり取りに疲れた美琴と滝壺、そこにオルソラの部下と思しき魔術師が現れる。

「大変ですオルソラ様! こちらに何者かが向かって来ていると見張りから報告がありました!」
「まあまあ、とうまさんが私に会いに来てくれたのでございますわね♪ おもてなしをしなくてはいけませんわ」
「(何でこんな人がリーダーなんだろう……)い、いえ、相手は一人、茶髪の少年です。上条当麻と思しき少年は何やら揉めている様でやや後方に」
「そうなのでございますか? とうまさんのおもてなしの準備は継続でその茶髪の少年にはお引取り願いましょう」

 オルソラの指示を受けた魔術師は音も無くその場を去ると、茶髪の少年の始末へと向かった。

「みさか、もしかしなくてもはまづらかな?」
「多分ね。当麻も来てるみたいだけど、遅れてるなんて何かあったのかしら?」
「ではとうまさんが来る前にあなた達にメイクを施さなくてはいけませんわね。この油性マジックで華麗に変身するのでございますわよ♪」
「「イ、イヤーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」



 美琴と滝壺、二人の少女にオルソラによる顔にいたずら書き(本人はメイクのつもり)の魔の手がそこまで迫っていた。
 浜面から少し遅れた当麻、実は合流した海原と一悶着起こしていたりするのだがその理由とは……


「海原!!」「上条当麻!!」

「死ねええええええええええええええええええええええ!!」
「何でええええええええええええええええええええええ!?」

いつもと同じである。

「はいはい海原、そこまでだにゃー」
「すみません土御門さん、こいつを肉片に変えたらすぐに御坂さんの所に向かいますので!!」

「今はやばいぜい?美琴ちゃんのピーンチなんだぜい?」
「ううっ…」

「んじゃそういうことでカミやん以外テレポートだにゃー」シュン!!
「ズルイ!!」

上条の右手はどんな異能の力も打ち消してしまうのでしょうがないのだが…

「あれ?超イマジンブレーカーお兄ちゃんですか?」
「ん?この声はまさか…絹旗!?」

「超そうです。滝壺さんが超ピンチだと聞いて駆けつけました!!」
「絹旗~~!!」

突然後ろから抱きつく。

「ええ!!超大胆!?ちょっと浮気は超ダメです!!」
「俺が走るよりお前がぶん投げる方が早い!!いっそのこと美琴達の所まで飛ばしても構わない!!やってくれ!!」

「超任されました!!とりゃあああああああ!!」

上条の左手を掴んで思いっきり投げ飛ばす。

「あーーーーーりーーーーーーーがーーーーーーとーーーーーーーーよーーーーーーーーーーーー!!」

「はっ!!そういえば着地の事までは超考えてませんでした!!」

上条は慣れてるので大丈夫だという事は知らない。

テレポート中の土御門達

「にゃ?」
「どうしたの元春?」

「いや、何でもない。」
(カミやんの声がした気がするが……気のせいか……)

「あれ浜面はんやないの?」
「ん?確かにそうだぜい。結標回収だにゃー。」

「はーい。」

土御門達は知らなかった。自分達の上に上条当麻が飛んでいるとは………。


「ちょっ、やめてーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

首を動かし何とか顔を死守している美琴と滝壺、オルソラはゆっくり動いているため中々顔に描くことが出来ない。

「ちょっと動かないで下さいまし。」
「イヤ!!絶対お断り!!」

「絶対ヤダ。」
「仕方ありませんわね、皆さんでメイクして差し上げるとしましょう。」

シスター達の懐から油性マジックを取り出した。

「「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」

(当麻(はまづら)早く助けに来て!!)

とそんな時、空から降ってくる系の主人公(ヒーロー)が飛んでくる。

ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!と、

「上条当麻、只今参上!!」「「「「「「「「「「「「当麻(様)!!」」」」」」」」」」」」

「やっと来て下さいましたねとうま様!!今お茶の準備を!!」
「そんな事良いから早く美琴達を返してもらおうか。」

「ではお茶でも」
「だから美琴返せって言ってんだろうが!!」



 絹旗が投げた当麻によって大騒ぎになったことを受け、彼女は後悔する。
 しかしそんな絹旗に、同行していた対馬は好機だと彼女を励ます。

「あれだけ派手な音を立ててくれたら敵の目も自然とそちらに向くわ。だから絹旗、あなたの取った行動に間違いは無い、大丈夫よ」
「励まし超ありがとうございます対馬さん。じゃあ私達は予定通り、超幻想殺しお兄ちゃん達が戦いやすいように」
「ええ。御坂美琴さんとあなたの親友の滝壺さんの救出よ。隠密性に優れた天草式の力、見せてあげるわ」

 当麻が投げ飛ばされた方向とは逆側から廃病院へと侵入しようとする絹旗と対馬。
 しかし対馬が何かに気付いたのか、動きを止めて絹旗に身を潜めるように促す。

「一体超どうしたんですか? もしかして敵の超待ち伏せですか?」
「……その方がはるかにマシね。参ったわ、よりによってあの人まで……いや、むしろ必然というべきかしら」
「対馬さん、説明を超求めます! 一体何が超あったんです?」

 絹旗から急かされた対馬は、対象物に気付かれないようにそれを指差す。
 指差した先には幾つもの眼球が宙を浮かんでいた。

「うわっ、超不気味です! 対馬さんはあの目玉達と超知り合いなんですか?」
「あの目玉達とは知り合いじゃないけど、それを作った人なら知ってる。でも説明は後。あの監視を掻い潜りましょう。付いて来て」

 対馬の後を決して離れず、しかし迅速に眼球達の監視を潜り抜けて進む絹旗。
 その頃、その眼球達を造り出した張本人は当麻達の侵入を確認すると、楽しそうに口元を歪める。

「おやおや、思ったより早い出番になりそうだね。動機はこの上なくしょうもないけど、それなりに楽しめそうだ」

 そう呟いたのはかつて学園都市に単独で乗り込み、戦争の火種を生み出そうとしたシェリー=クロムウェル。
 本当ならこんな下らない茶番に付き合う気は無いが、オルソラに頼まれて仕方なくでも付き合う辺りは律儀である。

「さあ始めようじゃないか! 小さいながらも苛烈な戦争をさぁ!」

 本人は最初から科学と魔術の戦争なんて考えていないが、久々に腕を奮えるとあってノリノリである。
 人型のゴーレムを生み出し、シェリーが戦いに身を投じる(エリスだと大きすぎるので断念)。


なぜシェリーが参加しているかと言うと…
オルソラが『とうま様を手に入れるために戦いに行きますわよ。』と聞いてしまって、シェリーが『面白そうだから手伝うよ』と言ったからである。





一方、土御門達はというと…

「やっと着いたにゃー」
「なンか中ですごいことになってねェかァ」

「本当ですわね。いったい中で何が起きているんでしょうか。」

土御門達が着いた時、廃病院の中からは爆風が吹き荒れ、爆音が聞こえたからだ。
その頃、廃病院の中では……

「「オラオラオラア!!!!!!」」
上条と浜面が大暴れしていた。

この二人、暴れ出すと異常に強くなるらしい。
浜面に至っては…
「おい浜面!なんで拳銃なんか持ってんだよ!?」
「護身用だ護身用!それにゴム弾だから問題ねえ!!!」
ご愛用の拳銃をご持参♪
ゴム弾を持っているのは滝壺が「はまづら、私のために戦ってくれるのはうれしいけど刑務所にでも送られたらシャレにならない。」
と言ったからである。

「問題大有りだろーが!!!!」
「うっせえ、敵とは言ってもシスター殴り飛ばしてる野郎に言われたかねえ!!!!」

「ところで美琴は!?」「滝壺は!?」

「当麻!!」「はまづら!!」

魔方陣の中にいる2人

「よし!!待ってろよ!!」
「おい!!浜面待て!!」

浜面は魔術に関してはど素人、しかもこの時浜面は滝壺救出で頭が一杯で彼女がその場から動こうとしないことを疑問に思っていなかった為、

「うぎゃ!!」

壁に激突するような形になってしまった。

「はまづら!!大丈夫!?」
「な、何とか……でも何かこの床に描いてある変な模様のせいで見えない壁が出来てて助け出せねえ!!」
「浜面、ここは俺に任せろ。」

上条当麻の右手が魔方陣に触れる。パキン!!と、何かが割れる様な音がした。

「これで大丈夫だ。」
「おお!!上条スゲー!!」

美琴、滝壺を見事救出!!

「感動の再会ってやつはまだ早いんだよ! 幻想殺しとおまけの奴!」
「「グアッ!!!」」

 当麻と浜面は自分の恋人達を無事に救出したかに思われたが、突如現れたシェリーと彼女が造り出した人型ゴーレムに再度引き離されてしまう。
 その際、オルソラの近くに控えていたシスターと魔術師によって手際良く再び囚われてしまう美琴と滝壺。
 シェリーが現れたことにも驚いた当麻だったが、彼女が操るゴーレムがエリスではないことにも驚いていた。

「シェリー! あんたがどうしてここにいる!」
「ちょっとオルソラに頼まれたのさ。最初は乗り気じゃなかったんだけどねぇ。けど動機は何であれ、久々に戦争……もとい戦えるんだ! 私が居たって不自然じゃないだろ!」

 シェリーが高らかに声を上げると同時に人型のゴーレムが当麻に鋭い攻撃を、しかも右手の死角から繰り出す。
 かわしきれず一撃をもらった当麻は吹っ飛ぶが、すぐさま態勢を立て直してゴーレムを見て動きが止まった。

「……気のせいか? そのゴーレム、どっかで見たことあるような気がするんだが……」
「そりゃあそうさ。こいつはあの土御門をモデルに製作した『モトハル』だからね。だけど似てるのは外見だけじゃない、スピード、戦闘力もあいつに近いのさ!」
「なっ! そ、それはちょっと反則だぞ! つーかそんなゴーレム作れるのかよ!」
「細かいことを気にする奴だな。私もここまで再現されて驚いたけど、土御門の『土』の部分が私の魔術と相性が良かったんだろ」

 滅茶苦茶な理論に泣きたくなる当麻だったが、それでも愛する美琴のために引くわけにはいかない。
 当麻がモトハルと戦ってる間に浜面がシェリーの横を通り抜けようとするが、

「悪いんだけどさぁその他大勢、村人A、やられキャラのお前。私を無視して女を救出なんて甘いんだよ!」
「うわっ! でかっ! つーかさっきから失礼だぞ! 俺には浜面仕上って立派な名前が」
「あー、どーでもいい。お前も幻想殺しと一緒にモトハルの相手をしてろっ! もしお前らが勝ったらてめぇの名前、覚えてやるよ」

 シェリーが造り出した巨大な手の一撃に阻まれてしまう。
 浜面は自分の扱いの酷さに憤慨しつつも、再度襲ってきた巨大な手に当麻の居る所まで飛ばされてしまう。
 当麻&浜面VSモトハルの戦いが本格的に始まったことを確認すると、シェリーは土御門たちの対処を始める。

「さて、あの二人はしばらくはモトハルに釘付けだな。問題は土御門だ。あいつに正攻法は愚策だからね。人をおちょくるくらいが丁度いい」
「シェリーさーん。もうしばらくとうまさんとおまけさんの相手をお願いするのでございますわ。私はこの二人にメイクをしなくてはいけませんから」
「分かった、ゆっくりやんな。そんで愉快なメイクを頼んだよ。さて土御門とおまけ共、私のトラップだらけのこの廃病院。じっくりと味わいな」

 そしてシェリーは自分の居る階以外のトラップを全て起動させる。
 土御門一行の前にシェリーが対土御門用に考えたトラップの魔の手が襲い掛かる!

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注釈

*1 つ、疲れる人……