とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ 不幸と書いて……



 冬の休日の(上条専用)補習も終わり、今日も(望まない)不幸を満喫していた。
「制服が泥だらけになったと思ったらスーパーの特売日であることを忘れ、何か買って帰ろうとしたら財布を忘れた。不幸だ」
 もっとも日常茶飯事のことなので、今更だと思うがこればっかりは一生なれない。いや、慣れないで欲しい。
 泥だらけの制服を脱ぎたいが、不幸なことに今日は今年最低気温を更新したと言っていた。もっとも『樹形図の設計者』(ツリーダイアグラム)がない今、天気予報は嘘っぱちにしか聞こえないが、色々と問題を起こす発言なので黙っておく。
「せめて、ひと時でも不幸を忘れられるイベントがあれば…はぁー」
 鬱だ、と上条は大げさに肩を落とした。
 そして、適当に歩いているとよく見る自販機の前に着いていた。
「何か飲もうにも、ここじゃ買いにくいな」
 商品の中にはホットも含まれている。冷たくなった身体には嬉しいのだが、この自販機ではどうにも買う気になれなかった。
 その理由は……
「ここで買って、いい思いをしたことがない」
 誰に言うでもなく上条は言った。
 なんだかんだでこの自販機には面倒を浴びせられている。大体がお金を飲み込まれたというあまりにも情けないこともあったのだが、彼女の真似をしてみたときは大体、ブザーが鳴ったり一番出て欲しくない『いちごおでん』が出てくる。
 つまり、この自販機にはとことん不幸に見舞われているのだ。
 上条は自販機を睨みつけると、大げさにため息をついた。
「……不幸だ」
 不幸指数が限界突破寸前だと言うのに、不幸になる自販機(上条、命名)の前にやってくると言うことは何かしらの不幸があることだと、上条は予測した。
 そして多分……自販機・上条当麻と来たら、次に来るのは…
「ちょっと、そこの不幸なアンタ。何突っ立ってるのよ」
(……やっぱり、不幸だ)
 御坂美琴がこの場面に登場するのは予測済みだが、こうも綺麗にいくと糸か何かで繋がれているようにすら感じた。その一部である美琴は相変わらずだったことに、上条はまたため息をついた。
「アンタ、またそんな顔して何かあったの?」
「ええ。上条さんは今日も不幸に付きまとわれて自分がどれだけ不幸な男なのか実感して…って!いきなり俺は何を言ってるんだ!!」
 「言ってて悲しい!!!」と上条は自爆して、その場に座り込んだ。
 対する美琴は「今更何言ってるのよ」と上条を横にどかし、いつものポジションに着くと、ちぇいさーっ!と自販機の側面に上段蹴りを叩き込んだ。
 ズドン!と轟音がなると、あとは何食わぬ顔で落ちてきたジュースを取り口から取った。
「それで、なんでアンタがここにいるの?」
「さぁー?上条さんはなんでここにいるのでせう?」
「……まあいいわ。細かいことを気にしてても、不幸がやってくるだけだしね」
 言われて上条は泣き出しそうになったが中学生に泣かされる高校生なんて、笑えないことを後世に残したくないので泣かないように耐えた。もっとも、不幸を指摘されただけで泣き出しそうな高校生というものは残るかもしれないが、あえて上条は見ないふりをしておく。
「それで、アンタは暇?」
「?暇といえば暇ですが、今日も不幸です」
 不幸を強調するあたり、自暴破棄気味になっているような気がしたが気づかないでおく。
(今日の上条さんは、○曜日ではなく不幸曜日という新しい曜日を作りたいほど不幸だ)
 一体、どんな曜日かは察してください(心の中で補足)
「な、ならさ……少しだけ。少しだけでいいから!……話さない?」
「???別にいいけど…顔を真っ赤にしてどうしたんだ?」
 美琴の変化に気づいた上条は(熱でもあんのか?)と美琴の額に右手(電撃防止のため)を伸ばした。
「………んー、熱い気はするんだが熱があるまではわかんねえな」
 人の体温を測ることなんて滅多にないのだから仕方ないか、と上条は思ったが、それでも(本当に熱があったら)と思わずにはいられなかったので
「とりあえず、寮まで送ってやるよ。本当に熱があって倒れられたら困るからな」
 と、上条は美琴の手を掴んで寮の方向へと引っ張っていこうとした。が!
「ふにゃあぁぁー」
 立て続けの上条ワールド(美琴、命名)と気を緩めていたことが原因で美琴の意識は途絶えてしまうのだった。

 その後、気絶した美琴を放置できなかった上条がおぶって寮に送ったことが、しばらく大きな話題になったのは別のお話で。
 そして、これが原因で上条と美琴がさらに接近することになったのもまた別のお話。
 ちなみに、上条はこの日の出来事をこう振り返った。
「不幸と書いて、幸か不幸かわからないと読む」
 何か違う気がするかもしれないが気にしないでおこう。


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