とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ 体温



ここはとある寮のとある一室。上条当麻の住む部屋だ。
そしてその部屋には、上条と彼の彼女、御坂美琴がいた。

「ねえ、ねえ。アンタの部屋って炬燵とかないの?」
とてもお嬢様とは思えない発言だが、一応これでも炬燵というものを体験したことがないらしい。
しかし、生憎ながら上条の部屋は狭く、炬燵の置き場なんて存在しなかった。
この前来た両親からの手紙から、いつもは実家に送ってもらったり、返したりしているようだ。
「んー、じゃあ実家から早く送ってもらうよう頼んでみるわ」
「それじゃあ遅くない?だって今寒いんだもん」
「あのな、貧乏学生の上条さんはエアコンを買う金も使う金も持ち合わせておりませんことよ」
「だって寒いじゃない。どうかにかしなさいよ!」
「あのなー」
季節は冬。上条の部屋にいても、寒さが滲み出てくるような気温だった。
普通、他の家ではエアコンに炬燵、さらには学園都市最新の暖房器具で暖まっていることだろう。
しかし、ここは上条の部屋。
寒さを凌げる炬燵の置き場も無ければ、エアコンもない。まして最新設備とかはもっての他だ。
なので上条の部屋は寒かった。
「仕方ないだろ」
「ふーんだ」
美琴はベットから毛布を取り出すと、むーっとふくれっ面をして上条を睨んでくる。
「じゃあ、その毛布で我慢してくれ」
「毛布だけじゃ寒いわよ!」
上条は何をそこまでこの部屋にこだわるのかと思う。そんなに寒いのなら、最新設備の整った常盤台の寮に行けば良いのに。
と美琴を見つめていると、顔が若干赤い気がした。気のせいならいいのだが、風邪でも引いてもらってたら大変だ。
なので上条的にやんわりと、美琴を寮に帰そうとする。
「なあ、毛布被ってもそんなに寒いんだったら一旦寮に帰らないか?お前に風邪引いてもらっても、ぐぶふぁ!!」
上条が言い終わる前に、美琴は上条にタックルをかます。上条は美琴を抱きしめるように、タックルを受け止める。
「ねえ、それってあんまりにもデリカシーないんじゃない?」
「?」
「はあ、もういいわ…。ん、温かいわねアンタ」
なにを考えたか美琴はそう言うと、急にタックルをした状態から、上条に身を摺り寄せてきた。
上条の腰に腕を回し抱きつくと、幸せそうな顔をになる。
上条はその美琴の匂いとか感触とかで心臓が高鳴ってしまう。
「お、おい、おい…」
「いいじゃない別に。減るもんじゃないでしょう?」
「…………」
「…何よ?」
「あのですね。そうやられると、わたくし上条さんのリセーメーターが減って…」
「リセーメーター?」
「みさ、…美琴さんを襲いたくなっちゃうなー、なんて」
8割冗談2割本気のつもりで上条は言ってみた。照れ隠しも含まれている冗談だ。
しかし、美琴には10割本気のように聞こえてしまった様で、顔を真っ赤にして慌てた。
上条の腰辺りで美琴は暴れる。
「ななななな、何てこと言うのよアンタはっ!?」
「わ!?ご、ごめんなさい御坂さん!!」
「…………」
「み、御坂さん?」
「……み、美琴って呼んでよ……」
「え?は、はい美琴さん」
「…そ、それでもね」
「はい」
「あ、アン…と、当麻ならかまわないっていうか……なんていうか…」
「へ?」
「ああ、もういい!!」
美琴は機嫌を損ねたのか、顔を上条の反対の向きに向ける。
しかし、それでも上条との密着状態は保たれたままだ。
暫く、美琴は黙ったままだったが落ち着いたのか、ゆっくりと口を開いた。
「熱い」
「ん?暑いのかじゃあ離れれば…」
「違うの!…熱いの。それに離れるなんて、やだ」
「…じゃあ、どうすればいい?」
「と、当麻のしたいことすればいいよ」
美琴はそう言って、上条の胸に顔をうずくめる。
上条は自分の心臓の鼓動が聞かれてしまうので、少し焦ったが、右手を伸ばして美琴の頭を撫でた。
「ん、これがアンタのしたいことなの?」
「悪いか?」
「………悪くない」
そして上条はちょっと恥ずかしかったが、ちゃんと今の思いを言葉にしてみる。
「好きだよ、美琴」
「なななな!?、なんでそんなこといきなり言うのよ!!」
「言ってみたかっただけ。とかじゃダメか?」
美琴は顔を信じられないほど真っ赤にして、俯く。
「…バカ、ばか、」

美琴はそう言いながら、上条を抱きしめる力を強くした。上条もそれに答えるように、苦しくならない程度に力を強くする。
その後二人は長い時間抱き合っていたが、美琴は疲れてたのか、ゆっくりと上条の腕の中で眠りに入っていった。


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