とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part021-2

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木漏れ日


 上条らがボートから上がる頃、太陽は中天に達しようとしていた。
 日向の気温も上がり、日差しもかなりきつく感じられる。

「とうま、みこと、くろこ、おなかがすいたんだよ!」

 インデックスのお腹もランチタイムを告げた。

「よし、お昼にするか!」
「たくさん作ってきたから、遠慮しないで食べてね。インデックス」
「わあい。うれしいな、みこと!」
「お姉様、もしかしてそのサンドウィッチの量は……」

 ピクニックラグの真ん中に、バスケットを置き、中のサンドウィッチの包みを広げた。 

「はい、これ飲み物よ」

 美琴が手際よく、ペットボトルを配る。
 その横で白井も甲斐甲斐しく、おしぼりを用意したりして美琴の手伝いをしている。
 インデックスがバスケットをまるまる一つ抱きかかえるようにして、中を覗き込んでいる。
 上条は、そんな心和む光景に目を細めていた。

「では、いただくとしますか」
「「「いただきます」」」

 その声と同時に、インデックスが、両手をバスケットに突っ込み、がばっと中身をつかみ出す。
 両手に持ったサンドウィッチを、いかにも幸せそうな笑顔で、もぐもぐとパクつきだした。
 彼女の旺盛な食欲に、白井が目を見張る。
 上条と美琴が、判ったかといわんばかりに白井の顔を見やる。

「お姉様に上条さん、この白井黒子、よくわかりましてよ……」

 白井は、学園都市の新たな都市伝説を目の前にしているように思った。
 インデックスはやがて、バスケット一杯のサンドウィッチを平らげると、次のに手を伸ばしている。

「早くしないと、全部食べられてしまうぞ」

 上条の声に、ふと我に返り、あわてて自分の分を確保しようとする白井。
 食欲魔人と化したインデックスの迫力に押され、もうすこしで我を失うところであった。
 気が付けば、2つ目のバスケットも既に半分以上が消えていた。

「さすがみことが作ったサンドウィッチなんだよ!」
「インデックスさん、わたくしもお手伝いをしておりますの」
「くろこもありがとうなんだよ。本当においしいんだよ!」
「貴女にそう言われるとは光栄ですの」

 気が付けば、風に乗って、どこからかバーベキューの香ばしい良い匂いが漂ってくる。
 上条がその匂いに食欲を刺激され、思わずごくりと喉を鳴らしながら言った。

「ああ、ここ、バーベキューも出来るんだな」
「今度はバーベキューがいいかも!」

 同じく食欲中枢を刺激されたインデックスが、次回の開催に、期待をつのらせる。
 そんな2人を前に、美琴と白井は呆れたように、やっぱり似たもの同士なのねと顔を見合わせていた。
 今度はもっと参加者を増やそうか、という上条の提案に、4人はわいわいと楽しげに話題を重ねていく。
 そこには紛れもなく、非日常ながらも平和な世界が広がっていた。


 昼食を済ませ、気分も落ち着いた上条は、頭上に枝を広げる大木の根元に腰を落ち着けた。
 緑の濃淡を散り混ぜたような枝葉が茂って庇となり、強い日差しから防いでくれている。
 木陰を吹き抜ける風が涼やかで心地よく、日頃の疲れを癒してくれるようだ。
 太い樹の幹に抱かれるように背中を預けていると、徐々に目蓋が落ちていく。
 誰かが左胸に寄りかかっているのか、身体の重みと体温が伝わってくるが、もはや目を開ける気力すらない。
 トクントクンと規則正しい彼の心音が、相手の身体に伝わっていくのもわかる。
 髪から漂う、ほのかに甘い、爽やかな匂いが、ますます上条の意識を深く落としていく。
 そこにはインデックスが彼の左胸に寄り掛かり、懐に抱かれるようにして眠っていた。
 上条の顔は、余分な力みが抜けているのか、少し抜けた顔をしている。
 インデックスは、上条を信頼し安心しきっているような、可愛い笑顔を浮かべて眠っている。
 強い絆に繋がれ、何者にも引き離されることのないように、2人はいつのまにか手を繋いでいた。
 眠っている二人へ、時折スポットライトのように木漏れ日が当たり、その世界を照らす。
 これまで2人は互いに手をとりあって、戦い抜いてきたのだと感じていた。
 その姿に魅入られたように美琴は、身じろぎもせずに2人を見つめている。
 やがて彼女は、隣に座って同じ2人を眺めている白井に、いつしかその心のうちを明かし始めていた。

「私、どうしたってこの2人の間には入って行けないのよね」

 ポツリと零れた、美琴の思いもかけない言葉に、白井の表情が凍りついた。

「この2人は兄妹のようなものなのよ。たしかに私は当麻の恋人だけど、この間に割り込むことは出来ないし、したくない」
「お姉様……」
「ね、黒子。この2人を守るためなら、どんなに辛くて大変でも、私は戦えると思うの」
「なぜお2人……なんですの?」
「当麻はね、インデックスがいないと笑顔になれない。当麻の笑顔を守るためには、インデックスの笑顔も守らなければならないの。
私、そんな大変な男に惚れちゃったんだ……」
「ッ……」
「私はこの2人が、どんなところで、どんな敵と戦っているのか、詳しくは知らない。そしてそれは、私達の想像もつかない過酷な世界なのよ」

 美琴が思い出したのは、ロシアで見た得体の知れない力で動く巨大な空中要塞。
 自分が伸ばした手を振り払って、その中へ消えていく上条の後姿。
 今でもたまに夢に見て、夜中に飛び起きることだってある。

「黒子も覚えていると思うけど、去年の9月1日に起きた、地下街でのテロ騒動ね」
「ええ、覚えておりますわよ、お姉様」
「当麻は、あんな能力者や化け物たちを相手にしているみたいなの。あれでも大した事は無いらしいのだけどね」
「あれで……、ですの?」

 白井が思い出したのは、ゴーレムと、シェリー=クロムウェルが起こした事件。
 あの時、ゴーレムの手に摑まれた白井を助けたのは、美琴の放った『超電磁砲』だった。

「私、何度も何度も当麻に手を伸ばし続けて、やっと今、その手が届いたの。
でも当麻は必要だと思えば、私の手を振り払ってでも、戦いに行ってしまうのよ。恋人の私を置いてでもね」

 美琴の肩が、微かに震えている。

「だから、当麻が私にその手を伸ばしている間だけは、私は当麻の手を取り続けるわ」

 白井はそんな美琴に声をかけることも出来ず、ただじっと彼女の横顔を見ているしかなかった。

「多分私はこれからも、真直ぐに当麻を見て、必死で走り続けるしかないの。私、当麻の足手纏いには、絶対になりたくない。
少しでも当麻の力になりたい。たとえ一瞬でも当麻の笑顔を見ていたい。当麻の隣が私の居場所だって思っちゃったから。
だからこそ、私は当麻のために強くなる。当麻が止めたって、絶対に私は当麻の横にいるって決めてるの。
こんな、馬鹿で、ボンクラで、女たらしで、だけど強くて、底抜けに優しくて、いつも私を助けてくれる当麻を守りたい。
私が、当麻の帰る場所になってやるんだって決めたのよ。
だからこれからの私は、アンタを相手にしている暇さえないかもしれないけど……それでもいい?」


 美琴が、黒子に向き直る。彼女の目尻に、きらりと光る滴が見えた。
 自分の全てを投げ打ってでも、愛する男を守り、愛しみ、並び立つための決意の泪。
 黒子も真剣な目で、美琴の顔を見返す。

「――お姉様、わたくしはお姉様さえ幸せなら、一向に構いませんの。でもお姉様は、それで幸せになれますの?」

 彼女も、敬愛する人に並び立つためなら、今は全てを投げ打っても良いとあらためて覚悟を決めた。

「ええ。私は幸せよ。愛する人と、ずっと一緒にいるのよ。彼の一番の笑顔を見られるのなら、私は誰にも負けないもの」

 美琴が白井に見せた笑顔は、これまで彼女も見たことの無い、愛する人のために戦う乙女の笑顔だった。

「ならばわたくしも一緒ですの。黒子はお姉様の背中を追いかけて、お姉様の横に並び立つために戦えますわ……」

「――それとお姉様。わたくしも上条さんの笑顔を、少しなら見てみたいと思うようになりましたのよ……」
「黒子!――アンタ、もしかして……」
「――ご心配いりませんの、お姉様。お姉様がご覧になりたいと思うものを、わたくしも一緒に、と思っているだけですから」
「そう。なら良いけど、もしアンタも当麻のことが……」
「お姉様!わたくし、これでも分というものはわきまえておりますの。それに……」

 白井が美琴から目を背けるように、視線をはずして横を向いた。
 ふっと遠くを見るような目になり、木立の向こうを眺めながら言葉をつなぐ。

「実はボートの上で、わたくし、上条さんに聞かれましたの。
『御坂美琴と、彼女の周りの世界を守れているか』と……」

 美琴が息を呑んだ。

「わたくし、もう憎たらしいほどに、とお答えしましたのよ……」

 白井がついた小さな嘘。
 あの時、彼女が出来たのは、小さく頷くことだけだった。
 何も言えず、上条の目を見つめながら、こっくりと頷くことしか出来なかったのに、彼女はそれを美琴には言わなかった。

「――そうだったんだ。黒子、本当にいつもありがとうね」
「いいえ、お姉様。わたくしの方こそ、いつもお姉様に支えていただいてますわ」
「なら、これからも、私のことお願いするわね、黒子」

 そう言うと、美琴は白井に向かい、右手を差し出した。

「お姉様も、黒子のことをよろしくお願いしますの」

 白井も美琴に向かいそう返事をすると、差し出された右手を同じく右手で握り返す。
 その手を取りながら、白井の胸はまだ微かに痛みを感じていた。
 彼女はその痛みを、美琴のために、今は胸の奥底に押し込めておくことにした。


「さすがに今日は、ちょっと疲れちゃったわね」

 美琴がほっと一息ついたように小さく笑った。
 それに釣られるように、白井も笑みをかえす。

「私も一緒に寝ちゃおっかな……」

 美琴はそう言いながら、上条の横へにじり寄ると、その右腕に抱きこまれるような形で、彼の体に寄り掛かる。
 ちょうど上条は左腕にインデックス、右腕に美琴を抱くような体勢になっている。
 まさしく両手に花の状態だ。
 それでも彼は気付かずに、そのまま眠り続けていた。

「ほら、黒子もここへおいで。でも変なことしたら許さないからね」

 美琴が白井を手招きし、自分の懐へ彼女を抱き寄せた。

「お姉様ぁぁ……」

 白井が、美琴にそっと寄り添い、甘えるように彼女の胸に頬を擦り付けた。
 美琴に小さく、こら、と叱られて、彼女はえへ、と小さく笑った。
 やがて白井は、美琴に寄り掛ったまま、安らかな気持ちで、すぅっと眠りについた。
 一方、美琴は上条に抱かれながら、気持ちがゆったりと落ち着いていくのを感じていた。
 少し視線を上げたところに、上条の顔がある。
 キスでもしない限り、こんな近くで彼の顔をまじまじと見ることは無い。
 恥ずかしさで顔が赤くなるのを感じながら、それでも彼の顔のパーツ、一つ一つをその目に焼き付けた。
 目を閉じても、上条の顔がわかるように。
 いつでもどこでもどんな時でも、彼の顔を思い出せるように。
 やがて美琴は目を閉じ、上条の体温を感じ、彼の心臓の鼓動を子守唄にして眠りについた。
 4人が寄り添って眠る木陰を、気持ちよく涼やかな風が吹き抜ける。
 揺れる枝葉の間から、時折差し込む、揺らめくような木漏れ日の光が、風に冷まされる彼らを、ほどよく温めてくれている。
 その間、4人の周りにある何もかもが、彼らを愛するようにやさしく包み込んでいた。


 上条の意識がふんわりと、深遠から浮かび上がってきた。
 彼が両手を動かそうとしても、身動き1つ取れなかった。
 ぼんやりした頭で、自分の体の様子を見ると、左手にインデックス、右手に美琴を抱くようにして樹にもたれていた。
 白井は美琴に寄り添うようにして、安らかな寝息を立てている。
 上条は周りに目をやってみたが、幸い近くに人気は無い。
 そもそもこんな光景を見られたら、好奇、羨望、嫉妬の視線が襲い掛かるのは間違いないだろう。
 いつの間にこんなハーレム状態になったのかと思い返すが、さっぱり記憶に無い。
 ま、いっかと思いながら、両腕に抱く2人の顔を眺めた。
 彼を信頼し、安らかな表情で眠る少女らを見ていると、胸の中に、ほっこりと暖かな気持ちが込み上げて、自然と笑顔がこぼれる。

「――守ってやらないとな……」

 ふっとそんな言葉が口から突いて出た。
 特に意識したわけでもなく、自分の口から自然にそんな言葉が出たことが、上条には驚きだった。
 何かを守るということが、自分の中に確立されていることに気付き、それがなんとも嬉しく誇らしかった。
 これまで何も無い、ただ失うだけの不幸な自分の人生に、守るべきものが出来たということが、彼に大きな喜びを与えている。
 やがて上条は目を閉じて、彼女らの身体の重みと体温の温みを感じながら、それが幻想でないことを願っていた。
 彼はいつしか、ふわりと吹き抜ける風の爽やかさと、時折当たる木漏れ日の暖かさを味わっていた。
 木漏れ日の光が、まるで主役にあたるスポットライトのように、彼と彼女らを照らしている。


 いつの間に眠ってしまったのか、上条の意識がまたうっすらと浮かび上がる。
 体に感じていた重みと温みは既に消えていた。
 やはりあれは、初夏の陽気にあてられたひと時の夢だったのか。
 聞こえたいるのは、なにやらこそこそと囁くような女の子らの小さな声。 
 やがて両方の頬に、軟らかく、温かなものが、一瞬押し付けられたのを感じた。
 意識がはっきりと戻らず、もうろうとした状態で、目を開けようとする前に、今度は唇に柔らかな感触を覚える。
 あわてて目を開けると、ぼんやりした目の前に、真っ赤になった恋人の顔があった。

「み、みことぉ……?」

 何があったのか分かったときには、上条の顔も真っ赤になっていた。

「め、目覚めのキス……だけど……」

 美琴が真っ赤な顔をして、恥ずかしげに俯いている。
 インデックスと白井が、赤い顔をして、ニヤニヤと左右から2人の顔を見ていた。
 どうやら両頬にキスをしたのはこの2人の仕業のようだ。
 一体これはどういうことなんだと、上条は必死で考えたが、どうしてこんな嬉しい状態なのかがわからない。

「――この嬉し恥ずかしな超絶イベントは、一体なんなんでせう?」

  そう聞いた時、3人が頬を赤く染めたまま、口を揃えて上条に言い寄ってきた。

「ね、私のこと、守ってくれるんでしょ!」
「私も守ってくれるのかな?」
「わたくしも守っていただけるのですわね!」
「――お、お前たち、聞いていたのかああ!!」

 さっきの呟きを、しっかり聞かれてしまった。

「は、恥ずかしいけど、不幸……ではないな?これは……」

 上条の顔に、ふうわりと光が差し込み、きらきらまばゆくて目を開けていられない。
 その光に包まれる彼女らの顔も、同じように輝いて、眩しいくらいの笑顔なんだとだけわかった。


 太陽が西の空へと移り、その周りが薄く緋色に染まるつつある。
 日向の熱気も冷めて、涼やかで気持ちの良かった風も、少し肌寒く感じられるようになっている。
 木々の緑もその色に陰りを帯びるようになり、やがて訪れる、闇の色を加えはじめていた。
 木漏れ日のスポットライトも、徐々にその明るさを失っていく。
 遊びに来ていた学生達のグループは、いつのまにか減って、代わりに夕陽を見ようとするカップルの姿が増えている。

「さあ、そろそろ俺たちも帰るぞ」

 片付けを済ませると、自然公園を出て、帰りのバスに乗る。
 さっきまでのおちゃらけた雰囲気も、全て公園を出たときに置いてきた。
 夕暮れにはまだ間があるとはいえ、美琴と白井には門限もある。
 特に美琴には、そうしょっちゅう門限破りをさせるわけにもいかない。
 常盤台女子寮前のバス停で降りたときには、日はすっかり傾き、ビルの陰にその姿を隠していた。

「じゃ、俺たちはここで……」
「みこと、くろこ、今日はありがとうなんだよ!」
「どういたしまして、インデックス。それで当麻、お別れのキスは……?」
「お姉様!寮の目前でなんてはしたない!寮監に睨まれますわよ!」

 もはやいつもの日常の世界へと戻って来ていた。

「じゃ、また明日な!」
「また明日なんだよ!」
「2人ともまた明日ね!」
「上条さん、インデックスさん、ごきげんよう、ですの!」

 美琴と白井が手を振りながら、寮へと帰っていった。
 上条も、インデックスと2人、手をつないで帰っていく。
 いつからか上条には、左手でインデックス、右手で美琴の手を取る癖がついていた。
 右手で美琴の手を取るのは、電撃避けの理由もあるが、そもそも彼の右手は戦うための右手だ。
 上条は、美琴から手を離しても、彼女なら1人で戦えると思っている。彼女なら、自分の背中を任せられると信じて止まない。
 もし、自分がインデックスの手を離さざるをえなくなったとしても、彼女が自分の代わりにインデックスを守ってくれると信じている。
 一生懸命に走り、手を伸ばし、彼に追いつかんとやってきたからこそ、上条は、美琴が伸ばした手を取った。
 これから自分達がどこへ向かうのかはわからないが、それでも美琴となら、どこへでも行けると確信していた。
 赤い糸をも断ち切るとも言われた、この右手が作った絆を、今は大切にしていくのだと決めている。
 どんな自分をも受け入れてくれる彼女だけが、自分の居る場所であり、帰る場所なのだから。

「――インデックス、晩御飯どうしようか?」
「むぅ、今日はとうまのつくるご飯で我慢するんだよ」
「なんですか!?その仕方ないと言いたげな口ぶりは?」
「だって、みことのご飯の方が、とうまよりずっとおいしいんだよ?」
「お昼に美琴のサンドウィッチを食べたろうが!」

 インデックスが頬をぷうっとふくらませる。

「とうま、さっさとみことと一緒に住んだらいいんだよ」
「な、何を言い出すのですか、このシスターさんは」
「とうまはみことと一緒に住みたくないのかな?」
「あのな……。そもそもそれは俺だけじゃ決められねえだろ……」
「じゃ、とうまはみことと住んでもいいと思ってるの?」
「ま、今すぐどうとは思ってないけれど、いずれはな……」
「みことは、とうまとならすぐにも一緒に住みたいって言ってるんだよ」
「アイツ、そんなことお前に言ってんのかよ……」
「だから、とうまも年貢の納め時?って言うのかな。それとも既成事実?っていうのが要るのかな」

 上条がぶふぅと噴き出した。

「だーっ!お前、どこでそんな言葉、誰に聞いた!」
「クールビューティが教えてくれたんだよ」
「御坂妹め。インデックス、よい子はそんな言葉、使いません」
「行動に移すのはいいのかな?」
「行動にも移し……ませんのことよ?」
「とうま。あとでゆっくり懺悔を聞いてあげるんだよォッ!」

 わいわい言いながら、2つの影はゆっくりと歩いていく。
 インデックスが上条の顔を見上げて、あの時の木漏れ日のような笑顔になる。
 上条は、インデックスのその笑顔を、なんとか美琴にも見せてやりたいと思った。

「今日のピクニック、本当に楽しかったんだよ。ありがとうね、とうま」


~~ Fin ~~


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