それは何でもない普通の日。
春樹と爽真、二人きりで杏里の部屋にいたときのことだった。なぜ2人きりかといえば、うっかり勢いで置いてけぼりを食らったのだ。
とりあえず春樹は杏里の母親に出されたお茶をすすっていたのだが。
いつの間にか、話は彼の恋愛相談へと発展していた。
春樹と爽真、二人きりで杏里の部屋にいたときのことだった。なぜ2人きりかといえば、うっかり勢いで置いてけぼりを食らったのだ。
とりあえず春樹は杏里の母親に出されたお茶をすすっていたのだが。
いつの間にか、話は彼の恋愛相談へと発展していた。
「本当に怖いのはおまえらじゃないんだ」
「はあ」
あ、茶柱が立った。
「おまえは戦線離脱してるって言うし、大樹はガキだし」
「そうだね」
「本当に手ごわいのは」
「うん」
「真霧間キリコなんだよっ!」
ダンッと力強く机に叩きつけられた拳。彼の茶が大きく跳ねた。後で拭かないと。
いや、それよりも。
「……うん?」
「杏里ってばお守りのようにそいつのプロマイド持ち歩いているし1日1回はそいつの武勇伝語るしそのときの顔はそれはもう輝いていて恋する乙女で確かに可愛いんだけどさ頬とか上気しちゃってもう(以下略)」
「ってこんなこと語らせるなよ! 恥ずかしいだろ!」
「えーと。ごめん?」
早く皆帰ってこないかな、と。
こっそり思いながら春樹は肩をすくめた。もう湯のみの中は空っぽだ。