高3自殺事件さらに2人逮捕 HP中傷でいじめ激化 「一番の仲良し」急変2007/09/25, 大阪
読売新聞 夕刊, 15ページ
同級生らによると、生徒と先に逮捕された少年が出会ったのは高校入学直後の2005年春。この少年が、今回逮捕
された17歳の少年と、その友人だった生徒の2人を「学園祭のイベントに出よう」と誘ったことがきっかけだった。
生徒は当時、髪の毛をとがらせた流行のヘアスタイル。周囲は「明るい性格」と受け止めていた。
3人に18歳の少年が加わって、この4人が中心となって高2の1学期にフットサルチームを結成した。夏休みには、
神戸市須磨区の市総合運動公園で毎日のように練習に励んだ。その合間、生徒は先に逮捕された少年らと一緒に予備
校の夏期講習に通い、レコード会社のオーディションに出たこともあった。
秋には、生徒と先に逮捕された少年が生徒会の役員選挙に立候補し、演説会では全校生徒を前に2人で歌を歌って
アピール。結果は落選だったが、同級生の1人はこのエピソードを挙げて「2人はクラスで一番仲が良かった」と明かす。
ところが、ちょうどこのころ、18歳の少年が作ったフットサルチームのホームページ(HP)を見た同高生徒たち
から、少年らがからかわれるようになった。「あいつ(生徒)とつるんでるのか」「きもいぞ(気持ち悪いぞ)」。
このことがきっかけで少年らは生徒を敬遠するようになった。
HPはいったん閉鎖されたが、3年生になった今春、再び開設され、内容は、生徒への中傷に変わっていた。電車内
で無理に歌わされる姿を動画で流したり、裸の写真を掲載したり……。ほかの生徒が「面白い、もっとやれ」とけしか
けたこともあって、いじめはエスカレートした。
矛先は、生徒のささいなうそにも向けられた。「何でうそつくんや」「今度うそついたら1人1万円」。“借金”は
雪だるま式に膨らんでいった。この時の様子を、同級生の多くは「いつもの冗談だと思った」と話すが、一部には
「度を越していた」「自分なら耐えられないと思う」という証言もある。
この間、生徒は、模試などで思うような成績も出せなかったこともあり、口数が徐々に減っていった。そして7月2日、
生徒は誰にも言わずメールアドレスを変更した。その翌日、授業中に「トイレに行く」と教室を出たまま、帰ってこな
かった。
◇高3自殺事件の経過
05年4月 自殺した生徒、逮捕された3人が私立高校に入学し、知り合う
06年夏ごろ 生徒と3人らでフットサルチームを結成。チームのホームページも作成
秋ごろ生徒が「次からうそをつくたびに1万円払う」と3人に約束。
生徒の机に紙粘土のかたまりが置かれる。担任が見つけ、生徒に声をかける
07年4月ごろ 3人が生徒に金の要求を始める
6月23日 「5万でええ」とメール
25日 「夏休みまでに払わんかい。ほかのメンバーには3万円ずつ払え。払わなかったら何をされるかわからんで」とメール
7月 3日 生徒が高校で飛び降り自殺
中旬 学校が同級生から聞き取り調査
20日 学校が県に「いじめはなかった」と報告
下旬 学校が「生徒約70人から聞き取りを行った結果、いじめはなかった」などとする調査結果を生徒の遺族に報告
9月17日 兵庫県警が1人を恐喝未遂容疑で逮捕。学校は記者会見で「金の要求は冗談で、いじめではなかった」
18~20日 逮捕を受け、学校が再調査
21日 学校が再び記者会見し、いじめの存在を認めて謝罪
23日 学校側が遺族と面談して謝罪
25日 県警がほかの2人を共犯として逮捕
最終更新:2008年07月15日 23:13