文明レベルは帝國でいえば平安時代並、代々の王とその貴族達は政治に無関心――権力には関心があったが――であり、王都を中心とした狭い箱庭世界で優雅に遊び暮らしていた。

そう、丁度平安貴族達の様に。

そんな状態が数百年も続いていたらしい。同じ辺境である筈の周囲の国々から見ても異常、そんな国だった。

当然国は荒れた。

そんなタブリン王国の歴史に終止符を打ったのが帝國である。

皮肉にもこの国――というよりもこの国も含めた周辺地域――は、石炭の宝庫だったのだ。


タブリン王国に侵攻した帝國軍が見たものは、荒れた国内とそれを省みずに遊びほうける貴族達の姿だった。

――――まるで『羅生門』の世界だ。

これは当時の帝國タブリン派健軍司令官が、王都に進駐した際の言である。

幾ら資源も無く工業農業生産力も低い小国とはいえ、今までよく国がもったものだ、と派遣軍幹部達は一様に首を捻ったと伝えられている。

とうに周囲の国々に攻め滅ぼされていてもおかしくはない、そう考えたのだ。

(まあ周囲の国々も、この国の治安の悪さに敬遠したのかもしれない。治安の確保には金がかかるのだ)


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最終更新:2006年07月27日 10:07