魔法弾ともいう。火薬の代わりに魔力を利用した砲弾や爆弾で、帝國の砲爆弾と比べても些かの見劣りもしない大威力兵器。
『通常弾とは比べ物にならぬ』という大威力もさることながら、『発射時にほぼ無煙』『豪雨の中でも使用可能』という優れた運用性も合わせもつという非常に優れた兵器だが、皮肉にもその大威力故に……そして何よりその生産量の少なさとコスト故に特殊兵器(決戦兵器)扱いされており、戦場の主役は依然として『黒色火薬を用いた通常弾』というのが現状だった。
……まあ『目玉が飛び出る程高価』という訳では無いが、通常弾と魔法弾のコスト差は“帝國”における『魚雷と爆弾のコスト差』程はある。加えて大量製造が可能になったとはいえ、戦場における全ての需要を満たすには到底足りなかった。
要するに、大文明圏の大国と言えども気楽に使える兵器では無かったのである。(それ故に『魔力弾の大規模運用』は政治的にも軍事的にも大きな意味合いを持つ)
この様に戦場の切り札ともっされる魔力弾ではあるが、その登場は比較的新しく、本格的に配備され始めたのは帝國転移時から100年程前からのことに過ぎない。
尤も『魔力を封入し兵器として用いる』というアイデア自体は大昔より存在していた。魔力を封入する性質を持った魔石も古くから知られており、これに魔力を封入して戦場で使用した、という千年以上も昔の記録すら存在する程だ。
が、魔導師自らが手作業で一つずつ魔力の封入をしなければならないこと(量産困難)、封入した魔力が短期間で漏れ出してしまう――暴発の恐れすらあった!――こと(信頼性に乏しい)等の様々な欠点があり、とても大規模に投入できるものでは無かったのだ。(加えて技術的な問題だけでなく、政治的な問題も多々存在した)
これらの問題が大方解決したのが『およそ100年前のこと』という訳である。(ちなみにこの魔力弾製造技術も他の多くの魔法関連技術の例に洩れず、
ワイバーン研究から得たものだ)
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最終更新:2007年09月12日 09:13