第2章プロローグ、エピローグ、第3章第03話、エピローグ、第4章第03話に登場。
軍務卿の家は、レムリア王家が未だ一騎士だった頃から郎党として代々仕えてきた家だった。文字通り、主君と共に戦場を駆け巡り、主君とともに出世していった家なのだ。
『王の馬前で討ち死にした一族数知れず、立てた勲功随一、参加しなかった戦なし』
それが家の誇りであった。
『例え全ての諸侯貴族が背いても、最後まで忠誠をつくすだろう家』
そう歴代の王から称えられた名誉。
だが、内乱になれば民が塗炭の苦しみにまみれる事を考え、全ての誉れを投げ捨て悩みながらも帝國に国を売った。
後悔はしていない。 ……ただ、御先祖に申し訳が無いだけだ。
そう思いながら
レムリア併合後は
功第一として旧来のムラン領安堵に加え
リヨン地方全土を与えられ、両国の王に封ぜられた。それに伴い、帝國侯爵位を授かる。
リヨン地方の人口はムラン領の倍以上で、税収もそれに比例している。つまり軍務卿の領地は一気に3倍以上になったのである。彼は一躍レムリア有数の大諸侯となったのだ。
しかし問題が無いわけではない
新領地の経営は難しい。只でさえ難しいのに自領の倍以上の規模である。下手したら飲み込まれかねない。・・・しかも飛び地だ。
レムリア中央でも王都からも近い位置にあるムラン。だがリヨンは王都から遠い北方にある。ムランとリヨンは直線距離でも数百キロあり、とても統一して統治できない。
次代を分家するしかなく、長男にムランを継がせ、その他の子供達にリヨンを分割して与えるのが最善だろう。・・・多数の優秀な家臣を分散させる羽目になるが。
帝國としても、さすがに
レムリア総督領(王都)近くに大領を与えたくなかったのだ。
ガリア帝國侯爵・トスカーナ帝國侯爵に並ぶレムリア地方三大侯爵の一人。
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最終更新:2006年11月07日 03:00