友達
by12-894
私にもついに友達ができたよ。お母さん…。
柊かがみ、柊つかさ、高良みゆき。友達っていいね。ずっとずっと友達でいられますように。
かがみ「こなたー、またあんた学校にゲーム持ってきて。次の期末試験どうなっても知らないわよ。」
こなた「いいの。いいの。私は勉強すれば急に伸びるタイプだから。前回の試験もかがみんに勝ったでしょ。」
かがみ「うっ、たまたま1教科良かっただけでしょ。偶然よ偶然。」
こなた「それよりかがみん、帰りゲマズ寄って行かない?買いたいものがあるんだけど。」
かがみ「うーん…、私もほしいラノベあったからいいわよ。」
こなた「さすがかがみん。付き合いいいね。つかさやみゆきさんはどうする?来る?」
つかさ「ごめん、こなちゃん。今日は神社の手伝いがあるから無理。ごめんねー。」
みゆき「私もちょっと用事があるので行けません。すみません。」
こなた「えー、二人とも付き合い悪いよ。いいじゃん。少しぐらいー。」
二人 「…」
二人は困った表情で見詰め合った。
かがみ「ほら、こなた二人とも困ってるわよ。私が行ってあげるから駄々こねない。」
そうして、放課後、こなたとかがみは下校した。教室にはつかさとみゆきだけが残された。
つかさ「…。みゆきさん。用事って何?」
みゆき「つかささんこそ、神社の手伝いって何ですか?」
二人「くっ、…あははは」
つかさ「やっぱり、みゆきさんも行きたくなかったんだ。」
みゆき「私はあのようなお店でほしいものはありませんからね。
こなたさんはKYな人ですから、いつも自分の趣味の世界を人に押し付けてきて困ってます。」
つかさ「それ、わかるよ。おまけにすぐ、人のことをバカにしてくるよね。原作ではほんと私、酷い扱いだよ。」
みゆき「体育祭の障害物競走に立候補した際にはこなたさんのせいでクラス中の笑いものにされましたよ。はぁー。」
つかさ「酷かったよね。私も年末にお祭り行こうって誘われて行ったら
コミケに連れて行かれたよ。
本当にあの時は疲れたし死ぬかと思った。年末は神社の仕事で忙しいのに。」
みゆき「はぁー、こなたさんには困ったものです。どうしたらいいんでしょうか?」
つかさはニヤリと笑うと言った。
つかさ「簡単だよ、みゆきさん。もうこなちゃんとは付き合いやめたらいいんだよ。」
みゆきは一瞬驚いたようだったがすぐにいつもの冷静な口調で言った。
みゆき「さすが、つかささん。壊れた物は無理に修理するよりは捨てた方が楽ですよね。
もうこちらが我慢する必要はありませんしね。」
つかさ「うん、そうだよ。明日からこなちゃんとは友達じゃない。」
みゆき「ええ。友達じゃありません」
翌日の昼休み。
こなた「やあ、つかさ。昨日はかがみんがさぁ…。」
つかさ「こなちゃん、もう寄って来ないで!」
みゆき「私も御遠慮お願いします。」
こなた「どうしたの二人とも…。何?ツンデレ?あはは、ついに二人もこっちの世界に興味持った?うりうり」
つかさ「そうやってすぐ自分の趣味に持っていく。そういう所がウザイよ、こなちゃん。」
みゆき「ほんとにKYですね。」
こなた「えっ!?二人ともどうしたの?友達でしょ!」
みゆき「こなたさんの友達の定義って何ですか?自分の都合のいい人間のことですか?」
つかさ「友達ねぇ…。こなちゃん、今から私の昼ご飯 焼きそばパンと牛乳買ってきて。
私の足じゃ遅くて時間かかるからスポーツ万能なこなちゃんが買ってきてよ。友達でしょ?」
みゆき「そうですね、私の分もお願いしますね。私は体の凹凸が激しいので障害物の多い人ごみは並びにくいのです。
こなたさんなら身長が低いからみんなの視界に入ることなく割り込めますよね。友人としてお願いします。」
こなた「え?」
つかさ「友達だよね。友達が困っていたら普通助けてあげるでしょ。
もしかしてこなちゃんと私達は友達じゃないのかな?」
こなた「…分かったよ。すぐに買ってくる。待っててね。」
10分後
こなた「二人ともお待たせー。(≡ω≡.;)」
こなたは袋から買って来た昼ご飯を取りだして机に広げた。
つかさ「これ何?チョココロネ?こんな物頼んでないけど!」
こなた「あはは、それは私の分だよ。つかさの分はこれ」
こなたは焼きそばパンと牛乳をつかさに手渡した。
つかさ「遅いと思ったらこなちゃんの分も買っていたんだ」
みゆき「だから遅かったのですね。おまけに焼きそばパンがチョココロネのせいで潰されています。
こんなことなら最初から自分で行けばよかったですね」
つかさ「使えねー青虫だな」
こなた「ご、ごめん。つかさ、みゆきさん」
その日からこなたは一人で食事をするようになった。
かがみは最近、自分のクラスの友達と食べるようになってきたのでこちらに来ることはない。
こなたはその時、初めて自分のクラス内の友達は二人だけだったと気づいた。
こなた「うっ…うっ…。あの頃に戻りたいよ。」
こなたが学校に来なくなるまでそう時間はかからなかった。
自宅に引き篭もるようになったが、以前のようにアニメを見たり、ネットゲームをする気はおきなかった。
ただ、いつもボーっとした日々が続いた。
こなた「みんなどうしてるのかな?私の事忘れちゃったかな。」
いつの間にかこなたに自殺願望が芽生え、リストカットするようになった。
最初、これをみたゆうちゃんは大変と騒ぎ、お父さんも心配してくれた。
私の事を心配してくれる人がいるんだとちょっとうれしかった。
けど、長くは続かなかった。ゆうちゃんも最初みたいに心配はしてくれなくなって、
少し呆れたような感じで見てくるようになった。
病院に行っても先生はまたお前かと怒っていた。
もう何もしたくない・・・
ある日、かがみんが訪ねてきた。
かがみ「おーす、こなた。あんた何、学校休んでるのよ。また五月病とか言うんじゃないよね。」
こなた「かがみんか。別に行きたくないだけだよ。行っても楽しいことないし…」
ボカッ!
かがみはいきなりこなたの頭を殴った。
こなた「ちょっと、かがみん。何するのさー。痛いよ。」
かがみ「あんたが来なくなって本当に心配したんだから!その痛みに比べれば今のなんて全然よ!
かがみの頬を涙が伝わる。
こなた「かがみ…。私の事を心配してくれるの?」
かがみ「当たり前でしょ。友達なんだから!」
友達…。どれだけその言葉を待っていただろうか。わたしのことを心から心配して涙を流してくれる友人。
再び、こなたの目に光が蘇る。
こなた「ふふふ、かがみんは私がいないと駄目だね。分かったよ。明日から学校行くよ。
また、一緒に昼食を食べよう。」
かがみ「きっとつかさやみゆきもあんたの事心配して待ってるよ」
その瞬間、こなたの表情は凍りついた。
かがみ「どうしたのよ、いきなり暗い顔しちゃって」
こなた「実は…ry)」
こなたは今まで起きた事をすべてかがみに話した。かがみなら信じてくれるはず、きっと私の力になってくれると思ったからだ。
かがみ「そう…。そんな事があったの。ごめんね、こなた。気づいてあげられなくて。苦しかったでしょ。
明日、つかさとみゆきと話そう」
こなた「ありがとう、かがみ…。かがみのおかげで私 がんばれるよ」
その晩、柊家。
かがみ「つかさ、こなたの事で話したいことあるから明日の放課後、屋上来てくれない?みゆきにも言っといて。」
つかさは突然来客に驚いたようだが、すぐに言葉の意味を理解しうれしそうに言った。
つかさ「お姉ちゃん。今日、こなちゃんの家に行ってきたんだね。」
かがみはこれ以上つかさと話す気はなかった。
あのつかさの笑顔を見て、これ以上自分の胸から込み上げてくるこの衝動を抑えることができないからだ。
かがみは言い終わると乱暴にドアを閉めつかさの部屋から出て行った。
ブルル。ブルル。
みゆき「
もしもし、高良ですが。」
つかさ「こんばんは、みゆきさん。突然だけど、お姉ちゃんがこなちゃんの事気づいたみたい。
さっきものすごい剣幕で私の所に来て、明日、放課後に屋上で4人で話したいってさ。かなり本気だったよ。」
みゆき「そうですか…。あの二人に組まれるとやっかいですね。
力勝負になってしまった場合、こちらには勝ち目はありませんから。どうしたものか…」
つかさ「あはは。みゆきさん、向こうが正面からやって来るのにわざわざこちらも正面から行く必要はないよ。
こっちはこっちのやり方でやればいいんだよ。相手の流儀に合わせる必要なんかないよ」
みゆき「ふふふ…、そうですね。かがみさんは正義感の高い方ですから真っ向勝負しかしないでしょ。
このみwikiの知識とつかささんの行動力があれば問題なく処理できますね」
つかさ「それじゃあ、さっそく作戦を考えよっか。」
そうして一晩が過ぎ去った。
次の日、こなたとかがみは二人で登校した。
こなたはまたつかさとみゆきから何かされるかと怯えていたが放課後まで何もされなかった。
放課後、屋上。
かがみ「さっそくだけど、あんた達、どうしてこなたを虐めるの?」
つかさは満面の笑顔をして言った。
つかさ「そんな事も分からないってお姉ちゃん、どんだけー。こなちゃんがウザイからに決まってるじゃん。」
みゆき「仏の顔も三度までと言いますが、私達はそれ以上に我慢してきました。我慢の限界を超えただけです。」
かがみ「はぁ!?それがこなたを虐めていい理由になるわけないでしょ。」
つかさ「内心、お姉ちゃんもこなちゃんがKYで嫌だったでしょ。同じ被害者だよね。」
かがみはすぐに反論できず、口ごもってしまった。つかさの言ったことは本当だったからだ。
こなたはそんなかがみを見て言った。
こなた「かがみんもそう思ってたの?ごめん、かがみ。私のせいでいっぱい迷惑かけちゃったね。」
こなたは泣きながら謝罪した。
かがみ「いいのよ、こなた。確かに少し空気読んでほしいところもあったけど、こなたにはそれ以上に素敵な所があった。
だから、私はあんたを嫌いと思ったことはない。ずっと友達で一緒にいたいと思ってた!」
こなたとかがみはお互い泣きながら謝りあった。
つかさ「ふーん。お姉ちゃんは結局、そいつの味方するんだね」
かがみ「そうよ、あんた達のその歪んだ心を叩き直してあげるわ」
かがみは物凄い剣幕で近寄って来る。
つかさ「怖い、怖い。お姉ちゃんをここまでけしかけるなんて、こなたウィルスは怖いね。
私達の日常を脅かすウィルスは消えてもらわないと」
と言うと、つかさはポケットからナイフを取り出してこなたに飛び掛った。
つかさ「死んでよ、こなちゃん」
だが、つかさのナイフはこなたには届くことはなかった。
かがみはつかさを押し倒し、ナイフを奪うと馬乗りになりつかさに向けた。
かがみ「無駄よ。力勝負ではあんた達に勝ち目はない。」
つかさ「…負けたよ、お姉ちゃん。後はそのナイフで私を刺せば勝ちだよ」
かがみ「バカなこと言わないで。世界でたった一人の私の妹を殺すことなんてできるわけないでしょ」
つかさ「じゃあ、お姉ちゃんの負けだね」
グサッ!
つかさがそう言った瞬間、かかみは腹部に激痛が走るのを感じた。
いつの間にかつかさの腕からかがみの腹部に向けてもう一本のナイフが刺さっていた。
あまりの痛さにかがみは体勢を崩し、持っていたナイフを落としてしまった。
つかさ「お姉ちゃんは甘いね。最後まで殺らなきゃ、殺られるよ」
そう言ってつかさはかがみに刺さっていたナイフを180度回転させた。
つかさ「よいしょっと」
かがみ「ぐっ、痛いー。痛い痛い。もうやめてー」
皮膚が巻き込まれて刺された時以上の激痛がかがみを襲う。
あまりの痛みにかがみは倒れこんでしまう。
みゆき「あらあら、かがみさん。痛そうですね。では、このミダゾラムを注射してあげますよ。
麻酔効果の上、健忘作用もありますからご安心を」
そう言いながらかがみに近寄って行くみゆきにこなたは飛び掛った。
こなた「かがみんに手は出させない」
こなたはみゆきの首を両手で締め上げた。
みゆき「ぐっ…」
みゆきは苦しそうな表情で声も出せず、息すらもできなさそうだった。
やがて手に持っていた注射器を落とすのを見て、こなたはあと少しで息の根を止められると思った。
ドスッ!
一瞬、こなたは何が起きたか理解できなかった。
さっきまで苦しんでいたはずのみゆきが笑っているからだ。
手にはナイフが握られていた。
こなたの右脇あたりに激痛が走る。
こなた「な、なんで…」
みゆき「ふふふ。こなたさん本当に私を絞め殺せると思ってたのですか?あなたの力では気管はおろか、外頚動脈すらも圧迫しきれてませんよ。」
「殺すどころか失神すら無理ですね。首を絞めたらすぐ倒れるなんてテレビやゲームの世界だけです。」
「それとあなたの腕神経叢の切断させてもらいましたから、もう右腕は動きませんよ。もしかしたら動脈も切ってしまったかもしれませんから
左手でしっかり圧迫しといて下さい」
こなたは今まで痛みで気がつかなかったが、確かに右腕が動かせなかった。
つかさはみゆきに合図を送ると、みゆきは頷き、ナイフをこなたに投げ渡した。
こなたは左腕で脇を抑えつつ、ナイフを握る。
つかさ「そのナイフで最後まで私達と勝負する?こなちゃんさえ自殺してくれればお姉ちゃんは助けてあげてもいいよ」
こなた「え…。」
つかさ「よく考えてもみなよ、こなちゃん。お姉ちゃんはこの後弁護士になってもしかしたら知事になるかもしれない。
きっと多くの人に役立つ人物になるはずだよ。でも、こなちゃんは何も才能ないね。ただのオタクだけ。
この後、自宅警備員になって生活保護もらって周りに迷惑かけながら生きていく。
どっちがこの日本にとって有益か分かるよね」
みゆき「こなたさんにはナイフで自殺を試みるも失敗して飛び降り自殺というストーリーは出来上がっています。
最後くらい迷惑をかけずに去ってくれますよね?」
こなたはしばらく黙って考えた。このまま戦ってもこちらに勝ち目はないのは明らかだった。
かがみは苦しそうにうずくまっている。早く病院に連れて行かないと大変だ。
こなた「…わかった。言うこと聞くからかがみんは助けてよね、お願いだよ。
それと最後になんで私の事がここまで嫌いになってしまったか教えてくれない。
ずっと友達でやっていけると思っていたよ」
つかさ「こなちゃん、親しき仲にも礼儀ありだよ。
こなちゃんにとっては冗談のつもりだったかもしれないけど相手にとっては傷つく一言だった。
こなちゃんの記憶には残らない些細な出来事でも相手には心の傷として残っていくんだよ」
こなたは走馬灯のように過去の自分の発言を思い出していった。
あのこと、あれのこと、確かに覚えているだけでも相手を不愉快にする言動は多々あった。
こなた「つかさ、みゆきさん、かがみん…。ごめんね。ほんとKYだったよ。
他人にここまで傷つけて迷惑をかけていたなんて言われるまで気がつかなかったよ。
次は選択肢を間違えないから…また友達になってね。
リセットしてまたやり直そうね…今度もまた仲良くしてね…」
こなたは言い終わると屋上から飛び降りた。
ドサッ!…
…
…
つかさ「バカなこなちゃん…。人生に次はないよ…
リセットしたらそこで終わりだよ。NO FUTURE」
数日後…
かがみ「うーん。ここは何処?」
つかさ「お姉ちゃん、目を覚ました?ここは病院だよ。通り魔にお腹を刺されて…死ぬんじゃないかと本当に怖かった。」
かがみ「えっ!?全然思い出せない…」
つかさは事件の事をかがみに伝えた。下校中に刺されたこと、つかさとみゆきの証言から同学年の白石みのるが犯人として捕まったこと。
確かに病室のTVを見ると白石みのるが仕事のストレスを原因に犯行に至ったと報道している。
つかさ「お医者さんの話では腹部の臓器には傷はついてないらしいよ。もうすぐ退院できるって。よかったね。」
かがみ「そう…。私って何か大事なことを忘れているような気がするのよね。」
つかさ「忘れるような事だからきっと大したことはないよw、早く一緒に学校にいこうね」
退院後…
かがみが久しぶりに学校に来るとクラスのみんなが退院おめでとうと祝ってくれた。
あいつにも顔出してやるかとかがみはつかさのクラスに行った。
だが、こなたの机はあるものの姿はなかった。
かがみ「つかさー、こなたはまた休み?」
つかさ「…、お姉ちゃん。こなちゃんはお姉ちゃんが刺された日に死んだよ。」
みゆき「屋上から飛び降り自殺したらしいです。リストカットなど自傷の痕があったので警察は自殺として処理したみたいです」
かがみ「こなたぁ~。なんで、なんでよ。」
おしまい
最終更新:2024年04月21日 21:53